幕末史 の商品レビュー
「尊皇とか新しい国家づくりとか、全ての理屈は後からひり出した方便。明治維新とは、支配者層を武力で叩き潰さんとする暴力革命であった」とする反薩長史観"を持った著者から語られる、ペリー来航から西南戦争までの歴史。特に面白いのは、半藤先生自身が幕末の動きから、昭和史との類似点...
「尊皇とか新しい国家づくりとか、全ての理屈は後からひり出した方便。明治維新とは、支配者層を武力で叩き潰さんとする暴力革命であった」とする反薩長史観"を持った著者から語られる、ペリー来航から西南戦争までの歴史。特に面白いのは、半藤先生自身が幕末の動きから、昭和史との類似点や、歴史全般に共通するシステムなどを見出し、所々で指摘している点。やはり人間のやることというのは、時代や場所が変わっても、大して変わり映えしないものなのかもしれません。"
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2017年最後の読了。著者は反薩長史観と宣言する。龍馬も西郷どんも突出して活躍しない。しかし、幕末を正しく認識するには通史という認識が必要だ。維新が革命であったこと。そして、維新後は新政府が自転車操業的に皇国=日本国を築き上げていったことがよく理解できる。佐久間象山、久坂玄瑞、坂...
2017年最後の読了。著者は反薩長史観と宣言する。龍馬も西郷どんも突出して活躍しない。しかし、幕末を正しく認識するには通史という認識が必要だ。維新が革命であったこと。そして、維新後は新政府が自転車操業的に皇国=日本国を築き上げていったことがよく理解できる。佐久間象山、久坂玄瑞、坂本龍馬、西郷隆盛などなど維新に散ったタレント達亡き後の、更に後に太平洋戦争を引き起こしたのが薩長出身の軍上層部だったなんて、歴史の悲哀を感じてしまう。
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半藤氏の作品を始めて読んだが、もっと早く読んでおくべきだったと後悔している。全ての日本人に読んでほしいと思った。 私のルーツは会津藩で、祖父の頃に下北そして北海道へ移住してきた。本書の反薩長史観には目から鱗であった。 現在もなお息づいている薩長史観、賊軍が祀られることのなかっ...
半藤氏の作品を始めて読んだが、もっと早く読んでおくべきだったと後悔している。全ての日本人に読んでほしいと思った。 私のルーツは会津藩で、祖父の頃に下北そして北海道へ移住してきた。本書の反薩長史観には目から鱗であった。 現在もなお息づいている薩長史観、賊軍が祀られることのなかった靖国神社等々。目が覚める思いがした一冊。
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マジメな本かと思ったら、結構チャライというかいい加減。それなりに調べてはいるんだろうが、著者の妄想がかなり入り込んでいるので、あまり鵜呑みにしない方がよいような。このレベルなら小説を読んだ方が有益かも。カルチャー講座の文字おこしなので仕方ないが。
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幕末にはヒーローが多かった、と思われている。新撰組にしろ、明治建国の政治家たちにしろ様々だが、よく考えたらそれらは物語の中でそう思っている、あるいはいわゆる「薩長史観」の中でそう教えられているのではないか。著者はそれを相対化してくれる。 慶應大学での講義を書き起こした本書は、そ...
幕末にはヒーローが多かった、と思われている。新撰組にしろ、明治建国の政治家たちにしろ様々だが、よく考えたらそれらは物語の中でそう思っている、あるいはいわゆる「薩長史観」の中でそう教えられているのではないか。著者はそれを相対化してくれる。 慶應大学での講義を書き起こした本書は、その分かりやすい語り口もあって、するすると頭に染み込んできて分かりやすい。そして、尊皇、佐幕、攘夷、開国……日夜変わって行く人々の思想と歴史の流れを俯瞰できる。 そう、幕末はヒーローが活躍したんじゃない、人が紆余曲折して造ったんだな。
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抜群に面白かった。 やっぱり歴史は「流れ」だとつくづく。 とかく役者が多い幕末の、膨大な点と点は、悉くが線となって、現代にまで繋がっていると気付かされる。 受験の時も思ったけど(実況中継シリーズ、あったなあ)、この歴史の流れを理解するには、談話形式が本来適しているのかもしれな...
抜群に面白かった。 やっぱり歴史は「流れ」だとつくづく。 とかく役者が多い幕末の、膨大な点と点は、悉くが線となって、現代にまで繋がっていると気付かされる。 受験の時も思ったけど(実況中継シリーズ、あったなあ)、この歴史の流れを理解するには、談話形式が本来適しているのかもしれない。 かつての神話が口伝で伝わっていたように。 教科書みたいな点を追いかける教授法では、複雑に絡み合う点と点の繋がりを理解するのは難しいんじゃないかな。
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<印象に残った言葉> ・戦争から学ぶ一番大切な点は「熱狂的になってはいけない」ことである。 ・「歴史には意志がある」歴史の流れの中である一つの意志が働いて、こういう時にはこういう人がいいという適任者を用意することがある ・権力は戦って勝ち取る。そうすることで権力は確実なものと...
<印象に残った言葉> ・戦争から学ぶ一番大切な点は「熱狂的になってはいけない」ことである。 ・「歴史には意志がある」歴史の流れの中である一つの意志が働いて、こういう時にはこういう人がいいという適任者を用意することがある ・権力は戦って勝ち取る。そうすることで権力は確実なものとなり、強力なものとなる。
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『昭和史』(前半)から間が開いてしまったが読了。 筆者が主張しているように、世の中にまかり通っている、薩長史観にモノ申したいというのがこの本。薩摩・長州出身者たちが理念を掲げて新しい国家を築いていった。明治維新とはそんな輝かしいものなんだ、という考え方は違うのだと。そんなに単純で...
『昭和史』(前半)から間が開いてしまったが読了。 筆者が主張しているように、世の中にまかり通っている、薩長史観にモノ申したいというのがこの本。薩摩・長州出身者たちが理念を掲げて新しい国家を築いていった。明治維新とはそんな輝かしいものなんだ、という考え方は違うのだと。そんなに単純でも美しいものでもない。「維新」ではなく徳川家の「瓦解」であり、言ってしまえば「革命」である。多くの人が犠牲を強いられ、血を流した。その血は必ずしも必要でなかったかもしれない。 とはいえ、それまで政治などの経験がない素人集団が(大久保利通という生粋の政治家などがいたにせよ)、大した理念もビジョンもなく新しい国家の礎を築いていったものだなと思う。 右往左往しながらも、結局は勢力争いであり、自分たちの利権のことしか考えていなかったかもしれないが。山川の教科書を見返すと、さも理屈づけられてストーリーになっている。 今更ながら、教科書の一行一行のあいだには数々のドラマがある。この本でもそれが大いに描かれている。 特に新たな発見があったのは、徳川慶喜、大久保利通、勝海舟。 どの人物も、歴史が、その当時の日本が必要としていた人なのかもしれない。
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るろうに剣心を見ながら同時並行で読んでいたので、重なる部分もありおもしろかった。 いまの日本をとらえる上で、幕末史を理解することは大切だと感じられた。 薩長を中心に倒幕した歴史。 国づくりのビジョンもなく、権力争いだったと言っても過言ではないという。 そういえばこの間下関あ...
るろうに剣心を見ながら同時並行で読んでいたので、重なる部分もありおもしろかった。 いまの日本をとらえる上で、幕末史を理解することは大切だと感じられた。 薩長を中心に倒幕した歴史。 国づくりのビジョンもなく、権力争いだったと言っても過言ではないという。 そういえばこの間下関あたりに行った時、安倍さんのポスター貼ってあって調べたら安倍さんの本籍は山口だった。長州だ…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いわゆる反薩長史観で描かれる幕末史。 著者の言うように1865年の時点で、幕府のみならず薩長においても尊王攘夷思想を掲げることをやめ、開国で一致したのであれば倒幕とは果たして何だったのであろうか。 徳川慶喜が船中八策を受け入れていたことからも、薩長が政権を獲らなくても封建制度が続いたかどうかは分からない。 最大の不幸は当時、幕府にも朝廷にも強いリーダーシップを発揮できる人材が皆無だったことである。 そしてその強いリーダーシップを発揮した薩長を中心とした維新の志士たちには、その後の国家をどうするかといった具体的な構想を描いていた人物はいなかったのである。
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