赤猫異聞 の商品レビュー
赤猫とは伝馬町牢屋敷に火事が押し迫った際 の囚人を解き放つ事。幕末から明治へと時代が移りゆく時代、3人の囚人が解き放ちを受 ける。解き放ちの条件はともに火事が収まっ たならば決められた時刻までに帰って来ること。全員同時に戻れば無罪放免。一人でも欠 ければ戻ってきた者は死罪。そして...
赤猫とは伝馬町牢屋敷に火事が押し迫った際 の囚人を解き放つ事。幕末から明治へと時代が移りゆく時代、3人の囚人が解き放ちを受 ける。解き放ちの条件はともに火事が収まっ たならば決められた時刻までに帰って来ること。全員同時に戻れば無罪放免。一人でも欠 ければ戻ってきた者は死罪。そして全員戻ら なければ牢同心が切腹。縁もゆかりもない四 人が、江戸から東京に変わったばかりの時代 を各々過去の因縁を背負いながら必死に生き る様を描く秀逸な作品。博徒、夜鷹、旗本の 御曹司、それに牢屋敷の同心をうまく絡めて 生きる事の意義を問う。武士の動なる矜持。 グゥときます。
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ときは明治元年。幕府は崩壊し、新政府はまだ確立されていない政治なき混乱の数ヶ月間。 そんな中、伝馬町の牢屋敷のあたりで火事がおきる。「どんな極悪人でも焼き殺すは不憫」ということで罪人の解き放ちが許される。これを赤猫と呼ぶ。 この法なき期間に権力者から法外な罪を着せられた三名がい...
ときは明治元年。幕府は崩壊し、新政府はまだ確立されていない政治なき混乱の数ヶ月間。 そんな中、伝馬町の牢屋敷のあたりで火事がおきる。「どんな極悪人でも焼き殺すは不憫」ということで罪人の解き放ちが許される。これを赤猫と呼ぶ。 この法なき期間に権力者から法外な罪を着せられた三名がいた。 旗本の次男坊で大政奉還後もひとり戦いを辞めず町内で傍若無人に振る舞う官軍を斬殺し続けた侍の七之丞。賭博の親方の罪を被って入獄しその貫禄と人柄で獄内を平穏に束ねる繁松。夜鷹の元締めで江戸三人美人に数えられるほど美しいお仙。 彼らも打ち首になるすんでのところで、解き放ちとなる。 解き放たれた三人は、自らの正義を晴らそうと仇討ちをしようとそれぞれ赴くのだが、、、。 新しい時代に彼らは、財閥をつくり、軍人となり、英国夫人となって日本のために務めた。 赤猫の際、彼らを助けたのは、解き放ちのため、人倫、法のためにやらなければならないことがあるという牢屋敷の不浄役人だった。 彼らは仕事に誇りを持ち、自らの信じる正義をつら抜く。 ちと、半沢直樹っぽい?? かっこ良くて気持ちいい時代劇エンタメ。最後は泣きました。
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久々の浅田節、堪能した。 明治元年に起きた江戸の火事。伝馬町牢屋敷で火の手が迫ったときに囚人を解放す、すなわち赤猫。 明治八年になって当時のことを二人の役人と三人の囚人が語る… なるほど、話が繋がったぜと半ば油断して読み進めて、最後の章で見事に図られた。泣かされた。 浅田節いまだ健在か。切れのいい語り口、啖呵の心地良い響き。
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「赤猫」とは放火や放火犯の言い換えとされますが、本書では、江戸における火事の場で放たれる牢人たちを指しています。 死罪や遠島に処される者たちが火災によって一旦放たれ、鎮火後戻ってくれば罪一等減じられるというのが当時の慣習のようです。 しかし明治元年の火災においては、幕府の権威が失...
「赤猫」とは放火や放火犯の言い換えとされますが、本書では、江戸における火事の場で放たれる牢人たちを指しています。 死罪や遠島に処される者たちが火災によって一旦放たれ、鎮火後戻ってくれば罪一等減じられるというのが当時の慣習のようです。 しかし明治元年の火災においては、幕府の権威が失墜し、また新政府も実質的な行政機構は整備されておらず、徳川幕府のやり方をなぞっていたことからすれば、関係者それぞれの思想や立場は様々であったことは想像できます。 微妙な判断が要求される上に即決しなければならない場合、より精度が高くバランスよい判断を下すには、日ごろから想定してシミュレーションしておかなければならないと思います。 そういう意味では、丸山小兵衛の判断と行動力は咄嗟のものではなく(思考の経緯はわかりませんが)、丸山が寺子屋で学んだ「法は民の父母なり」の言葉を反芻してきた上でのものだったということでしょう。 きっちり結末を描くのは、さすが浅田次郎だと思いました。
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登場人物、みな粋な男に女! 語り口が変わるのも、たまんねぇ。 それぞれの視点は違えど、持っている魂は一緒。 人の心を大切にし、真の義の道を貫く、素晴らしさ。 結末に、あっといわされたのは、流石の浅田次郎。
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火勢が迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞。 鎮火までいっときの自由を得て、命がけの意趣返しに向かう三人。 信じられない怪事が待ち受けているとは、知る由もなく。 ―幕末から明治へ。 激変の時をいかに生きるかを問う、時代小説。
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江戸から明治に変わったゴタゴタの頃、火事により「解き放ち」になった囚人たち「赤猫」の物語。 賭場を預かって仕切っていた渡世人・繁松は親分に裏切られ口封じに打ち首になりそうになっていた。 旗本の若者七之丞は、鳥羽伏見の戦い、上野山の戦いを生き残り、一人で官軍征伐をしていたが、辻斬り...
江戸から明治に変わったゴタゴタの頃、火事により「解き放ち」になった囚人たち「赤猫」の物語。 賭場を預かって仕切っていた渡世人・繁松は親分に裏切られ口封じに打ち首になりそうになっていた。 旗本の若者七之丞は、鳥羽伏見の戦い、上野山の戦いを生き残り、一人で官軍征伐をしていたが、辻斬りとして捕られえられていた。 夜鷹の元締め、白魚のお仙は取引をしていた焼け太り役人に裏切られ、捕縛される。 この不条理に遭った3人を、赤猫に乗じて救おうとした牢役人の人情、その恩に報いようとする3人の義理。 心地よい江戸っ子言葉。 浅田作品はスカッとする。 いいねぇ。
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火事と喧嘩は江戸の華。幕末から明治への移り変わりの混乱時におきた火災を舞台に描く、長編時代小説。 江戸から明治へ、混乱の世を襲った大火事。 鎮火後、三人共に戻れば無罪、一人でも逃げれば全員死罪という条件付きで 火の手が迫る小伝馬町牢屋敷から、曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞...
火事と喧嘩は江戸の華。幕末から明治への移り変わりの混乱時におきた火災を舞台に描く、長編時代小説。 江戸から明治へ、混乱の世を襲った大火事。 鎮火後、三人共に戻れば無罪、一人でも逃げれば全員死罪という条件付きで 火の手が迫る小伝馬町牢屋敷から、曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞の三人の囚人が解放される。 千載一遇の自由を得て、命がけの意趣返しに向かうが、信じられない怪事が待ち受けている。 結末は涙です。 浅田次郎らしい美しい終わり方でした。 ※小伝馬町の近くに住んでいますが、小伝馬町のイメージが変わりました。
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明治元年年末の大火での小伝馬町牢人解放ちの中での人情時代小説。 物語としては、さすがに普通に面白いですが、浅田さんということで期待が高すぎたかも知れません。 まず、登場人物、事件(大火も含めて)がすべて虚構ということが、不可思議です。 これまでの浅田時代小説は、登場人物或いは事件、どちらかは実在のものを利用していたと思います。 本作のテーマ上、明治元年という時代背景のもとに、完全虚構な物語を構築する必要性がよく理解できませんでした。 というのも、主題やストーリーや構成は「壬生義士伝」の焼き直しと思えたからです。
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