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銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー

4.1

312件のお客様レビュー

  1. 5つ

    107

  2. 4つ

    103

  3. 3つ

    52

  4. 2つ

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2014/10/06

上巻でのながれるような論の展開に比べて、ひとつひとつテーマごと概括的的な丁寧な説明に変わっていったせいか少し退屈な内容が続いたか。もっと表題の銃、病原菌、鉄の側面から突っ込んでいったものが読みたかったような。でもそれぞれは一冊本が書けるくらい深い内容が凝縮されてあるから、しょうが...

上巻でのながれるような論の展開に比べて、ひとつひとつテーマごと概括的的な丁寧な説明に変わっていったせいか少し退屈な内容が続いたか。もっと表題の銃、病原菌、鉄の側面から突っ込んでいったものが読みたかったような。でもそれぞれは一冊本が書けるくらい深い内容が凝縮されてあるから、しょうがないかな。とりあえずもっと勉強しなきゃなあと思う次第。

Posted byブクログ

2014/10/10

ベストセラーだからこそ読むのを敬遠していましたが、とっくに文庫にもなっているのに、単行本を知人から借りて読みました。借り物なのに、結局半年もかかってしまいました。間に、次々新しく読みたい本が入ってくるので。しっかり読めたわけでもないし、過去に読んだ本の知識もしっかりしていないので...

ベストセラーだからこそ読むのを敬遠していましたが、とっくに文庫にもなっているのに、単行本を知人から借りて読みました。借り物なのに、結局半年もかかってしまいました。間に、次々新しく読みたい本が入ってくるので。しっかり読めたわけでもないし、過去に読んだ本の知識もしっかりしていないので、何とも言えませんが、梅棹忠夫先生が、ずいぶん前に書いていることと、どういう関係にあるのか気になるところです。本書のちょっと気になるところは、断定的な記述が多いということ。本当に間違いなくそうだったのだろうか、と思えるところがたくさんありました。それから、公平に書こうとされているのは分かるのですが、やはり西洋からのものの見方が強く出ているような気がしました。まあ、それは仕方ないことかもしれません。インドネシアあたりからマダガスカル島へ渡っていくという話を読むと、どんな船だったのか分かりませんが、「ゲド戦記」の中で海上生活をしている人々の記述が頭に浮かんできました。前に読んだときに、ものすごくリアルに映像が頭に浮かび、その残像が今でも残っているので。本書で最も強烈な印象が残っているのは、インカ帝国滅亡の話です。宗教の力にしてしまっているのか、自分が正しいと思っていることを、人に押しつけるという発想はどうもいただけませんが。簡単に言いすぎでしょうけれど、全般的には結局、縦長と横長の大陸の違いが、今の世界の格差を生んだということなのでしょうか。気候の大きな違いのため、南北の差を乗り越えるのが難しいとすると、よく北米から南米へと人類はわたっていくことができたものと思います。まあ、とにかく、進化生物学だとか、環境地理学、考古学、さらには言語学といろいろな知識を駆使して、よくここまで書いたなあと感心します。あまり風呂敷を広げすぎると、胡散臭さも出てきてしまうのですが。(同じ著者の文庫で買った別の本がまだ読めないままです。)

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2014/09/16

ふー、実に読み応えがあった。論証は広範かつ微細におよび、とてもじゃないけど全容を理解するのは無理。でも、人類の文明の発達は、民族の資質に起因するものではなく、気候的、地理的要因が複雑に絡まっているんだというエッセンスはわかったつもり。 感心するのは、「あるところで文明が発達した...

ふー、実に読み応えがあった。論証は広範かつ微細におよび、とてもじゃないけど全容を理解するのは無理。でも、人類の文明の発達は、民族の資質に起因するものではなく、気候的、地理的要因が複雑に絡まっているんだというエッセンスはわかったつもり。 感心するのは、「あるところで文明が発達したのはなぜかか」と「別のところでは文明が発達しなかったのはなぜか」という両方の問いかけを著者がしていること。こういう知性の働かせ方は勉強になります。 ユーラシア大陸が南北でなく東西に広がっていたため文化伝播の障害が少なかったという話、早くから統一が進んだ中国に較べて小国が競い合ったヨーロッパのほうが技術革新の進展が早かったという話あたりはとりわけ分かりやすく、興味深かったです。

Posted byブクログ

2014/09/03

世界史は言い換えればある勢力同士の栄枯盛衰の歴史であるわけだが、その細かい背景まではなかなか学校では教わらないし、また個人としてもなかなか思いあたらない。著者はそれを環境的な要因が大きいとしている。たしかに世界4大文明からして人の生存に適した場所に生じているわけであって、この考え...

世界史は言い換えればある勢力同士の栄枯盛衰の歴史であるわけだが、その細かい背景まではなかなか学校では教わらないし、また個人としてもなかなか思いあたらない。著者はそれを環境的な要因が大きいとしている。たしかに世界4大文明からして人の生存に適した場所に生じているわけであって、この考えかたには非常に説得力がある。ただ、それと同時に、そう簡単に割り切ってしまってよいものかとも思う。わたしが天邪鬼なだけかもしれないけれど、世界を見渡しても、また日本という狭い地域に限っても、一見住みやすそうなところが過疎地であり、とんでもないような場所に聚落があるという例が山ほどある。それは著者のいう理論で単純に説明できるのかどうか。農耕や牧畜にしてもおなじである。いまのスタンダードな栽培種・飼育種が、ほんとうに育てやすいのかどうかはもうすこし検証の必要があるのではないか。全体を通して説得力があると感じるいっぽうで、すべての理論は「栽培に適したから栽培化された」というようなトートロジー的なことを「後づけ」で言っているような感覚も拭えない。アメリカ大陸の先住民を滅ぼしたのがコンキスタドールではなく病原菌であるという話など、興味深い話題も随所に登場して、とにかくおもしろい作品であることには間違いがないし、国際的に評価されているということは内容もまあ正しいのかもしれないが、どこか違和感も覚える。あるいは、複雑なことをスパッと言い切ってしまうほど理論が卓越しているせいかもしれないが。いずれにせよ、厖大な参考図書リストが示しているように、この程度の内容ではまだまだ人類史の謎はつかみきれないということだ。

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2014/08/11

著書には『人類史』と書かれていますが、地球の環境問題まで考えさせられる本。 もし、石油の使用が無ければ、今頃地球はどうなっていたんだろうか?

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2014/06/30

 北米大陸から南米へと南北に長い地形では文明の伝達に時間がかかる。それはアフリカのサハラ以南の土地にも通じることである。一方、ユーラシア大陸は横に長く同緯度の都市に文明が迅速に伝わったらしい。シルクロードなどが良く知られるところである。ユーラシア大陸の優位性はどの時代を見ても揺ぎ...

 北米大陸から南米へと南北に長い地形では文明の伝達に時間がかかる。それはアフリカのサハラ以南の土地にも通じることである。一方、ユーラシア大陸は横に長く同緯度の都市に文明が迅速に伝わったらしい。シルクロードなどが良く知られるところである。ユーラシア大陸の優位性はどの時代を見ても揺ぎ無い。  だとしたら、近代中国がヨーロッパ諸国に遅れをとった理由が説明できない。それは新しい技術を受け入れる側の体制が一様ではないことの証明になる。ニューギニア奥地には現在も狩猟部族が近代的文明に背を向けて生活している。高度な文明を築いている人々だけが世界の中心と考えるのは可笑しい話なのかもしれない。

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2014/06/02

 本書の主張を簡単に纏めるならば次のようになる。人に持つ者と持たざる者が現れたのは何故か、それは気候や風土などの地理的・生物学的な環境の差異によるところが大きい。家畜化可能な生物や栽培化可能な野生植物種の分布にはばらつきがあること。東西方向に伸びた大陸では気候の変化が少なく人や物...

 本書の主張を簡単に纏めるならば次のようになる。人に持つ者と持たざる者が現れたのは何故か、それは気候や風土などの地理的・生物学的な環境の差異によるところが大きい。家畜化可能な生物や栽培化可能な野生植物種の分布にはばらつきがあること。東西方向に伸びた大陸では気候の変化が少なく人や物の移動が容易であり、それゆえ農耕文化や冶金技術の伝達が速かったこと。異文化間の適度な人的交流があることで技術の発展を促す作用が生み出されたこと。など、人類の初期状態において環境要因から生じる些細な違いが、大きな影響力を伴い歴史の展開に作用する。  とどのつまり本書を主張という視点で評価するのであれば、この本を読むことと、地理の教科書を買ってきて最初の一行ないしは一節を読むことは同義となる。上下巻合わせて800項を超える本書に書かれている内容はこの意味で自明なことであり、文章内で引用される数多くの文献や、紹介される地域毎の考察は、それを証拠付ける推論に過ぎない。私は上巻の感想において「銃・病原菌・鉄」は良く書かれていると評価した。確かに推論の展開は良く書かれており、その形式は見事だと思われる。だがこの大作を読み終えて得たものは上記に挙げた結論以外に何もなく、エピローグを読めばそれで十分という評価も頷ける。少なくとも上下巻を合わせて読む価値は低く、何故上巻だけの分量や内容で纏めることができなかったのかと疑問を呈さずにはいられない。  この本の帯にはピューリツァー賞・コスモス国際賞受賞作とある。これらの賞にどれだけの価値と箔があるかは知らない。また文章として良く書かれているとも感じる。しかし内容的には賞を受けるほどの作品ではないと私は思う。著者はエピローグの最後で、歴史研究を科学的に行うことの難しさについて述べている。恐らくこの本を執筆するに当たり、科学的であろうと努力したに違いない。その努力も本文の書き方や文中の表現からよく伝わってくる。しかしその努力が認められ賞を受けることになったのだとすれば、偏りのある論理が私の想像以上に根強いものであると衝撃を受けることになる。私は科学者でも歴史学者でもないただの雑魚の一人に過ぎないが、本書が偏見と主観を完全に排除したものでないこと位はわかる。  これまで否定的な意見ばかりであったが、この本に価値があるとすれば、それは人類史あるいは文化人類学における様々な視点を提供してくれる点だろう。食糧生産における野生種の分布や家畜化という視点から見た大型生物の分布という生物学的な視点、家畜がもたらす病原菌の拡散などの疫学という視点、山岳や平原、海域などの地形やそれに伴う気候などの地理的な視点、そして政治や宗教、言語などの文化的な視点。どの点を取っても深い考察が可能であり、興味の尽きない研究課題になり得る。扱う対象が人類であるからその範囲は膨大であり、全容を把握することは不可能かもしれない。それでもそれを追及することに社会的な意義があるのだと、この本は教えてくれるのである。

Posted byブクログ

2014/05/12

人間、みんなたいした違いはない。 ちょっとした環境の違いが大きな違いをもたらす。 縦長の大陸 vs 横長の大陸、温暖な気候 vs 極冷な気候などなど、人の力ではどうすることもできない違いによって、大きな違いがもたらされる。 豊かだと言われている日本の形は、歴史的に見たらとても短...

人間、みんなたいした違いはない。 ちょっとした環境の違いが大きな違いをもたらす。 縦長の大陸 vs 横長の大陸、温暖な気候 vs 極冷な気候などなど、人の力ではどうすることもできない違いによって、大きな違いがもたらされる。 豊かだと言われている日本の形は、歴史的に見たらとても短い時間しか維持されていない。アジアの人たちを低く見がちな価値観は、大きな間違いであることに気づかされる。 また、妙に強気な国の人たちも、ここにあるような歴史が大きな影響をもたらしているんだなぁと感心。

Posted byブクログ

2014/04/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

(上巻から続く) とりあえず、最後の方はむちゃくちゃ飛ばし読みで、 なんとか終了。 日本に関する記述は、 ちょっと見当違いの気がする。 ひらがなやカタカナより漢字の方がステータスがあるから、漢字を捨てなかった訳でもないし、 戦国時代に刀が芸術品でもなかった。 ニューギニアに調査に行って、 ジャワ系、中国系、ニューギニア高地人、低地人の 文化的衝突を現実にみた話は面白かったし、 遺伝子特性が様々な中国が統一されていることを驚きであると見直し、 自然環境の障壁が少ないがゆえに、 一人の支配者の意志が中国全体の技術革新を再三止めてしまうことがあったとの指摘も興味深かった。

Posted byブクログ

2014/04/05

『つまり、技術に対する革新性や保守性を、その社会がどの大陸にあるかで決めることは正しくない。確信的な社会や保守的な社会は、どの大陸にも、どの時代にも存在する。また、技術に対する社会的受容性は、同じ地域において、常に同じであるわけではない。この結論は、社会の革新性が多くの個別の要因...

『つまり、技術に対する革新性や保守性を、その社会がどの大陸にあるかで決めることは正しくない。確信的な社会や保守的な社会は、どの大陸にも、どの時代にも存在する。また、技術に対する社会的受容性は、同じ地域において、常に同じであるわけではない。この結論は、社会の革新性が多くの個別の要因で決まるという前提にたてば、当然の帰結である。社会の革新性は、こうした要因について詳しく知っていなければ予測できるものではない。』 長くてくどい。ディテールにこだわりすぎて退屈だった。いまいち!

Posted byブクログ