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凍りの掌 の商品レビュー

4.5

45件のお客様レビュー

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2014/09/18

ほのぼのとしたタッチの絵で、過酷なシベリア抑留が語られる。 そのタッチが、美化せずヒロイズムに陥ることもなく淡々と描かれる物語そのものを象徴しているよう。 何色にも染まっていなかった若者の目を通して、シベリア抑留の姿が語られる。 まさに一兵士の目線。 一兵士の過酷な体験と、そ...

ほのぼのとしたタッチの絵で、過酷なシベリア抑留が語られる。 そのタッチが、美化せずヒロイズムに陥ることもなく淡々と描かれる物語そのものを象徴しているよう。 何色にも染まっていなかった若者の目を通して、シベリア抑留の姿が語られる。 まさに一兵士の目線。 一兵士の過酷な体験と、それを忘れなければ生きていけなかったという状況は、戦争が個人に残す傷そのものなのだろう。 語ってもらうという体験も、葛藤の中での選択だったのだろう。 語ってもらうことによって、このような作品になるということは、みんなにとって貴重な財産になるということ。 著者の勇気ある選択もすごいこと。

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2013/08/15

亡き曾祖父がシベリア抑留を経験者ということもあり、前から気になっていたけどなかなか向かい合う勇気が出なかった本。 実家祖母の家にシベリアからの墨だらけや手紙が残っていたりはするものの(この本を読むと、手紙を送らせてもらえただけまだ優遇されていたのかなとも思ったり)、具体的な話を聞...

亡き曾祖父がシベリア抑留を経験者ということもあり、前から気になっていたけどなかなか向かい合う勇気が出なかった本。 実家祖母の家にシベリアからの墨だらけや手紙が残っていたりはするものの(この本を読むと、手紙を送らせてもらえただけまだ優遇されていたのかなとも思ったり)、具体的な話を聞く機会もなく… かわいい絵柄と壮絶な内容のギャップが凄い。 素朴な笑顔とか絶望の表情とか、グサグサきました。 ここまで未来も保障されず、絶望だらけの生活があったなんて…。 一時期いろいろな書店で平積みされていましたが、最近は私の周りの店では棚に1冊ささってる店も少ないという状態。 ずっと本屋さんに置いてあってほしい。

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2013/08/11

今も遠い国で眠る人たちの無念を考えます。とてもつらい話だったけれど、あまり直接的な表現(絵)がなかったのと、絵柄に救われて読めた。けれどそこにいた人々の絶望は読み進めるのに勇気がいるほどちゃんと伝わった。

Posted byブクログ

2013/06/17

本書は作者の父親が語るシベリア抑留体験を聞いてまとめられたものです。この闇が、いかに深いものだったかが察せられます。こういう過酷な体験を経てきた人間が自分の身内にもいたことに、驚きを隠せません。 何度かかつて、ここにも書いたとは思いますが、僕にはシベリア抑留を体験した母方のおじ...

本書は作者の父親が語るシベリア抑留体験を聞いてまとめられたものです。この闇が、いかに深いものだったかが察せられます。こういう過酷な体験を経てきた人間が自分の身内にもいたことに、驚きを隠せません。 何度かかつて、ここにも書いたとは思いますが、僕にはシベリア抑留を体験した母方のおじがいて、彼は幼少期の僕に軍隊式の直立不動や敬礼を何度もさせるというファンキーなヒトだったということを覚えておりますが、とうとう本人から、当時の事を聞くことはできずに終わってしまいました。 本書は作者のお父さんが実際に体験した過酷なシベリア抑留の様子を直接聴き書きし、2年半の歳月をかけ、全3巻の同人誌として完結させた作品です。という事実を調べていて初めて知ることができました。かつて『不毛地帯』の原作およびドラマを見ていたときも、主人公の壱岐正が過酷なまでのシベリア抑留生活を体験していた記述があるわけですが、学徒動員で満州に赴任された筆者の父親は、すでに戦争が終わっていたにも関わらず、ロシア軍が攻め込んできたときに捕虜となり、飢えと寒さの渦巻くシベリアに抑留されていきます。 過酷な労働と粗末な食事のため、次々と 「俺たちは白樺の肥やしになりにきたのか」 と言葉を漏らして斃れていく同胞の姿を自分のおじも見ていたのかなと、そんなことを思いながらページをめくっておりました。やがて、ロシア兵が「これは」という人間を連れて行って「アクチブ」とし、彼らが収容所内で猛威を振るい、『自己批判』の下に壮絶な吊るし上げをする場面が本当に息が詰まるものでした。極めつけは『暁に祈る』というノルマを達成できなかった人間を木に縛り付け、一晩冬空に放置していると翌朝そのように見えたというなんとも壮絶なエピソードも、心苦しかったです。 そして、筆舌に尽くしがたい日々を送り続けた筆者の父親は比較的楽な同道に回され、舞鶴へと帰ってくることができたのですが、筆者の聞き取りがきっかけで、自分が帰ってきた舞鶴港へ行ってみようと思い実際に作者と行く場面は感慨深かったです。こういう話には個人的なものが相当絡みましたが、そういったところも諒とされていただければと思っております。

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2017/06/11

祖父がシベリアに抑留されていたと言う事は知っていたのですが、詳しくは聞いたことがなかったので興味を持ち読んでみました。 祖父はロシア人と収容者との間を取り持っていて、作業用の道具を考えたりしていたとの事だったので、漠然と良いことをしていたと思っていました。 しかし、この漫画を...

祖父がシベリアに抑留されていたと言う事は知っていたのですが、詳しくは聞いたことがなかったので興味を持ち読んでみました。 祖父はロシア人と収容者との間を取り持っていて、作業用の道具を考えたりしていたとの事だったので、漠然と良いことをしていたと思っていました。 しかし、この漫画を読んでいて上官だった人たちが全員がそうでは無いにしろ、自分は楽をしていたと書いてあり祖父はどうだったのだろうといろいろ考えさせられました。 その祖父も数年前に亡くなり、離れて住んでいたので年に数回会うかどうかでしたが、今更ですが、話をきちんと聞いてみたかったと思いました。(話してもらえたかは分からないですけど) 戦争が終り70年が経とうとしてる中、この様な漫画や話は見ることが少なくなってくると思います。 現在でこの様な事が起こるとは考え難いですが、過去実際にあった事として少しでも風化させ無い事が大切だと思います。

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2013/04/18

本の中でも語られますが、ほんとにもう戦争というもを知っている人から聞く形すら叶わなくなってしまう。 語られなければ、忘れ去られてしまう。 そんな、切実さがあります。 体験者が語る物語にある細やかなディテール 戦争とは、捕虜になることはが生々しく描写されます。 資料も少ない、見...

本の中でも語られますが、ほんとにもう戦争というもを知っている人から聞く形すら叶わなくなってしまう。 語られなければ、忘れ去られてしまう。 そんな、切実さがあります。 体験者が語る物語にある細やかなディテール 戦争とは、捕虜になることはが生々しく描写されます。 資料も少ない、見たことも無いものをよくぞ一つの物語にまとめてくれたおざわゆきさんに感謝。

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2019/12/18

マンガで見るシベリア抑留記。かわいい絵で極限状態が書かれている。先が見えぬなか見えざるものにうごかされついにはからめとられていく。挙げ句の果てにダモイしたらレッドパージ。いま生きてる日本人は、疲れきって戦後この国をつくることに精力を注げなかった戦争体験者がどのようなメンタリティー...

マンガで見るシベリア抑留記。かわいい絵で極限状態が書かれている。先が見えぬなか見えざるものにうごかされついにはからめとられていく。挙げ句の果てにダモイしたらレッドパージ。いま生きてる日本人は、疲れきって戦後この国をつくることに精力を注げなかった戦争体験者がどのようなメンタリティーであったかを知るために太平洋戦争とその前後の多くのメディア情報に接するべきだとあらためて強く思う。マンガ表現として成功しているかはわからないが、数少ないマンガverシベリア抑留記として存在事自体に価値がある。 追伸:ロシア兵のフィジカルな強さがおそろしい。

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2013/04/01

こんな事が本当にあったなんで信じられない。そしてこの作品を理解するには、自分はまだあまりにもものを知らなすぎると痛感した。 辛く、目を背けてしまいたくなるような歴史でも知らなければならない事がたくさんあるのだと思う。

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2013/04/13

 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞とニュースになっていたので気になっていたのでこの際購入。表紙から伝わるインパクトもそうですが、内容も重苦しくシベリアの白とおぞましいほどの絶望が描かれていました。  思い出せない記憶。冒頭、作者が父から体験を聞くときにボソッと「思い出せ...

 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞とニュースになっていたので気になっていたのでこの際購入。表紙から伝わるインパクトもそうですが、内容も重苦しくシベリアの白とおぞましいほどの絶望が描かれていました。  思い出せない記憶。冒頭、作者が父から体験を聞くときにボソッと「思い出せんよ・・・」言い始まるこの物語は19歳の少年が背負うには大きい絶望の話でした。終わらない強制労働、次々に死んでいく仲間、弱っていく自分、小澤さんが味わったであろう絶望の一片を少なからずこの作品で感じ取れたのはとても貴重だと思いました。自分も祖父の戦争の話は毎回よく聞いていたけど今となるとぼんやりとしか思い出せないのが悔やまれます。  簡略的な画風ながら絶望が伝わる演出。収容所編の仲間を引きずっての行進、ラストのキウダの暴虐的な風、帰国編のシラミなどこの画風だからこそ活きた構成がそこにはあって、とくに収容所編の行進シーンは絶望で心まで凍ってしまう男たちの顔が全員表紙のような1人の抑留者となり、この絶望が万人に振りかかるほど大きいものというイメージをこちらに伝えてくる強烈な絵でした。  自分は正直こんな辛いことあったら忘れたいと思います。世間の戦争を忘れないためなんてそれ相応の理由があったとしても。小澤さんのように思い出してもいいなんていう考えに自分は至れるのかなぁ。

Posted byブクログ

2013/03/01

 絵が巧い。  可愛らしくて、リアルな絵柄ではないけれど、だからこそ、色々伝わって来るものがあるのかなと思う。  絵がリアルであればある程、その場面の惨たらしさに心を奪われて、恐怖で心を満たされてしまって、その先にある物が感じ取れなくなるのかも知れない。  とてもとてもおすすめ...

 絵が巧い。  可愛らしくて、リアルな絵柄ではないけれど、だからこそ、色々伝わって来るものがあるのかなと思う。  絵がリアルであればある程、その場面の惨たらしさに心を奪われて、恐怖で心を満たされてしまって、その先にある物が感じ取れなくなるのかも知れない。  とてもとてもおすすめしたい漫画。

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