下流の宴 の商品レビュー
ちょっと前にNHKでもドラマになっていて観てはいなかったのですが、面白そうなテーマだなあと思っていたので、読んでみました。格差社会が現実になっている今の日本ですが、一昔前の中流意識が染みついている大方のオトナが抱いている意識を鋭く描いています。主人公の思考にどこかに自分自身を重ね...
ちょっと前にNHKでもドラマになっていて観てはいなかったのですが、面白そうなテーマだなあと思っていたので、読んでみました。格差社会が現実になっている今の日本ですが、一昔前の中流意識が染みついている大方のオトナが抱いている意識を鋭く描いています。主人公の思考にどこかに自分自身を重ね合わせながら、読ませるストーリーで最後まで面白く読むことができました。 高校を中退してしまいアルバイト生活をするいわゆる覇気のない息子の言動にイライラしながらも、どこで育て方を間違ったのかと自問自答する48歳の主婦、主人公の福原由美子の心理描写は、言い得て妙でついクスクス笑ってしまいます。 夫も自分もある程度の大学を出た。由美子の若くして亡くなった父親は医者だった・・彼女の意識の中では家出してしまった息子が結婚したいと連れてきた女の子は、沖縄出身、外見や物言い、アルバイトの生活をしていることなどから自分たちの家庭とは違う存在と、すっかり見下してしまいます。そのため、自分たちとは違い育ちが悪いと言い放ちます。相手の女の子はその言葉に猛反発。医者がそんなにえらいのか!と一念発起して何と医学部受験に挑戦してしまいます・・・ 福原家と息子の交際相手の女の子一家の宮原家の様子を交互に描いて物語は進みます。 福原家では姉もおり、彼女の就活、婚活事情、考え方も今どきの女性の典型でこちらも興味深く読むことができました。 社会の構造がものすごい勢いで変化しているのに、人々の物の味方や価値観がなかなか変えられないことのギャップをリアルな形で描いた小説でした。
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主人公の姉の生き方をみて、結婚は「この人となら苦労してもいい」と思える人としないとダメだなぁと思った
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自分の中にも「由美子」と同類の価値観があり、共感できるし、同情もできた。だから、「珠緒」の医学部のくだりは気分が悪い。「珠緒」の努力も理解したし、「扉が開く」感覚になるまでの努力には頑張ったんだなぁと称えたけれども、この程度の努力でこの彼女が国立大学医学部(いくら比較的入りやすいとはいえ)に合格できたことには、納得いかない。 「可奈」みたいなタイプ、自分と価値観においては共通するところがありながら、好きではない。偏差値よりブランドで大学を選ぶ程度の半端な三流のブンザイ。。。セレブ婚&出産後の一時出戻りの結末、早稲田大学理工卒の「父」が発した感想は全くその通りと思った。でも、付属上がり組ではなく、自分は「大学から組」であるという認識とコンプレックスを持っていたことには、好感が持てた。外部生ってこういう感じなんだって知れて良かった。
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下手な自己啓発本読むより、手軽に"勉強しよう"って思わせてくれる本(わたしにとっては)。 しかし、翔ちゃんみたいな人って本当にいるのだろうか? リアルな様で、実は全くリアルでない様な。 ま、読後感は悪くないから良いけれど。 読んでないから何とも言えないけれど、...
下手な自己啓発本読むより、手軽に"勉強しよう"って思わせてくれる本(わたしにとっては)。 しかし、翔ちゃんみたいな人って本当にいるのだろうか? リアルな様で、実は全くリアルでない様な。 ま、読後感は悪くないから良いけれど。 読んでないから何とも言えないけれど、きっと 『野心のすすめ』に書かれていることと 同じなのだと思う。
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自分ももっと勉強したいなって思った。 高校1年の頃にこの本を読んでいたら 読んだあとの影響がどんな風に働いていただろう。
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○平凡なサラリーマン家庭を取り巻く、時代の変遷や偏見とそれに振り回される親子の物語。 ○とても読みやすく、スラスラ読了してしまった。 ○「女性だから」とか「男だから」といった男女間の偏見、親や親戚の職業や学歴といった家系・血筋の偏見、都市と地方といった地域の偏見など様々な偏見を通じて、固定観念がもたらす功罪について、社会(問題)を踏まえつつのストーリー展開。 ○あくまでも小説であり、無茶な場面展開もあるが、往々にして現在の東京であり得る設定。 ○「中流」という中途半端な位置づけが、それを維持することの困難さを物語っている。自分を「中流」と認めつつ「下流」を見下すような態度や考え方が、そもそも「下流」であるということの証左。 ○私の人生を振り返っても、あながち「小説」と言い切れないかも。もっと未来志向で適度なプライドを持つこととしなきゃ。
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ドラマ化してほしいな~。面白そう。著者自身が”野心の塊”の人なのに、野心のない主人公の男の子の心理が細かに描かれていて、すごいなと思った。自分と違うからこそ観察できるのかしら。どの登場人物も、いるいるこんな人って感じで、読み応えがあった。
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最初から最後まで、主人公の息子にイライラさせられる私は、やっぱり価値観としては古いのかしら?健康なら本人のためにも働いた方がいいんじゃないかと思ってしまうけど。
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「一生懸命何かやるとさ、やっぱりプライドったもんは自然と生まれてくるさー」 これが1番心に残った言葉。 いかにも人間を目利きしてますという俗っぽい内容が時に読み辛かったが、後半は良かった。スカッとした。
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プライドという感情は猿やライオンや、もしかしたら蟻にもあるかもしれないが、驕りという複雑な感情は人間特有のものだろうと思う。まとまったお金を手にしたとき、地位を得たとき、あるいは自分の功績でなくても家族の勲章を盾に他人を見下す人もいる。 人の価値は金や学歴や地位では計れない、なんてきれいごとを言ってもやっぱり常につきまとう。そしてそういうものさしがなければ世の中発展もしていかないのだ。 今の若者は欲がないと私たちはよく口にするけれど、福原家の長男は典型的な世捨て人。エスカレーター式の中高一貫校へ入ったのに高校を中退し、フリーターでその日暮らしをする。バイト先で知り合った年上の女の子と同棲し、ゆるゆる過ごすのが幸せらしい。 福原の母は医者を父に持ち、自分ではいわゆる上流だと自負している。だから長男が結婚したいと言ったとき相手の女の子の価値を中流以下、彼女の言葉であちら側の人と決めつけ、ばっさりと否定した。 長男の彼女は心無い言葉を浴びせられ、母親に向かって「そんなに医者がえらいなら、私は医学部に入って、もうあんたをえばらせない!」とタンカを切る。 それからは彼女の猛勉強が始まるのだが、ガツガツと勉強し、努力を重ねていくうちに彼女の方にプライドが芽生え始めるのだ。努力はプライドを産み、プライドが下流を蔑む源となる。 そしてそんな彼女の姿を見て、草食男子の長男は冷め始めるのだ。愛ってままならないものだわね~(笑) 長男の物語に並行して語られる、長女の話もまた現実的で身につまされる。彼女は長男とは真逆の肉食系女子。それもすべては結婚に結び付け、がつがつと地位と金ある男子を漁る。 そうやってつかんだ外資系エリート社員の妻の座だったはずなのに…まさかの夫のうつ病によるリストラ。田舎で姑との同居を強いられることになるとは…ほんと人生ってままならない。
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