凍りの掌 の商品レビュー
映画や小説とまた違うタッチで、シベリア抑留体験が語られる。絵本のような絵柄が、人間の心を表現しているように思える。戦争の知らない世代が増える日本で、残す本や伝え続けなくてはいけない話がもっとある。この凍りの掌もその一冊で、自分の子供、その先の世代にも残していきたい。涙が止まらない...
映画や小説とまた違うタッチで、シベリア抑留体験が語られる。絵本のような絵柄が、人間の心を表現しているように思える。戦争の知らない世代が増える日本で、残す本や伝え続けなくてはいけない話がもっとある。この凍りの掌もその一冊で、自分の子供、その先の世代にも残していきたい。涙が止まらない。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
シベリアの拘留生活を経験し、生存した人から 話しを起こした漫画。 1945年を過ぎてもまだ日本に帰れない人が いたということを初めて知りました。 兵士は自分がどういう状況なのかを知らされず、 予想で判断しているほか無い様子がよくわかった。 それにしても、マイナス30度での過酷な労働! うんこの逆さツララ! シベリアの収容所の話は、僕にとって 小説「イワンデニーソヴィチの一日」以来です。
Posted by
従軍記って楽しげな語り口のも案外多いけど、シベリア抑留者に限ってはそれはない印象だな。香月泰男の絵とか、ガチだしな。
Posted by
表紙の絵を見た時は、ほのぼの系のタッチだったので、あまり内容に期待せずに読む始めたのだけれど、その中身は、想像もつかなかったほど壮絶なものだった。 シベリア抑留というのは、原爆などの体験記とくらべると、これまであまり大きく取り上げられることがなく、その実態を知っている人というのは...
表紙の絵を見た時は、ほのぼの系のタッチだったので、あまり内容に期待せずに読む始めたのだけれど、その中身は、想像もつかなかったほど壮絶なものだった。 シベリア抑留というのは、原爆などの体験記とくらべると、これまであまり大きく取り上げられることがなく、その実態を知っている人というのは多くないのではないかと思う。 戦後日本では、共産主義が排斥されてきたということもあり、抑留からやっとの思いで日本に戻ってきた人たちも、その体験を周りの人に伝えられずに、じっと口を閉ざしているうちに、どんどんと風化していってしまったのだろう。 生き残った人は、ただ生きのびて日本に戻れたというだけで、それ以上を望まずに辛抱して受動的に生きるような人生観を持っている人が多いだろうから、そのことも影響している気がする。 マンガの絵はあまり上手いものではないけれども、それでも、活字の形で書かれた作品よりも、はるかに多くのものを伝えられる表現力を持っている。 これほどの体験が、誰にも語られることなく、体験者が亡くなっていき、記憶が年々失われてしまっていることを考えると、この記録をマンガという形で書き残したことはとても貴重な仕事だと思う。
Posted by
著者が高校の課題として父の戦争体験を聞き書きしたときから、いつか作品にすべきではないかという思いを抱いていたという。20年以上の時を経て、当初は自費出版という形で世に出たものが改めて刊行された。 父がとつとつと語るその昔話は、シベリアでのまさに地獄絵図。絵柄が「ほのぼの」としてい...
著者が高校の課題として父の戦争体験を聞き書きしたときから、いつか作品にすべきではないかという思いを抱いていたという。20年以上の時を経て、当初は自費出版という形で世に出たものが改めて刊行された。 父がとつとつと語るその昔話は、シベリアでのまさに地獄絵図。絵柄が「ほのぼの」としているがゆえに、つぎつぎに簡単に人が死んでいく日々がかえってリアルに感じられる。 衝撃的な、私のような戦争次世代の人間はもちろん、その次の世代にも読み継がれるべき作品。
Posted by