赤猫異聞 の商品レビュー
従来の小説とは違い、各人の証言で各章が構成されます。最後の住職の話で、それまでの同心や囚人たちの証言が線で繋がれます。さすがは浅田次郎、というような終わり方です。
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一寸の虫にも五分の魂って感じか 明治元年の暮に起きた火事によって運命が大きく変わってしまった人の話 誰もが生き残るのに必死だったに違いない 今も時代が大きく変わっていく時期 自分の立場なりに、きっちりと役割を果たす努力をしなければならないと思う
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火事と喧嘩が江戸の華なら 解き放ちは華の中の華。 伝馬町の囚人たちは解き放ちを「赤猫」と呼んでいた。 明治元年、江戸で起こった大火の際、何十年振りの解き放ちが まさに行われようとしていた。 その立役者となったのが御鍵役同心 丸山小兵衛。 前例にのっとって粛々と解き放ちが進む中、お...
火事と喧嘩が江戸の華なら 解き放ちは華の中の華。 伝馬町の囚人たちは解き放ちを「赤猫」と呼んでいた。 明治元年、江戸で起こった大火の際、何十年振りの解き放ちが まさに行われようとしていた。 その立役者となったのが御鍵役同心 丸山小兵衛。 前例にのっとって粛々と解き放ちが進む中、おいそれとは 放てない三人が残った。 牢名主 無宿の重松、江戸三大美人 白魚のお仙、キンギレ退治の御旗本 岩瀬七之丞。 彼らの運命は同心丸山と一蓮托生。 鎮火から暮れ六つまでの刻限に三人は戻ってくるのか。 それぞれの目的と矜持。 果たして丸山とは一体どのような人物なのか。 関係人物の証言の体で物語は進んで行く。 最後に証言をした意外な人物によって薄皮を剥ぐように 迫って来た核心部分が痛いほど見える。 不浄役人の哀しさ、武士の本懐。 丸山の言わんとする所は 現代のお役人にも見習って欲しい。
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立場は異なりながら世の中に遺恨のある3人の無辜の囚人と、その解き放ちに力を傾け己の戦を貫き通したひとりの侍の美しいお話でした。
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江戸の末期に起こった解き放ちを後世の参考に、と始まります。 重松、お仙、七之丞 三人の重罪人が解き放たれ。 その後・・・という内容の話かと想像しましたが。 最後の章での展開はおもしろく読むことができました。 時代小説は言葉が難しく苦労しますが、たまに頭の体操として良いですね!
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高知大学OPAC⇒ http://opac.iic.kochi-u.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?isbn_issn=9784104394043
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個人的には最終章が一番好き。ラストがなんともいえずぐっとくるしめくくり方で、さすが浅田次郎だなと思いました。
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火の手が迫る伝馬町牢屋敷で解き放たれる咎人達。繁松、お仙、七之丞の3名は「3人共戻れば全員無罪、1人でも逃げれば全員死罪」と言い渡され…。久々の当たり浅田でした。予想も出来ない展開に度肝を抜かれ、そして、泣かされます。これぞ浅田節。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
明治初期、伝馬町牢屋敷に捕らわれていた三人の囚人、それから一人の同心を軸にした話。 語り口調からはじまって、どうやら「丸山」という同心と、俗称赤猫と呼ばれる、大火の際の囚人解き放ちについて誰かが訊ね、それに答えているのだ、と分かる。 でも何で丸山について? これがどんな話になるの? と思っている間に、語り手が変わり、その大火の際にどういうやりとりがあったのか、何が起こったのか、誰が何をしたのか、しなかったのか。いろいろな情報が集まってくる。パズルのピースがはまるように、というすっきり感はないので(聡い人なら気付くのかもしれないけれど)どこかぼやぼやして、狐につままれたような気持ちのまま、だけれど気になって読みすすめてしまう。 最終章になって「ああ、こういうことだったのか」と、やっと納得が。ちょっと、それは無理じゃないかなあと思うところもあったのですが(とくに七之丞の為したかったことのあたり)気持ちの良い救いの話でした。 なぜ丸山が死ぬ気であそこまでのことをしたのか、というところにはもうすこしエピソードがあって欲しかったかな? 読み落としてるだけかしら。 「天斬り松闇がたり」を思い出させる、私には好きな系統の話でした。
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読了!★★★★☆ 浅田次郎の8月出版の時代小説 明治元年1868年に起きた大火の折に起こった「解き放ち」 3人の罪人と、役人たちの運命を変えたその出来事には 後世史実に残せぬ様なドラマがあった・・・ 「矜持」。その一言に尽きる。 「火事と喧嘩は江戸の花」 江戸では267...
読了!★★★★☆ 浅田次郎の8月出版の時代小説 明治元年1868年に起きた大火の折に起こった「解き放ち」 3人の罪人と、役人たちの運命を変えたその出来事には 後世史実に残せぬ様なドラマがあった・・・ 「矜持」。その一言に尽きる。 「火事と喧嘩は江戸の花」 江戸では267年間に、49回もの大火が起きている。 実に等間隔にすると5年に一度程の頻繁なペースである。 大勢の死者を出し街を破壊する大火事を、 「花」と洒落てしまう所が何とも粋だと思った。 そう、いかな災害にも決して絶望することなく、前を向き乗り越える強さを この頃から人はもっていたのであるー
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