殺しの双曲線 新装版 の商品レビュー
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(新装版でない旧版を読んだため、内容が違う場合があります。) うーん、不完全燃焼。 カードの謎のマークについて納得できない。招待客に罪を思い出させたい割に、ヒントが雑で抽象的。事実、宮地は定期で通うので路線図を見るまで気づかなかったわけで、田島に関しては運転手なので路線図から乗車拒否を思い出せと言われても無理がある。 また、招待された客の共通点に最初から焦点を当てていた割に、その解答は読者が推測するには不可能に近いものな上、それは物語の途中で棄却したものであって、明かされ方もこういうことですと一方的に感じる。冒頭でトリックを開示する割にはここはアンフェアなのかと感じる。 さらに、早川の死亡の仕方が、電気は消えている、うつ伏せで血まみれになっていると、これは死んでないなと気づいてしまった。 後半に突如出現の増えた記者へのフォーカスの仕方も不自然で、事件に絡んでくることが見え透いてしまう。 結果、クローズドサークル、アガサ・クリスティへの挑戦というワクワクを、解決編で着地させることができなかった作品という感じ。
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読者への挑戦状。伏線やトリックなど本当に素晴らしかったです。西村京太郎さんはトラベルミステリーばかりだと思っていましたが、こういうのもあるんですね。ちゃんとメイントリックが明示されていてフェアだったのも素晴らしい。
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西村京太郎はいくつか読んだことがあるが、これが一番面白かった。双子トリックだよと冒頭で明かしてしまうのは素晴らしい。作品の出来に自信がないとできないことだと思う。 この作品を読んで感じたのは改めて現代は犯罪がしにくいだろうなということ。特にクローズドサークルは作りにくい。 終わり方はあまり良いと思えなかった。 警察があまり優秀でない映り方をするので、最後はしっかり捕まえてしまうのが良かったかと。 動機も違和感。何もしなかったから復讐?ピンとこなかった。 それでも東京での双子の暴れぶりは面白く、後半にいくにつれ緊迫感も増すので、スラスラ読めてしまった。
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連絡手段も交通も遮断された東北の雪深い山荘で起こる連続殺人と、並行して都内で起こる連続強盗事件。 当初これらの事件には無いように思えた繋がりが、次第に浮かび上がって来る。 アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせつつ、最初から銘打っている「双子のトリック」も...
連絡手段も交通も遮断された東北の雪深い山荘で起こる連続殺人と、並行して都内で起こる連続強盗事件。 当初これらの事件には無いように思えた繋がりが、次第に浮かび上がって来る。 アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせつつ、最初から銘打っている「双子のトリック」も興味深かった。 テンポ良く進行する物語(かなりあっさりと人がお亡くなりに…)は、軽めの文体が相まって早々に読むことができる作品。
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西村京太郎氏の著作を読むのは初めてでしたが、とてもテンポがよく読みやすく、最後までいけた。雪の山荘というクローズドサークルで宿泊者が次々と死んでいく、 それと同時に東京で双子が強盗を繰り返すという事件が起こる。ところどころにアガサ・クリスティが引き合いに出され作者が真っ向勝負を挑...
西村京太郎氏の著作を読むのは初めてでしたが、とてもテンポがよく読みやすく、最後までいけた。雪の山荘というクローズドサークルで宿泊者が次々と死んでいく、 それと同時に東京で双子が強盗を繰り返すという事件が起こる。ところどころにアガサ・クリスティが引き合いに出され作者が真っ向勝負を挑んているのがうかがえる。 しかし最後のしめはもう少しスッキリしたもののほうがよかったです
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西村京太郎さん自薦5作品の一冊。1971年s46刊行。アガサクリスティー「そして誰もいなくなった」西村京太郎版。冒頭一卵性双生児を利用したトリックであると。東京で双子犯人の連続強盗事件と年末山奥ホテルに招待された6人に起きるクローズドサークルを舞台とした殺人事件が同時進行。折角の...
西村京太郎さん自薦5作品の一冊。1971年s46刊行。アガサクリスティー「そして誰もいなくなった」西村京太郎版。冒頭一卵性双生児を利用したトリックであると。東京で双子犯人の連続強盗事件と年末山奥ホテルに招待された6人に起きるクローズドサークルを舞台とした殺人事件が同時進行。折角のヒントも犯人が最後まで解らなかったwww
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『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品の中でも一番好きな作品。 2つの事件が並行して行われていく。 深い雪に囲まれた山荘で次々に人が殺されていく。その一方で、双子の強盗犯が次々に強盗をしていくが…。 この作品の凄いところは、最初に作者から種明かしがされているところだ。 「この...
『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品の中でも一番好きな作品。 2つの事件が並行して行われていく。 深い雪に囲まれた山荘で次々に人が殺されていく。その一方で、双子の強盗犯が次々に強盗をしていくが…。 この作品の凄いところは、最初に作者から種明かしがされているところだ。 「この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです」と。 教えてもらっていたのだが、最後まで分からなかった笑 フェアにしっかりと騙された! どんな犯罪でも被害者が出る…。やっぱり犯罪は本の中だけで十分だと改めて感じた。
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アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に挑戦した作品。本書の最初にノックスの十戒どおり双生児を使ったトリックですと、明かしている。それすらも作者の、巧妙な罠だったのだと感じました。小柴兄弟、早川と西崎、両方とも法で裁くのは難しい。その状況で最後、心理に的に追い詰めたのはとても印象的です。殺しの︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎双曲線︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎という意味が読後に理解しました。
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初めに双子のトリックをつかっていると宣言していることが気持ちいいですね。 そして双子のトリックがどこでどう使われるのかワクワクしながら読むことができました。 オチも個人的には好きです。
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「この本を読まれる方へ この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。」 冒頭で作者から堂々と言い切られる事が、逆にワクワクする。 本書は二時間サスペンスでお馴染みの西村京太郎による本格ミステリだ。 東北の山荘への招待状により集められた、オーナー含め7人の...
「この本を読まれる方へ この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。」 冒頭で作者から堂々と言い切られる事が、逆にワクワクする。 本書は二時間サスペンスでお馴染みの西村京太郎による本格ミステリだ。 東北の山荘への招待状により集められた、オーナー含め7人の男女。なんの繋がりもない彼らは陸の孤島となってしまったそこで、ひとり、またひとりと殺されていく。 一方東京では双子による連続強盗事件が起きるが、犯人がわかっても警察は彼らを逮捕できずにいた。 双子トリック、閉ざされた雪の山荘、バラバラに進行する二つの事件、犯人からの謎のメッセージ、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ etc… ミステリ好きには一冊で色々おいしい作品になっている。どんでん返し系でもなく、冒頭の作者からの種明かしもあって、非常にフェアな正統派ミステリといえる。 双子である事をこれでもかと利用した内容には唸らされる。 メイントリックの他にも、そこに至るまでに散りばめられた謎と、犯人によるその真意を考えるうちにどんどんページをめくる手がすすんでしまう。 ミステリなれした人ならある程度トリックや犯人がわかる人もいるかもしれないが、それでも一読の価値ありだと思える。 間違いなく名作の一つであるので、今日でも自分の他に読んでる人がいるはずだか、犯行の動機となった件の現場でこの本を読んでしまった人はいるだろうか…。 本格ミステリのなかには、読者がキャラクターや舞台に必要以上に入り込まずに単純に謎解きできるというものもあり、本書もどちらかというとそっちだと思うが、動機の部分には少しヒヤリとさせられた。
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