ホテル・ピーベリー の商品レビュー

近藤史恵【著】

2013/12/24

ミステリーと銘打ってはいるけど、それっぽい展開になるのは後半から。
日本人が切り回してるハワイの小さなホテル、ピーベリー。
３ヶ月までの長期滞在歓迎。でもリピーターはお断り。
「こんなとこ」に３ヶ月も滞在するなんて、みんな何かしら抱えてたりするよね、とは登場人物の弁。癒し＆自分発見系の香りを漂わせながら、ステージは少しずつ危うい空気をまといだす。

軽～く読める割には、きちんと着地する感じがうまいよね、この人。最近チェック中。

2013/12/16

　図書館より
　仕事を辞めハワイのホテルピーベリーで過ごすことを決めた青年の姿や心理を描いた小説。

　ハワイといえばカラッとした気候のイメージが強く、この本もそういうハワイが舞台の爽やかな青春小説、というのが読み始める前のイメージだったのですが、だいぶ違いました(笑)

　描かれるハワイの気候もどちらかというと寒々しいものが多く、主人公もかなり後ろ向きな思考の強いじめじめした感じ。

　正直あまり深く感情移入できるタイプの主人公ではなかったのですが、話の随所で心にすっと忍び込むような心理描写や表現が度々あったのが印象的です。

　作中にわけありの若い女性が登場するのですが、彼女のもやもやとした感情がとてもうまく表現されていました。人のもめごとってはたから見てると、何がダメなのか分かることって多いような気がするのですが、自分のもめごととなると……ということが、この小説ではとてもうまく表現されている気がします。

　ミステリー要素は中盤以降から出てくるのですが、こちらの出来もなかなか。あまりミステリー要素を強く押し出していないためその分、主人公の暗い心理描写や上手くいかない人間関係が表現されていたように思います。

2013/11/18

推理小説なのに、主人公の内面描写とハワイの景色ばかりで、全然殺人がおきない。
すっかり「心に闇を抱えた青年の長い夏休みの話」を楽しんでいたら、突然人が死んでしまってびっくり！（笑）

謎自体は良くある感じで捻りもなく、急転直下で終わるのですが、主人公の物語に沈んでたのでちょうどいい感じ。

とはいえ、心の闇も特に進展があるわけではないですが。
その辺は、旅の香りとあいまって良かった。

ラストはちょっと残念でしたが。
全体的にいい感じです。

2013/10/23

とある事情から教師の職を辞して、旅行へ出ることにした主人公。向かった先はハワイの小島にある、一度きりしか泊まれないホテル「ピーベリー」。彼はそこで日常から外れ、心身を休めようとするのだが…、
というお話は、作者らしいさくさくとした文体で、軽い読み心地。だんだんと過去の真実と現在の謎が浮き上がってきて、絡みあって終幕へ向かう、という流れがとてもナチュラルです。必要とするべきところだけを切りとったという、ベテランの一作らしい肩の抜け具合があります。
逆に、それほど淡々と進むからか、全体的に砂のように流れていった物語だったな、と距離感を逆に感じたりもしました。とても読みやすいんだけどな…、どこか感情移入しきれませんでした。

2013/10/04

訳あって教師を辞め、次の就職先を探す気にもなれない木崎淳平。
友人のすすめで、ハワイ島のホテルピーベリーに3カ月滞在することになった。
和美と洋介という夫婦が経営するリピーターは一切受けないホテル。

ホテルに滞在するうちに客が立て続けに事故死する。
ホテルで何が起きていたのか？

淳平は和美に惹かれながら、3か月で縁が切れるホテルで居心地良く過ごしていたはずだったのに・・・！！

2013/10/02

図書館にて。
夫のおかげでグリーンカードが取得できたからって、和美が洋介に対してそこまで卑屈になるのはどうなんだろう？
和美が主人公と寝た意味もよくわからない。
ラスト、多少なるほどとも思ったが、ピーバリーの良さがあまり分からないうちにトラブルの連続だったので、もっとハワイ島やこのホテルの居心地の良さの描写が欲しかった。

2013/09/29

ホテル・ピーベリーはハワイ島に存在する。日本人の夫婦が経営する、６室しかない小さなホテル。ご飯がおいしく、気持ちのいいホテルだがリピーターはいない。なぜなら、そのホテルに宿泊できるのは、人生に一度きりだから。
日本で傷を負い、友人に勧められてピーベリーに宿泊することになった主人公・木崎は怠惰な日々をすごしつつ、自らの傷を受け入れていく……。

と、書くとなんかいい話のようだが、話の舞台になっているヒロの町のようにずっとしとしとと雨が降っているような話だった。
ピーベリーの宿泊客はそれぞれに嘘があり、その嘘がこの話の要なのだけど、まさか人死にが出るとは思わずびっくり。
いや、死んじゃう必要あったのかな……まあ生きてたらめんどくさいことになったんだろうけど。
宿泊客で唯一の女性が、日本で婚約者とうまくいかなくて逃げるように旅をして、ついに婚約者が迎えにきて対決し、その件で婚約者に「許す」と言われたことに憤慨するシーンがあるのだが、その婚約者の「わかってない」感がすごくて、こういう決定的なところで間違える人いるよなあしかたないよなあとしみじみした。
言いようのない、まとわりついてくるような気分の悪い感じと、ぬるくてずっと浸っていたいような空気が自然に同居していて、不穏な空気だけどそこまで嫌悪感はない。この人独特の空気感なのだろうか、この話だけなのか。

2013/08/23

そこここに登場するハワイ島の景色や日常風景に、旅情をあつく感じました。なんとなくミステリーっぽい展開に、すこしだけ違和感がありましたが、それが平和だけでないハワイ島の魅力とリンクするようで、読み進めるうちに内容に引き込まれていきました。

2013/03/31

ふつうにおもしろいミステリ。でもこの設定はもっといかせたんじゃないかな〜っていうところや、拾い忘れた伏線のようなのがいくつかあって、そこがもったいない。

2013/02/27

サクリファイスシリーズとタルト・タタンシリーズが好きな僕にとって、本作はダーク過ぎました…
入り込み過ぎたせいか、39℃の発熱を模様してしまった。