シフォン・リボン・シフォン の商品レビュー
長年続いた書店が閉店し、ランジェリーショップが出来る。店の名前は『シフォン・リボン・シフォン』。シフォンもリボンも、女性が幼い頃から憧れてきたアイテムで、ふんわり甘いイメージ。シャッター商店街が並び、保守的な親に反発し、かつ東京に憧れて若者が出ていってしまう川巻町には、いささか...
長年続いた書店が閉店し、ランジェリーショップが出来る。店の名前は『シフォン・リボン・シフォン』。シフォンもリボンも、女性が幼い頃から憧れてきたアイテムで、ふんわり甘いイメージ。シャッター商店街が並び、保守的な親に反発し、かつ東京に憧れて若者が出ていってしまう川巻町には、いささか不似合いなモダンな店名である。 全四話構成で、第一話は、両親に抑圧されて育った佐菜子、第二話は、息子と巧くいっていない米穀店の主・均など、店を訪れる人達のエピソードだ。後二話はショップのオーナー・かなえのエピソードが収録されており、第三話ではなぜ彼女が川巻町に店を構えたのかが明かされる。第四話はかなえと母のエピソードと並行して、ショップを訪れるかつての名家夫人とかなえとのやりとりが加わる。 息子の行動を不審に思った均が真相をつきとめるミステリー要素があり、かつ主人公が唯一抑圧してきた側となる第二話以外は、親との間がうまくいっていない女性が、自らの重荷を下ろすまでを、過去の回想を交えて描くスタイルだ。母と娘のぎくしゃくした関係といえば、よしながふみさんの『愛すべき娘たち』のラスト・エピソードの台詞「分かってるのと許せるのと愛せるのとはみんな違うよ」を彷彿とさせる。また、女性が同じ女性である母親の台詞に傷つくというエピソードは吉田秋生さんの『桜の園』でも描かれており、おそらく同じ体験をしたであろう多くの女性読者の共感を得ることが予測できる。本作では、母娘の不器用な関係を繋ぐものとして、或いは、母親への自己主張の証として、或いは子供の秘密を明かす鍵として、ランジェリーが登場する。第一話&第三話で主人公が傷つけられるシーンはかなりきつく描かれており、読んでいて苦しく感じる人もいるかもしれない。しかし、その分後半で、相手を許す度量を身につけたり、相手に動じない強さを身に付けたヒロインの変貌ぶりにカタルシスを感じて、素直に拍手喝采できるのではないだろうか。
Posted by
片田舎の商店街にできた、お洒落なランジェリーショップ。需要はなく、すぐになくなるかと思いきや……。 訪れる客、胡散臭く思う同商店街の店主、ランジェリーショップの店主の視点から描かれる作品。 予想通り、面白かった!あっという間に読めた。続編を希望したいが、随分前の作品だから難し...
片田舎の商店街にできた、お洒落なランジェリーショップ。需要はなく、すぐになくなるかと思いきや……。 訪れる客、胡散臭く思う同商店街の店主、ランジェリーショップの店主の視点から描かれる作品。 予想通り、面白かった!あっという間に読めた。続編を希望したいが、随分前の作品だから難しいかな……?
Posted by
小さな田舎町の商店街にオープンしたランジェリーショップ「シフォン・リボン・シフォン」 そのお店の扉を開いた人々と店主の物語… 近藤史恵さんの作品はミステリーばかり読んできたので、新鮮… 両親に抑圧され自分のしたいこともできずに母親の介護をする佐菜子 ○思う部分に的確にことばで...
小さな田舎町の商店街にオープンしたランジェリーショップ「シフォン・リボン・シフォン」 そのお店の扉を開いた人々と店主の物語… 近藤史恵さんの作品はミステリーばかり読んできたので、新鮮… 両親に抑圧され自分のしたいこともできずに母親の介護をする佐菜子 ○思う部分に的確にことばで針を刺し、佐菜子が痛みを感じるようにして、思うままに操った ○いつだって親との縁なんて切れるんですよ。そう思えば、絶縁は最後の手段に取っておけますからね ○きれいな下着を身に着けると、自分がとても大切に扱われているような気がするの 息子が新しくできたランジェリーショップに出入りするのを知った父親 ○なぜ、自分には見えなかったのだろうか。きっと考えれば考えるほど、打ちのめされることになる ○自分には、この店に「この街から出て行け」という権利はない ○頑固オヤジは頑固オヤジとして死んでいくしかない。変わることが難しいことは、自分がいちばんよく知っている お金は無くなったのに、昔のお嬢様時代を忘れられない老女 ○あなたは幸せね。こんなきれいなものにいつも囲まれているんだから ○ただ大切にされること。彼女はそれに飢えてきたのだと思う ○お客様を自分のいちばん大切な人だと思うの。それが、決して安くないものを売る人間の忘れてはならない気持ちだと思っている そしてランジェリーショップ「シフォン・リボン・シフォン」店主、かなえ… ○人は縁がなければ生きていけないし、身内というのは一番最初で最後の縁なのだと思う ○身内を切り捨てるのには、それなりの痛みや覚悟が必要なのだ。しかも、痛みは一瞬ではない。切り捨てた傷はいつまでもじくじくと膿み続ける 親子関係、家族、病気、介護… 自分の心に突き刺す針 針を抜くこともできる でも抜くことをせず、自分の心にリボンをかける!バランスをとる 美しい下着の力を借りて…
Posted by
好きを集めた素敵なランジェリーショップと、重い現実の話が対照的で、それが印象に残っています。それにより、夢のようなふわふわした話ではなく、地に足ついた話となっています。 ランジェリーショップは、なんとなく敷居が高い感じがして、あまり行ったことがありません。ただ、好きなものを身につ...
好きを集めた素敵なランジェリーショップと、重い現実の話が対照的で、それが印象に残っています。それにより、夢のようなふわふわした話ではなく、地に足ついた話となっています。 ランジェリーショップは、なんとなく敷居が高い感じがして、あまり行ったことがありません。ただ、好きなものを身につけることで、自分を大切にしているように思える感覚はよくわかります。ランジェリーを自分のために楽しむのもありだなと思いました。男性にもこの感覚ってあるのかな。。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昔、たっかい補正下着を買ったことがある。友だちの間でちょっとはやって(というか、簡単に言うと軽めのマルチ)周りで何人か買ってたんだけど、そのうちの一人が、そこの下着を使うようになってから、性格までちょっと明るくなった感じで、すごい影響だなと思ったんだった。 多分、自分の身体にあった下着をつけて(下着自体はいいものだった)、スタイルがよく見えるようになり、姿勢もよくなって、それが自信につながった、ということだったんだろうけれど、下着にお金をかけるというのは(相手がいることもあるし、誰かに見せるためというのもあるけれども)結構「自分にお金をかける」ことに直結していて、そこから得られるものって、大きいよな、ということを思い出した。 この小説が、輸入品の高級ランジェリーを扱いながら、家族や介護、そして地方の閉塞感をテーマにしていくのは、そこに「自分をどう大事にするか」が密接にかかわってくるからなのかもしれない。 自分を大事にするって、ただ自分を甘やかせばいいだけじゃなくて、自分と向き合って本当にやりたいことを考えたりとか、これはできないって認めないといけなかったりとか、言い訳してないで努力しないといけなかったりとか、しんどいことも意外と多い。でもその先にしか幸せは得られないんだよ、というメッセージだよなと。 妊娠出産、さらにはコロナでリモートワークメインになり、下着もラクなものばっかり着るようになってしまった自分をちょっとだけ反省。
Posted by
新年の初読書。 ランジェリーショップは、入るには勇気がいるけど、それでテンションが上がる気持ちはよくわかる。母との関係の悩み、介護の悩み、自らの病と、たくさんの苦難があるけれど、書き振りが軽快でさらさらと進んでいく感じだった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
けっこう前の小説ですね。だからかな、娘を支配したり女性を見下す親が出て来てムカムカしました。 ランジェリーショップ「シフォン・リボン・シフォン」を経営するかなえの母親もそう。病気になった娘にひどい言葉浴びせてます。 そっちの怒りが大きくて、素敵なランジェリーの描写があまり入ってこなかったのが残念でした。 でも自分に合う下着を付けて、それが自信になるのっていいなあって思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
シフォン、と聞いて浮かんだのがケーキだった。 つまりシフォンケーキにまつわるお話、と思いきや開いてびっくり、まさかの下着屋さん。 改めてシフォンを調べると、薄手で柔らかい薄い生地、らしい。 なるほど、知識不足が仇となる笑 介護の話が出てきて、特に一話の主人公に共感した 私も家を出れなくて家に縛られて、自由な妹が羨ましかった 私は介護が終えた、からまだ楽。 そして夫が家から連れ出してくれた。 自分語りはここまで。 一話の店員が言った 親と縁を切ることはいつでも出来る が、良かった本当に 3話からその店員の話も出て、また別の家庭環境に、一話と正反対だと思った 自由に生きた3話 家に縛られた1話 そして2話は今の時代に相応しいものだと思った 昭和の男の価値観も読んでて不快になるのがすごい良かった 4話でまた別な家庭が出てくる それもまたちょっと面倒で……… とにかく良かった 良すぎた
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
厳しい現実の生活や親子関係が明るく変わるわけでもなく、変わらない状況に暗い気持ちになったり、辛いなと思う所も多かった。 でも4章で「もし、今の彼女が不幸だとしたら、それはきれいなものしか見ようとしなかったからだ。」 という文を読んで、下着を見て綺麗だと感動したり、ワクワクしたり、幸せを感じられるのは辛い現実を必死で生きてるからこそだと気づいた。 自分の課題に取り掛からないで、綺麗で楽しい部分だけ見ていた自分に思いがけず喝が入った本だった。 また、「自分が大切にされるということは、誰かを大切にすることと深く繋がってる」という言葉も印象的だった。愛を求めるばかりじゃなくて、自分は周りの人を大切に出来ているのかを振り返るようにしたいし、全部を分かり合えなくても、お互い1人の人として尊重する人間関係でありたいなと思った。
Posted by
ある田舎の商店街にあるランジェリーショップの話。下着は自分を大切にするため、自分のために選ぶという考え方を初めて知った。下着は毎日身につけるもので必需品なのに、それが好きとかそこにお金をかけることは憚られる。あらためて考えると不思議な考えのように思えてきた。 毎日使うスマートフォ...
ある田舎の商店街にあるランジェリーショップの話。下着は自分を大切にするため、自分のために選ぶという考え方を初めて知った。下着は毎日身につけるもので必需品なのに、それが好きとかそこにお金をかけることは憚られる。あらためて考えると不思議な考えのように思えてきた。 毎日使うスマートフォンは最新のものを買うのに、毎日使う下着には極力お金を払いたくないと思ってしまう。 この物語は家族との関わり方も考えさせられる。これから家族の形が変わったり、親の介護が必要になった時、きっとぶつかり、悩むことになるだろう。そんな時、自分に何ができるのか、自分は相手に何をしてもらえるのか、ただ話を聞く聞いてもらうだけでも関係性は変わっていくのだろう。
Posted by
