曾根崎心中 の商品レビュー
「さくらん」の世界だった。角田さんの時代もの初めて読んだけど、読みやすくてとても良かった。原作よく知らなかったのだけど、そのせいか面白く読めました。
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世話物の傑作「曽根崎心中」の角田版翻案です。文楽の曽根崎心中は二度ほど観ていますが、浄瑠璃のリズム感を再現された文体により、人形遣いが目に浮かびます。近松も目を細める出来栄えですね。心理小説のように初の内面に入り込み、見るもの聞くものは初の心象風景ですし、思いは"意識の...
世話物の傑作「曽根崎心中」の角田版翻案です。文楽の曽根崎心中は二度ほど観ていますが、浄瑠璃のリズム感を再現された文体により、人形遣いが目に浮かびます。近松も目を細める出来栄えですね。心理小説のように初の内面に入り込み、見るもの聞くものは初の心象風景ですし、思いは"意識の流れ"のように表現されています。疑念の場面が映えますね。短い作品ですが、完成度は高く、恐るべし角田!という印象です。
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角田光代の曽根崎心中。 当たり前だけど恋の話。恋愛物は苦手なのを忘れていた。 主人公のバカ女っぷりが嫌い。 自分が恋したとたんに恋って素晴らしいわしないなんて人生損してるわ!と思ったり、他人を自分の価値観だけで判断したりするあたり。 だけど、そういうバカ女になりきるでも切り捨...
角田光代の曽根崎心中。 当たり前だけど恋の話。恋愛物は苦手なのを忘れていた。 主人公のバカ女っぷりが嫌い。 自分が恋したとたんに恋って素晴らしいわしないなんて人生損してるわ!と思ったり、他人を自分の価値観だけで判断したりするあたり。 だけど、そういうバカ女になりきるでも切り捨てるでもなく、お初の思考をたどっていけるから、八日目の蝉と同様にこういう風に考えてるのかなと思いながら読む。 恋は恋する本人だけのもので、相手がどんなヤツかは関係ないのかもなとか、 永遠を信じているのではなく、信じられないから今この時を止めようとするのかなとか。 恋の手本となりにけりのずらし方が好きだ。 枯れたような女とダメ男のズルズルは八日目の蝉とほぼ同じ。 たまたま被ってたのかこういう作風なのか。 次を読むか迷うな。 装丁が似合ってる。 まっかな見返しも表紙も。 好きではないけれどこの本にはこれだよなあと思うぴったり具合。
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「知らなければよかったことだった。けれど知らないまま年老いて死んでいたらと思うと、ぞっとすることでもあった。恋とは。」(152頁) 以前お初天神を訪れた時、真剣にお願いをした。しかし、観音さまめぐりを成し遂げた初の想いの強さに果たして及んだか・・・今一度、初に会いに行きたくなっ...
「知らなければよかったことだった。けれど知らないまま年老いて死んでいたらと思うと、ぞっとすることでもあった。恋とは。」(152頁) 以前お初天神を訪れた時、真剣にお願いをした。しかし、観音さまめぐりを成し遂げた初の想いの強さに果たして及んだか・・・今一度、初に会いに行きたくなった。 命懸けの恋を全うした初の強さと美しさ。「未来成仏疑ひなき恋の。手本となりにけり。」まさに!
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早よいきなはれ。好きな男と早ようお逃げ。離れんように、はぐれんように、しっかりと手を握って。その恋が消えんうちに、早く、早く、早く、早く、早く。 2013/12/11-12/18
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前述した東野圭吾の小説の中で、曽根崎心中が出てきます。 それでついつい読みたくなって・・こちらを借りてきました☆ この本は言わずと知れた近松門左衛門原作人形浄瑠璃の古典演目「曾根崎心中」を、角田さんが小説化されたものです。 閉ざされた世界に住むあの時代の遊女たち。 彼女たちを...
前述した東野圭吾の小説の中で、曽根崎心中が出てきます。 それでついつい読みたくなって・・こちらを借りてきました☆ この本は言わずと知れた近松門左衛門原作人形浄瑠璃の古典演目「曾根崎心中」を、角田さんが小説化されたものです。 閉ざされた世界に住むあの時代の遊女たち。 彼女たちを現代の感覚の色恋と同じようにに考えてはいけなくて、夢も希望も外の世界にしかなく自分では選択出来ない人生を生きるとき、光は、「男性」だけなんでしょう。 そんな切なさがリアルに表現されていました。 それだけでも絶賛したい気持ちなのに、最後の瞬間にちらりとよぎる彼への疑念・・・ 単純な悲劇で終わらせないあたりも圧巻でした。 以前読んだ源氏物語といい、角田さんは古典に特化すればいいのに。 現代小説は全く私の好みじゃないのに、こっちのほうはすごいです。。
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ぼんやりと、あら筋ぐらいは知っていた近松門左衛門の曽根崎心中。角田さんのは大変読みやすく、遊女・お初の心情も分かりやすくてよかったです。話運びは概ね本家と同じようですが、ラストの締め方は上手い!下手にあれやこれや男性側の気持ちを描かず、あえて想像させることでお初側が際立って良かっ...
ぼんやりと、あら筋ぐらいは知っていた近松門左衛門の曽根崎心中。角田さんのは大変読みやすく、遊女・お初の心情も分かりやすくてよかったです。話運びは概ね本家と同じようですが、ラストの締め方は上手い!下手にあれやこれや男性側の気持ちを描かず、あえて想像させることでお初側が際立って良かったのかなとも思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
時代物の恋愛もの。 遊女の恋愛を描いた作品。 胸をこがすほど好きな人がいるのに違う男に抱かれるとか、私にはつらすぎる話だったな。 外から見たらダメ男だけど、信じちゃう女の心理はわからなくもない。 切ない話だった。
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江戸時代の遊郭も、現代のキャバクラも、ビジネスは同じ。いかに客に「恋」をさせるか。だからそこで働く女性は恋をしてはいけない。するなら命がけ。 ある意味常に危険と隣り合わせの遊郭の中も、同じ境遇の人々が肩を寄せ合い、日々のおしゃべりや娯楽を楽しみながら暮らしているという意味では非...
江戸時代の遊郭も、現代のキャバクラも、ビジネスは同じ。いかに客に「恋」をさせるか。だからそこで働く女性は恋をしてはいけない。するなら命がけ。 ある意味常に危険と隣り合わせの遊郭の中も、同じ境遇の人々が肩を寄せ合い、日々のおしゃべりや娯楽を楽しみながら暮らしているという意味では非常に居心地のよいところである。 金持ちの商人や町人に身請けされて一日でも早くここを出ることを目標として生きている。店の経営側も本人のためにも経営のためにもそれが最善とそれを勧める。 しかし、仕組まれたその幸せは本当に自分たちが求めるものなのだろうか。この場所に留まろうにも、若さは有限。見えない未来、 行き場のない恋、ゆえに来世の希望を願って死を選ぶものが少なからずいた。 遊郭に入ったのだって貧しさから親が止むなく身売りをした結果であるし、本人が望んでいたわけではない。 考えれば考えるほど、不条理で、そして切ない。
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これで初めてあらすじを知った。オリジナルはオリジナルとして、角田光代の描き方でいろんな人のいろんな思いをもっともっと深く知りたい。
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