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「科学的思考」のレッスン の商品レビュー

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42件のお客様レビュー

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2012/05/05

第一部で科学の考え方を解説。 第二部で「一般の市民が科学の考え方を理解する必要性」を説く。 "科学・技術まみれになったこの社会"では、市民も科学リテラシーを身につける必要がある。 なぜなら、科学の「内容」は当然科学的で、専門家に委ねることができるが、 その「...

第一部で科学の考え方を解説。 第二部で「一般の市民が科学の考え方を理解する必要性」を説く。 "科学・技術まみれになったこの社会"では、市民も科学リテラシーを身につける必要がある。 なぜなら、科学の「内容」は当然科学的で、専門家に委ねることができるが、 その「使い方」は科学的でなく、専門家だけに委ねられない、"社会全体"で考えねばならないことだから。 そしてその具体例として、専門家と市民をつなぐ"コンセンサス会議"を挙げる。 「市民向け」、というよりは「インテリ市民向け」という感じがした。  ・トピックの書き方が、一般の人には興味持ちにくそう(抽象的な単語、耳慣れない単語が多い)    e.g. "「理論」と「事実」はどう違うの?"      →科学は真理に近づけても、真理には成り得ない? とか、 科学は白黒じゃない、グレーなもの       などの方が好奇心をそそりそう   ・具体的な事例は一つ一つを理解するのがちょっと大変。ある程度の教養を要する感じ  ・しかしその分濃く、具体的な例が豊富で、本筋の内容に分かりにくいところがあまりない   もう少しまとめた方が、厳密さは欠くが読みやすいところもあるように感じた  e.g. 私たちの抱える問題の解決を専門科だけに任せられない問題三つは    要するに、「科学の扱いは科学的じゃない」に集約できるのでは 個人的には→ 自分は、文系学部から理転して研究を始め、 「どういう研究がいい研究なのか」 「科学の世界での共通ロジックってどういうものなんだろう」 と悩んだり、自分なりの答えを出したりしていたのだが 第一部はそれらを裏付けたり、ヒントをたくさんくれるところがあり、興味深かった。 世の中を構成する人の半分以上は文系で、厳密な科学的思考を体得している人は少なく、 理系でも、「なんとなく」な理解の人は多いだろう。 「イメージ」や感情で科学の技術・産物を利用するのは危険だし、逆に良い技術を利用しないのは勿体ないと私も思う。 筆者の主張を実現するためには、 もう少し読みやすく「市民向け」に書かれていればもっとよかったかな、と思う。

Posted byブクログ

2012/04/30

前半(第Ⅰ部 科学的に考えるってどういうこと?)と後半(第Ⅱ部 デキル市民の科学リテラシー)の落差が大きい本です。 第Ⅰ部では、   理論と事実、仮説と真理を二分法的に考えるのは、安全と危険、科学と疑似科学を二分法で考えるのと相似形で、危険な考え方である。   より良い...

前半(第Ⅰ部 科学的に考えるってどういうこと?)と後半(第Ⅱ部 デキル市民の科学リテラシー)の落差が大きい本です。 第Ⅰ部では、   理論と事実、仮説と真理を二分法的に考えるのは、安全と危険、科学と疑似科学を二分法で考えるのと相似形で、危険な考え方である。   より良い仮説とは    ①より多くの新奇な予言をしてそれを当てることができる。    ②その場しのぎの仮定や正体不明の要素をなるべく含まない。    ③より多くのことがらを、できるだけたくさん同じ仕方で説明してくれる。 そして、「アブだクション」(仮説演繹法)について丁寧に分かりやすく説明がされており、科学するとはどういうことなのか、その「科学リテラシー」が理解できるようになっています。 ところが、第Ⅱ部になると、今回の原発問題を取り扱っているのですが、第Ⅰ部で自らが述べていた罠にはまっている記述が散見され、科学的リテラシーが上がった故にがっかり感が強いです(ちょっと皮肉っぽい書き方でしたらごめんなさい)。 ということで、第Ⅰ部を読み終わったらいい本だったなーと閉じるのが正解かも(笑)。

Posted byブクログ

2012/04/17

科学的とはなんなのかを時に緩く・ニヤリとする文章で教えてくれる良書。 なぜ私たちは科学リテラシー持っていなければいけないのか、などの日常生活に関わってくる話もふんだんにある。 そして、それがとても分かりやすい。 練習問題もあって、本当に講義を受けているかのよう。 終わりの方に著者...

科学的とはなんなのかを時に緩く・ニヤリとする文章で教えてくれる良書。 なぜ私たちは科学リテラシー持っていなければいけないのか、などの日常生活に関わってくる話もふんだんにある。 そして、それがとても分かりやすい。 練習問題もあって、本当に講義を受けているかのよう。 終わりの方に著者おすすめの科学本が載せられているので、興味のある人はこれを入り口に、より深い所に入り込んでいけるようになっている。 おすすめ。

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2012/03/21

良くできた教科書だと思います。戸田山さんは教科書的な本を書くのが好きなのかいつも上手いと思います。内容的には一般向けと言うことで,多少なりとも科学哲学を囓った身としては物足りなさもありますが。しかし,科学哲学っていわゆる哲学じゃなくなって来てるんだなぁ。思想系で一番将来性があるん...

良くできた教科書だと思います。戸田山さんは教科書的な本を書くのが好きなのかいつも上手いと思います。内容的には一般向けと言うことで,多少なりとも科学哲学を囓った身としては物足りなさもありますが。しかし,科学哲学っていわゆる哲学じゃなくなって来てるんだなぁ。思想系で一番将来性があるんじゃないですかねw

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2012/02/11

理論=仮説と事実=真実の2分法を避けよ、という話から始まる。 逆にすべては仮説と考えるところから起きるペシミズムにも、「よりよい仮説を」という歯止めをかけてある。 読みやすい語り口ながら、周到な本だと感じる。 疑似科学と科学の境目を決定するのは難しいが、反証可能性を封じるのは「疑...

理論=仮説と事実=真実の2分法を避けよ、という話から始まる。 逆にすべては仮説と考えるところから起きるペシミズムにも、「よりよい仮説を」という歯止めをかけてある。 読みやすい語り口ながら、周到な本だと感じる。 疑似科学と科学の境目を決定するのは難しいが、反証可能性を封じるのは「疑似科学的」ふるまいである、とこの本にある。 我々「科学のシロート」である一般人にはプラクティカルな判断基準だろう。 ある事柄を実験で明らかにするには、実験群と対象群が必要であることや、相関から因果関係を短絡してはいけないという話は、これまでにも知っていたことなので、特に書き残すことはなかった。 ただ、本書に頻出する「デキル市民」(ちなみに、市民とは「対話を通じて社会を担っていく主体」と規定されている)という用語には戸惑いを感じる。 何となく、「お前たちはよい子だから、こうしろ」という、老獪な脅迫を感じてしまうのだが・・・

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2012/02/20

小生、とっても信頼をおいている著者。でも、そんな姿勢もこの後半部を読むとダメなんかなぁと。「デキル市民」は「科学的思考」をもって自分の頭で考えて行動しなくちゃいけない。なるほど前半部を読めば「科学的思考」がつく。科学哲学、メディア・リテラシーなど。小生としてはこれをどう伝えるかが...

小生、とっても信頼をおいている著者。でも、そんな姿勢もこの後半部を読むとダメなんかなぁと。「デキル市民」は「科学的思考」をもって自分の頭で考えて行動しなくちゃいけない。なるほど前半部を読めば「科学的思考」がつく。科学哲学、メディア・リテラシーなど。小生としてはこれをどう伝えるかが課題。

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2012/02/06

 市民のための科学リテラシー。豊富な例を交え,平易な語り口で,科学哲学のポイントを紹介。科学と社会について考える上で知っておくべきことが網羅されてる。著者には初めての新書ということだが,意外。他にもいい本をいろいろと書いてる。  科学リテラシーとは,科学の扱う個別的内容ではなく...

 市民のための科学リテラシー。豊富な例を交え,平易な語り口で,科学哲学のポイントを紹介。科学と社会について考える上で知っておくべきことが網羅されてる。著者には初めての新書ということだが,意外。他にもいい本をいろいろと書いてる。  科学リテラシーとは,科学の扱う個別的内容ではなく,科学という活動について理解すること。「科学でわかったこと」を教わるだけでは,科学を理解したことにならない。どうしてこんな大事なことを「学校で教えてくれない」んだろ?  各章末にまとめがついていて,分かりやすい。二分法的思考は排除すべきこと,科学は真理ではなく少しでも良い仮説を求めていく活動であること,科学によってさまざまな現象について体系的な説明が可能になること。超心理学が科学になれないのは,「現在の科学的見解と反する現象」を対象とする時点で科学であることを自己否定しているから。  科学に用いる推論には,真理保存的な演繹と情報量を増やしてくれる帰納・類推・アブダクションなどがあって,これらを組み合わせる仮説演繹法が強力な道具になっている。仮説の検証には,はっきりした反証条件を定立しておくことが大事。後付けで仮説を修正することで理論を救う態度は,あまり多用すると科学ではなくなってしまう。検証実験は適切なコントロールがなされていなければならない。相関関係と因果関係は異なる。こういったことを踏まえたうえで,本書第二部では,市民の科学リテラシーをどう社会に活かしていくのかを論じる。かなり良い本,オススメです。

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2012/07/30
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※このレビューにはネタバレを含みます

科学的に考える方法をわかりやすく解説してくれる良書。このような方法論は学校で教わる機会が殆ど無く、あったとしても大学4年の卒論研究のとき以降だろう。しかも、その時でも体系的に教わるわけではない。今後の教育改革の時には、教育内容を幾らか削減してでも、是非このような科学的思考法を義務教育か高校で教えるようにしてもらいたいと思う(どうせ細かな知識なんて受験が終わったらすぐに忘れるわけだし...)。というかむしろ早急に、文科省は戸田山さんに意見を仰いで指導要領を作成に着手すべきだと思う。そのような教育がなければ第2部で著者が示すようなデキル市民を増やすことはできないだろうし、科学技術立国うんぬんにも災いするだろう。

Posted byブクログ

2012/01/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「科学的に考えるとは?」について様々な概念や具体例を学びつつ、最終的に「科学者ではない市民のための科学リテラシーを身につける」ことが目標の作品。今後僕たちが歩むべき道を照らしてくれる灯台のような存在と言っても過言ではない。(長江貴士) ▼『ジセダイ』140文字レビューより http://ji-sedai.jp/special/140review/20111216.html

Posted byブクログ

2012/01/12

科学的思考をするための基礎がつまった良い本.第I部では科学的な考え方を支える「科学を語る言葉」が丁寧に定義され,主に科学史からの例によってわかりやすく解説されている.普段,わかったつもりで使っていることば「仮説」「理論」「検証」「実験」などがあらためてその内容が精査されていくのを...

科学的思考をするための基礎がつまった良い本.第I部では科学的な考え方を支える「科学を語る言葉」が丁寧に定義され,主に科学史からの例によってわかりやすく解説されている.普段,わかったつもりで使っていることば「仮説」「理論」「検証」「実験」などがあらためてその内容が精査されていくのを読むと,頭の中がすっきり整理されて実に気持ちがよい.第II部ではそれらを具体的な問題に適用し科学的思考の訓練をする.取り上げるのは原発問題だが,巷にあふれる感情的、情緒的な議論ではなく,どのような考え方が科学的なのかを説明し,そして科学者が答えられない科学の問題があることを明らかにした上で,自分で考え,自分で判断することの重要性を説く.その基盤になるのが科学的リテラシーであるというのはとても説得力がある. 新書というパッケージが堕落する中,久しぶりに中身のある新書を読んだ気がする.こういう本が森博嗣の「科学的とはどういう意味か」くらい売れるといいのだけど.

Posted byブクログ