暗い夜、星を数えて の商品レビュー
生々しい感度を持ったルポ。自分と重ねて、或いは比較しながら文を追いました。 彩瀬さんの思いがダイレクトに伝わってくる、胸に迫る色褪せない記憶。 無理に客観しなくてもいいのかもしれない、と思いました。揺れや津波を体感し、原発に直面した人の数だけ記憶と思いがあるように。
Posted by
現地にいた筆者の、生の声。 東北にはこんなに暖かくて優しい人たちがたくさんいる。 胸がぎゅっと掴まれた想いがした。 子どもがいても「絶対迎えにくるから」とどら焼きを渡してくれたリカさん。 彩瀬さんの小説を「もっとドロドロさせても良かったんじゃなーい?」と笑い飛ばしたショウコさん...
現地にいた筆者の、生の声。 東北にはこんなに暖かくて優しい人たちがたくさんいる。 胸がぎゅっと掴まれた想いがした。 子どもがいても「絶対迎えにくるから」とどら焼きを渡してくれたリカさん。 彩瀬さんの小説を「もっとドロドロさせても良かったんじゃなーい?」と笑い飛ばしたショウコさん。 「親戚の家だと思ってゆっくりしてきな」と迎えてくれたヨシコさん。 なんて優しい人たちなんだろう。
Posted by
リアルな東日本の体験記。 あの状況のなかで親切な人々に助けられることにほっとする。 たまたま家でテレビを見ていた私は、ただただ驚き、食い入るように津波の映像を見ているしかなかった。 画像は本物で、沢山の人が命を落としているという理解はあるものの、こうして本を読むことで、一人一人の...
リアルな東日本の体験記。 あの状況のなかで親切な人々に助けられることにほっとする。 たまたま家でテレビを見ていた私は、ただただ驚き、食い入るように津波の映像を見ているしかなかった。 画像は本物で、沢山の人が命を落としているという理解はあるものの、こうして本を読むことで、一人一人の現実を知ることができるのは大切だと思う。 亡くなった方の冥福を祈らずにはいられない。 そして残された人、自分について考える。
Posted by
偶然東北を旅行中に東日本大震災被災した彩瀬まるさんの手記。津波からの避難、放射能の問題など、正直な気持ちを戸惑いつつも書いている。日本鉄道旅行地図帳、東日本大震災の記録が家にあったので再度開いてみるきっかけに。
Posted by
2011年3月11日、 仙台から福島へ向かう電車の中で被災された彩瀬まるさんの体験記。 彩瀬さんが見知らぬ人々に助けられ、ようやく東京にたどり着くまでのほんの数日間が、これほど長いとは… 読むだけで息が苦しくなった。 でもその極限の中でも見知らぬ人同志がいたわり、助け合う姿に心...
2011年3月11日、 仙台から福島へ向かう電車の中で被災された彩瀬まるさんの体験記。 彩瀬さんが見知らぬ人々に助けられ、ようやく東京にたどり着くまでのほんの数日間が、これほど長いとは… 読むだけで息が苦しくなった。 でもその極限の中でも見知らぬ人同志がいたわり、助け合う姿に心が救われる。 同じ避難所の中でも、東電の被災者への待遇に差別があったというのには本当に驚いた。 「セシウム」 「マイクロシーベルト」 今まで聞いたことのない言葉が飛び交う。 震災当時、パニックになるからと情報操作が行われたという。 その結果、被ばくしてしまった人たち。 すべての平和な日常がいっぺんに奪われていった。 人間はもちろん、家畜や家族同様だった動物たちも… それなのに福島ナンバーの車への差別。心無い落書き。いじめ…ひどすぎる。 あれから8年… 戦争や、阪神大震災、様々な困難から何度も立ち直ってきた日本なのに、 いまだに避難生活を送っている方たちがおられる。 東京電力を使い、あまつさえ計画停電の範囲から外れた地域に住み、 こんな立派なことを言える立場ではないことを承知の上で、あえて言わせていただくなら、 これだけ復興が遅れている最大の原因は「原発」だと思う。 それは人間が便利さを求め続けた結果…。 それを享受し続けた自分たち…。 考えるだけで自分の非力さに、いたたまれなくなる。 震災の夜は「星が恐ろしいほどきれいだった」と 、よく聞く。 そんなに美しい星空を、こんな形でしか見られないということが悲しい。 当時、私の中学からの親友が、津波でたくさんの命が奪われた地区のすぐそばに住んでいた。 数日後にようやく親友と電話がつながった。 生きていてくれたことが嬉しくて泣きじゃくる私に、彼女は 「OOO(私の名)、ガスボンベが今日でなくなっちゃう」と真っ先に言った。 私も泣いている暇なんてないんだと思った。 あとがきから引用させてください。 「本書がわずかなりとも被災地とそれ以外の地域との心理的段差を埋める踏み石の一つとなれば、なによりの幸いです」
Posted by
あの大震災から8年が経とうとしている。本書は、偶然東北に旅行中の女性作家が、常磐線で列車に乗車中に被災したドキュメントで始まる。そこで、同じ被災者である現地の人達の優しさに触れつつ、原発事故による放射能汚染に対する著者の揺れ動く心情が正直に書かれている。震災の記憶を風化させないた...
あの大震災から8年が経とうとしている。本書は、偶然東北に旅行中の女性作家が、常磐線で列車に乗車中に被災したドキュメントで始まる。そこで、同じ被災者である現地の人達の優しさに触れつつ、原発事故による放射能汚染に対する著者の揺れ動く心情が正直に書かれている。震災の記憶を風化させないために、毎年必ず震災関連の本を読むことにしている。まだまだ読むべき本が残っている。
Posted by
読んでいて終始、鳥肌が立ちました。 第一章は特に、あの寒い日のことをよく思い出し、6年前に一気にタイムスリップしたようでした。 印象的だったのがボランティアに行き、思い出の品を処分する場面、そこで貰ったお礼の玉ねぎを食べるかどうかで葛藤する場面。。。 飾り気のない著者の正直な気持...
読んでいて終始、鳥肌が立ちました。 第一章は特に、あの寒い日のことをよく思い出し、6年前に一気にタイムスリップしたようでした。 印象的だったのがボランティアに行き、思い出の品を処分する場面、そこで貰ったお礼の玉ねぎを食べるかどうかで葛藤する場面。。。 飾り気のない著者の正直な気持ちがよく伝わりました。 あれから6年経過し、作中に登場された方達が今は少しでも良い方向へ向かっていられることを祈っています。
Posted by
3.11の大震災の際、たまたま福島に居合わせた著者の震災に纏わるルポ。先ずは、表紙の写真の電車に著者が乗っていたことに衝撃を受けた。幸い、彩瀬さんは早くに避難することができて津波の被害には合わなかったものの、押し寄せる津波の恐怖、避難所での不自由な時間は、体験した人にしか書けない...
3.11の大震災の際、たまたま福島に居合わせた著者の震災に纏わるルポ。先ずは、表紙の写真の電車に著者が乗っていたことに衝撃を受けた。幸い、彩瀬さんは早くに避難することができて津波の被害には合わなかったものの、押し寄せる津波の恐怖、避難所での不自由な時間は、体験した人にしか書けない臨場感がありました。家族の元に無事に戻った後、ボランティアでいわき市へと訪れる。『解体撤去』の指示が出ている家で、家族の思い出が詰まった品を前にゴミとして扱うことを戸惑ったり、ボランティアのお礼として農家の方から受け取ったタマネギを素直に喜べなかったり……ことに、タマネギの件は自分も著者のように原発から27km地点のもので安全だからと手渡されたらと自問自答してみたが、私自身も『食べられる』とは断言できず、胸が苦しくなった。福島ナンバーの車で県外に出た際、車に『汚染車』と落書きされたという原発事故による差別の話も印象的でした。震災から6年が経過した現在でも『原発いじめ』なんて言葉をニュースで見聞きするのだから、悲しいとしか言いようがない。
Posted by
福島県の常磐線新地駅で、著者の彩瀬さんは旅行の途中、常磐線列車に乗っていて東日本大震災に遭いました。そのときからの体験をドキュメンタリーとして書かれています。 旅行の途中で、常磐線に乗っていたとき、綾瀬さんはあの大震災に遭いました。今まで体験したことのない揺れ、電車を降りて...
福島県の常磐線新地駅で、著者の彩瀬さんは旅行の途中、常磐線列車に乗っていて東日本大震災に遭いました。そのときからの体験をドキュメンタリーとして書かれています。 旅行の途中で、常磐線に乗っていたとき、綾瀬さんはあの大震災に遭いました。今まで体験したことのない揺れ、電車を降りて避難したときのこと、避難所で、災害のようすもよくわからず、不安な夜を過ごしたことなどが実に生々しく書かれています。 未曾有の災害の渦中で誰もが大変ななか、助け合ったこと、福島で出会った人々が親切だったことがとても印象的でした。 また、いわき市の友人のところに行き、ボランティアに参加したこと、震災直後にお世話になった人に会いに行ったときのことも書かれてありました。 被災地と、関東の意識の差を感じました。 放射能への不安は、関東の人々とはけた違いに大きいのだと思いました。ふるさとに住み続けたい気持ち、しかし放射能による健康被害を恐れる気持ち、どちらもあったのだと思いました。 この本の初出は第一章が2011年5月、2011年9月第三章は書き下ろしです。2012年2月に発刊された本です。2016年、震災から5年たちましたが、まだ復興が進んでいないところもあります。東日本大震災を過去のものにしてはならない、忘れてはならないと思いました。
Posted by
一人旅の途中に常磐線の電車の中で被災した綾瀬さんの、震災当初と、三ヶ月後、八ヶ月後に現地を訪れた時のルポタージュ。その時その時の選択が生き死にに直結している恐ろしさ。正しい情報がわからない不安。作家だからこそ書ける詳しい描写。それでも綾瀬さんは、1番自分の文章を読んでいるはずの編...
一人旅の途中に常磐線の電車の中で被災した綾瀬さんの、震災当初と、三ヶ月後、八ヶ月後に現地を訪れた時のルポタージュ。その時その時の選択が生き死にに直結している恐ろしさ。正しい情報がわからない不安。作家だからこそ書ける詳しい描写。それでも綾瀬さんは、1番自分の文章を読んでいるはずの編集者にも自分の伝えたいことがきちんと伝わっていないと感じる。印象的なのは、もらったタマネギを食べるか食べないか迷うシーン。感想を書くのが難しいけど、思うことが多かった。いろんな人に読んでもらいたい。
Posted by