暗い夜、星を数えて の商品レビュー
「三月十一日の大震災の際、たまたま福島県新地町に居合わせた私の被災にまつわる記録文と、その後2度にわたって福島県を訪れた際に綴った紀行文を1冊の本にまとめたものです」(本書あとがきより)とあるように、著者の被災をもとにした話。 一人旅の最中、常磐線の列車の中で被災、津波や原発事...
「三月十一日の大震災の際、たまたま福島県新地町に居合わせた私の被災にまつわる記録文と、その後2度にわたって福島県を訪れた際に綴った紀行文を1冊の本にまとめたものです」(本書あとがきより)とあるように、著者の被災をもとにした話。 一人旅の最中、常磐線の列車の中で被災、津波や原発事故に遭遇したときのことを綴った、1章「川と星」、 三か月後、会うはずだった友人に会うために、そしてボランティアのために福島を訪れた際の記録、2章「すぐそこにある彼方の町」 福島での避難生活でお世話になった方たちに会いに向かう、3章「再開」。 「圧倒的な筆致」とは違うんだけど・・・つたないように見せかけて、やさしい語り口で、でも「さすがだなあ」と思うのです。著述業の彩瀬氏だからこそ描けた震災の、原発事故の記録。読みながら、苦しくなりました。 そして震災後、福島の人々が置かれる状況と苦悩。(と、彩瀬氏の誠実な文章。) 私は・・・多分あの日の震災を忘れることはないと思う。 神奈川に住んでいる私は、福島の震災をわかることはできないけれども、これを読めて良かった。 読むべきです。
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奇しくも旅行先で被災した筆者の体験と,その後のボランティアなどの記録と考察.正直に心の中の声を届けてくれるので,一般人としての対応と反応がよくわかり,いろんな意味で考えさせられた.
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想像していたより、ずっとずっと恐ろしい光景。そのときの感情がつぶさに描かれている。 あれから五年。遠く、忘れてしまったことも思い出した。風化させてはいけないと思う。
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福島県の中でも最も放射線量の高い街に住んでいる。 当時を思い出してムカつき、ただただ腹が立った。嘘と隠蔽と誤魔化しで塗り固められた国、ニッポン。その象徴的な言葉が大嫌いな「絆」。この本を読んでなおきれいごとを言う人がいるとすれば、その人を心の底から軽蔑する。 原発がなければ、ニッ...
福島県の中でも最も放射線量の高い街に住んでいる。 当時を思い出してムカつき、ただただ腹が立った。嘘と隠蔽と誤魔化しで塗り固められた国、ニッポン。その象徴的な言葉が大嫌いな「絆」。この本を読んでなおきれいごとを言う人がいるとすれば、その人を心の底から軽蔑する。 原発がなければ、ニッポンは国民がもう少しまとまり、今頃は全く違った形で再建を遂げていただろう。なのにこのアホなニッポンは、一旦止めた原発を何の対策もないまま再度動かし、また地獄の道へ突き進む。今だって何も終わっていない。当時と同じ状況が続いているのに。 カネが1番の好戦国ニッポン。大国にしっぽを振って戦争参加を表明しても、世界中からは鼻摘まみ者扱い。この国のこの時代に生まれたことが本当に悔しい。 原発で儲けていた奴らやオリンピックだなどと浮かれている奴らは全員読むべき本である。
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2011年3月11日。 一人旅の途中だった著者はあの瞬間を、福島県内を走る常磐線の車内で迎えました。 第1章はあの大震災を見知らぬ土地で一人きりで迎えた著者が、たくさんの人に助けられながら相馬市と南相馬市で数日間の避難生活を送り、東京へ戻るまでの記録。 第2章は三ヶ月後に201...
2011年3月11日。 一人旅の途中だった著者はあの瞬間を、福島県内を走る常磐線の車内で迎えました。 第1章はあの大震災を見知らぬ土地で一人きりで迎えた著者が、たくさんの人に助けられながら相馬市と南相馬市で数日間の避難生活を送り、東京へ戻るまでの記録。 第2章は三ヶ月後に2011年に会うはずだった友人との再会と、福島県内でボランティア活動を行った際の記録。 第3章が相馬市と南相馬市での避難生活でお世話になった人との再会の記録。 119pほどしかない薄い本ですが、考えさせられることがとても多かったです。私も一人で他府県に出かけること多いし。忘れかけていたあの大震災と原発事故のことを「あれはまだ終わっていない、現在進行形の出来事なのだ」と鮮やかに思い出させてくれました。 他府県に避難する、しない。 福島県内の食べ物を食べる、食べない。 放射能を気にして生活する、しない。 等々。 第2、3章のルポから、3.11は日本にたくさんの答えの無い問いを突きつけたのだということを改めて気付かされました。しかもこの問いはこれから先、何十年も続くのだということも。東北から遠い関西にいると、この辺りの感覚を実感としてはあまり感じられないので特にそう思いました。 私みたいな人にこそ、ぜひこの本は読んで欲しい。
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骨を彩るの取材旅行の道中で、被災した体験談。 相馬でお世話になったショウコさんはとにかく冷静で、当事者だけど第三者の目で的確に物事を見抜く方だなと思った。 そんな方と一緒に避難できた作者は本当にラッキーだと思う。
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一人旅の途中に東日本大震災に遭遇した彩瀬まるさんのルポ。 震災当時・その後の様子がありありと伝わってくる。彩瀬さんが感じた恐怖や苦悩も痛いほど伝わってくる。 他人の優しさが沁みると同時に、被災地と被災しなかった地域・被災地の中での温度差に胸が痛くなる。自分との温度差・距離にも愕然...
一人旅の途中に東日本大震災に遭遇した彩瀬まるさんのルポ。 震災当時・その後の様子がありありと伝わってくる。彩瀬さんが感じた恐怖や苦悩も痛いほど伝わってくる。 他人の優しさが沁みると同時に、被災地と被災しなかった地域・被災地の中での温度差に胸が痛くなる。自分との温度差・距離にも愕然とした。 119ページと短いけど、とても濃ゆい一冊。
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生半可な気持ちで読む事は許されない。そんな一冊。3.11に遭遇をした著者がルポとして出版。3.11の恐怖はその場で遭遇した人にしかわからないであろう恐怖だと思う。リアルタイムで映像を眺めていた側の人間である私には体験者である、被災者の方々の生の言葉でしか、状況を知りえる事はできな...
生半可な気持ちで読む事は許されない。そんな一冊。3.11に遭遇をした著者がルポとして出版。3.11の恐怖はその場で遭遇した人にしかわからないであろう恐怖だと思う。リアルタイムで映像を眺めていた側の人間である私には体験者である、被災者の方々の生の言葉でしか、状況を知りえる事はできない。『がくがくと震える指で遺書のはじめの二行を綴り、私は形体の画面を閉じた。書けなかった。いやだった。どうしても、どうしても。(P34)』この言葉から伝わる『生きる』という強い思い。生きる事の難しさを感じてしまう。
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一人で旅行中に震災にあった彩瀬さん。どんなに心細かっただろう。どんなに怖かっただろう。未曾有の大震災。私は都内で地震に合ったけど本当に怖かった。津波の映像は現実の物とはとても思えなかった。あの真っ只中に彩瀬さんがいたなんて。励まし合い支え合いあんな過酷な中で被災者なのに手を差し伸...
一人で旅行中に震災にあった彩瀬さん。どんなに心細かっただろう。どんなに怖かっただろう。未曾有の大震災。私は都内で地震に合ったけど本当に怖かった。津波の映像は現実の物とはとても思えなかった。あの真っ只中に彩瀬さんがいたなんて。励まし合い支え合いあんな過酷な中で被災者なのに手を差し伸べてくれる人がいたことに涙した。と、同時に原発問題で心ないことをする人がいることに驚いた。まだまだ終わっていないんだと今更ながら痛感した。多くの人に読んでもらいたい。
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彩瀬さんの短編集がよかったので、他の作品も読んでみたくなり、図書館でタイトルだけ見て予約したら…たまたま旅行中に遭遇した震災のこととは。 多くの人に読んで欲しい一冊。
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