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限界集落株式会社 の商品レビュー

3.7

136件のお客様レビュー

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    17

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2017/11/09

もうすでに何人かの方がレポを書いている作品です。あらすじは今さらのべるまでもなく、タイトルから連想される事柄、そのままでした。 文明の恩恵もあまりない山奥の過疎の農村。いつ消滅するかわからないその集落は、限界集落と呼ばれ、少ない人口は老人たちで占められていました。主人公は、都会...

もうすでに何人かの方がレポを書いている作品です。あらすじは今さらのべるまでもなく、タイトルから連想される事柄、そのままでした。 文明の恩恵もあまりない山奥の過疎の農村。いつ消滅するかわからないその集落は、限界集落と呼ばれ、少ない人口は老人たちで占められていました。主人公は、都会のエリート会社員多岐川優。この村で生活していた祖父が残した土地・家屋を見定めるつもりで、都会の生活に挫折した優が、村を訪れたところから物語は始まります。 文中の言葉を借りれば「マクドもない、スタバもない、セブンーイレブンさえない」集落ですが、温かい心の人々と怖いほど美しい自然がある集落です。優はいつの間にか、この村の存続を願うようになりました。そして、大都会で鍛えられた経営手腕にモノをいわせ、村一丸となって会社をつくり、野菜栽培・出荷を試みます。 現実問題としては、都会で生活できない人、あるいは自ら志願した人が、過疎の村や島へ移住して生活することは可能です。新たな第一歩を踏むには、自然の中での自給自足は魅力的に映るかもしれませんが、それ以上に多い苦労もあります。 テレビの金スマ「ひとり農業」の渡辺さんを見ていてもわかります。一生懸命に仕事をしていても、天災で不作だったり、勉強不足で思うように作物が実らなかったりと…。努力した収穫物が本当に新鮮でりっぱな作物ばかりだから、農業ってすごいな、いいなと思のですが、表に出せない苦労もあるのでしょう。 だから、わが身の問題と考えたら、田舎暮らしはすぐに決意はできない。渡辺さんのように、ひとりではないとわかっていても…。全てを捨て去り、一から始めるという強い信念がないと「企業おこし」も「地域おこし」も、いや肝心の「生活」さえできないと思いました。 内容紹介にあるようにこの作品は「かつての負け組たちが立ち上がる地域活性エンタテイメント」なのです。どんなに田舎だって皆で力を合わせれば、三年でこんなこともできるのです。 まだまだ眠っている自分の可能性を見出してくれそうな作品でした。

Posted byブクログ

2012/09/22

高齢者ばかりで合併した町からは里に下りてこいと言われている限界集落、、そこに1人の男が下り立ったところから物語はスタートする。集落営農組織の立ち上げ、収益性の高い農作物の開発、農協に頼らない流通網の確立、キャラクターの採用、、様々な打ち手を通じて集落には活気が戻ってきて祭りが復活...

高齢者ばかりで合併した町からは里に下りてこいと言われている限界集落、、そこに1人の男が下り立ったところから物語はスタートする。集落営農組織の立ち上げ、収益性の高い農作物の開発、農協に頼らない流通網の確立、キャラクターの採用、、様々な打ち手を通じて集落には活気が戻ってきて祭りが復活し、若者が数多く集うようになった。 はて、そんなのはフィクションだと思うなかれ、現実にこのような限界を突破した集落は現れはじめている。事実は小説よりも奇なり。岡山県美作市の上山集楽という場所においては、この限界集落株式会社を超えるようなムーブメントが起こっているのだ。 ノンフィクション小説になることを確信した。

Posted byブクログ

2012/09/22

・都会でバリバリやってた男が過疎集落を立て直すって話。プロット的にはディズニーのCarsとも似通う伝統的なよくあるパターンなもの。結構楽しんで一気に読んだ。いいよな、自分の生まれた土地だってこだわり。主人公は能力は優れてるけど人物がぼんやりしてた印象。脇役の方が魅力あった。

Posted byブクログ

2012/09/22

田舎の農村再生の話。 痛快です。 ちょっとした経済話もあり、一気に読めました。 現実問題としても、 日本の農業を担っている人たちが、 幸せに暮らせる世の中になってもらいたいです。

Posted byブクログ

2012/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

企業再生のプロが、村の再起を図るため集落営農組織を立ち上げ、村を立て直すというお話です。 ある意味経済書っぽくも読めるかも。ちょっと「もしドラ」を思い出しました。ネタと展開は面白いけど文章がヘタなとことかも似てます 日本の農業の未来を示唆しつつ、過疎化や派遣切りなどの社会問題にも触れているところがいいし、なにより読後感がいい、っていうか良すぎです(笑) 実際にはこんなふうにとんとん拍子にうまくは いかないでしょうけど、でも、フィクションだからこれくらい爽快感のあるストーリーが楽しくてよかったです。 ただ、残念だったのはラストシーン。営農組織の成功だけで充分盛り上がるのに、微妙に恋愛ネタを入れててね・・・ハッピーエンドだからいいんだけど、唐突感が否めない。

Posted byブクログ

2012/09/02

 過疎高齢化により自治体から見捨てられた集落に一人の男が流れつき、長年の企業経営にたずさわった経験を活かし、就農形態の抜本的な改革を決行。数々の障壁をのりこえ、潰れかけた共同体を立て直し、そして立ち去っていくという「ド田舎農業経済版シェーン」的な娯楽小説。  展開に多少ご都合主義...

 過疎高齢化により自治体から見捨てられた集落に一人の男が流れつき、長年の企業経営にたずさわった経験を活かし、就農形態の抜本的な改革を決行。数々の障壁をのりこえ、潰れかけた共同体を立て直し、そして立ち去っていくという「ド田舎農業経済版シェーン」的な娯楽小説。  展開に多少ご都合主義的な部分はあるが、テンポを重視すれば許容できる範囲だ。御説はごもっともだが、そう上手くいけば苦労しねーよ・・・とか思いながらも、楽しく快調に読み終えてしまった。個人的に「ド田舎小説」は大好きだし、このジャンルはこれから伸びるような気がする。

Posted byブクログ

2012/09/02

ちょっと有川浩の「県庁おもてなし課」にも似ているけれど、地方の寒村が元気になる心温まるいい話です。いろいろと調子の良すぎる話ではあるけれど、こんなことが日本各地で起こったらいいのになと思わずにはいられませんでした。

Posted byブクログ

2012/08/26

難しいことは抜きにして、過疎が進んでいる農村地帯の現状を感じることができる内容。ただあくまでも小説なので、ほんとのところはわからないけれど。

Posted byブクログ

2012/08/17

知り合いに教えてもらった本です。過疎の山村の村おこしをしていく話。老若男女の登場人物にそれぞれ特徴があり、なかなか面白かった。登場人物が多すぎないことも読みやすさにつながっています。似たような内容の本がないかさがしてみよぉ。

Posted byブクログ

2012/08/17

 限界集落とは、人口の50%以上が65歳以上の高齢者で構成され、運営維持が困難となった集落のことを指す。かつては過疎という一言で人口のみに注目されていたが、現在では国家規模での高齢化・少子化に伴って、人口のうちの年齢分布に焦点を当て、未来への維持存続可能性というところに注目した観...

 限界集落とは、人口の50%以上が65歳以上の高齢者で構成され、運営維持が困難となった集落のことを指す。かつては過疎という一言で人口のみに注目されていたが、現在では国家規模での高齢化・少子化に伴って、人口のうちの年齢分布に焦点を当て、未来への維持存続可能性というところに注目した観点であろうと思われる。  実は北海道で住んで頃は、この概念はごく当たり前に道新紙面に日常的に登場していた。実際、北海道の山野を走ると、ときどきこうした限界集落に行き当たる。疎らに建つ崩れかけたような古い農家と、人っ子一人歩いていないアスファルトに、鳥や蝉のかまびすしい声。めまいがするほど静かでひそやかな村に、細々と営まれる畑地。極度な寒村をいくつも通り過ぎるのが、北海道の地域営業の日常なのである。  本書は、そうした限界集落に注目した小説である。限界集落は存続が危ぶまれる集落であるのだが、この作品は、限界集落の存続(という言葉は既に矛盾しているが)を求めて動き出す人々のドラマである。  もちろん限りなくヒューマンであると同時に、経済的観点からは非常に現実的でドライでクールな手腕が行使されねばならず、その中心軸に立たされる若者は、相応の苦悩を味わうことになる。都会と田舎の境界をまたぎ超え、どちらの文化も知った人間は本来現実には多くないと思う。北海道の離島と東京の中心の双方で仕事をした人間があまり多くなかった現実の中で、その双方格差に曝されていたかつてのぼくは、常々それらの境界線の中で立ち止まり、煩悶したものである。  異文化の中央で何かをすることの大変さがこの小説から極度に浮き立って見えてしまうのは、ぼくという読者の側の特異な経験によるものだろうと思うが、本書はけっこう売れているように見える。どこの書店でも長期間にわたって、この本は平積みされているし、それを読む人は一般的に、異文化の境界に立たされたことのある人たちではないはずだ。なのにこの本が読まれるということは、限界集落という問題がとりわけ異国の問題ではなく、日本全体の直面している、ある種のプレパラートで、それを覗き込む顕微鏡が、きっと本書なのだ。  顕微鏡を除いたからと言ってそこには答えは説明書きで書かれてはいない。あるのは個々の細胞がさまざまな理由により動き合体離反を繰り広げる光景のみだと思う。それらを淡々と観察しつつ、ぼくら読者の側が選択を迫られる、そんなイメージがこの小説である。異なる文化に接し、生き方を選択できる者の幸福を味わいたい。選択とは、いつも困難なものであるのだが、そうした岐路に立つという行為こそが、人生においては、いつも必要不可欠な一事であるからである。

Posted byブクログ