追想五断章 の商品レビュー
この小説は暗いほうの米澤穂信だった。五つの「リドルストーリー」を探して紡がれる物語。後半になるにしたがい、どうもやばいぞ、自分が予想するふうにはなって欲しくないなあと思っていたが、残念ながらそうなってしまった。でも、主人公にとっては、それまでの人生を吹っ切るきっかけにはなりそうで...
この小説は暗いほうの米澤穂信だった。五つの「リドルストーリー」を探して紡がれる物語。後半になるにしたがい、どうもやばいぞ、自分が予想するふうにはなって欲しくないなあと思っていたが、残念ながらそうなってしまった。でも、主人公にとっては、それまでの人生を吹っ切るきっかけにはなりそうではある。後味はよくない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
5編の物語を理解しようとすると、難しいのだけど、そこに隠されたものがあるという事に3編目くらいで気付いたが、回答になっているという事までは、気付けなかった。すごいなぁ
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結末がわからない五つの短編小説を集めると、その作者が起こした事件の真相がわかるという、小説内小説の形式を取った作品。 このように書くと難しい作品と思われるが、文章の読みやすさもあってとっつきにくくはない。 ただ、主人公の家族模様とアルバイトの女性はなんのために出てきているのか不明...
結末がわからない五つの短編小説を集めると、その作者が起こした事件の真相がわかるという、小説内小説の形式を取った作品。 このように書くと難しい作品と思われるが、文章の読みやすさもあってとっつきにくくはない。 ただ、主人公の家族模様とアルバイトの女性はなんのために出てきているのか不明。
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主人公や同僚の設定は個人的にはイマイチだったが、ストーリー自体は楽しめた。五断章はいずれも興味深い。
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面白い。 『満願』程ではなかったけど、いや、でもそれに匹敵するくらい、本格的で身近なミステリー小説だ。 菅生古書店に勤める青年は実父が突然亡くなったことから大学を休業せざる終えなくなり、叔父の店で居候しつつ細々と仕事を請け負っている。 ある日長野からはるばるやってきた女性、可...
面白い。 『満願』程ではなかったけど、いや、でもそれに匹敵するくらい、本格的で身近なミステリー小説だ。 菅生古書店に勤める青年は実父が突然亡くなったことから大学を休業せざる終えなくなり、叔父の店で居候しつつ細々と仕事を請け負っている。 ある日長野からはるばるやってきた女性、可南子が、5章の短編小説を探して欲しいと依頼を持ちかけるところから物語はゆっくり進み出す。 同人誌や他人の出版物に紛れ込む形で掲載されている物語たちを探し出すうちに、それが可南子の父親の手で書かれたことや、彼が殺人の疑惑をかけられていた妻(であり可南子の母親)の自殺に関連していることを突き止める。 物語はみな、その結末を明かさず、読者に委ねる形(リドルストーリーというらしい)であるということや、〈父〉〈母〉〈娘〉が登場する点で共通点がある。 リドルストーリーの結末は一行で記されており、5編とも可南子が自宅で発見している。小説が発見されるたびに、可南子から最後の一行が発表される。 可南子の母親はホテルの一室で首を吊って自殺したとされる。その部屋には父親も、自分も泊まっていた。 首を吊った時間帯に父親は何らかの理由で発砲しており、その銃声が隣室の宿泊客の耳に届いていた。 「銃で脅し、母親に自殺を強要したのでは」「そもそも娘はその現場を見ていたのでは」「夫婦の間に愛はすでになかったのでは」。 それぞれの疑惑に対し、真実を告げる意図で書かれた5つの断編集。 単なる古書探しが、人生の答え探しに変わっていく。 主人公の朴訥な人柄も良い味を出していて、ハマる一冊。
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「満願」でお気に入りの米澤さん、設定が面白そうで購入。学費の関係で大学を休学し伯父が経営する本屋を手伝う主人公。そこに、とある本を探して欲しい、とわざわざ長野県の松本から尋ねてきた女性… 探しものは短編5作。 1編1編、見つかっていく短編。なんでもないと思えていたその中身に実は...
「満願」でお気に入りの米澤さん、設定が面白そうで購入。学費の関係で大学を休学し伯父が経営する本屋を手伝う主人公。そこに、とある本を探して欲しい、とわざわざ長野県の松本から尋ねてきた女性… 探しものは短編5作。 1編1編、見つかっていく短編。なんでもないと思えていたその中身に実はなにか秘密が隠されているのではないか、と感じ始める主人公。次第に依頼であることも忘れ、10万円もらえること自体も放棄しその謎に夢中になってゆく。 すべてを集め終わったときに見えてきたのは、女性の両親に関する謎だった… 米澤さん独特の、すーっと汗がひいていくような、あるいはゾッとするような最後の展開が今回もありました。殺人事件や大規模な事件解決ではない、より身近な視点で小さな謎を解き明かしていく、、そこには予想もしなかった展開が待ち構えている、米澤さんらしいお話で小気味好く楽しむことができました。
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リドルストーリーという言葉がそういう意味と初めて知りました。 五つの断章はなかなか後味悪いけど、私は好きです。ちゃんとした結末がなくても楽しめるかも。
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2018年11月16日再読。 前回、読了したのは2年前。うっかり(?)レビューを書きそびれたので、この機会に。 伯父の店である菅生書店に居候している菅生芳光は、店に現れた北里可南子に、ある小説が載った雑誌を買い取りたいとの申し出を受ける。 そして、探している小説は他に4篇あり、...
2018年11月16日再読。 前回、読了したのは2年前。うっかり(?)レビューを書きそびれたので、この機会に。 伯父の店である菅生書店に居候している菅生芳光は、店に現れた北里可南子に、ある小説が載った雑誌を買い取りたいとの申し出を受ける。 そして、探している小説は他に4篇あり、1篇見つけるごとに10万円という破格の報酬を提示され、芳光はその依頼を受ける事にするが・・・。 実家の事情でお金に困り、大学を休学中の芳光。 何やら訳ありな女性である可南子。 小説を探す内に、段々と明らかになる可南子の素性。 登場人物の事情の関係で、全体的に暗めな流れですが、雰囲気があり、私的には好みなお話。
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伯父の古書店に居候しながら店の手伝いをしている主人公が 店を訪ねてきた女性から5つの作品探しの依頼を受けるのだが 調べるうちに昔の事件が絡んできて・・・ってお話し。 5つの物語に秘められた意味と、事件の真相とは・・・? って感じの内容なんですが、後半に予想外の展開が。 これは単な...
伯父の古書店に居候しながら店の手伝いをしている主人公が 店を訪ねてきた女性から5つの作品探しの依頼を受けるのだが 調べるうちに昔の事件が絡んできて・・・ってお話し。 5つの物語に秘められた意味と、事件の真相とは・・・? って感じの内容なんですが、後半に予想外の展開が。 これは単なる絵合わせ的なものではなかったらしい。 結果、どんよりとした読後感が残ってしまったのだけど たった1行の結末がもたらすマジックに驚いてしまった。 ミステリ初心者(未だに)にとっては美味しい作品でした。
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あまりに無駄がなく完璧。 作中の短編ですら引き込まれるし、それが後半になると、唐突に姿を一変させる。 ここまで凝ったことが人間に可能なのか、と感嘆してしまう。 読んで損はない本。
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