ピダハン の商品レビュー
アマゾンに住む少数民族のピダハンの言語と文化について。 聖書をピダハンの言語に翻訳するために彼らの言語を研究し、その中で今まで普遍だと思われてた人間の言語に関する常識が覆されていく。 彼らは実際に見た事しか信じず、自分たちの生活が豊かだと感じているから、他の文化や言語を取り入...
アマゾンに住む少数民族のピダハンの言語と文化について。 聖書をピダハンの言語に翻訳するために彼らの言語を研究し、その中で今まで普遍だと思われてた人間の言語に関する常識が覆されていく。 彼らは実際に見た事しか信じず、自分たちの生活が豊かだと感じているから、他の文化や言語を取り入れる事なく暮らしている。言語として抽象化が極端に少ないため、色や数、左右を表す単語がないことは驚いた。 伝道師としてピダハンの言語を元気してた著者が、ピダハンと関わることで信仰を捨ててしまうのも驚きだった。未来や過去なんかの抽象的な事を考えるから不安を抱くのであって、現在しか考えなければ信仰に頼る必要もないんだな。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ピダハン(Pirahã)というブラジルはアマゾンの中で暮らす少数部族。20年以上にわたって、何度も村を訪れては生活を共にし、学んだ著者の記録である。 ピダハンへの理解が進むにつれ、自身の信仰に揺らぎが出る、人生が大きく変わって行く著者の物語でもある。 ゆる言語学ラジオで特集されていたのが面白かったので、読んでみた。結果、すごく面白かった。このあたりのジャンルの本、もっと読んでみようかなぁ。 ・ 宣教師として、家族とともにピダハンの村で暮らしはじめる。が、まずは言葉を覚えなければ何もできない。言語学者でもある著者は、彼らの言語・文化を調べ始める。 ピダハンの人々は、みんながみんなそれはそれは幸せそうで、どの顔も笑みに彩られ、ふくれっ面ややふさぎ込んだ顔はいない。大人も子供も、著者に興味しんしんだ。 辞書も文法書も、なんならYouTubeなどの動画素材まで充実している言語ですら、外国語というのは習得がなかなか難しいのに(私だ、、)、文字すらない未知の言語をイチから調べあげるなんて、想像しただけで気が遠くなる。 でも、その過程を私は著者とともに、ただ本を読むだけでたどって行くことができる。言語学者のフィールドワークを追体験できる貴重な本なのだ。 彼らは名前が長い。もっともよく登場するいちばんの言語の師匠は、コーホイビイーイヒーアイ。そして、何かの節目で名前を変える。彼はティアーアパハイと変えた。精霊から名前をもらうのだそうだ。全く別の人間に生まれ変わるのだ。前の名前で呼びかけても返事をしてくれない。 ピダハン語には、関係節がない。また、修飾語は1つ。2つ以上になると、文を分ける。 「おい、パイター、針を持ってきてくれ。ダンがその針を買った。同じ針だ。」という。 英語なら「ダンが買ってきた針を持ってきてくれ」のひと言で済む。 この、関係節で文を入れ子構造にできることを、リカージョンと言う。ピダハン語にはリカージョンがない。 ピダハンは、直接体験したことしか信じない。これは、ピダハンの生活、言語を体験して行く上で著者がひしひしと感じていたことだ。 ピダハン語にも慣れ、聖書の翻訳にとりかかり、いくつかピダハンに説教を試みる。 聖書は、大昔に起こったとされる奇跡・物事が伝聞された書物で、実際に今の人々が体験したことではない。なので、やはりピダハンはいくら信じた方が良いと説得されても信じようとはしなかった。 そういったことに著者は心を揺さぶられた。そして、キリスト教の伝道師たる自身の信念にも疑念を抱きはじめた。それから20年もの間、隠れ無神論者として過ごし、打ち明けた結果は、家族を失うこととなってしまった。 言語と文化はセットで互いに影響を及ぼしている、と言うのがこの本の大まかな主張(だと思う)。 ピダハン語には「心配する」に対応する語彙がない。著者は過去30年あまり、アマゾンの他の部族の調査も行ってきたが、ピダハンほど幸せそうな様子の部族は他にない。ピダハンの村にきたMITの研究グループも、これまで出会った中でもっとも幸せそうな人々だ、と評する。 著者が当初宣教しようとしていたキリスト教の教徒より、他のどんな宗教の人々より、ピダハンは類をみないほどに幸せで充足し切った人々だ。 そんな締めくくりで終わった。 ピダハン語の音源をYouTubeで見つけて聞いてみたが、めちゃくちゃ難しそうだ。これを聞き取れるようになる気がしない。著者の根気に改めて敬服する。 本の途中、言語学的観点から難しい文章が延々と続く章があるが、その辺は目が文字の上を上滑りしているだけだった。。。何もわからん。日本語さえ。。。 しかし、とにかく面白かった!
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とても面白く読んだ。 ピダハンの強固な世界観に驚く。 進取の気性というのが全くなく、自分たちの生活を良いものとして続けるというのは、なかなか稀な事だと思う。ひょっとしたら老子の言うユートピアかもしれない。 毎日を楽しく、肯定的に生きるということが幸せなのかも。うまく行くならそれは...
とても面白く読んだ。 ピダハンの強固な世界観に驚く。 進取の気性というのが全くなく、自分たちの生活を良いものとして続けるというのは、なかなか稀な事だと思う。ひょっとしたら老子の言うユートピアかもしれない。 毎日を楽しく、肯定的に生きるということが幸せなのかも。うまく行くならそれは正しい、、というフレーズを思い出した。 言語学者としての考察も面白い。 文字に関しては余り記述が無かったが、おそらく使わないのだろう。 その事は世界観に強い影響があるのではないかとと思った。
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過去回のゆる言語学ラジオで聴いて、なんか面白そう!と思ったので、夫からのお誕生日プレゼント資金で購入。 著者のダニエル・L・エベレット博士は当初キリスト教福音派の伝道師として、アマゾン川流域の一部族であるピダハンの村に赴く。1970年代から30年がかりのフィールドワークで、ピダ...
過去回のゆる言語学ラジオで聴いて、なんか面白そう!と思ったので、夫からのお誕生日プレゼント資金で購入。 著者のダニエル・L・エベレット博士は当初キリスト教福音派の伝道師として、アマゾン川流域の一部族であるピダハンの村に赴く。1970年代から30年がかりのフィールドワークで、ピダハンの言語と文化、認知世界を解き明かしていくのだが、結論から言うととにかくめちゃくちゃ面白かった。 まずピダハンの言語、文化が面白い。 数がない。色がない。左右がない。 創世神話もないし、自分たちのために食糧を備蓄することもしないから、お腹が空いても狩りに行かず、今踊りたければ一晩中でも踊る。 自分の常識はアマゾンの奥地ではまったく通用しない。 第1章ではそんなピダハン族の生活について描かれているのだが、まったくわからない言語を1から習得するという苦労、異文化を知るって簡単に言葉にするけど、その中で生活するとなると、当たり前ながら全然簡単じゃなくて、著者の奮闘ぶりにすごく引き込まれる。 マラリアで死にそうになったり、交易商人に唆されたピダハンに命を狙われたり、普通にエンタメ系な読み物としてもとてもエキサイティングだった。 第二章はピダハンの特殊な言語から、現在の言語学の主流であるチョムスキーの生成文法理論との齟齬を語っていて、 うーん、…正直めちゃくちゃ難しい。 チョムスキーって名前、ゆる言語学ラジオでは聞いたことあったけど、どんな理論を言っている人だとかは知らなかったので、wikiで調べたよね。 よくわかんなかったけど笑 ところどころ、おっ!と思うところもあったけど、一章よりページ捲るペースは遅くなった。 そして第三章。 これは素晴らしかった。 読み始めの頃からぼんやりとあった問いに一定の解を得たような、さらに大きな問いが生まれるような結びで、 少し高価な本だったけど、買ってよかったと思わせてくれた。 有用な実用性に踏みとどまり、未来を憂うことのないピダハンにとって、この民族の言語や文化を継続させようという外部からの意思というのは是か、非か? その意思とは誰のものなのか? …面白いなぁ。 実はこの本にも登場したエベレットの息子さんの、最近出た本も一緒に購入したので、そちらを読むのも今から楽しみ。
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過去や将来を考えない。その日一日を生き延びていく生活。独立した一人でありながら、集団の中の仲間意識は強い。 美しくて、優しい自然と人に囲まれているから充足していて、神話も民話も必要がない。 だから、不安や心配はない。 必要のないものを無理に取り入れない。発展せず、程よいところで維...
過去や将来を考えない。その日一日を生き延びていく生活。独立した一人でありながら、集団の中の仲間意識は強い。 美しくて、優しい自然と人に囲まれているから充足していて、神話も民話も必要がない。 だから、不安や心配はない。 必要のないものを無理に取り入れない。発展せず、程よいところで維持するということこそ幸せが続くコツなのかもしれない。 文化的なところに面白さを感じたので、言語学や旅行記的な部分より文化の比重がもっと重めだったらよかったな〜、と個人的には思う。
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・ピダハン→ブラジルの先住民 ・ピダハン語以外を使う気がない。 ・赤ちゃん言葉がない→大人も子供も対等、メンバーとして責任を負う。 ・抑うつ、疲労、不安、パニック障害等がない→心配という言葉がない。 ・苦しみ、死が当たり前→悲しんでも誰も狩りを代わってくれない。 ・未来より今を楽しむ→食料や道具の保存がない。 ・自分で自分の人生の始末をつける。 ・自分の住む土地に誇りを持っている、美しい土地、美味しい水。 ・直接体験する事しか信じない→神を信じない、他に心配がない。
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同じ言語でもその人の見てきたものや置かれている環境によって、言葉に内包された意味やイメージは変わってくる。今まで経験した会話の中にも危ういものがないか反芻する機会を得た。定説を再考察する言語学として、また作者の冒険記として(どんでん返しあり)の読み応えもあった。 ※追記 筆者が...
同じ言語でもその人の見てきたものや置かれている環境によって、言葉に内包された意味やイメージは変わってくる。今まで経験した会話の中にも危ういものがないか反芻する機会を得た。定説を再考察する言語学として、また作者の冒険記として(どんでん返しあり)の読み応えもあった。 ※追記 筆者がピダハンと共に過ごしたこれだけの時間も費やしても、人間同士の関係性は研究対象の域を越えれないのであれば、隣の人を理解することも到底困難であろう。 良い関係を築くために大事なことは、双方向で研究対象であり続けることなのかもしれない。
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左右の概念、数字の概念がない民族に興味を持ち読んでいたが、想像以上に興味深かった。ピダハンが重んじるのは現在の直接体験のみであり、見えないものやわからないものについてあれこれと心配をしない。その結果なのか鬱や自殺といった精神的な疾患が見られない、というのは興味深い。 過去や未来に...
左右の概念、数字の概念がない民族に興味を持ち読んでいたが、想像以上に興味深かった。ピダハンが重んじるのは現在の直接体験のみであり、見えないものやわからないものについてあれこれと心配をしない。その結果なのか鬱や自殺といった精神的な疾患が見られない、というのは興味深い。 過去や未来に捉われず、今見えているものに集中する、という考え方は仏教にも通じる考え方だと感じた。
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前半は作者のエッセイのような冒険記。後半は言語についてだった。 言語学者なのもすごいけど宣教師もすごいな…。作者の熱意とタフさにずっと感心していた。 面白い。ドキュメンタリーの方も見てみたいな。長期的な視野はなく今この瞬間を大事にしていて無理に人を助けない。死ぬべき人は死ぬべき...
前半は作者のエッセイのような冒険記。後半は言語についてだった。 言語学者なのもすごいけど宣教師もすごいな…。作者の熱意とタフさにずっと感心していた。 面白い。ドキュメンタリーの方も見てみたいな。長期的な視野はなく今この瞬間を大事にしていて無理に人を助けない。死ぬべき人は死ぬべきという受け入れ方は世界的には珍しい。作者が異なる文化や価値観を下に見たりうけつけないからと拒否するような姿勢がなくてよかった。 ゆる言語ラジオから気になって読んでみたけど前から有名な本らしく最近の本でもないのに平積みされていたりメルカリでも価格が落ちていなかった。
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2/3はピダハンとの暮らしを綴ったもの。 残りは言語/文法/文化がそれぞれに与える影響の考察と、著者の考え(信仰の変化)について述べている。 若干冗長。
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