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ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | みすず書房 |
| 発売年月日 | 2012/03/24 |
| JAN | 9784622076537 |

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商品レビュー
4.2
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アマゾン上流域の先住民ピダハンと30年にわたって生活を共にした著者による回顧。相当に強烈な異文化体験の話。 宣教師として現地に入り、言語を習得して聖書の翻訳をすることを目指していたことから、ピダハン語の(ほとんど唯一に近い)権威となったという経緯がある。そのため、かなりインサイ...
アマゾン上流域の先住民ピダハンと30年にわたって生活を共にした著者による回顧。相当に強烈な異文化体験の話。 宣教師として現地に入り、言語を習得して聖書の翻訳をすることを目指していたことから、ピダハン語の(ほとんど唯一に近い)権威となったという経緯がある。そのため、かなりインサイダーに近い観察をしている。 そうした経験を書いた文化人類学っぽい「ピダハンの生活」の紹介が第一部となる。 第二部は、ピダハン語がどんな言語であるかに踏み込むことで、より深く「ピダハンの文化」について述べている。 言語学に興味がある人にとっては「チョムスキーに対する反証」という観点で興味が持てるのだと思う。 そういった言語学者の中の話に興味がなくても、ピダハン語がかなり特殊な言語であることと、そうなっている背景文化についての記述は十分に興味深い。 たとえば数詞がないとか、祖父母あたりより遠い親戚を表す語彙がないとか。 自分が直接見聞きしたこと、知っている人間が見聞きしたことにしか信憑性が伴わない文化であるから、それより遠い話をする文法もなく受け入れる素地もない。 したがって、宣教師としてキリスト教を布教しようとしても「創世神話」が存在しない社会である。著者自身に対する信頼感で話を聞いてはもらえるが、話の内容が受け入れられることはない。 「なあ、ダン。その男(イエス)を見たことも聞いたこともないのなら、どうしてそいつの言葉をもっているんだ?」 そしてついには著者(ダン)は「脱信仰」に至る。「心配する」に相当する語彙を持たない人々に対して、そもそも何を救済するというのか、ということであろう(もちろん、そんな風に一言では片づけられない)。 そのあたりの事情を書いたのが最後の「第三部」である。 「暴力やレイプ、人種差別、さまざまな不利を抱えた人を社会でどう遇するかという問題、あるいは親子関係など、いつの時代もどこにでも見受けられる難問に対処していく上で、ピダハンのような集団は、これまでと違った見地から、しかもきわめて有用な解決法を提示してくれる。わたしが研究したアマゾン諸語には、いわゆる「赤ちゃん言葉」ー幼い子どもを相手にするときの話し言葉が一切見られなかったという事実は興味深い。ピダハン語に赤ちゃん言葉がないのは、ピダハンの大人たちの、社会の構成員はすべて対等であり、子どもも大人と違った扱いを受けるべきではないという信念に基づいているようだ。全員が共同体に対して責任を負い、全員が共同体から世話される。」(383ページ)
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前から面白いと聞いていて、やっと読んだ。 著者は宣教師としてアマゾン奥地のピダハンの部族を訪れる。聖書を配布するため、使用者が400人程度というピダハン語の語学学習に奮闘する。ピダハン語話者はピダハン語しか話せないため、正しいかどうかを検証するのも難しい。そして30年ピダハンと共...
前から面白いと聞いていて、やっと読んだ。 著者は宣教師としてアマゾン奥地のピダハンの部族を訪れる。聖書を配布するため、使用者が400人程度というピダハン語の語学学習に奮闘する。ピダハン語話者はピダハン語しか話せないため、正しいかどうかを検証するのも難しい。そして30年ピダハンと共に生きた著者は、言語学者としてチョムスキーの普遍文法への反証として、リカージョン(入子構造)がなく、直接体験原則という文化ぎ明らかに文法に影響を与えている事例をピダハンに見出す。キリスト教に疑問を持ち、ピダハンの生き方に共感するようになる。 数、色、神話がなくても人類なのかという思考実験を重ねるような面白い話がたくさん出てくる。読みやすい。
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☆5 久し振りに目から鱗というか、新しい考え方・世界を教えてくれるような本に出会った。 ピダパンというブラジルのアマゾン奥地の少数民族に対して、キリスト教宣教師である著者が改宗を促そうと現地で生活するものの、現地でピダパン族と30年以上一緒に過ごし、彼らの言語、文化、考え方を...
☆5 久し振りに目から鱗というか、新しい考え方・世界を教えてくれるような本に出会った。 ピダパンというブラジルのアマゾン奥地の少数民族に対して、キリスト教宣教師である著者が改宗を促そうと現地で生活するものの、現地でピダパン族と30年以上一緒に過ごし、彼らの言語、文化、考え方を深く知り、寧ろ著者が無神論者に改宗したという話。 第1部が現地で過ごした中で著者が気付いた西洋的な考え方との違いが述べられ、第2部ではその観察が言語・文化学の視点から論理として昇華されている。 非常に衝撃的だったのは ピダパン族はその日その日の生活自体が全てであり直接的に体験されたものしか語らないという直接体験の原則が強い。故に… +数字という概念もない(数字も含めて何かを一般化すると体験の直接性が失われるため) + 色の概念もない + 右左の概念もない。相対的な位置ではなく自分の周りの世界における位置を大事にする(川の上流、下流) +創造的神話(我々は何から生まれたのか、日本でいう神道やキリスト教で言うイエス)を一切持たない + しかし精霊という概念はあり非常に大事にしている(精霊はピダパンの誰かに憑依する形で現出するので、憑依された人を見た人たちにとっては直接体験されるもののため) という、西洋的社会では考えられないような考え方がたくさんあった。 でもだからこそ、直接的に経験している今だけが彼らにとっての関心事で、信仰・将来・過去といった、直接的に経験していない事に対しては何も悩まない。著者はそういった姿勢を見て、いるか分からない神を信じ、あれやこれや憂いている西洋人よりもよほど幸せじゃないかと気づくに至ったという話。 なんかこんな考え方があるんだと目から鱗だったし、そこから言語、文化、文法、人間の真理に思いを馳せる著者の論理展開も非常に面白かった。
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