ファミリーツリー の商品レビュー
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大学以降の主人公のダメっぷりが際立つ。なんだか、自分の悪いとこをデフォルメされて揶揄されているような気がして(被害妄想)、こいつの行動を読むのは正直ゲンナリだった。 ヒロイン、リリーの「空とおしゃべりする少女」という設定や、愛犬海の悲劇、スバルおじさんの風来坊な生き方、主人公の姉…張られる設定や伏線が回収されきれず、あるいは完全に放置されていて、勿体ないやらもどかしいやら。 今まで読んできた小川糸の作品の中では「ダメ糸」側に属するこの作品。 それでも、菊さんの御霊を迎え送る、初盆のシーン。あのクライマックスが美しくて幻想的で、あれがあるなら、伏線ほったらかし、魅力ない主人公…その他の瑕疵もまぁ許してエエか、と思えるくらい読者冥利につきるシーンだったので、そこだけで☆増やすことにする。 ラストシーンが余計。蛇足の意味を知る(笑)
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リュウは幼い頃から夏が来る度、曾祖母の菊さんが営む旅館の一室に姉の蔦子とそして東京からやってくる親族のリリーと寝泊まりしながら豊かな穂高の自然の中を駆け回り冒険を重ね、かけがえのない日々を過ごすのだった。リュウとリリーの幼ない友情はやがて恋心にかわり、大人になってからは喧嘩して疎遠になるも、血の繋がったものとしての同胞意識が2人を繋ぎ、家族や友人達を交わえつつ絆を強めていく。大空と大地の恵みと人の温もりがたっぷり感じられる現代のオアシスのような物語だった。
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19.01.13~ 犬のシーンが辛い。 りゅうとお父さんとの関係も、なんだか納得できない。 ほのぼのとした部分もあるけど、ね。
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内容紹介 だって、ぼくたちはつながってる――長野県穂高の小さな旅館で生まれた弱虫な少年、流星は「いとこおば」にあたる同い年の少女リリーに恋をし、かけがえのないものに出会う。料理上手のひいおばあさんや、ちょっと変わったおじさんなど、ユニークなおとなたちが見守るなか、ふたりは少しずつ...
内容紹介 だって、ぼくたちはつながってる――長野県穂高の小さな旅館で生まれた弱虫な少年、流星は「いとこおば」にあたる同い年の少女リリーに恋をし、かけがえのないものに出会う。料理上手のひいおばあさんや、ちょっと変わったおじさんなど、ユニークなおとなたちが見守るなか、ふたりは少しずつ大人になっていく。命のきらめきを描き出す、渾身の一作。 同い年のリリーがスペインの血が入っているクォーターなのでエキゾチック美少女。そんな美少女と幼馴染で遠い親戚、しかもお互いに惹かれ合う。なんて羨ましい状況なんでしょうか。 幼少のころから綿々と築かれてきた血のつながり。そんな中でどれだけの人と関わりながら人生を全うできるのやらという所でしょうか。なんだかんだ時間が経つと親戚程度の付き合いだと疎遠になるのが現代。僕自身あまり親戚付き合い得意ではないのですが、遡って行くと木のように枝分かれして自分に辿り着く事は重々承知知っております。僕の書いた「枝」という曲もテーマはそこにあります。 ちなみに主人公が結構へたれで、こだわりばかり強い少年なのですが、一部自分でわかるなあと思う部分もあり、色々昔の事思い出しました。美人幼馴染は居ませんでしたが。 きれいきれいに書かれているので、すいすい読めますが、深い題材の割にはちょっと安直かなあと思いました。
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小川糸さんの作品を読むきっかけとなった本。他の作品を見ても思うが、自然を舞台にするところ、瑞々しい感情描写、季節感盛り沢山なのが小川作品の特徴なのかなと何作か読んで気がつきました。 この要素がとても好きで読んでいると優しい気持ちになれるし忘れていた素朴な感情を思い出させてくれる。
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『食堂かたつむり』『蝶々喃々』もとても好きな物語。 『食堂かたつむり』は静かな山村、『蝶々喃々』は東京下町、そしてこの『ファミリーツリー』は季節の移ろう穂高の景色をものすごくきれいに写し取っていて、それだけで美術館のような文章。自然の移り変わり、草木、動物、命あるものの描き方がと...
『食堂かたつむり』『蝶々喃々』もとても好きな物語。 『食堂かたつむり』は静かな山村、『蝶々喃々』は東京下町、そしてこの『ファミリーツリー』は季節の移ろう穂高の景色をものすごくきれいに写し取っていて、それだけで美術館のような文章。自然の移り変わり、草木、動物、命あるものの描き方がとても素敵だ。 登場人物の心模様もそれと似ていて、嫉妬や葛藤や絶望やどろどろした部分、憧れや喜びや恋心やきらきらした部分が、夏もあれば冬もあるように全部同じあたりまえにあるものとして描かれている。主人公のひいおばあさんの菊さんが「人だけが特別だと思っちゃいけない、草も虫もみんな同じだ」と言うその言葉がとても印象に残る。 ファミリーツリー = 家系樹(図)、タイトルに込められた意味が後半でふわりと大きくなってくる。 家族が増えていくこと、人と人が出会って睦み合って子孫を残していく営みというのも自然の大きな流れのひとつなんだなあとじんわり感じさせる。その中で性の描写も生々しくなく自然のことのようにあるのもとてもよかった。食べる、寝る、心を揺さぶる、そうやって生きて死を迎えていくこともあたりまえのことなのだとすっと思える。 ストーリーもよかったけれど、全体を包むゆったりとした流れが心地いいなぁと思えるような物語でした。
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叔母と甥という関係ながら歳が1歳しか違わない2人の成長物語とでも言うのか。 少しずつ近付いたり離れたりしながら、さまざまな出来事を乗り越えて成長し、理解し合うストーリーが爽やかで、人との繋がりに温かさを感じる作品でした。
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長編小説だけど、読みやすい。キーパーソンがご老人、ってパターンは小川さんに結構見られるけれど、今回はそこまでキーってほどでも…ない?わたしがそう思っただけかも。 主人公がダメなやつなので、ちょっといらっとしながら(笑)ただ、それも普通の人が普通に葛藤する様なんだろうな。
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小川糸は「食堂かたつむり」しか読んだことなかった。 季節の移ろいや、リュウとリリーの成長していく姿、心情が丁寧に描写されていた。長野県には足を踏み入れたことがないのに、まるで何年も穂高で暮らしたかのような感覚を味わった。クライマックスでタイトルである「ファミリーツリー」の意味す...
小川糸は「食堂かたつむり」しか読んだことなかった。 季節の移ろいや、リュウとリリーの成長していく姿、心情が丁寧に描写されていた。長野県には足を踏み入れたことがないのに、まるで何年も穂高で暮らしたかのような感覚を味わった。クライマックスでタイトルである「ファミリーツリー」の意味するところを改めて感じた。 自分が故郷や家族を捨ててきたようなものだから、じーんときた。たまには電話でもしようかなと思った。
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小川糸ブームが個人的に来ているので近頃よく読んでいる。 ファミリーツリーとは要するに家系図のことなのだけれど、読み始めはクリスマスツリー的な何か記念のツリーをあれこれする話かと思っていたので読み進めるうちにどうやら違うらしい、と。 親戚内でひとが関わりあっていくお話でした。 小川...
小川糸ブームが個人的に来ているので近頃よく読んでいる。 ファミリーツリーとは要するに家系図のことなのだけれど、読み始めはクリスマスツリー的な何か記念のツリーをあれこれする話かと思っていたので読み進めるうちにどうやら違うらしい、と。 親戚内でひとが関わりあっていくお話でした。 小川糸は家族の問題を取り上げることが多いので湿っぽくなりそうなんだけど、どの話を読んでも必ずおいしい食事のシーンがあるので、良いバランスなのではないかなぁとそこが気に入っています。 たぶん動物寄りの人なんだろうといつも思う。なんというか、性についてポジティブ。人間も動物だからそういう流れがあって当然で、その流れにのることが人間の営みで幸せだということを信じる気持ちが根幹にあるような気がする。その点、同時にとても好きな島本理生とは対照的。性は傷をつけるもの というのが滲み出てる。 島本理生のその考えはよくわかるし共感することもおおいので、小川糸の考えには抵抗がどうしてもあるけど、ちがうから読むのやめちゃおうとならないのは他の部分が魅力的だからだろうな。
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