曾根崎心中 の商品レビュー
ひらいてみてまずびっくり。白い。 文字は大きく上下左右に白く、ラノベどころの話ではない。 まあ元の話が文字数にすれば少ないので当然なんだけれどびっくりした。 お初ちゃんが口に出す言葉に険があって、地の文との差が大きくとまどう。これが一番の違和感。 平易で負担のない文章なのだけれ...
ひらいてみてまずびっくり。白い。 文字は大きく上下左右に白く、ラノベどころの話ではない。 まあ元の話が文字数にすれば少ないので当然なんだけれどびっくりした。 お初ちゃんが口に出す言葉に険があって、地の文との差が大きくとまどう。これが一番の違和感。 平易で負担のない文章なのだけれど、ナニコレ別の人が話してるの?ってくらい混乱したりもした。 お初ちゃん目線の一人称、今時思考で進んでいるので、原文を読むのが苦手だったり古典を受け付けない人でも相当読みやすいと思う。 徳さんやお初ちゃん、それぞれの理由をなんとかわかりやすく伝えようと言葉を尽くしているとこも、描くの大変だったろうなあ。 カミソリいつの間に仕込んでいたのか、そこが謎。 原作はざっくりな分、隙を見て取りにいったのかなぁなんて補完できるけれど、丁寧に書かれている分、謎のままになっちゃった。
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人形浄瑠璃も観たし、劇も観た ストーリーはもちろん知っているけれど、始終お初の視点で描かれたこの本のほうが、切ないお初の心の動きが心に迫ります。 話の終わりはお初が命を絶たれるところで終わっていて、それはお初の目が閉じられるから… 切ない切ない描かれかたです
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客と恋に落ちた新地で働くお初の物語。純粋な青年徳兵衛。そんな徳兵衛といつか一緒になりたいと切に願うお初。 ある日、徳兵衛が親友の九平次に騙され、二貫の金を失うことになる。そんな徳兵衛を見ていると、心中するしかないとお初は徳兵衛と新地を逃げ出す。逃げ出している最中、お初はもしや...
客と恋に落ちた新地で働くお初の物語。純粋な青年徳兵衛。そんな徳兵衛といつか一緒になりたいと切に願うお初。 ある日、徳兵衛が親友の九平次に騙され、二貫の金を失うことになる。そんな徳兵衛を見ていると、心中するしかないとお初は徳兵衛と新地を逃げ出す。逃げ出している最中、お初はもしやと思う。騙しているのが九平次ではなく徳兵衛なのではと。それでもお初は徳兵衛と心中するだろうと、したいと自分で納得する。 最後のお初の心の中を見たとき、ハッとした。騙しているのが徳兵衛なのか、九平次なのか。そこは読者に与えられた特権として大いに想像して楽しめる。
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原作は観たことないけど、タイトルから予想通りのストーリーが展開されていきます。ベタな展開だけど、主人公・初やその周りの女たちの心理描写が細かくて、心中しようと決める初の気持ちにも納得。すごく悲しいけど、死んでもそれが幸せな人生もある、二人はそんな悲しい背景で生きてきたんだ、と思わ...
原作は観たことないけど、タイトルから予想通りのストーリーが展開されていきます。ベタな展開だけど、主人公・初やその周りの女たちの心理描写が細かくて、心中しようと決める初の気持ちにも納得。すごく悲しいけど、死んでもそれが幸せな人生もある、二人はそんな悲しい背景で生きてきたんだ、と思わせられます。 とても読みやすい文章で、さくっと読めます。
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浄瑠璃では汲みとれなかった細かなところも読んで理解できました。お初目線なので女性の心理、遊女のくらしもわかりやすいです。最期徳兵衛に疑念を抱きながらも身をゆだねる潔さが切ないなあ。
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時代背景が異なる現代に、まさか角田さんが近松の意図をそのまま復活させよう、なんて単純な話じゃないはず。そういう視点で読むと、角田版では、お初にまつわる次の挿話が印象に残った。 徳兵衛がお初に二度目に会いに来たとき、お初は太腿に広がる爛(ただ)れた火傷の跡を、自分から徳兵衛に見せ...
時代背景が異なる現代に、まさか角田さんが近松の意図をそのまま復活させよう、なんて単純な話じゃないはず。そういう視点で読むと、角田版では、お初にまつわる次の挿話が印象に残った。 徳兵衛がお初に二度目に会いに来たとき、お初は太腿に広がる爛(ただ)れた火傷の跡を、自分から徳兵衛に見せている。その火傷の跡は、お初が客はおろか、おかみ以外の店の女性すらにも決して見せようとしなかったもの。だからお初は客と事に及ぶとき必ず行灯の灯を消すか、襦袢を脱がず着けたままにする。お初が徳兵衛に火傷の跡を見せようと意を決した心情を考えたとき、愛する男に自分の表裏一切をさらけ出そうとする「女の誠意」を究極の形で表現したものと思え、興味を引かれた。 ところが二人で心中を決意し、新地を出て森へひた走る道行の途中、お初はふと考える。 「初はめまぐるしく考える。…くるおしく恋しいこの男のことを、じつは、何ひとつ知らないのではないかと初はふいに思う。…背中のどこにほくろがあるか、どんな寝息をたてるか…知っている。…でも、本当には、何ひとつしらないのではないか。九平次が嘘をついていて、徳兵衛が本当のことを言っていると、どうして言いきれるだろう。もしかしたら徳兵衛は、平気でそういうことのできる男かもしれない…」 自分は徳兵衛に惚れ抜いて、自分のすべてをさらけ出し、二人は固く誓い合ったはずなのに、なぜ男の心のうちに、女から見えないものがあるのか? なぜ女にだけこんな葛藤が生じるのか? 角田さんを代表とする女たちの、男の隠された(ようにしか思えない)本心に対する不明、不信、不満が、お初の言葉を借りて紡ぎ出される。 二人の心中を単なる悲劇の完結という叙事詩に終わらせず、女から見た男への疑念やすれ違いを“物語”として結晶化して描く -角田さんの本当の意図は、ここにあるのかな、って思う。 さすが角田さん、お初の情念を自分に憑依させ、全女性の情念として増幅させたかのような物語づくりには、近松も天国で膝を打ってるに違いない。 (2013/2/4)
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表紙がちょっとこわい(笑) でも、すっごく面白いです!有名な話を、こんなふうにちょっと違った切り口できらめかせられるの、すてきだな。
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近松門左衛門の曽根崎心中の現代語訳版。結ばれるはずのない男と遊女の恋話。とても分かりやすく、読みやすくなってます。
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原作は、浄瑠璃でおなじみの近松門左衛門の古典。角田光代が読みやすく、分かりやすく「翻訳」している。儚く、切ない遊女の恋。命を絶つ前、徳兵衛に対し一抹の疑念が沸くものの、それを飲み込み、道を貫く。一方、男の駄目っぷりが際立つ。最後の最後で裏切ってないか、ちゃんと添い遂げたか、角田v...
原作は、浄瑠璃でおなじみの近松門左衛門の古典。角田光代が読みやすく、分かりやすく「翻訳」している。儚く、切ない遊女の恋。命を絶つ前、徳兵衛に対し一抹の疑念が沸くものの、それを飲み込み、道を貫く。一方、男の駄目っぷりが際立つ。最後の最後で裏切ってないか、ちゃんと添い遂げたか、角田verは、気になる幕切れ。
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内容(「BOOK」データベースより) 愛し方も死に方も、自分で決める。いま、男と女はどこへむかうのか、究極の恋のかたち。
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