赤猫異聞 の商品レビュー
+++ 鎮火後、三人共に戻れば無罪、一人でも逃げれば全員死罪。「江戸最後の大火」は天佑か、それとも――。火事と解き放ちは江戸の華! 江戸から明治へ、混乱の世を襲った大火事。火の手が迫る小伝馬町牢屋敷から、曰くつきの三人の囚人が解放された。千載一遇の自由を得て、命がけの意趣返しに向...
+++ 鎮火後、三人共に戻れば無罪、一人でも逃げれば全員死罪。「江戸最後の大火」は天佑か、それとも――。火事と解き放ちは江戸の華! 江戸から明治へ、混乱の世を襲った大火事。火の手が迫る小伝馬町牢屋敷から、曰くつきの三人の囚人が解放された。千載一遇の自由を得て、命がけの意趣返しに向かった先で目にしたものは――。数奇な運命に翻弄されつつも、時代の濁流に抗う人間たち。激変の時をいかに生きるかを問う、傑作長編時代小説! +++ 江戸から明治に移り変わる騒乱のなかで起こった火事騒ぎ。解き放たれた400の囚人たちの中に、いわくつきの三人がいた。繁松・お仙・七之丞、それぞれ重罪人でありながら、理不尽に絡め取られてもいる。鎮火後、三人ともに戻れば無罪、ひとりでも戻らなければ全員死罪、誰も戻らなければ鍵同心の小兵衛が腹を切る。鎮火の半鐘が鳴るまでの間の劇的な出来事がスリリングである。そして、時をおき、別々に違う人物があのときのことについて訊問される。そこで新たに明るみに出たことは、思いもよらない真実であった。涙あり、義理人情あり、憤りあり。ぞくぞくさせられる一冊だった。
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火勢が迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞。鎮火までいっときの自由を得て、命がけの意趣返しに向かう三人。信じられない怪事が待ち受けているとは、知る由もなく。―幕末から明治へ。激変の時をいかに生きるかを問う、最新長編時代小説。 ・・・紹介文 5...
火勢が迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞。鎮火までいっときの自由を得て、命がけの意趣返しに向かう三人。信じられない怪事が待ち受けているとは、知る由もなく。―幕末から明治へ。激変の時をいかに生きるかを問う、最新長編時代小説。 ・・・紹介文 5人が順番に語っていく。 だからか、読んでいるって言うより、語りを聞いている感じ。 浅田さんの人情話は好きです。特に任侠系・・・? 最後は静かに涙が出てきます・・・。
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面白くて一気に読んでしまいました。 読み終えた後は、清々しさと感動で、気持ちのいい余韻が残りました。
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浅田次郎の維新物。火事での罪人解き放ちの裏側と経過。まぁ、さすが浅田作品って独特な観点でラストは引き込まれました。それでも型にはまり過ぎのような物足りなさも残る。新しい人生を歩む三人と二人の牢役人、過渡的時代背景で武士道が基盤になるのは抵抗がある。でも、それが浅田さんのテーマなん...
浅田次郎の維新物。火事での罪人解き放ちの裏側と経過。まぁ、さすが浅田作品って独特な観点でラストは引き込まれました。それでも型にはまり過ぎのような物足りなさも残る。新しい人生を歩む三人と二人の牢役人、過渡的時代背景で武士道が基盤になるのは抵抗がある。でも、それが浅田さんのテーマなんだろうなぁ~。やや面白みには欠けるが、やはり秀作。
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展開が読めちゃった。。。 それでもやはり楽しめる。 いろんな人の声を寄せ集めて一つのストーリーにする浅田さんのこの得意技、本当いい。一つの事実をいろんな角度からみれるから。 そして相変わらず魅力的な登場人物でございます。
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時代は徳川の世が終わり、新政府が万事をおさめるころ。 政府は依然混乱の中にあった。 そんななか、それまで続いていた慣習にもとづいて粛々と務めが果たされていた伝馬町牢屋敷が舞台。 明治元年の暮れ、江戸の町を大火が焼き払った。 火事から囚人の命をまもるべく「解き放ち」の沙汰が下る。 死罪のものは遠島、遠島のものは所払い、というように 火事が収まってもどってくれば罪一等が減ぜられる。 この囚人の中に、繁松、キンギレ退治の岩瀬七之丞、白魚のお仙という いわくつき重罪人の姿があった。 この三人を、他の囚人たちと同様に解き放つべきか。 放ったが最後、戻らないのではないか。 判断を先延ばしにしては多くの命が失われることになる。 「上」のお伺いをたてる時間もなどない。 牢屋預りを務めていた石出帯刀は「解き放ち」を決めた。 放たれた3人のその後。 かかわった人たちへの聞き取りで、 あの火事で何が起こったかが語られる。 「記録一切ハ公文書ニ非ス 異聞風説ノ類ト承知置可事」 「赤猫」とは放火犯の俗称で、総じて火事のことをさしたそうです。 タイトルに「猫」がついていればすぐに「猫」のことだと思って読みたくなる私。 内容は「猫」のことではありませんでしたが、 思わぬ重厚な作品に出会えました。 一人称の話ではありますが、どれをとってもまちがいがないのが「浅田次郎」の作品です。 今回も期待に反せず、最後まで読みきりました。 「全ったき」死に様。
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幕末から明治維新にかけて価値観が大きく変わっていく中で、武士とはどうあるべきか、人間とはどうあるべきかについて、作者によって浮き彫りにされる展開と読めました。 浮き彫りにするために異聞=複数視点からの物語という形式なのかなと思いました。 同じ作者の壬生義士伝を思い浮かべてしまう内...
幕末から明治維新にかけて価値観が大きく変わっていく中で、武士とはどうあるべきか、人間とはどうあるべきかについて、作者によって浮き彫りにされる展開と読めました。 浮き彫りにするために異聞=複数視点からの物語という形式なのかなと思いました。 同じ作者の壬生義士伝を思い浮かべてしまう内容です。
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個性あふれる3人が主役:七之丞、お仙、繁松 伝馬町牢屋敷の役人:石田帯刀、丸山小兵衛、杉浦、中尾 悪役:内与力猪谷権蔵、貸し元麹屋五兵衛 最初はまず全体を把握するために、若い中尾が話す。当然だが、上っ面しか知らないところもある。 次は英国人おかかえ技官の妻となっている、白魚のお仙...
個性あふれる3人が主役:七之丞、お仙、繁松 伝馬町牢屋敷の役人:石田帯刀、丸山小兵衛、杉浦、中尾 悪役:内与力猪谷権蔵、貸し元麹屋五兵衛 最初はまず全体を把握するために、若い中尾が話す。当然だが、上っ面しか知らないところもある。 次は英国人おかかえ技官の妻となっている、白魚のお仙。それぞれの立場で語る。そしてだんだんと核心に迫って行くところがうまい。 繁松の「命が二つあっても足らねぇ」と言うくだりはなかなか。 お仙の話で、「これはもしや...」と思うのだが、うまくまとめている。お仙が心変わりするところが見せ場だ。星を見ていて思うところも自然な感じ。 繁松と七之丞の場合は比較的に容易と思うが、さすがにうまくおさめている。 最後はどんでん返しが待っている。 結末の言葉も重くどっしりと来る。 おもしろかった。感謝。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ひさびさに浅田節全開です。キャラがたった主人公たち、それぞれの語り口から明らかにされる明治元年暮れの大火に際しての罪人放免=伝馬町牢屋敷の解き放ちの顛末。三人の話し手が終わり、残る最終章は語り手がいないと思いきや、あっと驚く事実が明らかにされます。魅力的な登場人物たちと深い余韻を残すエンディング、浅田次郎が帰ってきました。
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友達が(薦めて)くれたのが、この本の著者浅田次朗である。本好きなその友達に紹介されなければ、浅田氏の本を読まずに死んだ可能性が非常に高い。本やジャズなどは友達が薦めてくれたものを、何の先入観もなく試してみるというのが良い。 評価は★二つ。浅田氏の著作にしては凡庸な印象を受け...
友達が(薦めて)くれたのが、この本の著者浅田次朗である。本好きなその友達に紹介されなければ、浅田氏の本を読まずに死んだ可能性が非常に高い。本やジャズなどは友達が薦めてくれたものを、何の先入観もなく試してみるというのが良い。 評価は★二つ。浅田氏の著作にしては凡庸な印象を受けた。もちろんストーリーテラーとしての力量は大いに認めている。だから通常の作家がこの物語を書けば及第点なのだろうが、浅田氏のレベルからすればどうも平凡な感じがするのだ。いつもの通りの、人情味溢れる展開だし、凝った筋運びをしている、とは思う。 でも、でもと言う感じ。僕は浅田氏に「泣かせて」くれることを一方的に期待しているからなのかもしれない。『鉄道員』やら『天国まで100マイル』等は大いに泣かせてもらった。人情味溢れる話だったら、『プリズンホテル』の方が娯楽としては楽しめた。 とは言いながらもこの本を読んでいる間は、夢中になって読んでしまったので、やはり一級の娯楽小説だと思う。 時は江戸から明治維新後が舞台で、「赤猫」という火事によって囚人達が一時的に釈放されるが、鎮火したらまた囚人たちは戻ってこないといけない。ただ、釈放される囚人達には一癖も二癖もある人達で…というあらすじです。くだらない自己啓発本や経営学の本を読むくらいなら、浅田氏の本を読んで泣きましょう。大いに泣きましょう!
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