銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー
【メモ】ヨーロッパが世界的な覇権を握るなど、強者と弱者が生まれる背景には人種的な能力差でなく偶然の環境差による。その環境差が食糧生産の時期、ひいては政治的・軍事的・技術的差に繋がっていく。 投げかけられる疑問を一つ一つ考証していくのは読んでいてワクワクするし、冗長なのに飽きずに...
【メモ】ヨーロッパが世界的な覇権を握るなど、強者と弱者が生まれる背景には人種的な能力差でなく偶然の環境差による。その環境差が食糧生産の時期、ひいては政治的・軍事的・技術的差に繋がっていく。 投げかけられる疑問を一つ一つ考証していくのは読んでいてワクワクするし、冗長なのに飽きずに読み進められる。 中でも興味深かったのは ・中国の統一に緯度の違いによる障壁がなかったために、技術進歩の遅れを招いたこと。そしてこの統一力が現在の中国の在り方にも繋がっているのではないかという自分の仮説。 ・アフリカには白人を含む5種の人種が暮らしていたこと。 ・どんな発明も最初は何かの役に立つという目的でなされたものではないこと。そして、あの時、あの場所で、あの人が生まれていなかったら、人類史が大きく変わっていたような天才発明家は、これまで存在したことがないこと。 ジョブズがいなくてもiPhoneやスマホは存在したんだろう。そうすると、結局一人が世界を変える革新なんて起こせないんだなって思わされる。 とすれば、よく見る「◯◯で世界を変える」なんてのは絵空事なのだろうか?
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文字は世界にどう伝わったか、もしくは伝わらなかったのか。 発明はなぜ起きたか、もしくは起きなかったか。 社会はどのように構成されたのか、もしくはされなかったのか。 人類の文化の発展レベルになぜ差が起きたのか。 一言でまとめると、地域による、というもの。 途中から読...
文字は世界にどう伝わったか、もしくは伝わらなかったのか。 発明はなぜ起きたか、もしくは起きなかったか。 社会はどのように構成されたのか、もしくはされなかったのか。 人類の文化の発展レベルになぜ差が起きたのか。 一言でまとめると、地域による、というもの。 途中から読むのが苦痛になってきて流し読みしてた。 人類史とはこういうもんなのか(KONAMI感)
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前巻より 第三部 銃・病原菌・鉄の謎(承前) 第四部 世界に横たわる謎 エピローグ 科学としての人類史 ジャレド・ダイヤモンド博士が繰り返し主張するのは大陸間国家間の「持てるもの/持たざるもの」という格差は環境や偶然の産物であり決して人種を理由にしていないこと。それは胸に留...
前巻より 第三部 銃・病原菌・鉄の謎(承前) 第四部 世界に横たわる謎 エピローグ 科学としての人類史 ジャレド・ダイヤモンド博士が繰り返し主張するのは大陸間国家間の「持てるもの/持たざるもの」という格差は環境や偶然の産物であり決して人種を理由にしていないこと。それは胸に留めておきたい。人種や性別は関係ない
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
民族によって歴史が異なる経路をたどったのは、民族間の生物学的差異の反映であるという人種差別的な説明に異を唱え、民族ごとのおかれた環境の差異によるものであると歴史上の事実と共に説明している。以下学んだこと。 ・カナ文字は音節表記法とよばれ一つの文字が一つの音節を表す。また漢字は表意文字といい一つの文字がそのままである意味を表す。 ・功績が認められている有名な発明家とは必要な技術を社会がちょうど受け入れられるようになったときに既存の技術を改良して提供できた人であり、その人が生まれていなかったら人類史が大きく変わっていたというような天才発明家はこれまで存在していない。 ・技術は、すべての条件が等しければ、人口が多く、発明する可能性のある人々の数が多い地域、競合する社会の数が多く、食料の生産性が高い広大な地域で最も早く発達する。 ・人間社会の変遷には、小規模血縁集団、部族社会、首長社会、国家という段階がある。小規模血縁集団には、アフリカのピグミー、南アフリカのサン(ブッシュマン)、オーストラリアのアボリジニ、エスキモーなどがある。 ・首長社会で宗教は権威者の富の取得を正当化したほか、赤の他人同士が争わず一緒に暮らせる下地を作り、また本能的な利己心と異なる自己犠牲(戦死など)を民衆に動機付けることができた。 ・集団が大きくなるにつれ他人同士の紛争は天文学的に増大するため、小規模血縁集団や部族社会は数十万規模の人口の受け皿として機能することはできない。 ・言語学者は、同じ意味を持つ単語の語形が、現在使われている様々な言語でどのような形になっているかを比較し、それらの言語の祖語の語形を推定する。この方法により、先史時代に祖語を使っていた人びとの文化を言語学的証拠として間接的に推定できる。 ・ヨーロッパ人が熱帯東南アジアや太平洋諸島に到達したとき、技術やほかの面において優位な立場であったが、原住民が既に食料生産を行っていたこと、ヨーロッパ人が熱帯病に抵抗力を持っていなかったことがわざわいして、この地域に大挙して入植することができなかった。この地域で現在ヨーロッパ人が多く住んでいるのはニュージーランドやニューカレドニアやハワイといった温帯気候に近い島々だけである。 ・古代スカンジナビア人がグリーンランドに入植したのちに姿を消した原因は未だにわかっていない。 ・個人(偉人)の特質は歴史のワイルドカードであり、環境的要因やほかの一般的な要因だけで説明できない部分を秘めている。現実の歴史に個人がどのくらいの影響をあたえうるのかという疑問に対する答えはまだ出ていない。
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なぜ片方の大陸の人間だけが銃を持ち、もう片方はヤリだったのか? その理由は、気候、地形、家畜、栽培可能な野生種、の存在が非常に大きいと説く。 多くの人が理解できるようにわかりやすくまとめられ、読み物としても第一級に面白く、また一方で、壮大なテーマに挑むにはまだまだこれじゃ物足りな...
なぜ片方の大陸の人間だけが銃を持ち、もう片方はヤリだったのか? その理由は、気候、地形、家畜、栽培可能な野生種、の存在が非常に大きいと説く。 多くの人が理解できるようにわかりやすくまとめられ、読み物としても第一級に面白く、また一方で、壮大なテーマに挑むにはまだまだこれじゃ物足りない、と思わせるすごい一冊。二冊?
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なぜ南アメリカ大陸を侵略したのが白人で、南アメリカ人はヨーロッパを侵略しなかったのか。 それは農耕、家畜、文字の違いだった。
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自然科学と社会科学の双方の視点から人類史を読み解く 個人的には下記についての記載が興味深かった ・発明は必要の母 ・技術は自己触媒的に発達する
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人類が(国家=エリア単位で)どうして”持つ者”と”持たざる者”に分かれたかの探求で、とても面白いのだけども、内容が詳細すぎて読んでて疲れてしまう。 まるで学術論文の如く膨大な資料が逐一詳細に説明してあって、筆者のデータの集め方・分類の綿密な仕分けには圧倒されるものの、あまりにも...
人類が(国家=エリア単位で)どうして”持つ者”と”持たざる者”に分かれたかの探求で、とても面白いのだけども、内容が詳細すぎて読んでて疲れてしまう。 まるで学術論文の如く膨大な資料が逐一詳細に説明してあって、筆者のデータの集め方・分類の綿密な仕分けには圧倒されるものの、あまりにも細部に入りすぎてるところも多く、研究書としては良いのだろうが、読み物として見た場合、少しきつくなってしまった。
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オーストラリアとニューギニアという、かつては氷河期に陸続きであった地域において、原住民が大きく異なる文化を築いた理由が丁寧に説明される。 ニューギニア高地において農業が自発的に発生したものの、耕作可能な範囲が限定的であったために、大規模な人口を養えず、ユーラシアほどの複雑な社会を...
オーストラリアとニューギニアという、かつては氷河期に陸続きであった地域において、原住民が大きく異なる文化を築いた理由が丁寧に説明される。 ニューギニア高地において農業が自発的に発生したものの、耕作可能な範囲が限定的であったために、大規模な人口を養えず、ユーラシアほどの複雑な社会を形成するに至らなかったこと、オーストラリアにおいては、農業に適した気候ではなく、家畜化可能な動物がいなかったために、ヨーロッパ人の入植まで先住民であるアボリジニが狩猟採集民であったこと、そして、これらは人種的な能力の優劣や特色ではなく、居住していた地域の環境違いによってもたらされたものであることが語られる。 文字の使用もまた、農業生産に起因する人口密度の高い社会でようやく開始されうる、獲得難易度の高いものであり、南北アメリカ大陸では中央アメリカの一部を除いて発生せず、中央アメリカの文字文化も、地理的要因に阻まれて広がりを見せなかったものであり、オーストラリアにおいてはヨーロッパ人の来襲時まで発生しなかった。 著者の最終的な結論は、大陸や地域毎に異なった文明段階であり、それが近世以降の富の遍在に直結しているわけだが、その要因は人種的、生物学的なものではなく、環境によるものであるということである。 アメリカ大陸もアフリカ大陸も南北に長いため、農業が自発的に開始されても、緯度の異なる地域では同じ作物が育たず、それ故に広がりを欠いたという要因や、これら大陸には砂漠地帯や急峻な山岳地帯、深いジャングルによって、文化や文明が相互に交流できず、それぞれが小規模に孤立して乱立している状況にあったという要因、家畜化可能な大型動物いなかったという要因(アメリカは人類の大躍進時代以降に人類が到達した地域であり、すでに狩猟技術の高い状態での移住であったために、大型の動物相が一気に絶滅してしまうという事情があったことも影響している。)、などがそれである。 ユーラシア大陸は、それら地域と比べて、東西に長く、広い範囲で交流が行われ、農業も家畜も文字も社会制度も新技術も、全てが活発に行き来し、各社会間での競争と征服が繰り返された結果、その他の地域に比べて技術力も軍事力も有利な状況に至ったのである。 また、同じユーラシアの中でも、地形的に統一が容易で早期より単一の国家を築いていた中国と、複数の小国家が相互に交流と競合を繰り返しながら乱立していたヨーロッパとでは、特に中世以降、新たな技術の開発や発展を抑制する指導者層の決断が及ぼす影響度合が異なったため(中国は皇帝の決断により文明全体が停滞することがあったが、ヨーロッパではどこかの国がそのような決断をしても、他の国が技術革新に取り込んで競争優位に立つということが繰り返されたため、文明は停滞しなかった)、(中国ではなく)ヨーロッパによる大航海時代が訪れたのである。
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かなり難しい本で、この中の1割くらいしかちゃんとわかっていないかもしれない。でも、今さながらに衝撃を受けたのが、この地球上で1万3000年前から人類が始まっていたことだった。そしてその頃からヒトは侵略や殺戮を繰り返し、村や種族がなくなったり、多くの種類の動物も絶滅したそうだ。最初...
かなり難しい本で、この中の1割くらいしかちゃんとわかっていないかもしれない。でも、今さながらに衝撃を受けたのが、この地球上で1万3000年前から人類が始まっていたことだった。そしてその頃からヒトは侵略や殺戮を繰り返し、村や種族がなくなったり、多くの種類の動物も絶滅したそうだ。最初のあたりでこのような部分に触れ、絶望にも似たような感じを持った。そりゃあ、今も戦争はなくならないよな・・とか、地球温暖化って・・、とか。私たちはよく動物の行動を本能として語るが、ヒトの本能は動物の中でもあまり好ましいものではないなと思う。
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