ホテルローヤル の商品レビュー
廃れていくラブホテルと同じく、行き場のない男女関係も同じ。誰も報われない、幸せとは程遠い日常生活を登場人物達は送っている。人間味のある妙にリアルな生活が生々しい。悩みや葛藤、深い悲しみ、些細な幸せがおりなす、人間らしい性活がありありと描かれていた。湿っぽい‘性’の存在が、この小説...
廃れていくラブホテルと同じく、行き場のない男女関係も同じ。誰も報われない、幸せとは程遠い日常生活を登場人物達は送っている。人間味のある妙にリアルな生活が生々しい。悩みや葛藤、深い悲しみ、些細な幸せがおりなす、人間らしい性活がありありと描かれていた。湿っぽい‘性’の存在が、この小説を引き立てているのだろう。ご飯と一緒に「ホテルロイヤル」を読む気は起こらなかったが。ずっしりと湿っぽくて重いこの小説の余韻を、いまは楽しんでいる。
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ホテルローヤルを舞台に、様々な人達を題材にした連作短編小説。 逆順で物語が進むのも特徴的で、既に廃墟となったホテルローヤルを舞台に挫折を言い訳にするカップルの物語が始まる。 そして中でも、印象的だったのが せんせぇ 本作品中唯一救いの無い話だ。 恩師と妻に裏切られた教師、家族に捨てられた女子高生。 彼等の結末が、遠因としてホテルローヤルは衰退していく。 最後は、ホテルローヤルがどうやって建設されるに至ったか、元を辿れば愛に満ちていた。
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ホテルローヤルを取り巻く人々の短編が時間の枠を越えて繋がって一つの話を成している。最初が最後で、最後が最初ってのも考えた上での構成だろうし、面白いっちゃあ、面白いんだけど、だんだん、一話目の何処に向かうんだろう感が薄れていくのが残念。
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誰も救われない虚無感ある桜木さん特有のストーリー。怠惰していくような感覚にとらわれるがそれがクセになる。
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何処かで話題の本ということで読んでみた。ラブホテルのホテルローヤルに関連する人間模様。現在過去未来が各々の物語で行き来する。男女、家族などの人間模様が心の何処かに突き刺さる一冊。
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H31(2019)3.23読了 廃墟から始まってオーナーの死・・・オープンと時代を遡行しながら、そこに関わった人のやりとりや生活・思いが暖かい目線で描かれていると感じた。
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作家の名前の雰囲気と題名で、勝手に甘い恋愛小説かと思って手を出さずにいた本。 閉塞感とやるせなさ、窪美澄っぽい。 女性作家の本ってあまり好きではない理由が今回はっきり分かった。現実逃避出来ない!現実すぎ。今の自分も苦しくなって読むのが辛くなってきちゃう。 男性作家の描く女性主人公...
作家の名前の雰囲気と題名で、勝手に甘い恋愛小説かと思って手を出さずにいた本。 閉塞感とやるせなさ、窪美澄っぽい。 女性作家の本ってあまり好きではない理由が今回はっきり分かった。現実逃避出来ない!現実すぎ。今の自分も苦しくなって読むのが辛くなってきちゃう。 男性作家の描く女性主人公なら、ふわーんとしてて自分とはかけ離して読めるのに。 良くも悪くも、よく分かって苦しい話ばかりだった。
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男と女のことは傍から見ただけでは分からない。 訳ありの男と女が日常を抜け出し、人目を忍ぶように訪れるラブホテル「ホテルローヤル」。 いくら外が明るい昼間でも、部屋に足を踏み入れればたちまち「夜」となり、男と女の後ろめたさも覆い隠してくれる。 そこで見た束の間の夢は何をもたらしてくれるのか。 欲望を満たすだけでなく、寂しさや罪悪感等負の感情も一時忘れさせてくれる場所。 ラブホテルが舞台の、訳ありの男と女の連作短編だけあって、さぞかし濃密でじめじめした話だろうと思っていたけれど、案外後腐れなくすっきり読み進められた。 ラストに「ホテルローヤル」建設に夢を膨らませる大吉の話を持ってくる桜木さん、泣かせるね。
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★まさにセックスの哀しみ★ところどころに差し込まれる、心のひだに入ってくる心情。本当に文章がうまい。エロスではなく性の切なさが苦しい。リバースクロニクルの小説を偶然続けて読んだが、主人公を少しずつずらしながらマトリョーシカのように思いがけない過去がでてくるドキドキに適した手法なの...
★まさにセックスの哀しみ★ところどころに差し込まれる、心のひだに入ってくる心情。本当に文章がうまい。エロスではなく性の切なさが苦しい。リバースクロニクルの小説を偶然続けて読んだが、主人公を少しずつずらしながらマトリョーシカのように思いがけない過去がでてくるドキドキに適した手法なのだろう。どんでん返しではなく明るさが最後に出てくるのが、このテーマにはよいのだろう。
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第149回直木賞受賞作。 ・シャッターチャンス ・本日開店 ・えっち屋 ・バブルバス ・せんせぇ ・星を見ていた ・ギフト 北海道のバブル時代に建てられたホテルローヤルにまつわる男女の情愛7作品。 営業当時から廃墟になった現在まで、各時代の状況を背に、激情...
第149回直木賞受賞作。 ・シャッターチャンス ・本日開店 ・えっち屋 ・バブルバス ・せんせぇ ・星を見ていた ・ギフト 北海道のバブル時代に建てられたホテルローヤルにまつわる男女の情愛7作品。 営業当時から廃墟になった現在まで、各時代の状況を背に、激情でもなく、平凡すぎでもない何処でも起きそうな男女の結末を淡々と描いている。 感動あり、寂寥ありの物語。
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