かすてぃら の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
死。 人が生まれたら必ず経験するもの。 特に直系の親族や年の近い家族の死は、周囲にとっては大きな悲しみであることは言うまでもありません。 当然の事ながら、その辛さは芸能人でも一般人でも変わりはありません。 ・・・ 本作「かすてぃら」は、歌手のさだまさしさんのお父様の死に際から始まる、言わばファミリーヒストリーの回顧です。 ・・・ その父親の豪快さ故か、文章はどこか軽妙でユーモラス。そして昭和の牧歌的な雰囲気が全編に漂います。 満洲で育ち中国語を解し当地で徴収、引き上げに際して戦友の地元であり母の出身地であった長崎に還ってきたさだの父、雅人。人が良くて他人の保証人になっては借金を肩代わりする。借金の返済を迫るヤクザに逆に凄みを利かせともに心中しようとする。そんなチンピラも、頭を下げる場合には助けてあげてしまう。水害で商材の材木を失い大損害を出しても、友人の安否の方が大事。お金を持っていない自分が悪いのに高速道路の集金でツケ断られもめにもめる。駐禁で捕まった警察官にキレて、爾来駐禁を見つけるとその警察官に取り締まるよう電話する(メンドクサ!)、等々。 こういう規格外の方なので、何のかのと人が集まる。明るい偏屈さ、とでもいうのでしょうか。 きっと実際には家族が被った迷惑もそれなりにあるのでしょうが、奥様の内助の功でしょうか、家族が仲良く関係を維持できているというのは素敵なことだと思います。 ・・・ 興味深いのは、題名にもなっている「かすてぃら」。 昭和の終戦後、カステラは地元の名産やローカルな食べ物というより、むしろ贈答品。ヤクザの親分のお礼の時も出てきますし、改まったときに桐箱に入ったカステラを贈ることで何がしかの誠意を示そうとする。そんな詫びを断る、礼も受け入れない、でも持ってくるカステラだけは受け取るという雅人。そのカステラを愛してやまない姿がなんとも微笑ましい作品でありました。 なお本作でも高級品として福砂屋のカステラが登場。私も長崎に行ったら是非食べてみたい笑。そういうと、思案橋のそばの宝雲亭でぎょうさを食べるという話も出てきました。こちらも気になる。 ・・・ ということで、ほのぼのとしたファミリーものの小説でした。 私も老いた両親を持つ身として、その関係に悩むものです(まあ親父はボケ気味だし、お袋は面倒くさいし)。でも順番を考えれば、諍い争う時間は本当にもったいない。できるうちに孝行はしたいと改めて思った次第です。 親が面倒だと思っているこどもたち、長崎に縁のある方、ファミリー系の話が好きな方にはお勧めできると思います。文章も至って平易ですので、中学生、場合によっては小学生でも読める本だと思います。
Posted by
エッセイなのかな?・・・と思って手にしたのですが 本の解説には「自伝的実名小説」と。。。 なんじゃそりゃ?と思い読んでみたら、小説仕立ての やっぱりエッセイでした(笑) さだまさしという、繊細かつ大胆でユーモアと才能あふれる人物が どのようにして出来上がったのか、 この本を読む...
エッセイなのかな?・・・と思って手にしたのですが 本の解説には「自伝的実名小説」と。。。 なんじゃそりゃ?と思い読んでみたら、小説仕立ての やっぱりエッセイでした(笑) さだまさしという、繊細かつ大胆でユーモアと才能あふれる人物が どのようにして出来上がったのか、 この本を読むとそのルーツがわかります。 今は亡き、さださんの父について書かれたこの本は 豪快且つ正義感にあふれた男の、 昭和を生き抜いた一代記でもありました。 自分が損をすることにばかり、異常に神経質な今の世の中では もう決してこういう人物は輩出されないんだろうなぁ。。。 そう思うと、ちょっと淋しかったりもするのでした。
Posted by
エッセイの様で、とても読みやすかったです。 破天荒なお父様だったのですね。 こんな風に、遺しておけるのは良いな~と思いました。
Posted by
さだまさしの、父親との思い出。 まず、よくそんなに昔のことを覚えているなと感心した。超個性的な父親だったというのはわかるが、それでもこれだけエピソードを覚えているのはすごい。それと、長崎の地理になじみがあれば分かりやすいが、なじみがないとちょっとわかりにくいんじゃなかろうかと思っ...
さだまさしの、父親との思い出。 まず、よくそんなに昔のことを覚えているなと感心した。超個性的な父親だったというのはわかるが、それでもこれだけエピソードを覚えているのはすごい。それと、長崎の地理になじみがあれば分かりやすいが、なじみがないとちょっとわかりにくいんじゃなかろうかと思った。そういう意味では、長崎に来てからこの本を読んだことはよかった。まだ長崎の文化はわからないところがあるが、現実の知識とこういう本を読むことで理解が深まる。折しも長崎新聞でさださんの連載が始まったところなので、そちらもしっかり読みたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まっさん最高です! これは完全ノンフィクションなのかな?お父さんはもちろん、お母さんも弟妹も友達も周りの人たちが本当に暖かくて素敵。泣きながらぷぷっと笑ってしまうのなんて久しぶりの体験だなー。エピソードの折り込み方が好き。「かすてぃら」も効いてます。 なんだかリリーさんの「東京タワー」を読んだときを思い出した。ちょっと違うけどどちらも好きです。 さださんの歌があたたかいのは、あたたかい人に囲まれて生きてきたからなんだなあ。 柴田先生って、「風に立つライオン」の人?? カバー外すとカステラ色です。ふふ。
Posted by
チチキトク、から、亡くなられるまで。間でお父さんの思い出が語られます。豪快なエピソード満載。良書です。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
身内のことを書いているせいか、本人や関係者なら もっともっと面白いんだろうなあ、と思った。 しかしすごい人です、お父さん。 偶然今日と明日で、テレビで映像が放送されるので、 そっちも見てみたいと思います。
Posted by
ドラマ化されたものは見ていないが、さだまさしの豪胆な父親の物語である。 危篤を告げられてからの数日間と、父にまつわるいろいろな思い出が交互に語られている。 さだまさしが映画「長江」で巨額の債務を負ったということは聞いていたが、それは父親が原因だったとは知らなかった。 作中ではその...
ドラマ化されたものは見ていないが、さだまさしの豪胆な父親の物語である。 危篤を告げられてからの数日間と、父にまつわるいろいろな思い出が交互に語られている。 さだまさしが映画「長江」で巨額の債務を負ったということは聞いていたが、それは父親が原因だったとは知らなかった。 作中ではその顛末は語られていないが、他の様々なエピソードから、さもありなんと、想像をふくらませた。 こんな肝っ玉の太い親父は、もう日本には生まれないかも知れない。
Posted by
さだまさしさんのお父さんの思い出。 危篤のベッドサイドでお父さんの破天荒な生きざまを振り返る。 客観的にはとても良い親父とは言い難いのに、肯定的に受け止められるまさしさんは大人で親孝行だな。 お祖母さん、お父さん、お母さん皆、生き方が凄い。 それを受け継いだのがさだまさしさんなの...
さだまさしさんのお父さんの思い出。 危篤のベッドサイドでお父さんの破天荒な生きざまを振り返る。 客観的にはとても良い親父とは言い難いのに、肯定的に受け止められるまさしさんは大人で親孝行だな。 お祖母さん、お父さん、お母さん皆、生き方が凄い。 それを受け継いだのがさだまさしさんなのだなあ。
Posted by
小説って分類になってるけど、こりゃエッセイですよね すごいお父さんだったんだ、さださん 私の亡くなった父とほとんど同じの大正9年生まれの方だったそうですが、この世代の人は戦争を生き抜いた人たちで、私の父はタイプは全く違ったけど、改めてすごかったよなあって思いました 合掌 こ...
小説って分類になってるけど、こりゃエッセイですよね すごいお父さんだったんだ、さださん 私の亡くなった父とほとんど同じの大正9年生まれの方だったそうですが、この世代の人は戦争を生き抜いた人たちで、私の父はタイプは全く違ったけど、改めてすごかったよなあって思いました 合掌 これもNHK BSで遠藤憲一でドラマが始まります
Posted by