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文明崩壊(上) の商品レビュー

4.1

64件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

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2018/07/06

「文明崩壊(上): 滅亡と存続の命運を分けるもの」(ジャレド・ダイアモンド:楡井浩一 訳)を読んだ。最近こんなのばかり読んでいる。歴史から姿を消していった社会についての考察が淡々と語られていく。興味深いものもあればそうでもないものもある。が、現代社会への警鐘として心して読むべし。

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2018/03/25

偉大なるダイアモンド先生の二作目に挑戦。 っていうか、自分が最初に読んだ「銃•病原菌•鉄」より遥かにパワーアップしている気がする。 元々は鳥類学者らしいが、数々の論拠を打ち立てる造詣の深さに圧倒され、もはやこの人は何が専門かわからなくなる。 地質学?進化学??気候学??...

偉大なるダイアモンド先生の二作目に挑戦。 っていうか、自分が最初に読んだ「銃•病原菌•鉄」より遥かにパワーアップしている気がする。 元々は鳥類学者らしいが、数々の論拠を打ち立てる造詣の深さに圧倒され、もはやこの人は何が専門かわからなくなる。 地質学?進化学??気候学??? 良くわからないけど、あらゆる学問に精通してるスーパーじーちゃん、といった感じ。苦笑 さて、人類(文明)の発展に民族毎に差異が生じた理由を解き明かそうとしたのが「銃•病原菌•鉄」なら、本著はその対局とも言いえる数ある文明の中が滅び去った理由を解こうとしている。 また、「銃•病原菌•鉄」は、その発展の歴史を地理的に追っていく様が旅行記みたいだったけど(長い時間を旅するという意味では時間旅行記とも言えるかな?)、本著はまるで物語の様。 イースター島、マヤ文明等一カ所ずつに焦点を当て、その文明が誕生・発展してから滅びていく理由を解説している。 そしてそれは、決して物語ではなく紛れもない真実。 それだけに真に迫っており感動できる。 必死に生き自らのコミュニティを発展させようとしたものの、それが叶わず滅び行く様を見ていると、やり切れなさや虚しさと共に泣きそうになる。 まさかこの手の本でウルッと来るとは思わなんだが… 第一章が若干長く冗長に感じるが、それを超えると一気に読める。 といってもハードカバーで450ページあるけど。 印象に残り面白かったのはイースター島とポリネシア人の下り。 まだまだ上巻が終わっただけで物語は続くが、とっても満足。 やっぱりすげえな、この人は。 【メモ】 不適切な条件のもとで人々が頑迷にこだわる価値観というものは、過去に逆境に対する最も偉大な勝利を得たものでもあるのだ。 →進化の過程で生き残るのは強い者ではなく、変化に対応できる者とはよく言ったものだね。

Posted byブクログ

2018/02/21

前著『銃・病原菌・鉄』のような大著を期待していただけに肩透かしを喰らう。本書も上下巻合わせて1,200ページ超の大作だがスケールダウン感は否めない。 原題『Collapse』のとおり衰退しゆく幾つかの文明の過程と原因、成否を分けた要素を分析しているのだが、冒頭のモンタナ州しかり...

前著『銃・病原菌・鉄』のような大著を期待していただけに肩透かしを喰らう。本書も上下巻合わせて1,200ページ超の大作だがスケールダウン感は否めない。 原題『Collapse』のとおり衰退しゆく幾つかの文明の過程と原因、成否を分けた要素を分析しているのだが、冒頭のモンタナ州しかり個別事象の集合体のような本になってしまっている。帰納的には人口密集による自然破壊・正負の内外集団影響によるものと結論付ける。イースター島やマヤ文明、ノルウェー領など著者の豊富な知見と鋭い分析力が端々に見られ、カニバリズムなど禁忌にも踏み込んでいる点は興味深いものの、各章分離した著者による考古仮説のためやや退屈感はあった。

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2017/05/10

ジャレド・ダイアモンドによる時空を跨いだ壮大なスケールで描く歴史観。ただし、テーマは「滅亡」。 まず最初に現代のアメリカの自然豊かなモンタナについて語られます。経済至上主義とは縁のないように見える 自然豊かなこの地域にも避けがたい現代的な問題、特に環境破壊問題の波が押し寄せており...

ジャレド・ダイアモンドによる時空を跨いだ壮大なスケールで描く歴史観。ただし、テーマは「滅亡」。 まず最初に現代のアメリカの自然豊かなモンタナについて語られます。経済至上主義とは縁のないように見える 自然豊かなこの地域にも避けがたい現代的な問題、特に環境破壊問題の波が押し寄せており、それによって 限られた土地・水の争奪戦、それによる人間関係の問題があぶり出されます。ここから過去に滅びた文明に話がうつり、 滅亡の原因について分析が始まりますが、それらには著者独自の崩壊パターンがあり、おおざっぱかもしれないけれども 的を得た議論のように思えます。それは当然、現代文明にも当てはめることができ、過去の文明から未来の在り方を学ぶことが できるかもしれない。 例えば環境破壊。製鉄、薪、放牧などによって森林伐採や草原の消失がそれらの回復力を上回ってしまうと、土壌が露出し、雨により 養分が流され、ますます草木が育たない土地へと変わる。過去に栄えた文明では、もともと森林豊かだった場所が多いというのはよく聞く話。また、貿易相手国が環境破壊によって滅びたために、そのあおりを受けて 滅亡もしくは悲惨な目に遭ったというパターンもある。 特にこのパターンはグローバル化がなにも現代初のシステムではなく、すでに過去において実践されているシステムであり、そのリスクも 経験済みであることを意味しているが、 経済的なメリットばかりに焦点が行きがちなため、再び同じ轍を踏む可能性がある。 上巻では滅亡の事例を挙げて終わっていますが、この先どのように展開していくのか。ジャレド・ダイアモンドは悲観論者ではなかった はずだったので、過去の事例をもとに将来どうあるべきか、その答えを聞くことができるのかが下巻の楽しみ方になりそうです。

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2016/10/18

(*´Д`*)やってしまった! 同じ本の二冊買い。 上巻と下巻だと思って、上巻を二冊買ってもうた。 ともかく大部な本だから、上巻だけでも読み始めようと思ったわけだが、読みごたえがあった。 過去だけでなく、現代も視野に入れて、ある社会が滅びる時には、どんな条件が関わっているのかを...

(*´Д`*)やってしまった! 同じ本の二冊買い。 上巻と下巻だと思って、上巻を二冊買ってもうた。 ともかく大部な本だから、上巻だけでも読み始めようと思ったわけだが、読みごたえがあった。 過去だけでなく、現代も視野に入れて、ある社会が滅びる時には、どんな条件が関わっているのかを述べた本。 関与する条件は次の五つ。 1)環境の損傷と自然の回復力のバランス 2)気候変動 3)近隣の友好的集団との関係 4)近隣の敵対集団との関係 5)その社会の問題への対応の方法 現代では人間の耕作などにより荒廃が進むモンタナの事例が取り上げられている。 一方、過去の社会については、イースター島、ネイティブアメリカンのアナサジ族、マヤ、ノルウェー領グリーンランドなどが取り上げられていた。 このうちではイースター島の事例を、他の本で読んだことがある。 どうやって人力でモアイ像を運んだのかについて、カヌー梯子だという説が紹介されていた。コロではないらしい。ちょっとびっくり。 そして崩壊に決定的な役割を果たしたのは、ヨーロッパ人との接触があったとのこと。 もう一つ、こちらは今まで全く知らなかったので面白く読んだのは、グリーンランドのところ。 移住したノルウェー人たちの、ヨーロッパ人としてのアイデンティティが、その環境での生き残りを難しくさせたというのは、考えさせられる。 この巻では日本のことは、比較対象としてもほとんど触れられていない。 過去の日本を、環境をうまくコントロールできた例としていたけれど、現代はとてもそうは思えない。 背筋が寒くなる気がする。

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2016/07/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 歴史を振り返ってみたときに、ある領地がほかの領地の資源を利用する場合、どれほど複雑な交渉が行われてきたかを、わたしたちは忘れている。イースター島がこうして統合されるようになった一方で、広いマルケサス諸島が一度も統合されなかったのは、イースター島の地形が緩やかであるのに対して、マルケサスの谷は非常に険しく、近隣の谷の住民同士が、陸伝いではなくおもに海上経由で連絡をとりあって(もしくは襲撃を掛け合って)いたせいだ。(p.192)  グリーンランドの道具と彫刻の様式は、数世紀のあいだほとんど変化していない。グリーンランド人たちは、アイスランド人たち以上に、自分たちが非常にきびしい環境下にあることを意識していたのだろう。経済をうまく発展させたおかげできびしい非常に環境下にあることを意識していたのだろう。経済をうまく発展させたおかげで数世紀のあいだ生き延びることはできたものの、その経済を多様化させると、利益よりも害悪が生じる可能性のほうがずっと高いと悟ったのだ。保守的になるのもうなずける。(pp.476-277)

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2015/11/13

イースター島、古代マヤ、ノルウェー領グリーンランドなどのかつて繁栄した社会はなぜ崩壊したのか。本書は『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンドが『銃・病原菌・鉄』とは全く正反対のテーマについて扱ったものだ。著者は「本書の題は、厳密には″環境に関する要素を含み、ときに気候変動や...

イースター島、古代マヤ、ノルウェー領グリーンランドなどのかつて繁栄した社会はなぜ崩壊したのか。本書は『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンドが『銃・病原菌・鉄』とは全く正反対のテーマについて扱ったものだ。著者は「本書の題は、厳密には″環境に関する要素を含み、ときに気候変動や近隣の敵対集団や友好的な交易相手を付随的な要因とする、また常に社会の対応という論点をはらむ崩壊″とでもするべきところだ」と記している。環境の危機に直面している現代社会は存続できるのか、崩壊への道へ進むのか。過去の失敗の原因を深く考察することが我々の道標となる。

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2015/03/25

ジャレド・ダイアモンドの本がこんなにも面白いのは、1万3千年をまたぐ豊富な事例を扱いながらもその問いはあくまでシンプルであり、それをわかりやすい地理的要因にきちんと落とし込んでいる所だと思う。そして人類という種は、自分たちが思っている以上に環境に左右される生き物であり、環境が再生...

ジャレド・ダイアモンドの本がこんなにも面白いのは、1万3千年をまたぐ豊富な事例を扱いながらもその問いはあくまでシンプルであり、それをわかりやすい地理的要因にきちんと落とし込んでいる所だと思う。そして人類という種は、自分たちが思っている以上に環境に左右される生き物であり、環境が再生不可能になった時そこにある文明も崩壊するのだ。上巻ではマヤ文明やイースター島、ヴァイキングといった喪われた社会を取り上げ、考古学的な分析をもってその崩壊への要因を探る内容はとにかく刺激的で興味深く、胸を高鳴らさせずにはいられない。

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2014/08/17

イースター島の発展と崩壊の歴史が興味深い。 樹木の生い茂る豊かな島だったのに、人間が800年かけて畑を耕し、アモイ像を作っていくうちに、すべての樹木が伐採され、船すら木で作れなくなった。 最後は、部族同士の闘いで、モアイ像が倒され、人肉食まで行い、文明が崩壊した話。 「共有地の...

イースター島の発展と崩壊の歴史が興味深い。 樹木の生い茂る豊かな島だったのに、人間が800年かけて畑を耕し、アモイ像を作っていくうちに、すべての樹木が伐採され、船すら木で作れなくなった。 最後は、部族同士の闘いで、モアイ像が倒され、人肉食まで行い、文明が崩壊した話。 「共有地の悲劇」というシステム原型を思い出させる。 システム原型 – 共有地の悲劇 « 株式会社STSC http://www.stsc.jp/glossary/system-pattern/pattern-8/

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2014/08/02

『銃・病原菌・鉄』ほどは面白くなかった。しかし、現代の環境問題を考えるためには、具体的なデータと考察が述べられており参考になる。 下巻にある日本の江戸時代に関する記述は大変興味深い。日本の歴史に関しては、当然、これまでに何度も目にしているのだが、西洋の文化人類学視点、社会経済視点...

『銃・病原菌・鉄』ほどは面白くなかった。しかし、現代の環境問題を考えるためには、具体的なデータと考察が述べられており参考になる。 下巻にある日本の江戸時代に関する記述は大変興味深い。日本の歴史に関しては、当然、これまでに何度も目にしているのだが、西洋の文化人類学視点、社会経済視点で記述すると、こんなにも違うのかと驚く。中国に関する話も現代の環境問題の定量化としてよいまとめとなる。壊滅を招く共有地の悲劇についても、日本漁業の乱獲や高齢化社会と北欧の管理漁業や福祉政策との対比がわかりやすい例だが、これについても言及していてほしかった。 些細なことだが、単位系がヤードポンド法でわかり難い。意味を変えない範囲で翻訳時に修正するべきだろう。

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