浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか 仏教宗派の謎 幻冬舎新書

島田裕巳【著】

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎
• 発売年月日: 2012/02/29
• JAN: 9784344982505

商品レビュー

2025/03/21

序章：仏教における宗派の形成
- 仏教の日本への伝来:
- 538年または552年とされる伝来の年。
- 飛鳥時代に「飛鳥仏教」として発展し、聖徳太子が法隆寺を創建。

- 奈良時代の宗派形成:
- 「南都六宗」が登場し、仏教が「学派」としての性格を持つようになる。
- 代表的な宗派は法相宗と三論宗であり、まだ独立した教団ではなかった。

- 平安時代の本格的な宗派形成:
- 天台宗と真言宗が独立を果たし、国家の許可が必要な「年分度者」制度が確立。
- 年分度者は国家の官僚に近い存在とされ、宗派の独立性が高まる。

宗派の発展と歴史的背景
- 鎌倉時代の新仏教:
- 鎌倉時代に「鎌倉新仏教」として新しい宗派が誕生。
- 法然が浄土宗を開き、専修念仏の教えを説く。

- 浄土宗の教え:
- 念仏を重視し、念仏以外の教えを否定する動きが生まれる。
- 法然の教えが広まり、独自の宗派として発展していく。

比叡山と天台宗の重要性
- 比叡山の役割:
- 比叡山は中世において南都北嶺としての権力を持ち、多くの宗祖がここで学ぶ。
- 天台宗は、多様な教えを学ぶ「総合仏教大学」として機能していた。

- 信者数の現状:
- 現在の天台宗は153万4872人の信者を持つが、他の宗派に比べると少数。

仏教宗派の社会的影響と変遷
- 社会的注目度の低さ:
- 天台宗の創始者である最澄の存在感が希薄で、宗派の注目度は空海や親鸞に比べて低い。

- 家社会としての宗派:
- 日本の家社会における宗派の役割は重要で、葬儀や冠婚葬祭において大きな影響を持つ。
- 宗派は家族のルーツとして機能し、宗派意識は消滅しにくい。

現代における仏教の未来
- 葬式仏教の危機:
- 死亡者数が減少し、葬儀の簡略化が進むことで、葬式仏教に危機感が生まれる。
- 宗派のあり方が変化する可能性や、新たな宗派の誕生が難しい状況にある。

結論
- 宗派の意義:
- 日本における仏教の歴史を理解する上で、宗派の存在は大きな意味を持つことが明らかである。
- それぞれの宗派が持つ教えや性格の違いは、日本人にとっての仏教の意味を考える上で重要な要素となる。

2023/02/12

浄土真宗についての本というより、日本の仏教史とその中心人物について宗派ごとにまとめた本。日本史の復習や仏教の入門としては読みやすく面白い。しかし、肝心のタイトルの「浄土真宗はなぜ～」という問いに関しては「おわりに」でさらっと述べられているだけでかなりタイトル詐欺に感じる。この本を足掛かりに、親鸞や空海などの有名な人物や宗派に焦点を絞って何冊か読んでいくと、だいぶ仏教に詳しくなれそう。

2022/05/31

曹洞宗や臨済宗といった禅宗の場合には、不立文字と言うように、教えを文字にして表現することを戒める傾向が強く、他の宗派を批判したり、攻撃する事はなかった
戦前の昭和15年に、現在の宗教法人の前身となる宗教団体法が制定されるが、それ以前の段階では13宗56派が存在した
宗教法人は認証されるものであるにもかかわらず、多くの人たちは認可されるものと誤解している
比叡山が10世紀末以降、支配下に置いたのが祇園社、つまり今の八坂神社である
南都北嶺は兵僧を抱え、武力を所有することで、独立性を保っていた
織田信長の比叡山焼き討ちや豊臣秀吉の検地や刀狩りは、寺社勢力から領地や兵力を奪い、世俗の権力の支配下に置く試みだった
親鸞の場合には、妻帯しており、血筋によってその信仰が伝えられていった。これは、他の宗派にはない浄土真宗の特徴である
戒名に関しても、浄土真宗はそれを法名と呼び、必ず釈の字を含む