四十九日のレシピ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
<内容> 乙美が死後に残した「暮らしのレシピ」を通して、大切な者を亡くした家族が悲しみを乗り越え、再生に向かう四十九日の物語。 <感想> タイトルを見て、料理にまつわる話だと思い手に取ったが、読んでみるとやや趣が違った。「レシピ」とは料理用語としての意味が一般的だが、本来的には「何かを準備するための手順書」を指し、「処方箋」という意味もある。乙美の残した「暮らしのレシピ」には料理だけに留まらず、掃除、洗濯、美容、さらには自分を「送る」ときのための「四十九日のレシピ」までもが用意されていた。それぞれに問題を抱え、苦しむ家族への、生きていくための「処方箋」。亡くなった乙美を想い、集まった仲間と四十九日の準備をする中で、それはまるで奇跡のように効いてくる。 不倫相手である亜由美の人物像や、浩之のダブルバインドなど、なんとなく昼ドラっぽい嘘臭さが漂うところもあったが、一方で、不妊に悩む女性の苦悩や、老いた親を惑わせている申し訳なさ、子どもを持ったことのない百合子が子どもと接するときの甘酸っぱい戸惑いなど、精巧な描写も多い。そのへんの微妙な温度差がちょっと物足りなくはあったが、乙美の「レシピ」や、四十九日までの手伝いを買って出てくれる井本やハルミの存在、随処で効果的に「境」として演出される川など、物語としての仕掛けも多く、読後感は悪くないものだったと思う。
Posted by
妻が、義母が死んでしまった後、頼まれたとやってきた娘の口から 『四十九日には大宴会を』という奇妙な伝言を聞かされたら? とりあえず反発するか、するほどの気力もないか。 葬式も四十九日も、残された人間が悲しい思いをする暇がないように、で あるようなものですから…本人の希望を通せる...
妻が、義母が死んでしまった後、頼まれたとやってきた娘の口から 『四十九日には大宴会を』という奇妙な伝言を聞かされたら? とりあえず反発するか、するほどの気力もないか。 葬式も四十九日も、残された人間が悲しい思いをする暇がないように、で あるようなものですから…本人の希望を通せるなら、そうした方がよいかと。 しかし、どういう繋がりで頼んだのか。 そして彼女が連れてきた彼も、どういう繋がりなのか。 読んでいて、そんな馬鹿な、と思う事もなく そうなのか、とすんなり思ってしまうようなものでした。 胸がほっこりする、という話です。 ちょっと、気の使い方が間違ってますよ、というのも こういう人間に勘違いしてついて行ってはいけません、というのも 勉強になる感じでしたが…w これだけ人が集まって、これだけ別れを惜しんでくれて。 こんな人生だと、ちょっと幸せな気がします。
Posted by
著者である伊吹有喜さんの本はストーリー展開のおもしろさと かならず心温まる内容ですっかりファンになりました☆ この本を読み終えた後すぐにアマゾンでデビュー作の 「風待ちのひと」を購入しました!もちろん期待通り、いやそれ以上でした!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
途中の浮気のドロドロ感はちょっと…と思ったけど、最終的にはポロポロと涙を流しながら読んでいる自分がいた。 「レシピ=処方箋」という言葉を見たとき、母って温かくて強いなって心から思った。きっと、いつかこの本を読み返したくなる日が来るんだろうな。
Posted by
とてもよかった。 店頭でみかけてなんども手に取っていたのに買っていなかった。早く買って読めばよかった。 最初のコロッケサンドの話からがつんともっていかれて、じわじわ泣かせるエピソードが繰り出される。 グリーフワークについて勉強中なので、まさにこれがそうだと思った。大切な人を亡く...
とてもよかった。 店頭でみかけてなんども手に取っていたのに買っていなかった。早く買って読めばよかった。 最初のコロッケサンドの話からがつんともっていかれて、じわじわ泣かせるエピソードが繰り出される。 グリーフワークについて勉強中なので、まさにこれがそうだと思った。大切な人を亡くすことから立ち直っていくために必要な期間と作業。 乙美さんは本当に素敵。やさしさや思いやりばかりでできている人のように思える。 テイクオフボードという言葉がとても気に入った。自分の仕事もまさにテイクオフボードになることだし。 もっと、この人の作品を読みたいと思った。
Posted by
ドラマを見ていなかったので、 「四十九日の法要での料理のレシピ」だと思い込んで読み始めました。 料理のレシピもあったけれど、残された遺族のための生活のヒントや 自分の思いが散りばめられたレシピだったのですね。 乙母さんの深い愛情あふれた1冊だと思いました。
Posted by
話の中にでてくる登場人物がすべて親しみのわく魅力的なキャラだ。読み進める自分に笑いと涙が交互におとずれる。なかなか小説本が進まないわたしでも、一気にストーリーに引き込まれる。 生前に、乙美さんが作っていた「レシピ」のアイディアには脱帽。わたしならどんな「レシピ」にするかなぁと・...
話の中にでてくる登場人物がすべて親しみのわく魅力的なキャラだ。読み進める自分に笑いと涙が交互におとずれる。なかなか小説本が進まないわたしでも、一気にストーリーに引き込まれる。 生前に、乙美さんが作っていた「レシピ」のアイディアには脱帽。わたしならどんな「レシピ」にするかなぁと・・・そんな「レシピ」をわたしも作ってみたい。そして娘や夫にも読んでもらいたい。
Posted by
大切な人をなくした父と娘が、49日を迎えるまでのお話。 父と娘、沢山の人を幸せにするレシピ、あったかい気持ちになれた。 一度読んだときのモヤモヤは途中に多少あったけれど、そんなリアルな人間関係も描きたかったテーマだったんだろうか。 大切な人の死と向き合うこと、その人に関わってきた...
大切な人をなくした父と娘が、49日を迎えるまでのお話。 父と娘、沢山の人を幸せにするレシピ、あったかい気持ちになれた。 一度読んだときのモヤモヤは途中に多少あったけれど、そんなリアルな人間関係も描きたかったテーマだったんだろうか。 大切な人の死と向き合うこと、その人に関わってきた沢山の人によって人生が作り上げられてくること。周りの人を想う大切さ。乙母に少し私も学ばせてもらえた気がします。
Posted by
川はあらゆるものの境目 迷ったら川に行くといい。 継母はどんな思いで川の前に立っていたのか… 自分も川の前で気持ちの整理をしてみたい。
Posted by
本屋さんで、プロローグに惹かれて購入しました。亡くなった妻。亡くなった継母。彼女の四十九日までの時間を生活の知恵の詰まったレシピと一緒に過ごす。 あたたかくて素敵でした。
Posted by