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ソロモンの偽証(第3部) の商品レビュー

4.3

512件のお客様レビュー

  1. 5つ

    219

  2. 4つ

    170

  3. 3つ

    65

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

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2024/12/30

宮部みゆきさん著「ソロモンの偽証」 本作が最終章の第三部、第二部で学校内裁判に向けての情報収集や証人召喚要請を経ていよいよ生徒達の手による法廷が開かれる。 3冊合わせて約2300頁上の文量に対して結末はミステリー作品としての驚きは薄かったが、類い稀な読み応えのある内容と満足度が...

宮部みゆきさん著「ソロモンの偽証」 本作が最終章の第三部、第二部で学校内裁判に向けての情報収集や証人召喚要請を経ていよいよ生徒達の手による法廷が開かれる。 3冊合わせて約2300頁上の文量に対して結末はミステリー作品としての驚きは薄かったが、類い稀な読み応えのある内容と満足度が本当に素晴らしい作品だった。 強いて書けば中学三年生のわりに出来すぎた子供達が多数描かれており、人間的にも振る舞い的にも大人さながらの言動行動が目立ち、そこは読んでいて常に違和感として引っ掛かった。 子供っぽさ、中学生っぽさが感じられず熟練され洗練されすぎている様に感じられてしまう。 この三部作全てを読了してみるともともと自分自身が裁判や法廷に詳しくないにも関わらず、その流れや進行方法、細かい所作や所動言動等がとても分かりやすく説明される様に描かれており全体的にとても理解しやすかった。 前回読んだ「模倣犯」もそうだったが、圧倒的な文量を用いながら、委細を事細かく描かれていく事により各々の登場人物の感情が抜群に読み取れる事ができる。 宮部作品の特徴なのだろうと感じている。誰もが真似できる訳でもなく、作者の腕の違いを再度思いしる事となった。 宮部作品、本当に素晴らしい。 本作品も含めて今まで自分が読了した宮部作品は全て☆5評価になっている。 次は直木賞受賞作品の「理由」を読みたいと考えている。

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2024/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おもしろかったです。大作だったのでどういう結末を迎えるのか期待半分不安半分でしたが、満足でした。和彦くんの秘密も明らかになり、最後には戦い抜いた同志のような絆が見られたのが良かったです。野田君の「友達になりました」が良いなあ。朝井さんが亡くなってしまったのは残念でなりませんでした。

Posted byブクログ

2024/08/31

想像していたより、期待していたより緻密で迫力のある法廷だった。誰もが責を果たしたという印象。 第Ⅱ部までで子どもが子どもなりに持つ知性や勇気を描いているのだと思ったけど、第Ⅲ部まで読んで、全編を通して子どもたちを取り巻くどうすることもできない現実が冷酷に描かれていたことに気づいた...

想像していたより、期待していたより緻密で迫力のある法廷だった。誰もが責を果たしたという印象。 第Ⅱ部までで子どもが子どもなりに持つ知性や勇気を描いているのだと思ったけど、第Ⅲ部まで読んで、全編を通して子どもたちを取り巻くどうすることもできない現実が冷酷に描かれていたことに気づいた。 いじめ、厭世観、親ガチャ、形骸化した教育機関、正義と嘯くマスメディア…そしてそれに対する言い訳も慰めも示されない。 それに立ち向かうのは子どもたち自身の知性と勇気なのだ。そして宮部みゆきはそれを信じているのだろう。

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2024/05/26

子供ならではの葛藤や苦悩が学校内裁判という形で浮き彫りになる。 三部作目として良い終わり方だなと思いました。

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2024/04/17

いよいよ開廷! ここまで本当に長かったー! でも、一人一人の家庭環境、背景、そしてここに至るまでの心境の変化を丁寧に掘り下げてきたからこそ、それぞれの言葉の重みが増していく。 中学生達による「学校内裁判」。 一見するとお遊びのように思われそうなこの取り組みが、決してふざけたもので...

いよいよ開廷! ここまで本当に長かったー! でも、一人一人の家庭環境、背景、そしてここに至るまでの心境の変化を丁寧に掘り下げてきたからこそ、それぞれの言葉の重みが増していく。 中学生達による「学校内裁判」。 一見するとお遊びのように思われそうなこの取り組みが、決してふざけたものでなく、彼らにとって必要なものであった事がこの一巻を通してひしひしと伝わってくる。 関係のない人なんていなかった。 この城東第三中学校で起こった一連の出来事は、全ての人にとって、きちんと向き合い、乗り越えなければならない事だった。 最後に明かされる真実はなんとも哀しく切なく、胸を締め付けられるような想いで、涙が止まらなかった。 どんな結論であれ、最後まで逃げずに立ち向かった彼らが本当に誇らしく愛らしい。 きっとこれから先、彼らは力強くそれぞれの道を進んでいくだろう。 私も共に激動の夏を駆け抜けたような、爽やかな気持ちです。

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2024/03/29

2024/01/24 #このミス作品89作目③ 長編作の事件解決編。 長らく積読していた作品だったが 意を決してトライしてみたが、 なんで早く読まなかったんだ!と感じた傑作。 かなりたくさんの登場人物が出てくるので 整理しながら読む必要はあるが、 全ての登場人物が個性がありキー...

2024/01/24 #このミス作品89作目③ 長編作の事件解決編。 長らく積読していた作品だったが 意を決してトライしてみたが、 なんで早く読まなかったんだ!と感じた傑作。 かなりたくさんの登場人物が出てくるので 整理しながら読む必要はあるが、 全ての登場人物が個性がありキーマンでもある。 色んな伏線が転がっているので 先読み予想しながら読めるのも楽しい。

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2024/01/17

ソロモンの偽証第3部裁判は、わずか6日間の動きを715ページ36万字を駆使して綴っている。最後には誰もが予想してない大逆転が。まさに「ソロモンの偽証」。▶︎小説家って本当に偉大だ。ソロモンの偽証3部作。2000ページ、100万字。終末に向かって、登場人物の人間性もブレることもなく...

ソロモンの偽証第3部裁判は、わずか6日間の動きを715ページ36万字を駆使して綴っている。最後には誰もが予想してない大逆転が。まさに「ソロモンの偽証」。▶︎小説家って本当に偉大だ。ソロモンの偽証3部作。2000ページ、100万字。終末に向かって、登場人物の人間性もブレることもなく構成させるって想像を絶する。▶︎高校卒業後2年間のOL時代に裁判所速記官を目指して速記認定1級を取得、その後法律事務所に5年間和文タイプライターとして勤務した。中学校裁判という場面設定もこの時の経験があればこそ。

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2024/01/07

 柏木卓也は、何故、どうやって死んだのか、早く知りたくてたまらない。作者は、それをゆっくりと、じっくりと教えてくれるのだろう。そのペースを楽しみながら、読み進めることにしよう。  そうか、そういうことだったのか。自身によって、命を奪われたのか。最後の証人の証言によって、証明された...

 柏木卓也は、何故、どうやって死んだのか、早く知りたくてたまらない。作者は、それをゆっくりと、じっくりと教えてくれるのだろう。そのペースを楽しみながら、読み進めることにしよう。  そうか、そういうことだったのか。自身によって、命を奪われたのか。最後の証人の証言によって、証明された。まさか、この人が証言台に立つとは。驚愕。  綿密で重厚な展開。さらに、核心に迫る時は、一気に筆が走る。宮部みゆきマジックに翻弄され、魅了された。

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2023/06/15

Audibleで読みました。 まーこれ、大作の最終巻として相応しいこと。 体育館に裁判所を設営するという、文化祭にも似たような高揚感。そこになだれ込む傍聴人。夏休みの暑さを、彼らの扇子の動きが物語る中で、14歳たちの裁判は日ごとに形勢を二転三転させる。真実は生まれるのか、読者は...

Audibleで読みました。 まーこれ、大作の最終巻として相応しいこと。 体育館に裁判所を設営するという、文化祭にも似たような高揚感。そこになだれ込む傍聴人。夏休みの暑さを、彼らの扇子の動きが物語る中で、14歳たちの裁判は日ごとに形勢を二転三転させる。真実は生まれるのか、読者はなんとも歯がゆい焦燥感に包まれる。 1人の生徒の死が、まさかこんなクライマックスになるなんて。もう、この巻全体が、巨大な山場となっていて圧巻。圧巻という言葉はもう他では使うまいと思うほど。 公判中、東大附属の弁護役と、見事に鍔迫り合いを演じる検事役は、主人公の14歳の少女。が、もはや少女などと呼べる代物ではない。反対尋問で峻烈に切り返す、針の穴のような弱点を喝破する、中学生離れした洞察力。誰もが思う、スカッとするし、大いに現実離れしていると。 だが宮部みゆきさんの作品は、そこにも強烈な説得力を与えてしまう。思春期の淡い心の動きすら、炙り出して、形にして、私たちに投げかける。 あそこに置いてきたものが何かあったかなあ、なんて自分のただ酸っぱいだけの過去に、思索を巡らせてみる。 うん、ない。

Posted byブクログ

2023/06/06

オーディブルで。 素晴らしかった。 オーディブルのナレーションが素晴らしく、そこにいて同じ風景を見せてもらっているようだった。奇跡のよう。物語が終わるのが寂しくなる。 この裁判に関わった中学3年生たちの気高さが沁みる。そばに立つ大人たちのまっとうさも彼らを支えている。全体に...

オーディブルで。 素晴らしかった。 オーディブルのナレーションが素晴らしく、そこにいて同じ風景を見せてもらっているようだった。奇跡のよう。物語が終わるのが寂しくなる。 この裁判に関わった中学3年生たちの気高さが沁みる。そばに立つ大人たちのまっとうさも彼らを支えている。全体に理不尽さは少なめに描かれ、だからこそ描かれた理不尽は浮き立つ。 またあとで。

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