文明崩壊(上) の商品レビュー
過去の6つの社会、イースター島、ピトケアン島、ヘンダーソン島、アナサジ族、マヤ、グリーンランドが環境問題の解決に失敗し、文明が崩壊した経過が書かれている。 グリーンランドの人たちが、慎重で変化を嫌う理由がわかって興味深い
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アゲアゲの高揚感を伴う歴史物語では全くなく、極めて現実的であり、冷徹な目で社会を見つめた科学の成果である。ある時期には繁栄を誇った文明社会が、その後下降線を辿り、なぜ崩壊の憂き目に遭ったのか、考古学の証拠や文献調査を通じて、明らかにしている。従って、勧善懲悪のような、わかりやすい...
アゲアゲの高揚感を伴う歴史物語では全くなく、極めて現実的であり、冷徹な目で社会を見つめた科学の成果である。ある時期には繁栄を誇った文明社会が、その後下降線を辿り、なぜ崩壊の憂き目に遭ったのか、考古学の証拠や文献調査を通じて、明らかにしている。従って、勧善懲悪のような、わかりやすい面白みはなく、ああそれが現実だよなという類の、ある種冷たい分析である。しかし、この研究を根底から支える思考法が私には興味をそそられた。つまり、専門用語で難解極まりないという欠点はなく、文体は流暢で長たらしいが、ストンと腑に落ちる説明のうまさがある。私も別に専門知識はないのに、議論の筋を追うのにさほど難儀しないのだ。この分野の研究をするつもりではないとはいえ、思考を革新する斬新さが感知された。
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積読解消月間の一冊。上下巻とも2012年の第8刷の単行本で購入・放置していたのですが、いざブクログで検索すると文庫版しか登録がなく、文庫で代用することに。上巻が終わったあたりのタイミングで朝日新聞で著者ジャレド・ダイアモンドの「コロナを克服する国家の5条件」というインタビューが掲...
積読解消月間の一冊。上下巻とも2012年の第8刷の単行本で購入・放置していたのですが、いざブクログで検索すると文庫版しか登録がなく、文庫で代用することに。上巻が終わったあたりのタイミングで朝日新聞で著者ジャレド・ダイアモンドの「コロナを克服する国家の5条件」というインタビューが掲載されていて、まさに時宜を得た読書になっています。そのインタビューは「危機と人類」をベースにしているところもありますが、この「文明崩壊」もその先駆けとしてのビッグスケール視点で、今は亡き文明のなぜ?を分析していきます。環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の対応という「文明崩壊」の潜在的要因が挙げられていて、ダボス会議的な問題意識の重要性は自ずと理解しうるものとして、今回の奇禍により、友好的な取引相手、という意識が蝕まれていることに恐怖を感じます。上巻は崩壊の羅列。下巻でどんな気持ちになるのか?
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(内容についてではなくて、個人的な感想です) 前々から読まなくては、と思いながらもボリュームの多さにあと回しにしていました。折しも外出自粛の2020年春、読みました。 私達、一人一人は、精一杯生きているはず。 こどもたちの未来が、なくなってよいと思っている人などいないはず。 ...
(内容についてではなくて、個人的な感想です) 前々から読まなくては、と思いながらもボリュームの多さにあと回しにしていました。折しも外出自粛の2020年春、読みました。 私達、一人一人は、精一杯生きているはず。 こどもたちの未来が、なくなってよいと思っている人などいないはず。 それなのに、私は、超満員のビニールボートに乗って、気がつかないフリをしているのか? 気がついたら、いったい何をするべきで、 何をしてはいけないのか? どなたかも書かれていますが、『文明崩壊』というタイトルは扇動的ですが、それによって手にとる人がいるのなら、と思います。 私は、今私のするべきことの1つとして、「読んだよ!読むなら今だよ!」とここに記します。
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文明崩壊の原因を5つにまとめている。それは環境被害・気候変動・近隣の敵対集団・友好的な取引相手・環境問題への社会の対応だ。そしてこれらは文明崩壊の最たる原因は地理的条件から発生する。これらを証明するためにマヤ文明やグリーンランドといった場所の例を示している。
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過去の崩壊から現実的な教訓を引き出す期待。 1.意図せず環境に与えた損傷(脆弱性) 2.気候変動 3.近隣の敵対集団からの脅威 4.近隣の友好集団からの支援 5.問題への対応の仕方(社会、文化による) 環境の脆弱性:日本ではあまり感じない(日本解決済みの課題なのか?) 崩壊...
過去の崩壊から現実的な教訓を引き出す期待。 1.意図せず環境に与えた損傷(脆弱性) 2.気候変動 3.近隣の敵対集団からの脅威 4.近隣の友好集団からの支援 5.問題への対応の仕方(社会、文化による) 環境の脆弱性:日本ではあまり感じない(日本解決済みの課題なのか?) 崩壊した文明と、そうでない文明があるのはなぜか? ビッグクエスチョンを思いつくことが素晴らしい。 「鉄・病原菌・銃」でのユーラシア大陸の優位はなぜか?と言う問いもそうだった。 ひとことでまとめると、 東西に長い地理的特徴と恵まれた生物資源。栽培可能な植物と家畜化可能な大型哺乳類。 この本を会社に当てはめてみると、 倒産する会社とそうでない会社、 発展する会社と停滞する会社のその違いが、アナロジーとして想起されてくる。 1.意図せず会社に与えた損傷(会社基盤の脆弱性) 2.景気変動 3.競合 4.お客様、支援者 5.方針制約 特に、会社基盤の脆弱性(伐採速度に回復が追いつかない)は、退職者と新規育成と結びつけてしまう。 景気変動、特に好況の場合は厳しくなる。育成中の社員では、品質が上がらない。競合の脅威とお客様離れを招く。旧来のやり方に固執(育成中の社員では高品質にならない前提)では、その崩壊は速まる。 育てながら、普通品質を生み出す仕組み、例えば、達成品質の言語化、業務の整理、手順文書化、不足サービスの購入提供、経験を積みやすい仕事の配置... 品質を維持して、人事更新を優先させている行政の仕組みも詳しく見てみたい。 下巻が楽しみです
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銃・病原菌・鉄に続き筆者の博識っぷり、全体を俯瞰して情報をうまくまとめる力量に驚嘆させられる。 わずかな証拠をかき集めて答えを見つけていく手法は考古学の醍醐味で、非常に興味深い。 ここで論じられる各社会の特徴や衰退した経緯などを読んでいると、理路整然としていて当たり前のことを言っ...
銃・病原菌・鉄に続き筆者の博識っぷり、全体を俯瞰して情報をうまくまとめる力量に驚嘆させられる。 わずかな証拠をかき集めて答えを見つけていく手法は考古学の醍醐味で、非常に興味深い。 ここで論じられる各社会の特徴や衰退した経緯などを読んでいると、理路整然としていて当たり前のことを言っているように聞こえてしまうが、実際のところ本書の答えにたどり着くには多大な労力と天才的な想像力が働いている点を忘れてはならない。 個人的に旅行などで数々の遺跡を見て古代文明に想いを寄せてきたが、ダイアモンド博士の、学者肌でモノゴトを突き詰めていく考え方に触れられる良書である 上巻では自然豊かなモンタナ、ポリネシアの各島、アイスランド・グリーンランドの実例を挙げるが、人によっては興味が無い内容もあるかもしれない。
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人類はいかにして生き延び、一部の種族はなぜ繁栄し滅びたか。花粉からこんなに昔のことがわかるなんて…すごい!
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銃、病原菌、鉄 の作者の本だから読んでみた。 古代から近代に至るまでの文明崩壊の例を取りながら、アメリカや中国、オーストラリアなどの「いまそこにある危機」を観察し、崩壊しないで持続可能な方策を探る。 ジャレド ダイアモンドさんは、歴史の研究者なのかと思っていたのだが、鳥の生態...
銃、病原菌、鉄 の作者の本だから読んでみた。 古代から近代に至るまでの文明崩壊の例を取りながら、アメリカや中国、オーストラリアなどの「いまそこにある危機」を観察し、崩壊しないで持続可能な方策を探る。 ジャレド ダイアモンドさんは、歴史の研究者なのかと思っていたのだが、鳥の生態などの研究者だったそうだ。そこから環境問題にテーマが広がり、世界各地の事情を仕事がらみ、趣味がらみで回るうちに色々な発見があり、このような本を書くに至ったらしい。 …とりあえず、木を切る→表土が流出→農耕が出来なくなる→生存環境が失われる というサイクルにすら無知だった私。 環境問題が人類の生存に関わるということを少しは自覚するきっかけになった。 それにしても、山紫水明な日本に育つと、水のありがたさ、農耕できる土壌、気候のありがたさにはなかなか気づかない。 中国の人たちが日本に来るのも、綺麗な空気や風景、美味しい水や魚介といった自然の恵みの素晴らしさゆえなのだろう。 なにせ、自国では、大気汚染や不法投棄、干ばつや洪水、環境破壊が深刻だそうだから…
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崩壊した文明と、崩壊しなかった/危機を乗り越えた文明を『環境へ与えた損傷」「気候変動」「近隣の敵対集団」「近隣の友好集団(からの支援の減少)」「社会の対応」の五点から分析しているのだが、一つの危機を乗り越えた文化的社会的規範(長所)が、次の危機の際には短所となる。グリーンランドの...
崩壊した文明と、崩壊しなかった/危機を乗り越えた文明を『環境へ与えた損傷」「気候変動」「近隣の敵対集団」「近隣の友好集団(からの支援の減少)」「社会の対応」の五点から分析しているのだが、一つの危機を乗り越えた文化的社会的規範(長所)が、次の危機の際には短所となる。グリーンランドの例が凄くわかりやすかった。そして、それを乗り越えられる柔軟性に満ちた社会というのは実現可能なのだろうか。とも
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