共喰い の商品レビュー
とりあえず読んだが、それだけです
予想通りというか、まあ読むことは出来ました
どいる
第146回芥川賞受賞作。二作を収めた短編集。 表題作「共喰い」は、暴力と性欲が色濃く描かれる物語。荒れた家庭環境の中で育った主人公が、自分の中にも父親と同じ血が流れているのではないかと自覚していく。その過程で生まれる悩みや葛藤が、生々しい筆致で描かれている。 もう一編の「第三...
第146回芥川賞受賞作。二作を収めた短編集。 表題作「共喰い」は、暴力と性欲が色濃く描かれる物語。荒れた家庭環境の中で育った主人公が、自分の中にも父親と同じ血が流れているのではないかと自覚していく。その過程で生まれる悩みや葛藤が、生々しい筆致で描かれている。 もう一編の「第三紀層の魚」は、年齢の離れた他者との交流を通して、主人公が少しずつ変化していく様子を描いた作品。こちらも大きな事件が起こるわけではないが、人との関わりの中で生まれる感情の揺れが丁寧に表現されている。 どちらの作品も人間の内面に踏み込むような内容で、作家の力量は感じられる。ただ個人的には作品世界にうまく入り込むことができず、読後の印象はやや距離のあるものとなった。
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○共喰い 昭和63年夏、下関。 主人公・遠馬の父親は、女性を殴ることでしか欲望を満たせない残酷な性癖を持っている。 そんな父の血を引く遠馬は、自分の中にも父と同じ暴力の衝動が潜んでいることに気づく。父への嫌悪、父と同類になる恐怖を抱く遠馬の葛藤が描かれる。 廃れゆく地方の頽廃的な雰囲気を、乾いた文体で効果的に表現している。読みながらジメジメ感がもの凄く伝わってきた。 さらに、まだ性的価値観がギリギリオープンだった昭和末期の閉鎖的なコミュニティの空気感がとても丁寧に描かれている。 息子の彼女を含め、誰彼構わず性交する父親が絶対悪の存在として描かれる。 そんな父親を殺す実の母・仁子。そんな父親から逃れる継母・琴子。そんな彼女たちの行動を通して、女性たちの自我の解放の萌芽も描かれていると感じた。 思春期のやり場のない欲求不満の生々しい描写が続くため、本作が女性の理解を得るのは中々難しいのではないかと思った。 遠馬が自分と同類の父を葬り、血縁の呪縛から解放されることを示す、「共喰い」というタイトルが秀逸。 ○第三紀層の魚 釣り好きの少年・信道が、曾祖父の死と故郷との別れを通して「過去の重み」と「成長」を感じる物語。 「共喰い」と同様の淡々とした文体ながらも、全く別の雰囲気を持つ作品。小学4年生の内面描写がとても丁寧で、優しくて美しい物語。幅広い作品を書ける著者の力が存分に発揮されている。 メインとなるのは、主人公・信道と曽祖父のやりとり。信道は曽祖父から何度も「戦争・炭鉱・釣り」の話を聞かされて育ってきた。その中で、チヌ釣りは二人に共通の生きがいとなる。しかし、信道はなかなかチヌを釣ることができない。 そんな折、曽祖父が倒れ、母の仕事の都合で信道は東京に引っ越すことになり… 死の間際に曽祖父が息子への悔恨を表した場面や、祖母と信道が一緒に棺に日の丸を入れた場面に感動した。ひたむきに仕事をしながら家計を支える母親の存在も非常に大きい。 曽祖父の死後、信道は東京引越し前の最後の賭けとしてチヌを釣りに行く。しかし、チヌではなくてマゴチが釣れてしまい、嫌いな釣り場の常連客に助けられる。 そして、曾祖父の死や故郷との別れなど、様々な思いが去来して信道は初めて涙を流す。 美しい幕切れだった。 随所に郷土愛を感じる文章。下関(関門海峡)の魚は本当に美味しい。作中で言及されていた地元民からは邪道とされている唐戸市場だが、自分は大好きだ。
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二つの物語を通して読みました。川が全てを飲み込みながら今も私の中で流れていて、このあとどこへ流されていくのか、もうあまり細かいことは考えたくない、考えられなくても流されればいいかと思いました。ちょうど霧が立ち込める雨と湿気の下で読んだので、余韻に浸っています。もう一つの物語は、泣いてしまいました。余韻と言えばこちらも、包丁が骨に当たる硬い音が響き続けています。
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子は親を選べない。と同時に、産まれる場所も選べない。 閉鎖されたクソ田舎のコミュニティであっても、そこから抜け出すのは一苦労。恵まれた環境に産まれた子よりも、しなくていい苦労をするよね。 ひとりのクズのせいで、不幸になった女が三人、子が一人。腐ったミカンの方程式を思い出した。本当にその通りだと思うわ。 こういうなんの生産性もないマイナスしか生まない人間は取り締まって欲しいよね。暴行罪で逮捕して出所後はかつての居住地には戻るの禁止するとか。でも平穏に暮らしているよそ様のもとに引っ越して迷惑かけるのも申し訳ないから、やはり一犯を集めて町でも作ってもらうか。批判されるとは思うけど、真っ当に生きてる、生きようとしている人間に迷惑かけないでほしい。 DVは遺伝しません。育った環境にDVがあれば、そこへのハードルが低くなるってだけ。そういうのに無縁に生きてる人間に迷惑かけんな。 千種のことを思うと本当に腹立たしい。父が殺されたのはまぁ当然、むしろ遅すぎたと思う。やっとかって感じ。そんなことよりも自分的には母が捕まった事が一番胸糞だった。まともな思考を持つがゆえにこうなったとは理解できるけど、なんで母が犯罪者にならなければならなかったのか。救いがない。まぁこんなクズだと見抜けずに、子を一人でも設けてしまった母の罪と罰なのか。いやでも子殺しするくらいならいっそ産んで施設に入れて姿を消してくれれば良くない?
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不穏な空気感とねっとりとした湿度。 消して明るく楽しい話ではないけれど、この空気を文書から感じられたのは良い読書体験でした。
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収録されている2篇とも主人公は少年で、父親に代表される“大人の男”との距離感が強く印象に残る作品でした ひどい父親に自分が似てきてしまう怖さや、大人の男の集団に囲まれたときの心細さなど、男同士の付き合いの難しさを思い知らされる、ちょっと苦くなる一冊でした
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気分がしんどい時に読むと心底気持ち悪くなる。殴る性癖の父の異常さが静かに伝染し、登場人物全員おかしい。 【フレーズメモ帳】 どんだけいやなことあってもよ、馬あ君、自分と、自分の親のこと、ばかって言うの、ようないよ。そう思うくらいじゃったら、馬あ君もこの家出ていくこと考えた方がな...
気分がしんどい時に読むと心底気持ち悪くなる。殴る性癖の父の異常さが静かに伝染し、登場人物全員おかしい。 【フレーズメモ帳】 どんだけいやなことあってもよ、馬あ君、自分と、自分の親のこと、ばかって言うの、ようないよ。そう思うくらいじゃったら、馬あ君もこの家出ていくこと考えた方がなんぼかましかもしれんよ。
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芥川賞受賞だから読んでみたんだけど、好みではなかった…というか、自分にはしっかり読み解けなかったという気持ちが残った作品 鰻は父親そのもので、鰻を美味しそうに食べる父親を見て、無意識のうちに共喰いを連想する 気持ち悪くも全ての人がある程度の年齢になった時に意識せざるを得ない親...
芥川賞受賞だから読んでみたんだけど、好みではなかった…というか、自分にはしっかり読み解けなかったという気持ちが残った作品 鰻は父親そのもので、鰻を美味しそうに食べる父親を見て、無意識のうちに共喰いを連想する 気持ち悪くも全ての人がある程度の年齢になった時に意識せざるを得ない親との共通点を描いた重たい作品 間近で長い時間見てきたからこそ嫌いな親のいろんなところ、あんなに嫌だったのに自分もそうなっていて絶望して… 心当たりありすぎて胸が痛みます!!田中先生!!
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図書館で借りて読む。女性向けでは無いな(苦笑) 北野武が出演した映画「血と骨」、あんな世界観に近いと思った。性と暴力の話。
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