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飼い喰い の商品レビュー

4.4

59件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

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2012/09/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

世界の屠蓄現場を見て歩いた著者が実際に3匹の子豚を育て、それを食べるまでの1年間を描き出すもの。 ペットではない家畜を肉になるまで太らせるために戸建ての家を借り改修に労力を惜しまない。乳がんに罹患しているのに???。 すごい好奇心と実行力。やはり3匹に愛情を感じるのだ。人間って。そして最後の豚の骸骨とのポートレートは美しい。 人間だれでも他の生物を食べて生きている。悲しいとかそんなことではなく彼女の中に3匹は生きていると感じたとの思いが救いだ。大きな営為の中で生きている。著者の投げかける問題の根深さは、こころ沁みる。

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2012/09/28

屠畜という漢字も読めなかったけれど、 読み終わって自分が食べている豚が どのような過程を経てスーパーに並ぶのか 垣間見ることができた。 三匹の豚と筆者の毎日は想像を絶するような日々。 たくさんの人たちの協力があってお食事会を迎えることに なるのだが、彼女はたくさんの人に手を差し...

屠畜という漢字も読めなかったけれど、 読み終わって自分が食べている豚が どのような過程を経てスーパーに並ぶのか 垣間見ることができた。 三匹の豚と筆者の毎日は想像を絶するような日々。 たくさんの人たちの協力があってお食事会を迎えることに なるのだが、彼女はたくさんの人に手を差し伸べてもらえる 素敵な人なのだろうなと読んでいて思った。 人に甘えることってとても難しいけれど、関係を築く時に とても大切なことであると思う。 三匹に名前を付け、筆者に懐き、三匹三様に性格があり、 読んでいるだけで情が移り、殺していしまうところは 何とも言えない感情で胸がいっぱいになった。 けれど、筆者が食べた瞬間に三匹の永遠を感じた部分で 苦しい感情が解放された気分だった。 不思議な本だと思う。生きるって不思議です。

Posted byブクログ

2019/05/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歌手のCoccoに『My Dear Pig』という曲がある。自分の豚を食べるという朗らかでシュールな歌。この本が出たとき、まず思い出したのはこの曲だ。 世界の動物をシメる現場の渾身ルポルタージュ『世界屠畜紀行』が文庫化されて好評の著者、次なる一冊はついに自分で動物を飼って育てて最終的には食べるために屠場まで送り出す! さて実際に飼うことを決めても場所が決められず、飼う豚の受精から見ていたくても複数の精子が混在していて誰が親やら判別不可能、自前の豚小屋の建設まで悪戦苦闘の連続なのだが、千葉の養豚業に携わる人達の協力を得て、のほほんほんとした穏やかなイラストと語り口が和やかに物語を展開させる。 ようやく迎え入れた3匹の豚たちはそれぞれに性格も異なり、予想通りに著者に懐いていく。おんぼろ賃貸に敷設した豚小屋の雨漏りをせっせと修理したりしながら、目的の食べるために太らせようとするジレンマ、暖かく見守ってくれる養豚業の人たち、それでも一番手を焼かせた一匹が最後のトラックに乗らなかったりするのだが、著者の誘いで豚が自ら赴く、それがバナナで釣るというのがまた泣ける。 実は著者は子宮がんを患っていることも本の中でさらりと打ち明け、治療でのトラブルか、病院と喧嘩する状況と並行して描かれるこの飼育は、もしかすると子供を持たない代替であるかもしれないし、餌を求めて甘える動物を前にして、自らの女性性と向き合わないはずもなかろうと読者に思わせながらも、あえてここでは多くを語らない。だからこそ自分が育てた動物をあえて食べることを決意するという凄みがある。 なぜか唐突に、巻末に著者の写真が挿入されている。豚を飼育するイメージとは程遠い、インテリ美女風で写真として洗練されているのだが、これは本人としては記念碑的な素材として残しておきたかったのかもしれない。それまでの本の流れの雰囲気と合わず残念ながらちょっと浮いている。 (貸出中)

Posted byブクログ

2012/09/25

ウチザワさんの豚三頭飼いルポ。一冊の本を書くために三頭の豚を飼うというとてもコストパフォーマンスの悪い本。しかし本当におもしろい。 養豚の歴史、地方での暮らしにくさ、豚の個体差、などなどイチテーマにまとまらない多様な主題がとても読ませる。 p.277の描写は最近読んだどの本より...

ウチザワさんの豚三頭飼いルポ。一冊の本を書くために三頭の豚を飼うというとてもコストパフォーマンスの悪い本。しかし本当におもしろい。 養豚の歴史、地方での暮らしにくさ、豚の個体差、などなどイチテーマにまとまらない多様な主題がとても読ませる。 p.277の描写は最近読んだどの本よりも美しい。 これが家畜と人間の正しい関係なのかもしれない。

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2012/08/23

私が中学生の頃までは、実家の近くに豚を飼っている家が2軒あった。たぶん、1軒あたり2、3頭くらい飼っていたんではないか。 そういえば、幼稚園のとき、小屋を脱走した豚に追いかけられたことがあるな。思わぬところで記憶がよみがえってきた(汗) 今ではそんな飼い方をされている豚は皆無に等...

私が中学生の頃までは、実家の近くに豚を飼っている家が2軒あった。たぶん、1軒あたり2、3頭くらい飼っていたんではないか。 そういえば、幼稚園のとき、小屋を脱走した豚に追いかけられたことがあるな。思わぬところで記憶がよみがえってきた(汗) 今ではそんな飼い方をされている豚は皆無に等しく、清潔に管理された屋内で大規模な畜産がおこなわれているそうな。 豚を育てて、屠って、食べるという著者の行為はもちろん非常に興味深く、また、日本の畜産の現状について知らないことが多すぎた私にはたいへんためになる本でした。

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2012/09/01

ユーモアのあるわかりやすい文体でさらさら読めた。 ①「自然のものをもらう」、「人間が自然とつながっている部分である」畜産でも、現代社会では電気をはじめとしたいろいろ、人工的なものと深くつながっていなければやっていけない、ということ ②豚を大きく育ててもその多くは取り除かれてしまう...

ユーモアのあるわかりやすい文体でさらさら読めた。 ①「自然のものをもらう」、「人間が自然とつながっている部分である」畜産でも、現代社会では電気をはじめとしたいろいろ、人工的なものと深くつながっていなければやっていけない、ということ ②豚を大きく育ててもその多くは取り除かれてしまう部分であり、肉として残るのは思っているよりずっと少ないということ ③現在の畜産は(特に豚に関しては)高度にシステム化されているものであるということ ということが興味深かった。 この人の「世界屠畜紀行」を今度絶対に読もうと思う。

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2012/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者が三匹の豚を子豚の時期から育て屠畜場まで送り込み最終的に食肉にして食べるまでの過程が書かれています。/今まで家畜が/家畜を大事にたべるところ ひと腹から何頭も生まれる動物の場合、どうしてもそうなるのだろうけれど、生まれた瞬間から、ああこの豚は死ぬなというのがいる。私でもわかるのだ。生きて生まれたけれども、弱い。 出てきたところで力尽きてうずくまっている。見ているうちに、どんどん弱っていく。手を出すできかどうか迷っているうちに、動かなくなり、さらにしばらくすると青黒くなっていく。 しかし生まれるそばから死んでいく豚に対面することで、何かが変わった。もし私があの時濡れた赤ちゃんを掴んで母豚の乳房につけてやったら、生きただろうか。それで助けてやっていればショックを受けなかっただろうか。違う。そうではない。今自分が圧倒されているのは、生まれることの、死と隣り合わせの、文字通り紙一重の、どうしようもないはかなさだ。 でも違うのだ。畜産はそんな単純なものではない。自分がやってみて思ったのは、生き物を育てていれば、愛情は自然に湧く、ということだ。 柵の向こう側が、キイと開けられ、三頭は戸惑ったように進む。ここから追い込みをかけて、ベルトコンベアみたいなトンネル状の通路に乗せる。 薄暗いトンネルを進んでくる秀の顔があった。前脚をぶらつかせて、はわわっと焦りながら、私に気がついたような、顔をした。そうではないのかもしれないけれど、そう思えてしまった。 噛みしめた瞬間、肉汁と脂が口腔に広がる。驚くほど軽くて甘い脂の味が、口から身体全体に伝わったそのとき、私の中に、胸に鼻をこすりつけて甘えてきた三頭が現れた。彼らと戯れた時の、甘やかな気持がそのまま身体の中に沁み広がる。 帰ってきてくれた。 夢も秀も伸も、殺して肉にして、それでこの世からいなくなったのではない。私のところに来てくれた。今、三頭は私の中にちゃんといる。これからずっと一緒だ。たとえ肉が消化されて排便しようが、私が死ぬまで私の中にずっと一緒にいてくれる。 頭がい骨をじっと見ていると、額やあごの形が、たしかに伸だとわかる。前歯の並びがすごく悪い。だから甘噛みしかできなかったんだなあ。半割状態の夢と秀の頭がい骨とともに私の部屋の特等席に鎮座している姿は、奇妙な祭壇のようにも見える。骨がなくとも、三頭とともにいるのは変わらないのであるが、置いてしまえばそれだけ。 頭がい骨に、つい水と塩を添えて、手を合わせてしまう自分に苦笑いしつつ、今もやめられないでいる。

Posted byブクログ

2012/08/01

食肉用の豚は生まれてから半年で100kgにまで太り屠畜される。 残酷だと思うか否か。 筆者と三匹の豚との交流は濃いもので、それと畜産農家の豚への愛情もあって、食文化として受け入れられたかな。 食肉反対ベジタリアンには悪いけど、やっぱ肉はおいしいし、食べることは間違えてないと思う...

食肉用の豚は生まれてから半年で100kgにまで太り屠畜される。 残酷だと思うか否か。 筆者と三匹の豚との交流は濃いもので、それと畜産農家の豚への愛情もあって、食文化として受け入れられたかな。 食肉反対ベジタリアンには悪いけど、やっぱ肉はおいしいし、食べることは間違えてないと思うな。

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2012/07/21

『世界屠畜紀行』の著者が、自分で豚を育て、食べるまでを綴った1冊。“情が移るから止めた方が良い”という忠告も受けつつ、でもそういった自分の感情もひっくるめて、食べるという行為に責任を持つということを体験したい、という、この人の「知りたいことに対して身体が動く」姿勢がとても興味深く...

『世界屠畜紀行』の著者が、自分で豚を育て、食べるまでを綴った1冊。“情が移るから止めた方が良い”という忠告も受けつつ、でもそういった自分の感情もひっくるめて、食べるという行為に責任を持つということを体験したい、という、この人の「知りたいことに対して身体が動く」姿勢がとても興味深く、好きです。真面目な内容に混じるご本人の不器用さ、豚とのやりとりがまた笑えて、泣けます。日本における養豚産業の実態も、他人事としての紹介ではなく、自分が食用豚を扱う上で関わることとして描かれ、色々な意味で、「喰う」とはどういうことか、考えさせられます。つい最近荒川弘『銀の匙』4巻を読んだこともあって、そういう読書体験的なつながりも感じたり。

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2012/07/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

めちゃめちゃ面白くって、一気に読んでしまった。 なんと豚を食べるために飼うという話。 子豚じゃなくって、100kgもの豚をだ!廃屋をかりて、ゴミをどかし、 豚小屋にする。一方で、養豚場の人のところの行って、豚をもらう。 世話に明け暮れる毎日だけど、豚とともに暮らすのって楽しそう。結構喜怒哀楽もあり、かわいいような気がした。 最後、とってもおいしいお肉だったとのこと。 読み終わったら、豚が食べたくなりました これ、お勧めの本です

Posted byブクログ