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楽園のカンヴァス の商品レビュー

4.3

942件のお客様レビュー

  1. 5つ

    395

  2. 4つ

    324

  3. 3つ

    114

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  5. 1つ

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2012/07/02

ルソーの絵を初めて見た時の衝撃を思い出した。好きな絵ではないのに何故か惹きつけられて目が離せなかった。「夢をみた」が本当に実在してたらと夢想し心躍る。絵に寄り添う気持ち、絵を愛する人の情熱が溢れている。MoMAに行きたい!

Posted byブクログ

2012/06/30

美術などの芸術には全く疎い自分なのだが、書店で「アートミステリー」という見慣れない謳い文句を見掛けて、半ば衝動的に購入した。 話は、巨匠アンリ・ルソー(この作品を読むまで知らなかった)の大作「夢」とほぼ同じ構図・タッチで同時期に描かれた作品「夢をみた」があることが判明し、そのハン...

美術などの芸術には全く疎い自分なのだが、書店で「アートミステリー」という見慣れない謳い文句を見掛けて、半ば衝動的に購入した。 話は、巨匠アンリ・ルソー(この作品を読むまで知らなかった)の大作「夢」とほぼ同じ構図・タッチで同時期に描かれた作品「夢をみた」があることが判明し、そのハンドリングライト(取り扱い権利)を巡って、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター(学芸員)と日本人女性研究者がその真贋判定に火花を散らすという話。 話の中にはルソーがその絵を描くに至った背景も書かれているのだが、そこには誰もが知るピカソも登場する。ピカソはこのルソーに影響を受けていたそうだ。 著者の豊富な美術史に関する知識だけではなく、天才画家の情熱(passion)が注ぎ込まれた作品に対峙する2人の研究者がそれを汲み取って最後に真贋判定するシーンはとても感動した。 「傑作というものは、全てが相当な醜さを持って生まれてくる。この醜さは、新しいことを新しい方法で表現するために、創造者が闘った証しなのだ。美を突き放した醜さ、それこそが新しい芸術に許された新しい美なのだ。」 こういった結論を2人の天才画家は持った上で大胆で独創的な絵を自信を持って描いていたことを知って、どこの世界でも創造者の考え方は違う点を思い知らされた。 芸術に全く興味が無い人でも感動を覚える、とても良い作品でした。

Posted byブクログ

2012/06/30

近代美術を題材にした壮大なミステリー。しかしこれは単なるミステリーではない。美術を絵画を愛する人々に送る物語だ。また少しでも絵画や美術に関心のある人には美術館や博物館の裏側を垣間見ることができ、なかなか面白い。この本は2つの物語が進行していく。20世紀初頭の画家アンリ・ルソーを主...

近代美術を題材にした壮大なミステリー。しかしこれは単なるミステリーではない。美術を絵画を愛する人々に送る物語だ。また少しでも絵画や美術に関心のある人には美術館や博物館の裏側を垣間見ることができ、なかなか面白い。この本は2つの物語が進行していく。20世紀初頭の画家アンリ・ルソーを主人公とした物語、そしてもう1つは現代のキュレーターたちの美術の対する熱情と駆け引きの物語。私は登場するルソーやピカソの絵画をPCで検索しながら読み進めていった。ルソーは美術館で観たことがあるが、イラスト的でなかなか現代的な絵画だと思った。ただ作品が発表されたときは「日曜画家」と揶揄されたということも今回始めて知った。メインのストーリーもさることながら、このアンリ・ルソーの生涯、作品にも興味を抱かせる本だ。 いったいどのような顛末になるのか想像もつかず、物語に引き込まれていく。しかし最後は著者のそして登場人物たちの絵画に対する真摯な愛情に感動し涙した。絵画、ルソーに対するひたむきな愛情を感じる作品だ。美術館巡りや絵画が好きな人には是非読んでほしい1冊。

Posted byブクログ

2012/06/30

贋作を描いたミステリーはいくつかある。 「横山大観殺人事件」「萩原朔太郎の亡霊」なども読み応えがある。 しかし、今回はまさにキュレーターであった作者の、絵画をこよなく愛する気持ちが良く表され、同時に日本ではなく世界を土俵に描いた点で、実に素晴らしい。 青の時代のピカソや、ブルエポ...

贋作を描いたミステリーはいくつかある。 「横山大観殺人事件」「萩原朔太郎の亡霊」なども読み応えがある。 しかし、今回はまさにキュレーターであった作者の、絵画をこよなく愛する気持ちが良く表され、同時に日本ではなく世界を土俵に描いた点で、実に素晴らしい。 青の時代のピカソや、ブルエポックと呼ばれる頃の芸術談義、その中にあって、「ヘタウマ」と呼ばれるルソーの当時の評価など、まさにワクワクドキドキの連続である。 最近これほど面白いと感じた本はない。 オススメである。

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2012/06/29

ルソーとピカソの名作の秘密にせまる二人のキュレーターにもドキドキしましたが、絵画に詳しくないので一つ一つの作品を調べながら、ゆっくりじっくり読みました。贅沢なひと時となりました。

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2012/06/27

+++ ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒン...

+++ ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。好敵手は日本人研究者の早川織絵。リミットは七日間―。ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。 +++ アンリ・ルソーとその作品をめぐる物語である。だがそれだけではない。画家を、絵画を、美術を愛する人たちの深い愛の物語でもある。個人的には美術には全く造詣が深くないので、読みはじめは、苦労するのではないか、とちらっと思ったが、それは全くの杞憂だった。あっという間に物語に惹きこまれ、わくわくしながら読み進んだ。冒頭の平穏な現在の描写から、わくわくと胸躍る過去の体験へと遡り、すべての事情を知ったうえでまた現在に戻ってくるという構成も効果的だと思う。そして過去の結末の驚きは、衝撃的だった。表紙の「夢」のモデルであるヤドヴィガの夫・ジョゼフが後々何らかの形でキーマンになるだろうとは思っていたが、まさかこんな風にかかわってくるとは。お見事である。ルソーやピカソが生身の人間として身近に感じられるようになる一冊である。

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2012/06/26

極貧の中で、世間からバカにされながらも信念を持ち、人生最後の情熱を込めて描きあげた絵をセリにかけて得た金で自分は高級アパートを買うっていうのか? この一言が胸に突き刺さった。 ウンチクとかは思ったよりあっさりメだったけど、世間的にはコレくらいの方がいいのかな。 個人的にはもっ...

極貧の中で、世間からバカにされながらも信念を持ち、人生最後の情熱を込めて描きあげた絵をセリにかけて得た金で自分は高級アパートを買うっていうのか? この一言が胸に突き刺さった。 ウンチクとかは思ったよりあっさりメだったけど、世間的にはコレくらいの方がいいのかな。 個人的にはもっと専門家から突っ込まれまくっちゃうくらいあることないこと盛ったり、突っ込んだウンチクや設定や脚色があってもいいと思うけど。 話がすごくいいじゃない。 1908年から1983年を経て2000年にまで続く切なさが一つの絵の前で邂逅する。 ルソーはもともと大好きだけど、より大好きになった。 夏になったらMoMA行く、絶対行く。 続編あるのかな?

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2012/06/26

こんなに素晴らしい本に出会えたことに、心から感謝したい。 読み進めたいけれど、残りのページが少なくなることが、こんなにも切ないと思ったのは初めて。読み終えるのが悲しくて読むのを止めてしまったけれど、ずっと枕元において毎日自分の頭の中で物語の続きを考えていて、とてもとても楽しかっ...

こんなに素晴らしい本に出会えたことに、心から感謝したい。 読み進めたいけれど、残りのページが少なくなることが、こんなにも切ないと思ったのは初めて。読み終えるのが悲しくて読むのを止めてしまったけれど、ずっと枕元において毎日自分の頭の中で物語の続きを考えていて、とてもとても楽しかった。 結局、何通りか考えた自分の予想は全てはずれ。自分のセンスのなさに笑ってしまうと同時に、こういう展開を待っていたと、胸がときめいて苦しかった。 原田マハさんの他の著者も読みたいのだけれど、まだまだこの余韻に浸っていたい。

Posted byブクログ

2012/06/24

この本ほど読んでいて至福を感じた本は、そうは無い。 ある絵画の真贋を見極めるのが大きなテーマになっているが、その周囲に用意された様々なエピソードも相まって、まさに息もつかせない。 絵画、美術に全然関心がなかったのに、ここまでのめり込むなんて。 終わり方もいい。 極上の読書を堪能。

Posted byブクログ

2012/06/23

期待以上の作品でした。今回は本書の内容紹介を割愛させていただきます。とりあえず読んでくれ。これしか言えないっす。ハラハラする展開、ラストにジーンときました。『夢』を生で見たい。 僕は絵画鑑賞に行ったことがないわけではないけれども、芸術というものはどちらかといえば苦手だし、学校の...

期待以上の作品でした。今回は本書の内容紹介を割愛させていただきます。とりあえず読んでくれ。これしか言えないっす。ハラハラする展開、ラストにジーンときました。『夢』を生で見たい。 僕は絵画鑑賞に行ったことがないわけではないけれども、芸術というものはどちらかといえば苦手だし、学校の美術の成績は大体3か4だったし、ということで本書のようなアートミステリーを読み切れるのか、途中で嫌になったりしないだろうかと読む前は不安になっていたが、それは杞憂に終わった。キュレーターやらなんやらのことも丁寧に書かれていました。ルソーの生きていた時代に関してもわかりやすく説明してくれているので、僕のような読者の方でも安心して読めると思います。 ミステリーというだけでなく、本書には「女性の生き方」とか、「恋愛」、「家族」といったテーマも盛り込まれていると感じたので、原田さんの作品を読んだのはまだこれ1冊のみだけど、幅広いジャンルの物語を書ける人なんだろうなと思いました。次に読むのは『旅屋おかえり』これも面白そうだ。

Posted byブクログ