東京プリズン の商品レビュー
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まだ40代の女性がこのような小説を書くことが不思議。幻想的な前半から16歳の日本人少女が米国の高校でのディベート「天皇に戦争責任はあるのか」というテーマに挑む。「天皇が神か人間か」から「ではイエスは?」と展開し反キリスト教的な思想も漂わせながら、米国の東京大空襲・原爆投下、ベトナム戦争の責任をも問う終盤は読み応えがあった。「赤坂真理」という主人公の少女と母親の関係など、前半は謎が多く、意味不明だった。この舞台が1980年に設定されており、著者本人の年齢とも合致する。実体験に近い処があるのかな?
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赤坂真理初体験。ものすごーく評価するのが難しい作品だと思う。現にAmazonでも高評価と低評価のものとがバラバラになっている。思想的過ぎる、展開がめちゃくちゃとかいろいろあるだろうけど、リーダビリティは高いし単純に面白かった。
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戦争「責任」 東京裁判、巣鴨プリズン。枯れ葉剤、ベトナム戦争。憲法、天皇、戦争。 天皇に戦争責任はあるか? タブー扱いになっているようなこの題材。 だからこそ、人は見たいものだけを見る。 憲法は押しつけで、残虐行為はなかった、とか。 天皇は「平和に関する罪」の筆頭で、皇室制度は...
戦争「責任」 東京裁判、巣鴨プリズン。枯れ葉剤、ベトナム戦争。憲法、天皇、戦争。 天皇に戦争責任はあるか? タブー扱いになっているようなこの題材。 だからこそ、人は見たいものだけを見る。 憲法は押しつけで、残虐行為はなかった、とか。 天皇は「平和に関する罪」の筆頭で、皇室制度はなくすべき、とか。 現代を教えるにはあまりにも近すぎて主観のみで成り立ってしまうような歴史。 それを高校生が正面から挑む。 視点があちこちに移動するので初めのうちは面白みに欠ける。 ヘラジカ(の霊)とか、リトルピープルとか、不思議な存在に振り回されて読み手は自分の立場を失っていく。 しかし、後半、ディベート(という名のやり直しの東京裁判)になってからは面白くなってくる。 キリストのこととなるととたんに冷静さを失う人々の描写が怖い。 それが各地で起きるイスラムvs「アメリカ」を予感させるからだ。 間違った戦争だったと言われるベトナム戦争、そのごも幾度となくアメリカは戦争を繰り返す。 正義の名の下に。 キリストを引き合いにして天皇の戦争犯罪について述べるのは、異論もあるだろうが、そうだと思わせる。 戦争をやめるために人々、多くは非戦闘員を殺すことが正しかったのか? キリストを信じていないのならば、それは許されることなのか? 本書は前半は何が言いたいかさっぱりわからない。 人ならざるものと交わることで感じることもあろうが、触れ幅が大きすぎる。 それらの部分を無駄だとは言わないが、ならば、完全に一部二部と分けてしまった方がマリの心の内を理解できたのではなかったか。 頭をぐるぐると駆け巡るもの、その意図はわかるが。 「自分たちの過ちを見たくないあまりに、他人の過ちにまで目をつぶってしまったことこそ、私たちの負けだった」 「異質なものに聴く耳を持っていただきたい」 これが著者の言いたかったことなのであろう。 納得している自分がいる。 それにしても、A級戦犯が未だにランクだと思われているのは認識としてどうなのだろう。 本書でも指摘しているが......。
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妄想のところはわかりづらかったが、少なからず日本人としてのアイデンティティを揺さぶられる。 帯にもあるように、外国語に翻訳して世に問うてもいいのではという作品だった。
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こんな幻想的な内容だとは思っていなかったので、 なかなかに衝撃的だった。 そして、ちょっと受け付けない。 それでも、すごい作品だと言うことは分かる。 どうしてこんなものが書けたのだろう。 主人公は2010年に50前、つまり親世代の少し下。 私にとって一番謎な世代。訳が分からな...
こんな幻想的な内容だとは思っていなかったので、 なかなかに衝撃的だった。 そして、ちょっと受け付けない。 それでも、すごい作品だと言うことは分かる。 どうしてこんなものが書けたのだろう。 主人公は2010年に50前、つまり親世代の少し下。 私にとって一番謎な世代。訳が分からない人々。 こんな思いを抱えているからなのだろうか。 戦争の影を隠して生きる親に育てられ、 自分のアイデンティティーを求めずにはいられない。 私には到底理解できない。 初めて知ったことがたくさんあった。 それでも、それを知って、私は主人公ほどの衝撃を受けない。 知ってはいなくても、そうだと知れば納得できてしまう。 知らずにいるよりは、考えることがあるけれど、 知ったからといって私は何も変わらない。 海外へ出れば、主人公のような思いを持たざるにはいられないのかもしれない。 でも、私には縁のない話。 所詮、他人事にしか思えない。 まだ、自分に繋がる人々が関わっている時代の話なのに、 戦争はあまりにも遠い現実にされてしまった。 多分そういうことなのだろう。
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すいません。Give upです。東京裁判とかベトナム戦争が関係しているようだけど、世界観についていけませんでした。約120pで脱落です。最後まで読むと面白いのかな?・・・・とおもっていたけど、皆さんのレビューを見る限り、このまま最後まで行くようですね。やめといて正解かな。
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天皇の戦争責任や、日本人にとって天皇の存在とは等、ベトナム戦争やキリスト教をも引き合いに出しながら、タブー視されてきたテーマに真っ向から取り組んだ、意欲的な作品。 前半は、夢かうつつか時間も空間も散り散りのシーンの挿入に、どこでつながるのか方向性が見えず、読みづらさが先行した。が...
天皇の戦争責任や、日本人にとって天皇の存在とは等、ベトナム戦争やキリスト教をも引き合いに出しながら、タブー視されてきたテーマに真っ向から取り組んだ、意欲的な作品。 前半は、夢かうつつか時間も空間も散り散りのシーンの挿入に、どこでつながるのか方向性が見えず、読みづらさが先行した。が、バラバラだったエピソードの関連性が見えてきてからは、読み応えもありじっくり楽しめた。 ただ、重いテーマの裏で主人公が15才で渡米した理由や、母親の過去、母子関係など、物語の設定に関しては思わせぶりに引っ張った割には未消化のまま終わっていて残念。もっと書き込んでほしかった。 作者と主人公が同じ名前というのは、意味があるのだろうか。
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全く面白くない。ただ、私の戦争に関する知識は、主人公の女の子が指摘する通りである。その程度である。自分達の過去の失敗を知りたくなかったのか、不要だと感じたのかは分からないが、全く考えないまま大人になってしまった。それについて恥じる。今更かもしれないが、勉強してみようと思う。
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エンターテイメントでは、ない。 複数の時間を往き来し、複数の人物が重なりあう。 人びとの曖昧なアイデンテイを、表現するための文学的な方法としては、それほど珍しいものじゃない。 リアルな小説ではないんだから。 考えることの無かった、まさしく真空地帯に、楔を打ち込んだ。そ...
エンターテイメントでは、ない。 複数の時間を往き来し、複数の人物が重なりあう。 人びとの曖昧なアイデンテイを、表現するための文学的な方法としては、それほど珍しいものじゃない。 リアルな小説ではないんだから。 考えることの無かった、まさしく真空地帯に、楔を打ち込んだ。その時に、私たちは、何を知り、何を知らずにいたか。 これまで繰り返されてきた理屈や論理が、あまりに表層的であったことに気付く。
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天皇にも戦争責任はあったんじゃないのかなあ、とこれだけの事を言うのに400ページに渡って重ねられるブンガク的修辞。
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