母の遺産 の商品レビュー
感動ものかと勝手に想像していたら、全然違った。 あの母が死んだー。見栄っぱりで、我儘で、周囲を翻弄するあの母がー。 から始まる、姉妹が母親の思い出を回想する話。 最初は親子について考えさせられ、いびつな関係に驚き、感動を受けながらも、長いせいか後半若干間延びしてしまう。 でも、人...
感動ものかと勝手に想像していたら、全然違った。 あの母が死んだー。見栄っぱりで、我儘で、周囲を翻弄するあの母がー。 から始まる、姉妹が母親の思い出を回想する話。 最初は親子について考えさせられ、いびつな関係に驚き、感動を受けながらも、長いせいか後半若干間延びしてしまう。 でも、人には勧められる作品。
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親に財産があるっていいなあ。と思った。 どんなに付き添いが大変でも、お世話や相談には他の人の手を借りれる余裕があるって、とても恵まれている。 あ、本の内容からはそれました。 親の介護&死、本人の離婚、家族の歴史、そういうものが上手に織り込まれたものでした。親に死んで欲しいと願う複雑な気持ちに、なんていうか、そうだよねと寄り添うように読んでいきました。
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確執のあった母、夫の不倫。50代を超えてなお、女は色んな縛りから逃れられない。淡々と続く不幸。 それにしても、この年代の女性はどこか透明感がある気がする。梨木果歩しかり。
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衝撃的だった。 母の死を願う中年の姉妹に非難の感情を持つどころか、二人の感情に少しだけ共感してしまっている自分がいることに。 姉は既婚で病弱、妹はキャリアウーマンで夫との中も冷えきっている。 自分の生活をこなしていくだけで精一杯な人がほとんどだと思う。 だけど、生活の半分以上に年...
衝撃的だった。 母の死を願う中年の姉妹に非難の感情を持つどころか、二人の感情に少しだけ共感してしまっている自分がいることに。 姉は既婚で病弱、妹はキャリアウーマンで夫との中も冷えきっている。 自分の生活をこなしていくだけで精一杯な人がほとんどだと思う。 だけど、生活の半分以上に年老いた親が関わってくる時がいつかは来る。 そんな時、どれだけの人が順応していけるのだろうか。 そして、もっと怖ろしいのが、自分が年老いて不自由になった時である。
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人が死後に遺すもの。。。それは預金や不動産だけでなく故人とのつながりに思いを馳せた時にのみ開かれる生きてればこその苦悩、故人の死として尚大きすぎる影響力、ストーリーの現実感があり、読む程にハマります。 中村学園大学:ニックネーム☆WWW☆
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主人公は水村美苗本人なのだろう。老いてもわがままな母の介護に疲れ、夫の浮気にも悩まされる。母の死、離婚の決意、新たな出発にいたるヒロインの心情の変化、新聞連載小説として書いたものだ。特異な母の出自が興味深く、また、母の死後、主人公が芦ノ湖畔のホテルで出会う人びとの話は、それだけで...
主人公は水村美苗本人なのだろう。老いてもわがままな母の介護に疲れ、夫の浮気にも悩まされる。母の死、離婚の決意、新たな出発にいたるヒロインの心情の変化、新聞連載小説として書いたものだ。特異な母の出自が興味深く、また、母の死後、主人公が芦ノ湖畔のホテルで出会う人びとの話は、それだけで小説になる面白さだ。主人公姉妹と「母」との距離感が私はよくわかる。それでも親だから…。さて、私も親の介護に行くかな…。
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筆力のある作家の手による、 ずっしりしっかりとした読み応えのある作品。 本来他人からはうかがい知れず、 黙して語られないはずの、ある意味心を打つ本音が、 美しい日本語でなおかつ読みやすく描写されている。 私小説的な雰囲気も漂う、レベルの高い、 出会えたことに喜びを感じる 1 冊。...
筆力のある作家の手による、 ずっしりしっかりとした読み応えのある作品。 本来他人からはうかがい知れず、 黙して語られないはずの、ある意味心を打つ本音が、 美しい日本語でなおかつ読みやすく描写されている。 私小説的な雰囲気も漂う、レベルの高い、 出会えたことに喜びを感じる 1 冊。 2012 年 第 39 回大佛次郎賞受賞作品。
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図書館にて。 図書館のHP上の予約件数の多いリストに入っていたので借りてみた。 母親の生い立ちから人となり、自分や姉の人生につながる物語がとびとびで出てきて時系列じゃなかったので読みづらかったけれど、実際に回想する時ってそういうものかもしれないと思った。 父への仕打ちの恨みや、母...
図書館にて。 図書館のHP上の予約件数の多いリストに入っていたので借りてみた。 母親の生い立ちから人となり、自分や姉の人生につながる物語がとびとびで出てきて時系列じゃなかったので読みづらかったけれど、実際に回想する時ってそういうものかもしれないと思った。 父への仕打ちの恨みや、母のわがままなどのような、言ったところで解決しないことはどの家族にも実はてんこ盛りで、この物語のように解決することなくみんなそれぞれに付き合っていくしかないのかもしれない。 最終的に夫も失った主人公が姉に助けてもらうくだりは、家族というものの強さと深さ、そして不思議さを感じた。 個人的には一番つらい時にそばにもいない浮気夫にもっとぎゃふんと言わせてほしかったけど笑 あれはあれでいい女を逃したと思わせる、かっこいい決着の付け方だったと思う。 疲れ切った主人公にはああするしかなかったのだと思ったけれど。
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2013/06 日比谷 随分前に予約したのが忘れたころにやってきた。5月7日に祖母を亡くした後で読むのは何ということだろう。つらい箇所が沢山ある。でも止まらない。
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子どもと親の関係を考えさせられました。戦後の欲求充足を至上価値とする個人主義により、親と子の関係、特に親と娘の関係は微妙に変化してきたと思います。 家に女子しか生まれなかった場合における養子縁組の意義は、従来、家父長制による家名、家業の存続を目的としていましたが、民法改正などを受...
子どもと親の関係を考えさせられました。戦後の欲求充足を至上価値とする個人主義により、親と子の関係、特に親と娘の関係は微妙に変化してきたと思います。 家に女子しか生まれなかった場合における養子縁組の意義は、従来、家父長制による家名、家業の存続を目的としていましたが、民法改正などを受け、現在においては、親のため、子のためという意味合いに徐々に変化してきています。 つまり、子どもが女子のみであるが、養子を取るほどの家名や家業がないため女子を全員嫁がせた場合、親の介護は誰が見るのかという問題が生じてきます。 親であるため押し付け合うことはできず、できる範囲で行うとした場合の嫁ぎ先との関係や、負担の偏りを遺産分割で調整する打算など、姉妹間での微妙な駆け引きを生むことにも繋がります。 本書は、2人の姉妹が母の介護と死後の遺産分割を通して,それまでの家族の歴史やそれぞれの現状を見つめ直すという小説です。 十分な遺産や姉妹の良好な関係がありますので、ある意味ハッピーエンドですが、遺産が少ない場合や姉妹が険悪な関係であるときはどうなるんでしょうか。
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