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ホテルローヤル の商品レビュー

3.2

504件のお客様レビュー

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2013/07/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「小説すばる」に掲載された6短編に、書き下ろしを加えて単行本化したもの。 釧路湿原を見晴らす「ホテルローヤル」というラブホテルに関わった人々の、生き方、性、想いを個性豊かに描いている。時系列どおりに並べられていないのがいい。 「挫折」した元アイスホッケー選手の恋人にせがまれ、廃墟になったラブホテルの部屋で投稿ヌードを撮られる「シャッターチャンス」 貧乏寺の住職の妻が、寺の維持のため高齢の檀家たちに「介護」のような性的奉仕をしていたが、檀家の代替わりで様相が変わる戸惑いと期待。ホテルローヤルのオーナーの遺骨を寺で預かることになる「本日開店」 心中事件で客が減り、ラブホテルをたたむ日に、女性オーナー(初代の娘)が、売れ残ったバイブなどを引き取りに来た営業マンに自分にバイブを使ってくれるよう頼み、入院中の父親も置いてトランク一つで出て行く「えっち屋」 舅が同居して夫婦の寝室がなくなった専業主婦が、声の出せる場所でセックスしたいと夫をラブホに誘い、きれいな風呂とベッドに満足する「バブルバス」 上司から紹介されて結婚した妻が、昔から今も上司の愛人だったことに衝撃を受けた単身赴任中の夫が、連絡せずに自宅に帰ると、妻が元上司を家に引き入れるところを目撃し、両親が蒸発した教え子と釧路へ向かう「せんせぇ」 年下の夫が働かず、ラブホテルの従業員をして黙々と働く妻に、唯一便りをくれる次男が暴力団の抗争で殺人を犯して逮捕されたニュースが飛び込む「星を見ていた」 看板屋の大将がラブホテルの建設を持ちかけられ、反対を押し切って契約すると家族が出て行き、妊娠した愛人に季節外れの蜜柑をデパートで買って渡し、その蜜柑の名前からホテルを「ローヤル」と名付けた「ギフト」 紫乃さんの作品は、深く静かに自分の中に入ってくるものがある。「新官能派」などと呼ばれ、直木賞候補にもなったが、生まれ育った土地と、そこに住む人々、生と性のエネルギーを大切にして描く紫乃ワールドがいい。 追記2013.7.17 直木賞おめでとうございます。取れると思ってました。 でも、『ラブ・レス』で取ってほしかったなぁ。

Posted byブクログ

2013/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今は廃墟となったラブホテル『ローヤル』が何かしら出てくる短編集。7編。普通とはズレた性を扱って、人生の悲哀のような物を感じる。

Posted byブクログ

2012/12/28

女性作家に多い湿度高めの生と性の連作短編。 ラブホテルの過去と現在を数組の男女の営みと共に綴る。 いやらしさはあまり感じないが、なんとも言えない生々しさがあった。 女性のための小説だと思う。

Posted byブクログ

2017/10/16

直木賞受賞作品北海道にある今は廃墟となったラブホテル。そのホテルを舞台に、いろんな時代、いろんな人のドラマが繰り広げられる。安っぽいホテルに似合いの、どこにでもあるようなお話。特にすごく面白いわけではないけれど、数文字で本の世界に引き込まれる不思議な作品でした。

Posted byブクログ