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ブラック・アゲート の商品レビュー

3.3

37件のお客様レビュー

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2020/12/30

人間に寄生し死に至らしめる新種の蜂が猛威を震うなか、娘の命を救うべく奔走する父親の姿を描いた長編小説。 虫が苦手な私、寄生虫に食い殺されるなんてもう耐え難い設定なのだが、読んでしまった。パニック要素で表面的に怖がらせるような、サスペンスホラーではなかったからだ。 未知の生物によ...

人間に寄生し死に至らしめる新種の蜂が猛威を震うなか、娘の命を救うべく奔走する父親の姿を描いた長編小説。 虫が苦手な私、寄生虫に食い殺されるなんてもう耐え難い設定なのだが、読んでしまった。パニック要素で表面的に怖がらせるような、サスペンスホラーではなかったからだ。 未知の生物によって、次々と命が奪われていくことの恐怖と、それに伴う混乱、さらには生活の変化を余儀なくされ、やがて起こる差別、政府の暴走。危機に直面したときの世の中の脆弱な部分をあらわにし、醜さを浮き彫りにしたうえで、人間に何ができるのかを問うている。 主人公が敵対することになる相手を、一方的に悪者にせず背景を丁寧に描いているのもよかった。 それにしても、年末年始の長期休館前の図書館でまとめて借りた書籍のうちの一冊だったのだが、虫とウイルスという違いこそあれ、コロナ禍にある現実との共通点が多いことに驚いた。 コロナ第3波の真っ只中にあるこの世の中でも、人間が進むべく道を誤ることなく未知の敵を克服できる日が早く来ますように。

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2020/08/25

人間に刺し、体内で羽化し寄生すると言う恐ろしい鉢が日本はおろか世界にはびこり人類の危機に瀕する。刺された娘を助けるために物語が進んでいき、スリリングでホラーな展開が続くが、最後は少しあっさりした感じ。もう少し話が続いていてもよかったかも。それでも日本の医療業界や医薬品業界、政府の...

人間に刺し、体内で羽化し寄生すると言う恐ろしい鉢が日本はおろか世界にはびこり人類の危機に瀕する。刺された娘を助けるために物語が進んでいき、スリリングでホラーな展開が続くが、最後は少しあっさりした感じ。もう少し話が続いていてもよかったかも。それでも日本の医療業界や医薬品業界、政府の対応、人間の性格等の本質をついた部分が描かれていて、共感を覚える。蜂は嫌いだが、少しだけ生態に詳しくなった気がする。笑

Posted byブクログ

2020/07/19

図書館でたまたま何か上田早夕里の本を読んでみようと手に取った作品。 何と今のコロナ禍と類似した世界を描いている事かとびっくり。 ウイルスでは無くハチではあるものの、生活様式が一変してしまう事、人間の心理、医療の問題等、現在を想起させる描写に驚くばかり。その意味でもSFとしての面目...

図書館でたまたま何か上田早夕里の本を読んでみようと手に取った作品。 何と今のコロナ禍と類似した世界を描いている事かとびっくり。 ウイルスでは無くハチではあるものの、生活様式が一変してしまう事、人間の心理、医療の問題等、現在を想起させる描写に驚くばかり。その意味でもSFとしての面目躍如、と思った。

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2018/10/27

サスペンス。SF。ホラー。 テンポの良いバイオサスペンス。 主人公と、AWS対策班のリーダー、二人が物語の中心。 他の登場人物もそれぞれ複雑な立場にあり、自分がこの人の立場だったら…、と考えさせられる。 今作では蜂が原因でしたが、この種のパニックは将来的な必ず発生するんでしょうね...

サスペンス。SF。ホラー。 テンポの良いバイオサスペンス。 主人公と、AWS対策班のリーダー、二人が物語の中心。 他の登場人物もそれぞれ複雑な立場にあり、自分がこの人の立場だったら…、と考えさせられる。 今作では蜂が原因でしたが、この種のパニックは将来的な必ず発生するんでしょうね…。などと、想像が膨らむ一冊でした。

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2018/10/08

65:上田さんの最新刊。蜂が人体に卵を産みつけ、その孵化に伴って産生される毒素によって人が死に、死体を食い破って新たな蜂が生まれる……という、虫が苦手な私は想像するだけで鳥肌がたつのですが、そんな「アゲート蜂」による災禍に見舞われている日本、という設定でした。蜂を殺虫剤で殺すこと...

65:上田さんの最新刊。蜂が人体に卵を産みつけ、その孵化に伴って産生される毒素によって人が死に、死体を食い破って新たな蜂が生まれる……という、虫が苦手な私は想像するだけで鳥肌がたつのですが、そんな「アゲート蜂」による災禍に見舞われている日本、という設定でした。蜂を殺虫剤で殺すことはできても、産み付けられた卵を殺すような薬もなく、毒素によって「蜂症」を発症することも止められず、という悲惨な状況下で、行政による有効な対策手段もないまま、日本は大混乱に陥ります。そんな中、アゲート蜂が見つかっていなかった瀬戸内の小島にも、蜂症で亡くなったと思われる人が現れ――。 アゲート蜂禍と戦う話ではなく、あくまで人と人との対立、立場の相違から来る意見のぶつかり合いを描いた骨太の物語でした。そのため、「蜂は見事に退治されました、めでたしめでたし」とすっきりした終わり方ではないのですが、「華竜の宮」のときもそうであったように、困難に立ち向かう人々の姿に胸を揺さぶられます。

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2016/11/03

人間を宿主とするようになり、急速に世界各地で大繁殖し始めた寄生蜂、アゲート蜂。体内で卵が孵化し体を食い破って羽化するまでの「蜂症」=AWSには有効な治療法がなく、確実に無惨な最期に至る。 医療施設も遺体を焼く施設もパンクし、蜂や患者による被害拡大を防ぐためなら射殺も合法とされる中...

人間を宿主とするようになり、急速に世界各地で大繁殖し始めた寄生蜂、アゲート蜂。体内で卵が孵化し体を食い破って羽化するまでの「蜂症」=AWSには有効な治療法がなく、確実に無惨な最期に至る。 医療施設も遺体を焼く施設もパンクし、蜂や患者による被害拡大を防ぐためなら射殺も合法とされる中、人々は蜂に怯え、発症を恐れることしか出来ない状況にあった。 離島ゆえにアゲート蜂の脅威から免れていた鰆見島で、ついに患者が確認される。 その中のひとりは、島内唯一の病院に勤務する暁生の愛娘だった。 治療のためには、島の封鎖にあたるAWS対策班の監視から逃れ、島を脱出し、本土の病院に辿り着かなければならない… 『華竜の宮』以来の大好きな作家、上田早夕里さん。 彼女の作品には、ヒトに害を為すものは悪という考え方とは対極にある、生あるものへの等しい愛情が流れていると感じる。 己が生きるために他者を食べる/殺す事を受け入れる。けれど、人間の愛情、弱さ、利害に囚われる事からも目を背けない。 ちょっと似た設定の物語はたくさんあるけれど、主役が圧倒的にいいヒトで、人類の勝利〜とか悪い為政者を倒した〜とか、そんな決着じゃないところが、良かった。

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2015/04/26

上田早夕里作品初読み。 極限状態の人間心理と薬品承認問題に感染症対策と盛りだくさんな内容。 スピーディーな展開で飽きずに読ませていただきました。 暴走は誰かが食い止めねばならず、必要悪も存在するし、たどり着いた結果が必ずしも救いがあるとも限らない。

Posted byブクログ

2015/02/28

上田さんが言いたいことと、 ナウシカの雰囲気似てる気がする 自然はただそこにあるだけなのに 人間は愚かだから 正しい事を知ろうとせず ただ挑もうとする この本自体は最後の駆け足感が気になった 追う側も魅力的だった

Posted byブクログ

2014/11/24

amazon のレビューもにもあるけど、せっかくの設定が生かし切れていない感じ。結局、逃避行かよ的な。 本書の状況下で住民の少ない島に2個小隊も部隊を派遣するのは、ちょっと無理があるのではと。 なんとなく、弱者を見捨てちゃ駄目ですよ的なメッセージがあるような。

Posted byブクログ

2014/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

No.6とジェノサイドと生存者ゼロとアトミックボックスを足して、容赦のない上田早夕里風味に仕上げた逸品・・・我ながら凄まじい感想だ。期待どおりの着地で、面白かった。一気読み。 SFの名手が、国内を舞台に書いたパンデミックもの。面白くないわけがない。この作者にしては短い物語の中で、もしかしたら治療まで行き着かないんじゃないかと後半やきもき。船上で小さくなる島を振り返り、きっと治療を受けさせてみせる・・・とか誓われたら消化不良だなあ、と思ってたけど、大丈夫でした。 蜂は都市に適応しただけ。悪意はない。作中で繰り返し語られるテーマだけど、よくわかるだけに怖い。奇しくもエボラやデングやらが感染拡大している昨今、他人事じゃないんだよな・・・。そういう意味ではホラーテイストな物語でもあるのでした。

Posted byブクログ