サラダ好きのライオン の商品レビュー
(2012/12/8) 30年ほど前、私が大学生のころ、映画やらコンサートやらの情報が満載の「ぴあ」という情報誌があって、 弐番館三番館で映画を観る際に重宝してた。 それ以上に「はみだしYOUとPIA」を読むのが楽しかった。一行に凝縮された読者のコメント。 どんな内容だったか忘れ...
(2012/12/8) 30年ほど前、私が大学生のころ、映画やらコンサートやらの情報が満載の「ぴあ」という情報誌があって、 弐番館三番館で映画を観る際に重宝してた。 それ以上に「はみだしYOUとPIA」を読むのが楽しかった。一行に凝縮された読者のコメント。 どんな内容だったか忘れたが、笑わせてもらった。 で、なにがいいたいかというと、この村上ラヂオ3を読んでいて、 ちょっとそれに近い気分を味わえた。 エッセイ本編もとぼけているのだけど、 それ以上に各エッセイの最後にある村上さんのつぶやきがまたいい。 一例をあげると 「何回よんでも難解だ」という文章が、意味もなく頭から離れません。なんとかしてほしい。 まあ、駄洒落が多いんだけど、なんだかいい。twitterに載せてもよさそう。 しかししかし、1Q84なんぞの雰囲気とはまた全然違って、言葉遊びというか、言葉をうまく操るというか、 こういう肩の凝らない文章って、書けそうで書けないですね。 原稿用紙1,2枚?なのかな。 私のブログもそんなもんなはず。 みならおっと。 まえがき 村上春樹 忘れられない、覚えられない ブルテリアしか見たことない 愛は消えても 真の男になるためには オペラ歌手のシャム猫 ギロチンを待ちながら オムレツを作ろう 裁判所に行こう スーパーサラダが食べたい 献欲手帳 死ぬほど退屈な会話 チップはむずかしい 知りません、わかりません シェーンブルン動物園のライオン この曲を聴くと 僕の好きな鞄 ああ困った、さあどうしよう とりあえず小説を書いているけど プレゼントする人、される人 ジャズは聴きますか? 占い師としての短いキャリア ブルー・リボン・ビールのある光景 岩にしみ入る いわゆる新宿駅装置 すまないな、ルートヴィッヒ 楽しいトライアスロン さあ、旅に出よう 秋をけりけり そうか、なかなかうまくいかないね 自分の体で実験する人たち カラフルな編集者たち 私が死んだときには たくさんの人の前で 昼寝の達人 ムンクの聴いたもの 犬も歩けば コップに半分 二番じゃだめなのか? 猫に名前をつけるのは 無口なほうですか? 愛欲の根っていうか 高いところが苦手 貧乏そうに見えるのかな とんでもない距離、ひどい道 信号待ちの歯磨き こういう死に方だけは ワシントンDCのホテルで 想像の中で見るもの 濡れた床は滑る ひどいことと、悲惨なこと いちばんおいしいトマト 椰子の木問題 あとがき 大橋歩
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主に雑誌アンアン2011年3月30日号から2012年4月4日に掲載された「村上ラヂオ」を収録。エッセイ。さらっと読めてとても楽しい。好きなフレーズも多い。サラダ好きのライオンはめったにいないね。挿絵も良き。
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とても読みやすく、面白かったです。最近村上春樹さんの作品が好きになって色々読み漁っているのですが、こちらはエッセイということで、また違った面白さ、村上春樹さんという人物の面白さが味わえました。ますます好きになりました。
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自分が好きなものや苦手なこと、目に止まったことや頭から離れないもの。誰にでも平等にある気付きからの話の展開が、なんだか鼻歌を歌うように軽やかで、チャーミングな人柄を感じてしまう。
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作家さんの視点を通して、普段気にしたこともない日常の物事から学びや気づきをたくさん得られた一冊でした。
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村上春樹のエッセイはやはり面白くて、日常的な話の流れでハッとする気づきを得たり、「これを文章にして本にしてくれてるなんて」くらい共感できて嬉しい事があります。 日常のことで言うと「僕の好きな鞄」、選んで手に入れるものは沢山あるけれど(服とか靴とか)、特に良い感じの鞄というのはち...
村上春樹のエッセイはやはり面白くて、日常的な話の流れでハッとする気づきを得たり、「これを文章にして本にしてくれてるなんて」くらい共感できて嬉しい事があります。 日常のことで言うと「僕の好きな鞄」、選んで手に入れるものは沢山あるけれど(服とか靴とか)、特に良い感じの鞄というのはちょっとした事で便利になったり不便になったりする…これは凄く分かります。 後者だと「椰子の木問題」、「インターネットでは本当に知りたいことはわからない」。本当に知りたいことはインターネット以外で分かる。何となく感じてた事が文章として記してあって嬉しく思いました。
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村上春樹の硬派な小説と違って、柔らかい文体が爽やかで優しい気持ちで読むことができる。 朝読むと気持ち良い。
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雑誌アンアンに掲載されていたエッセイ。 読みやすくおもしろいが、若い女性読者を意識した(?)下ネタが多いのが気になった。
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村上春樹の独特の世界観はそのままに、ほっこりさせてくれるエッセイだった。 小説も十分おもしろいけど、人間的にもすごくおもしろいひとだなー
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いつもの村上さん。 印象に残った箇所を挙げる。 「女性は怒りたいことがあるから怒るのではなく、怒りたいときがあるから怒るのだ」 結婚して分かった事だそうだが、これは多くの女性ー-特に既婚女性に当てはまるのでは?と思う。自覚の有無は別にして。 村上さんはそうなると「ただ首をすくめ...
いつもの村上さん。 印象に残った箇所を挙げる。 「女性は怒りたいことがあるから怒るのではなく、怒りたいときがあるから怒るのだ」 結婚して分かった事だそうだが、これは多くの女性ー-特に既婚女性に当てはまるのでは?と思う。自覚の有無は別にして。 村上さんはそうなると「ただ首をすくめ、何か違うことを考えながら、無法な台風が過ぎ去るのを待つ」そうだが、正しい対処法かも。こっちだって理不尽なのは分かっちゃいるけど、ホルモンだか何だかに振り回されてなかなかコントロールが難しいんだよな。正しく「平穏無事な共同生活を送るための実際的知恵」である。うん。 木山捷平の「秋」という詩の解釈について。 五行の短い詩で、新しい靴を買ったからと尋ねてきた友達と街に出かけたという内容なのだが、私などが読んでも「仲良しでいいね」とホッコリするだけ(「秋をけりけり」という表現が秀逸だとは思うけど)。 村上春樹は、友人がその程度の理由でフラッとやってきて、それを当然の事と捉える感覚は二十代のもの。読むとそういう時代の気持ちの所在感みたいなのが蘇ってくる(要約)と言う。 なるほど言われてみればそのとおり。私が「いいね」「ホッコリ」と雑に表した気持ちを言葉にするとこうなるんだなあ。 高校生の時に初めて村上作品を読んだ時に、なんだこの人すごいな心の奥のよくわからない気持ちをこんなに明確にしてくれるなんて。天才か? と思ったが、そこはこの歳になっても変わらない。 いや、もう少し自分の気持ちや考えをしっかり表現できるようにならないとな。でないと夫婦げんかもままならない。
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