ことばの発達の謎を解く の商品レビュー
発達心理学、認知科学の視点から、言葉の謎を紐解いていく。これを読めば、「言葉って凄い!」と感心すること間違いなしです。
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主に1~4歳くらいの子どもが言語を獲得する過程を追う中で、言語と世界認識の謎に迫っていく。 普通、初めて言語を獲得する時、聞こえてくる音が何らかの意味を持つ単語に分けることができ、それを組み合わせて文を作り、複雑な意味を伝えているということすら分からずに、学習を始めなければな...
主に1~4歳くらいの子どもが言語を獲得する過程を追う中で、言語と世界認識の謎に迫っていく。 普通、初めて言語を獲得する時、聞こえてくる音が何らかの意味を持つ単語に分けることができ、それを組み合わせて文を作り、複雑な意味を伝えているということすら分からずに、学習を始めなければならない。 その「言語の全体像」すら知らない子どもたちは、それを知っている僕らよりも遥かに早く言語を獲得していく。 この「ことばの発達の謎」を解いていくのが本書の概要である。 認識と言語と世界を「言語のシステム」として見る。 ものの名前は「もののシステム」、色の名前は「色のシステム」、数の名前は「数のシステム」として、言語の世界の整序が世界をシステム化していく。 最後の一章、言語と思考の共通したアナロジー的な性格の話が最も面白かった。次が序盤に出てくるヘレン・ケラーの話。 何にせよ、言語を使うということが世界観に及ぼす影響を語っている点で、認知心理学の立場から見た言語学の姿を顕にしていて興味深かった。
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終章では「読者のみなさんへのメッセージ」として,中学生,高校生,大学生を主な読者に想定するだけでなく,「文系の方へ」,「理系の方へ」,「子どもを育てている方々や教育に携わっている方へ」などに,読者に執筆の意図を改めて語りかけている。 最後に,このように執筆意図が述べられている...
終章では「読者のみなさんへのメッセージ」として,中学生,高校生,大学生を主な読者に想定するだけでなく,「文系の方へ」,「理系の方へ」,「子どもを育てている方々や教育に携わっている方へ」などに,読者に執筆の意図を改めて語りかけている。 最後に,このように執筆意図が述べられているので,改めて本書の内容を確認することができた。 オーストリアのドキュメンタリー映画「ピアノマニア」が終章では紹介されている。主人公はウィーンのコンサートホール専属のピアノ調律師。ピアニストがイメージする唯一無二のピアノの音を創り出すためには,熟練ピアノ調律師の卓越した調律が不可欠である。ピアニストと調律師の,究極の理想の音を,イメージを擦りあわせて,共有するために交わされる対話。映画をその様子を描き出している。「まだ創られていない音」(未だ存在しない何か)を創り出すとき,そのイメージを伝え合うことを可能にするのは「ことば」しかない。映画「ピアノマニア」に関する著者の感想を読み,ことばの学習(獲得)との関連をそこに感じた。 多くの人は,子どもが「大人にことばの意味を直接教わり,間違いを直してもらいながら考える」と誤解していますが,実際には,子どもは大人の話しかけを自分で分析し,自分でことばの意味を考えて覚えていくのです。(4/5頁) 上記の知見を含めて,ことばを学習する過程について,学ぶことが多いのが本書である。
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赤ちゃんが言語を獲得していくさまが,人類が科学を発見していくプロセスに似ているというのは新しい発見だった。はじめまったくつかめなかったシステムの全体像が,次第に明らかになっていく過程。適用できる概念(語彙)が増え,知らず知らずのうちに差異の体系が構築されていく。 赤ちゃんの発...
赤ちゃんが言語を獲得していくさまが,人類が科学を発見していくプロセスに似ているというのは新しい発見だった。はじめまったくつかめなかったシステムの全体像が,次第に明らかになっていく過程。適用できる概念(語彙)が増え,知らず知らずのうちに差異の体系が構築されていく。 赤ちゃんの発達を間近で見守る人にはうってつけの一冊。こないだお邪魔した東大赤ちゃんラボ(開研)の研究員の方も,著者の今井むつみ先生はよく御存じのようでした。
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題名通りの内容。名詞や動詞、形容詞をどういう様に身に付けるかを分かりやすく書いている。ただし途中かったるい。という事で星三つ。
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話し始めのこどもが、ドラえもんもアンパンマンもマンホールも『アンパンマン』というので、どういうことなんだろう?と疑問に思い読みました。子供の言語発達の段階だけでなく、なぜ大人になると他言語の学習が難しいのかがわかって面白かったです。やはり習うより慣れろは至言(笑)
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ことばの発達は,単に言語習得に留まらず,知識の有機的体系化と延いては科学的思考に直結する事が詳らかにされる.大変興味深い.
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こどもの言語獲得をつうじて言葉を覚える、理解できるとはどういうことかを解きほぐす。母親のお腹にいるときからすでにリズムやイントネーションを覚え、受け身ながらもアンテナを研ぎ澄まして自分の中に言葉のシステムを築きあげていることなど、幼い子の言語理解についてのいろいろと工夫された実験...
こどもの言語獲得をつうじて言葉を覚える、理解できるとはどういうことかを解きほぐす。母親のお腹にいるときからすでにリズムやイントネーションを覚え、受け身ながらもアンテナを研ぎ澄まして自分の中に言葉のシステムを築きあげていることなど、幼い子の言語理解についてのいろいろと工夫された実験がおもしろい。 3人の子を育て言葉の獲得過程はずっと見守っていたものの、文法の獲得過程などごく表面的なことしか観察できていなかったので、音の連なりから単語を切り出し、語の意味をどう推測するかという根本的なプロセスがあらためて興味深かった。 ことばの学習過程を研究することで人間の心や脳の仕組みを科学的に明らかにしていこうという研究の姿勢やそのおもしろさもよく伝わってきたし、そこから導き出される子どもの言語獲得や外国語学習における知見も納得のいくものだった。
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今井さんは、人間の思考とことばの関係について岩波から『ことばと思考』という本を出していて、ぼくは読んでとても感銘した覚えがある。本書はこどもがことばを獲得するシステムを探求したもので、子どもは顔には出さないし、口でも言わないものの、そこにはなみなみならぬ試行錯誤の過程があることが...
今井さんは、人間の思考とことばの関係について岩波から『ことばと思考』という本を出していて、ぼくは読んでとても感銘した覚えがある。本書はこどもがことばを獲得するシステムを探求したもので、子どもは顔には出さないし、口でも言わないものの、そこにはなみなみならぬ試行錯誤の過程があることがわかる。それは一方で、ケルが言えず「足でナゲル」と言ったり、「歯でカム」が言えず「歯でフム」と言う子どもの表現を通じ、大人には気づかない語と語の間の共通性が浮かび上がってくる。子どものことばの獲得は一方で大人の外国語学習にもヒントを与えるもので、たとえば、英語のwearを使えるにはどこまで知っていないといけないかという問題だと(p182)、その範囲にヘアスタイルや香水をまとうことまで入っていたり、put onとの違いのように状態と変化を分けなくてはならないことまで知っていないといけないことが示されている。
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