街場の文体論 の商品レビュー
全部入りきらない自分の脳みその容量が憎い。もう一回読む。何度でも読む。この、忍者屋敷の壁みたいに、思考がぱたんともうひと段階展開する感じ、こっちにも道があった、みたいな感覚が興奮するんだと思う。座右の書となりそうです。
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内田樹先生の最後の講義を収録。 クリエイティブ・ライティング、人に伝わる文章とは何か、ということを誠心誠意伝える一冊。 やっぱり読みやすいし、おもしろい。
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「情理を尽くして」語る。届く言葉には発信者の「届かせたい」という切迫がある。その必死さが言葉を駆動する。思いがけない射程まで言葉を届かせる。 他者との仮想的な同一化ができることで、鳥瞰的に自分の位置を把握し、自分がどういう局面で、どのような責務を果たすことを期待されているのかが...
「情理を尽くして」語る。届く言葉には発信者の「届かせたい」という切迫がある。その必死さが言葉を駆動する。思いがけない射程まで言葉を届かせる。 他者との仮想的な同一化ができることで、鳥瞰的に自分の位置を把握し、自分がどういう局面で、どのような責務を果たすことを期待されているのかがわかる。 文体論について、届く言葉についての講義録。意識化されていない感覚を、意識上に顕在化することで、大きな駆動力になると感じます。
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”本と目が合う”ことについて書かれていたが、まさにこの本、池袋のBook1にぷらっと入り、入り口付近で偶然目が合ったのだ。2,3ページめくったらその場から動けなくなってしまい図書館で借りる手間がもどかしくてお金を払って手に入れた後スタバでむさぼり読んだ。珍しく我を忘れて夢中になっ...
”本と目が合う”ことについて書かれていたが、まさにこの本、池袋のBook1にぷらっと入り、入り口付近で偶然目が合ったのだ。2,3ページめくったらその場から動けなくなってしまい図書館で借りる手間がもどかしくてお金を払って手に入れた後スタバでむさぼり読んだ。珍しく我を忘れて夢中になった本だ。 届く言葉、響く言葉はどんなものだろう?がテーマ。大学の講義を本におこしたものなので、実際この講義をダイレクト聴いたらさらに興奮していたかもしれない。 言葉は自分がアウトプットしながら同時に他者としてそれを読解している。その人間の複雑な処理能力と、処理結果が誰のものでもなくなっているという不思議な事実に驚く。確かに夜中つらつら書いたものが翌日の朝読み返してみると、まるで赤の他人が書いたような代物になっている不思議なことがある。確かに自分が書いた、でも紙の上に存在している言葉は、ごちゃ混ぜになった意識と無意識と、さらに自分の中に存在する他者が介在して生み出されたもので、それはもはや自分が書いたとは言い切れなくなってしまっている。実は複雑な成り立ちで、とても不可思議で神がかっている言葉の正体に圧倒された。 話し手本人も言っていたが、口から出てくる言葉は、教育論、現代の就活批判、電子書籍VS紙の本について等、予定していなかった話題に及び、話すそばから言葉はどんどん本人を離れて想定しなかった世界を形成する。そしてどっぷり浸かり、まさに”他者との仮想同一化”の気分となる。ラストは感極まって涙。そんなもの求められていないはずなのに、しかもスタバで泣くなんて恥ずかしい。けれども内田樹の最後の講義という感傷的な気持ち、とにかくこれだけは伝えたいという凄まじい熱のこもった魂を受け取ってしまったのだから仕方ないことだと思う。 届く言葉、響く言葉は、伝えたいという気持ち、宛先への敬意、これにつきる。言葉と気持ちのズレがあれば、結局受け取り側にはズレしか伝わらない。また受け取り側に、自分の利益、自己顕示欲、読み手の差別などをメタファとして見分けることができる能力も必要だ。 実は大阪都知事批判したときから好きじゃなかった。哲学者が火の粉がふりかかる恐れのないところから政治家批判しているようなイメージが悪かった。20歳以上年下の女性と再婚したのもちょっと悪かった。相変わらず好きではないけれど、言葉に関する”言葉”は別物として受けった。
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『自分の弱さや脆さを克服すべき弱点とみなし、幼児的なエゴイズムや無垢な邪悪さを封印することなしに、少年は「大人の男」になることができない。でも、これはいわば自分の一部を切り捨てることです。すごくつらいし、痛い。でも、やらなくちゃいけない。この「大人に脱皮すること」の苦しみを癒やし、支援するために、太古から人類は「アドレッセンスの喪失の物語」をくりかえし語ってきた。そうなんだろうと僕は思います。「今の君の苦しみは、すべての先人が通過した、そういう類的な苦しみなんだよ」ということを聴き知らされて、少年の傷はすこしだけ耐えやすいものになる。たぶん、そういう人類学的な仕掛けなんじゃないでしょうか』にビリビリきたっ!
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ブログに書きました。 http://fragilemetalheart.blogspot.jp/2012/07/2012-11.html?m=1
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書き方に留まらず、読み、学び、生きる術がここに書かれている。 そしてそれを伝えることのみを強く熱望している。 それこそが「文体」というものなのだろう。 「使命感」と言い換えてもいい。 どうしても伝えたいものがある。それはまだ言葉になっていないが。 そうしたときにこそ、文体はドライブしていくのだろう。 この本に出会えた僥倖に感謝。
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16 自分のふだん使い慣れた語彙やストックフレーズを使い回すだけではコミュニケーションが成り立たない。そういう「遠い」という感覚があると、自分の「ふだんの言葉づかい」から一歩外に踏み出すことになります。 122 僕たちはエクリチュールを選ぶことができる。自分を幽閉する「檻」を選...
16 自分のふだん使い慣れた語彙やストックフレーズを使い回すだけではコミュニケーションが成り立たない。そういう「遠い」という感覚があると、自分の「ふだんの言葉づかい」から一歩外に踏み出すことになります。 122 僕たちはエクリチュールを選ぶことができる。自分を幽閉する「檻」を選ぶことはできる。でも、一度選んだら、言葉づかいについての決定権を失ってしまう。エクリチュールが要請する言葉づかいで、エクリチュールとなじみのよいコンテンツを語ることを発話者はほとんど強制される。 140 僕自身、社会はできるだけ高い流動性を維持すべきだと思っています。エクリチュールというのは、本質的には集団を固定し、流動させないための装置です。 159 語法のあり方は社会状況のあり方とぴたりと同期しているんです。フランスにおいては、「語法の檻」はただしく「社会の檻」として機能している。 201 想定読者がいないテクストというのはらなんだかもごもごする。どこを見ているのかわからないで、眼を宙に泳がせてしゃべっている人の口調のような、ぼんやりしたものになる。 211 計測技術が未熟であれば、現象にあきらかに数値的な変化があっても、それをエビデンスとしては示せない。 228 社会的成熟というのは、単に身体が大きくなるとか、知識があるとか、有用な技術を身につけているということではありません。同期できる他者の数が増えたことによって、上空から「自分を含む風景」を見ることができるようになることです。
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ちょうど言葉について考えていた時だったので、我が意を得たりと一気読みしました。すごいです、この本は。医学生や若手医師は、変な論文の書き方や専門医症例報告のマニュアルなんて読まないで、こういう本を読んで文章の書き方を勉強して欲しいです。 しかし、「以前にも出た話」を再掲しているこ...
ちょうど言葉について考えていた時だったので、我が意を得たりと一気読みしました。すごいです、この本は。医学生や若手医師は、変な論文の書き方や専門医症例報告のマニュアルなんて読まないで、こういう本を読んで文章の書き方を勉強して欲しいです。 しかし、「以前にも出た話」を再掲していることを批判する輩はいるんだろうなあ、、、、古典落語は楽しめませんよ。それじゃ。
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