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追想五断章 の商品レビュー

3.7

330件のお客様レビュー

  1. 5つ

    47

  2. 4つ

    137

  3. 3つ

    105

  4. 2つ

    10

  5. 1つ

    2

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2025/02/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

リドルストーリーという言葉は本作で初めて知ったのですが、考察の余地がある作品が好きなのであらすじに惹かれて手に取りました。 推理小説というよりは明治時代の純文学を読んでいるような感覚。大きな盛り上がりはなく割と淡々と物語が進むので一気読み必須!という感じではないけれど、徐々に過去が浮かび上がってくる様が面白かったです。でも全てが詳らかになるわけでもないのがこの物語の結末としては最適解だと思います。 叶黒白こと北里参吾は『山月記』の李徴に性格が似ていると感じ(本文より引用「自尊心が強い割に皮肉なところがあって…」「この誇り高い男に…」)、斗満子は『痴人の愛』のナオミを連想させる女性だな(「彼女が悪ずれしているように思えて…」「斗満子さんの移り気と贅沢に悩まされ…」)などと思っていたら、解説で「(米澤穂信さんは)たぶん中島敦も好きだろう。」と書かれていてやっぱりそうだよね?!とちょっと嬉しかったです。

Posted byブクログ

2025/02/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あえて結末は読者に委ねるリドルストーリー。 本書では亡くなった父が昔寄稿したらしい5編の話を探す話であるが、その5編ともリドルストーリーでありながら、それぞれの結末の1行、答えともいえるのか、も読むことが出来る。 その最後の1行を読む手前で読者は凡そ2択の選択肢のどちらなのだろうかと考える形なのだが、答えを知ることでスッキリ感もありながら、これは答えを知らない方が味があって良かったな、などと感じた。 リドルストーリーの面白さを楽しみながら考えることができた。 真相は思ったより定番のものだった。 主人公自身もバブル崩壊により父の事業が失墜し、そのまま飲酒による事故で亡くなり、生命保険で借金は消え、父が仕事用に購入していたプレス機を売却するなどしていくらかの小金も得たが、その後の収入がなくなり、法学部に進学したものの休学。そのまま叔父の営む古書店を手伝いながら下宿。家で1人寂しいので帰ってきて欲しい母親と、帰りたくない息子。 結局は大学を諦めて帰ることにしたようだが、そのどうしようもない現実と無念さが米澤さんらしい。

Posted byブクログ

2025/02/03

良かったですね〜! 全体的にずっと暗い、ミステリとしての面白さはもちろん、文学的に楽しい。文書がうますぎるな米澤穂信。 時代がバブルが弾けて全部がどんよりしていて、悲壮感がすごい。亡き父が残した小説を探して行くうちに謎が少しずつ解き明かされていくんだけど、最後読んで最初に戻ると...

良かったですね〜! 全体的にずっと暗い、ミステリとしての面白さはもちろん、文学的に楽しい。文書がうますぎるな米澤穂信。 時代がバブルが弾けて全部がどんよりしていて、悲壮感がすごい。亡き父が残した小説を探して行くうちに謎が少しずつ解き明かされていくんだけど、最後読んで最初に戻るとああ!!そうだったのかという驚き。 亡き父が残した小説も味があっていいんだよね。雰囲気がいい。 米澤穂信って、絶妙にイヤな設定にすることで物語に奥行きを出すよなぁと改めて思った。 主人公も、父親が借金残して亡くなって、大学休学せざるを得ず、本編では救いの手も大して出されない… これが多分普通の大学生とかだったらこういう雰囲気にならないんだろうな。 他の作品とかでもそんなネガティブ設定普通いらんやろ…?みたいなのよくあるけど、それが秀逸

Posted byブクログ

2025/01/22

10年以上前の作品。古書店に居候する主人公が依頼を受けて五篇のリドルストーリーを探す話。少々後味の悪さを感じるが、この小説自体がリドルストーリーのようになっている。

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2025/01/17

結末のない物語『リドルストーリー』を探すという物語。 ただ、それだけに終わらずどこか暗い雰囲気を漂わせながら物語が進んでいき、いつの間にかその世界に没入。 読後はこの物語のその後の結末を考えさせられた。

Posted byブクログ

2025/01/15

この話はバブル崩壊直後の時代が舞台となっているためか、話の半ばあたりで少々陰鬱な気分になってしまいました。しかし、最後まで読んでみると、陰鬱とはまた違った、悲しい気持ちになりました。心地の良い悲しさでした。 「リドル・ストーリー」というジャンルも新鮮で面白かったです。 良いお話で...

この話はバブル崩壊直後の時代が舞台となっているためか、話の半ばあたりで少々陰鬱な気分になってしまいました。しかし、最後まで読んでみると、陰鬱とはまた違った、悲しい気持ちになりました。心地の良い悲しさでした。 「リドル・ストーリー」というジャンルも新鮮で面白かったです。 良いお話でした。

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2024/12/31

謎を解決しないまま終わる、結末のない物語「リドルストーリー」と言うらしい。初めて知った。 依頼を受けて5つの短編リドルストーリーを探し始めるが、その背景にはある事件が深く関わっていた。 作品の展開やモチーフ自体も面白いが、探し当てた5つの短編がまた面白い!さすが! 全てを読み終...

謎を解決しないまま終わる、結末のない物語「リドルストーリー」と言うらしい。初めて知った。 依頼を受けて5つの短編リドルストーリーを探し始めるが、その背景にはある事件が深く関わっていた。 作品の展開やモチーフ自体も面白いが、探し当てた5つの短編がまた面白い!さすが! 全てを読み終えてから、もう一度序章を読んでみた。最初に読んだときはチンプンカンプンだったけど、そう言う事かー!情景が手に取るように目に浮かびました。景色が開ける思いです。

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2024/12/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半は、「読みやすいし面白いけど、何がテーマなんだろう、何を伝えたいんだろう」と考えながら読んでいた。自分が鈍感なだけなのは分かってるけど。 五断章が、「アントワープの銃声」の「問いに対する答え」なのだと分かってからはなるほど〜!!と感心した。 そして最後の「雪の花」。これだけは先に結末の一行が明かされていたけど、「答え」と言えるものではないけどな、と思いながら本編を読み始めた。 結局明確な答えは書かれていなかったし、想像して推測することしかできない。最後の最後が、リドルストーリー、結末の一行はあるけど、それがあっても推測するしかできないようになっていたのが面白い。自分の理解力が足りないのかなと思って調べたけど、「リドルストーリー」ということでいいらしい。 だから、自由に考えてみた。最後の問いは、夫婦二人の間に愛があったかどうか。自由に考えていいなら、愛はあった、問うまでもない、と思う。

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2024/11/30

リドルストーリーというものを知った 最後にあれで終わるというのが少しもどかしくもあり美しさや儚さを感じる

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2024/10/12

五篇のリドルストーリーを追い求める、初めから終わりまで哀愁漂うお話でした。 人生にはドラマが必ずしも巻き起こるわけではなかったり、真相は明かされるものばかりではないし、真実だと思っている出来事が作り物のこともある。 わたしにとってはとても渋い世界観だったけど、飽きずに読ませる文...

五篇のリドルストーリーを追い求める、初めから終わりまで哀愁漂うお話でした。 人生にはドラマが必ずしも巻き起こるわけではなかったり、真相は明かされるものばかりではないし、真実だと思っている出来事が作り物のこともある。 わたしにとってはとても渋い世界観だったけど、飽きずに読ませる文章力がさすが米澤先生だ。

Posted byブクログ