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箱の中 の商品レビュー

4.3

159件のお客様レビュー

  1. 5つ

    71

  2. 4つ

    60

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    2

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2022/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ラブセメタリーで木原音瀬さんを知り、繊細な文章に惹かれたので手に取った 無条件の愛を知らないで育った人間が見返りを求めない優しさを知ったら、暴走してしまうのもわからんでもないと思った 芝さんの優しさはなんだったんだろう?刑務所の中をまあまあ悲惨に書いているなかで芝さんの常識的な優しさがとても目立った 堂野のずるさを序盤から感じていたので最後の最後で自覚した描写があってよかった 恋愛関係にはなれないけど友達でいたいという言葉ほど残酷な言葉はない 解説で箱の外の続きがあると知れたので続きも読みたいと思う

Posted byブクログ

2022/02/22

冤罪で入れられた刑務所で会った 純粋すぎる男との愛情の話。 一番醜くて汚いものと一番純粋で綺麗なものが どっちもここにある。 BL作品と知らずに読んだから 少々びっくりしたけど、 なんかもっと単純で深い、 人と人との間に生じるあったかい感情や つながりの話な気がした。 せっか...

冤罪で入れられた刑務所で会った 純粋すぎる男との愛情の話。 一番醜くて汚いものと一番純粋で綺麗なものが どっちもここにある。 BL作品と知らずに読んだから 少々びっくりしたけど、 なんかもっと単純で深い、 人と人との間に生じるあったかい感情や つながりの話な気がした。 せっかくなので備忘録がてら同性愛について 今思うことを書いておくと、 特別とか変とかってイメージはなくて、 割と普通にありえる愛の形なんじゃないかな と思っている。 というのも、今まで自分が 友達だった人とお付き合いすることになる、って ルートばかり辿っているからで、 友達ってだいたい同性が多いからって だけの話なんだけども。 一緒にいると楽しいとか、 こいついいやつだなとかってのが 重なった先に愛があるなら (性行為は別として) 自然な成り行きだよななんて思っている。 愛って元々、もっとシンプルな感情じゃない? 的な。 様々な苦難を乗り越えて2人が結ばれる話なので、 超大枠は、解説の言葉を借りると 「お約束」通りのストーリーなんだけど、 その苦難の描写が超重厚。 胸をえぐる、息が詰まる。 その分小さな幸せの場面がとびきり輝いて見える。 三橋や大江、妻の麻理子が 完全に悪人って感じで描かれているのが、 ちょっと都合良すぎる気もしたけど、 丁寧で烈しくてあけすけな心情描写のおかげで すごい没入感というか、当事者感というか、 主人公目線で読めるので、 (だから多分悪人評価にそんなに違和感がない) そこもまた、この作品の魅力だと思う。 世間知らずの“変人”喜多川と、 堂野をはじめ“普通”の人との対比で見えるのは、 普通とか常識とかって呼ばれる 偏見や先入観な気がした。 男同士はおかしいとか、 たった数ヶ月一緒にいただけの人間に 固執するべきじゃないとか、 喜多川はそういう“べき論”を知らないから、 愛情の本質に近いものを ありのままに見つめているように感じた。 そういう視点で見ると、 最後の「ふうん、それで?」「何でもない」が 意味深い。 偏見とかの要らない世界に、 喜多川が堂野をひっぱりこんだ気がして。

Posted byブクログ

2022/01/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すごかった。今まで木原さんを読んでこなかった自分は節穴でした。 必然性のない因果。 現実を煮詰めたようなフィクション。 相反する材料が、BLという装置にかけられて引き起こした弩級の化学反応。 理屈の通らない人物が持つ、暴力的なまでにむきだしの愛を、向けられた側の事情はおかまいなしに成就へと導く。だって「BL」なのだから、二人は結ばれるしかないでしょう、と言わんばかり。そんな木原さんの酷薄さが好きです。 愛によって傷つき、愛によって救われるというロマンスの王道。でも、その密度の濃さが凄い。 未収録の短編も読んでみたいです。

Posted byブクログ

2021/12/23

最後まで展開が読めなかった 人間の感情だったり心情を描くのがうますぎて 引き込まれたけど、それゆえに自分の感情も丸ごとえぐられていく感じ、 生々しい表現多くて目を背けたくなるけど、読了した今それに向き合う時間含めて楽しかった この物語に、この人は善人だと断言できる人っていなかった...

最後まで展開が読めなかった 人間の感情だったり心情を描くのがうますぎて 引き込まれたけど、それゆえに自分の感情も丸ごとえぐられていく感じ、 生々しい表現多くて目を背けたくなるけど、読了した今それに向き合う時間含めて楽しかった この物語に、この人は善人だと断言できる人っていなかったように思う それくらい、人間誰しも思うような闇の部分を洗いざらい描き出している 一見善人だと思える堂野だが、喜多川(自分より弱い立場の人間)に対して一貫して善人だったか?そして誰かにとっての善は時として誰かにとっての悪となる それは仕方ないことだ 善人などいない、この気づきは自分の心を楽にも辛くもするように思う

Posted byブクログ

2024/04/22

木原さんの作品は前に表紙買いをしたのがとても良くて、その後もう1冊読んだ。それらは一般作だったのだけど、木原さんがBL界で有名な作家さんだということを後から知った。 そして、BLカテゴリでは有名らしいこの本を読んでみたのだけど、ボーイズラブというのも様々なのだろうな、というのが第...

木原さんの作品は前に表紙買いをしたのがとても良くて、その後もう1冊読んだ。それらは一般作だったのだけど、木原さんがBL界で有名な作家さんだということを後から知った。 そして、BLカテゴリでは有名らしいこの本を読んでみたのだけど、ボーイズラブというのも様々なのだろうな、というのが第一印象。 いわゆる「萌え」のようなものはほとんど無く、どちらかと言うと読んでいて苦しくなる、同性愛者の苦悩みたいなものが大半だったように思う。 「BL界の芥川賞とも評される」と言われる理由がとてもよく分かる。 痴漢の冤罪で闘った挙句実刑を受けて刑務所に入った堂野は、刑務所で同じ部屋のメンバーであった喜多川と出逢う。元々無愛想でほとんど言葉も発さなかった喜多川が、とあるきっかけで堂野に懐くようになり、堂野が刑期を終える少し前に(半ば強制的に)性的関係を持ってしまう。 堂野は刑務所を出た後は痴漢冤罪被害者の互助会で活動しながら、愛する人と出逢い、いわゆる普通の暮らしを手に入れた。 しかし遅れて刑期を終えて出てきた喜多川は、堂野を忘れることはなかった。 堂野と喜多川の刑務所時代「箱の中」、喜多川が数年かけて堂野を探す「脆弱な詐欺師」、そして2人が再会を果たす「檻の外」の3部構成。 元々は「箱の中」だけの作品だったらしい。確かに、この1つだけならよりBL作品らしい雰囲気があったかもしれない、と思う。 そこに後の2つが加わったことで、より深みのある文学作品に昇華されているように感じた。 喜多川は不幸な生い立ちから重い犯罪を犯して、おそらくキャラクターを見ると発達障害のような何かを抱えている設定なのだと思う。不器用でぶっきらぼうだけど、とても純粋。だからこそ初めて自分に手を差し伸べてくれた堂野を愛してしまった。これがおそらく女性だったなら、喜多川はその人を堂野と同じように愛したのだろうと思う。 堂野は元は異性愛者。どちらかと言うと地味で真面目に生きていた人間が、刑務所で過ごすというしなくても良い経験を通して、真っ直ぐに自分だけを求めてくる喜多川と出逢ってしまった。 異性愛より同性愛の方が純粋で美しく至高…というイメージはおそらくこういう作品からは切り離せないものだと思う。そういう部分にご都合主義的なものを感じるところはあるものの(実際は同性愛だってドロドロしてる面はあると思うので)物語としてとても面白かった。 実際喜多川のような男は脅威だけど、でも細部を見ると、相手のことをすごくよく考えた上で動いて気持ちを伝えてくる人間でもあるので、堂野のことを本当に心から想っているのが分かる。 そこまでの愛情を持てる相手って、人生を通してもなかなかいない。 もがきながらも距離を縮めていく様子が苦しく、自分の本心と社会性をバランスよく保つのはどんな場合でも難しいと考えてしまう。 だからこそ喜多川の真っ直ぐさが胸にくる。 こんな風に自分に正直に生きるのは難しいと分かるからこそ憧れる。読み応えのある作品だった。

Posted byブクログ

2021/08/06

感情がゆすぶられ、心がギュッとなって泣けました。 そしてとってもとっても素敵な作品!余韻が凄くて、読み終わってからもシーンが頭で回想されて仕方なく、仕事から帰ってからまた本棚から取り出してしまいました。 特にラストに向けてが凄く好きです!切ない話、甘過ぎない恋愛、BLが読みたい方...

感情がゆすぶられ、心がギュッとなって泣けました。 そしてとってもとっても素敵な作品!余韻が凄くて、読み終わってからもシーンが頭で回想されて仕方なく、仕事から帰ってからまた本棚から取り出してしまいました。 特にラストに向けてが凄く好きです!切ない話、甘過ぎない恋愛、BLが読みたい方にオススメです!かなりオススメです!!そして木原先生、とても文章が読みやすい!

Posted byブクログ

2021/05/30

BLというくくりで話をしてはもったいなすぎる本でした。 たまたま男同士なだけで、純粋すぎる愛の話。途中で展開が読めた部分もあったけど、それでも最後まで一気に連れていかれる文章だった。 もともとは2回に分かれて刊行された本らしいが、もし先に出た「箱の中」だけ読んで「檻の外」を読まな...

BLというくくりで話をしてはもったいなすぎる本でした。 たまたま男同士なだけで、純粋すぎる愛の話。途中で展開が読めた部分もあったけど、それでも最後まで一気に連れていかれる文章だった。 もともとは2回に分かれて刊行された本らしいが、もし先に出た「箱の中」だけ読んで「檻の外」を読まなかったらもったいないから、文庫で一冊にまとまったのが読めて良かった。 今すぐ記憶を消してもう一回まっさらな状態で読みたいくらい。

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2021/05/10

BLが大好きでよく読むのですか、「物語」としてここまで骨太なものは初めて読みました。BLといえば、濃厚な性描写がメインのイメージで、私もそれ目当てに読んでいるのですが、この話の性描写は劣情を煽るというよりは、ふたりの物語上必要な描写として捉えています。悲しいけれど、静かでつつまし...

BLが大好きでよく読むのですか、「物語」としてここまで骨太なものは初めて読みました。BLといえば、濃厚な性描写がメインのイメージで、私もそれ目当てに読んでいるのですが、この話の性描写は劣情を煽るというよりは、ふたりの物語上必要な描写として捉えています。悲しいけれど、静かでつつましい幸福を見せていただいた気がします。ファンタジーなのにリアルで、じめじめと鬱屈した日常、愛する人と寄り添える幸福を肌で感じられる気がします。

Posted byブクログ

2021/04/13

痛くて切ない。けれど、たまらなく愛おしい気持ちになった。登場する人間のほとんどが、「善人」ではないけれど悪人ではなくて、間違いながらも必死に生きている姿を書くのがものすごく上手いと感じた。

Posted byブクログ

2021/02/05

高速バスの中で読了。 香り立つ文章にノックアウトされ、久しぶりに「きちんとした物語」に涙を流す。 以後、音瀬さんの本を何冊か買い求めることになる…。

Posted byブクログ