浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか の商品レビュー
浄土真宗についての本というより、日本の仏教史とその中心人物について宗派ごとにまとめた本。日本史の復習や仏教の入門としては読みやすく面白い。しかし、肝心のタイトルの「浄土真宗はなぜ~」という問いに関しては「おわりに」でさらっと述べられているだけでかなりタイトル詐欺に感じる。この本を...
浄土真宗についての本というより、日本の仏教史とその中心人物について宗派ごとにまとめた本。日本史の復習や仏教の入門としては読みやすく面白い。しかし、肝心のタイトルの「浄土真宗はなぜ~」という問いに関しては「おわりに」でさらっと述べられているだけでかなりタイトル詐欺に感じる。この本を足掛かりに、親鸞や空海などの有名な人物や宗派に焦点を絞って何冊か読んでいくと、だいぶ仏教に詳しくなれそう。
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曹洞宗や臨済宗といった禅宗の場合には、不立文字と言うように、教えを文字にして表現することを戒める傾向が強く、他の宗派を批判したり、攻撃する事はなかった 戦前の昭和15年に、現在の宗教法人の前身となる宗教団体法が制定されるが、それ以前の段階では13宗56派が存在した 宗教法人は認証されるものであるにもかかわらず、多くの人たちは認可されるものと誤解している 比叡山が10世紀末以降、支配下に置いたのが祇園社、つまり今の八坂神社である 南都北嶺は兵僧を抱え、武力を所有することで、独立性を保っていた 織田信長の比叡山焼き討ちや豊臣秀吉の検地や刀狩りは、寺社勢力から領地や兵力を奪い、世俗の権力の支配下に置く試みだった 親鸞の場合には、妻帯しており、血筋によってその信仰が伝えられていった。これは、他の宗派にはない浄土真宗の特徴である 戒名に関しても、浄土真宗はそれを法名と呼び、必ず釈の字を含む
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p9 南都六宗>法相、倶舎、華厳、律、三論、成実。 天台宗> 法華系……日蓮宗→日蓮正宗 禅系…曹洞宗、臨済宗→黄檗宗(おうばくしゅう) 浄土系…融通念仏宗、浄土宗→浄土真宗、時宗 p20 奈良時代、僧侶が官僚の時代で宗派は学派に近かった。 国の試験で正式な僧侶に。持統天皇時は10名。 奈良の東大寺は南都六宗+天台真言の「八宗兼学」の寺。 p23 鎌倉時代。 法然が浄土宗を起こす。念仏以外の教えや実践を聖道門と呼び、念仏で極楽浄土を目指す浄土門を目指した。 法然を批判した日蓮が法華経への信仰以外を否定。 禅宗の曹洞宗や臨済宗は不立文字(ふりゆうもんじ)と言うように教えを文字にして表現することを戒めたが、他の宗派を批判することはなかった。 p24 江戸時代、寺請制度で檀家制。 昭和15年の宗教団体法で28宗に。宗教法人は認可ではなく認証。 p30 聖徳太子の法華信仰。 仏教とヒンドゥー教の習合した密教は護摩を焚いたり祈祷したりする儀礼等が用いられる。 浄土真教はインド仏教(輪廻苦)には無い極楽転生。 禅は瞑想の一種。現世利益や浄土往生などの実利効果ではなく、精神安定や生活規範として機能し、武家に好まれた。茶道や花道、武士道に影響。 p71 天台本覚論の中の草木成仏…植物が芽生え花や実をつけ枯れるまでの過程が仏道修行の過程と重ね合わされ、さらに草木はそのままで成仏していると解く。中国にも存在したが、日本ではあらゆるものがそのままで仏になっているとする徹底した現実肯定の思想に発展した。この思想の背景には古代的なアミニズムの考え方がある。そのままで成仏しているなら改めて修行する必要は無いことになる。本来仏教は釈迦が家庭を出家したように、現実の価値を否定する現世拒否の必要を特徴としている。が、日本では草木成仏の考え方が広く受け入れられた。能楽には草や花が主人公となっている作品があり、一神教の人間と動植物を激しく区別する考え方とは相容れないものである。宗教そのものの存在意義を否定しかねない。日本人の無宗教の根底はここにある。 p199 創価学会と日蓮宗の関係 p218 現在の仏教式の葬儀の基本は曹洞宗が作り上げたものである。修行の途中でなくなった雲水を弔うための亡僧葬儀法が一般の在家信者の葬儀にも応用された。死者に対して剃髪の真似をしその上で戒律を授け戒名を与える。それが葬儀の中で最も重要な部分になっている。 この葬儀の形式を取らない宗派は浄土真宗と日蓮宗である。死者を出家させると言うやり方を取らない在家中心。僧侶と在家との間に根本的な区別はないため。 戒名に関しても浄土真宗はそれを法名と呼び、必ず「釋しゃく(尼)」の字を含む。日蓮宗は「日(女性なら妙も)」の字を必ず含む。 p225 浄土真宗の寺院の総数は2万カ所を超える。寺院総数がおよそ77,000カ所なのでおよそ26%。なぜこれほど浄土真宗は日本の社会に浸透しているのだろうか?簡単に言えばそれは庶民の信仰だからである。 p227 浄土真宗では親鸞が非僧非俗の立場をとることを鮮明にし自ら妻帯し子供ももうけた。浄土真宗では血縁を通して信仰が継承される。日蓮宗の場合は僧侶と俗信徒との間は明確に区別されている。 近代、浄土真宗の歎異抄についての再発見。
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日本の仏教宗派について詳しく解説している本。 教祖から複雑に枝分かれしているのでとても覚え切れない。 ・全部の派を合計すると1,200万人の信徒 26%の寺院数 北陸、広島は殆ど ・真言宗は、高野山で空海が弘法大師として広める。 ・単独では、曹洞宗が700万人で1位だが真宗大谷派(東本願寺)等の宗派を合わせると、門徒の数は1200万人に及ぶ。 ・近東光と瀬戸内寂聴が天台宗 ・日蓮は、伊豆と佐渡2回流罪となる。他の宗派を激しく攻撃。 ・日蓮正宗が1700万人いたが、創価学会員を破門にした為小規模となった。創価学会員が出したお金が創価学会を通らず大石寺(静岡県富士宮市)に渡ったことに対する不満蓄積。 ・創価学会は戦前に出来た。日蓮宗の僧侶と創価学会幹部が討論会を北海道で実施。池田大作が一方的に勝利を宣言。 ・お経 般若心経、自我〇(浄土真宗)がメジャー
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副題にあるような「仏教宗派の謎」というものでもないように思うけど、日本における仏教宗派の成立、歴史と現在のポジションを概観する本。 浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書) いわゆる南都六宗から天台・真言、浄土系、禅系、日蓮と現代に通じる宗派にももちろん一通り触れ...
副題にあるような「仏教宗派の謎」というものでもないように思うけど、日本における仏教宗派の成立、歴史と現在のポジションを概観する本。 浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書) いわゆる南都六宗から天台・真言、浄土系、禅系、日蓮と現代に通じる宗派にももちろん一通り触れられていて、それぞれの開祖や中興の祖のエピソードも添えられている。仏教って何?くらいの単純な関心を抱いて読むオレなんかにはありがたい内容である。 新書ということで話をかいつまんであるだけに、その業界地図や変遷はかえってわかりやすくなっている。偉い開祖が亡くなると、宗派も千々に分かれて乱れ再習合していく様子も、いたって人間くさくて面白いのである。 浄土真宗がどちらかと言えば庶民の宗教であり、葬式仏教化の中でもシンプルかつわかりやすいこと等が日本で「いちばん多い」理由であることも大いに納得できる。 なお著者については、オウム関連で若干批判があることは、内容の是非はともかく知って読んだ方がいいかも知れない。
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中学の歴史の授業で、浄土宗は法然、浄土真宗は親鸞、時宗は・・・と、ただただ暗記した。そこには、教祖の人物イメージが湧くようなエピソードまでおしえられることなく、その宗教のなにが新しくて発展したのかという記述まで深く教えられることはないかと思う。 この本を読んで、教祖のイメージが湧...
中学の歴史の授業で、浄土宗は法然、浄土真宗は親鸞、時宗は・・・と、ただただ暗記した。そこには、教祖の人物イメージが湧くようなエピソードまでおしえられることなく、その宗教のなにが新しくて発展したのかという記述まで深く教えられることはないかと思う。 この本を読んで、教祖のイメージが湧き、何がその宗教がすごかったのか、広まったのかという理由がわかり、興味深く読ませてもらいました。 教科書の暗記のために歴史の勉強ではなく、こういう本で歴史が学ぶのが面白い。
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日本の仏教の歴史について知るには非常にいい本だと思います。 が、読み方を失敗しました。 こういう本を読むたびに、「高校のときの日本史の授業って、一体なんだったんだろう」って思います。
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仏教は日本では国家主導で広まり、都が藤原京に移った696年、試験に合格した者だけが正式な僧侶とみなされる年分度者の制度が生まれた。最澄、空海が亡くなった後に、天台宗と真言宗にも年分度者の定員が認められ、それぞれ宗派としての独立を高めていく。 中国で天台宗を開いた天台智?は釈迦の...
仏教は日本では国家主導で広まり、都が藤原京に移った696年、試験に合格した者だけが正式な僧侶とみなされる年分度者の制度が生まれた。最澄、空海が亡くなった後に、天台宗と真言宗にも年分度者の定員が認められ、それぞれ宗派としての独立を高めていく。 中国で天台宗を開いた天台智?は釈迦の教えを整理して、大乗仏典のひとつである法華経を最高位に位置付け、誰もが仏になれると説かれている点を強調した。日本の法華信仰は法華義疏に遡るが、これは聖徳太子の著作ではない可能性が高い。天台本覚論の核心にある草木成仏の思想は、あらゆるものに霊魂が宿っているとする日本古代のアニミズムを背景として、徹底した現実肯定の思想に発展した。江戸時代には、天海が家康を東照大権現として祀るために日光東照宮に改葬し、江戸城の鬼門となる位置に寛永寺を創建して天台宗の拠点となった。 密教は、インドにおける大乗仏教の発展の最後の段階で、ヒンドゥー教と習合して生まれた。日本では浄土真宗以外の仏教界全体に影響を与えた。 興福寺は大和のほとんどの土地を荘園として所有し、清水寺も末寺としていた。比叡山延暦寺は平安時代末期になると、寄進によって多くの荘園を所有するようになり、興福寺の支配下にあった祇園社(八坂神社)も10世紀終わりの争いの結果、支配下においた。興福寺と延暦寺は南都北嶺と呼ばれ、中世には朝廷や幕府と権力を三分した。 輪廻の繰り返しによって苦がもたらされることを強調するインドに浄土教信仰はなく、中国から伝えられた。法然は、念仏以外の教えや実践を聖道門と呼び、念仏によって西方極楽浄土への往生をめざす浄土門が正しい教えであるという立場をとった。家康は浄土宗に帰依して手厚い保護を与え、芝の増上寺は徳川家の菩提寺となった。 浄土真宗の本願寺は、代々の宗主の子女が公家や武家との婚姻関係を結び、世俗の権力と密接な関係を持った。そのため、戦国時代には戦乱に巻き込まれ、石山本願寺は織田信長と対立することになった。 禅は瞑想の一種で、インドの僧侶達磨に遡る。現生利益や浄土への往生といった効果はなく、精神的な安定や生活規範として機能する。曹洞宗や臨済宗は、貴族階級の出身であることを条件としなかったため、武家や下層貴族が集中することになり、宗派としての独立性を強めていくことになった。曹洞宗は、亡くなった修行僧のための葬儀を在家の一般信徒の葬儀に応用して全国に広がり、葬式仏教が他の宗派にも伝わっていった。 日蓮は、法華経への信仰以外を否定したため、明確な宗派意識が生まれた。日蓮正宗は、日蓮が書いた本尊曼荼羅を直接板に掘った板曼荼羅を本尊とする。戦前に創価教育学会として始まった創価学会は日蓮正宗と関わりを持ち、会員はそのまま檀家となっていたが、1990年に決別した。
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仏教系私学の建学の精神についての基本的な理解をするために本書をとった。これまで知らなかったことが多く非常に勉強になった。
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タイトルと中身がそぐわない新書の典型。副題の各仏教宗派の解説に留まっている。一応、最終章で浄土真宗の話を深めてはいるが。各宗派を取り扱うので一つ一つの解説も軽め。
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