1,800円以上の注文で送料無料

ザ・ラストバンカー の商品レビュー

3.9

102件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

    52

  3. 3つ

    23

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2011/12/31

元住銀、SMBC頭取、前日本郵政社長の西川善文氏による私の履歴書的な自伝。住銀調査部時代のOJTでの経験、安宅産業の事務処理(第三融資部)、不良債権処理、日本郵政公社での合理ではなく情緒で翻った政策など、破綻処理と再生に伴う著者の経験と感想がまとめられた一冊。メモ。(1)最も大切...

元住銀、SMBC頭取、前日本郵政社長の西川善文氏による私の履歴書的な自伝。住銀調査部時代のOJTでの経験、安宅産業の事務処理(第三融資部)、不良債権処理、日本郵政公社での合理ではなく情緒で翻った政策など、破綻処理と再生に伴う著者の経験と感想がまとめられた一冊。メモ。(1)最も大切なのは明快な結論である。…あえて与信可とする結論にはリスクを負う。しかしリスクを負って徹底的に調査をいたのと、リスクを負うのを恐れてあやふやに済ませた調査とは全然違う。(2)…80%の自信があれば殆どの決断は正しいものになる。…前向きにチャレンジして失敗した場合、その責任は問わない。減点主義の人事を廃していく。何も行動を起こさない者こそ私は責任を問う(3)スピーディーに物事を進めるためにはトップが率先して動くしかない。…率先垂範、先頭に立ってやることで部下達も進んで仕事をする。経営の責任者とはそういうもの。

Posted byブクログ

2012/06/02

マスコミでは悪役に仕立てられてきた著者であったが、これを読んで評価は一変した。「今そこにある難題と格闘しつづけ結果として、ほめ言葉と悪評をいただいたにすぎない。」と著者が述べているとおり、他人の毀誉褒貶は顧みず真摯に仕事に取り組んで来た自信が、行間から読み取れる。自伝ものとしては...

マスコミでは悪役に仕立てられてきた著者であったが、これを読んで評価は一変した。「今そこにある難題と格闘しつづけ結果として、ほめ言葉と悪評をいただいたにすぎない。」と著者が述べているとおり、他人の毀誉褒貶は顧みず真摯に仕事に取り組んで来た自信が、行間から読み取れる。自伝ものとしては、今年のベストの部類に入る。 「毀誉褒貶は人の下すもの」自分は己の心に正直に仕事に取り組むべしを自戒の言葉としたい。

Posted byブクログ

2011/12/28

戦後の金融の歴史とも言える前半、そして、郵政の社長に転出して 改革に邁進したのにもかかわらず、志半ばで辞めざるを得なかった胸の内を明かす。 安宅産業の問題に対処して以降、不良債権処理という畑を歩いてきた。奇しくもバブルがはじけ、日本中の銀行が不良債権を抱え、のたうちまわっている時...

戦後の金融の歴史とも言える前半、そして、郵政の社長に転出して 改革に邁進したのにもかかわらず、志半ばで辞めざるを得なかった胸の内を明かす。 安宅産業の問題に対処して以降、不良債権処理という畑を歩いてきた。奇しくもバブルがはじけ、日本中の銀行が不良債権を抱え、のたうちまわっている時期に、住友銀行の頭取になり、合理化を進めるとともに、さくら銀行との合併も成し遂げる。 最後は当時の小泉首相、牛尾氏の説得により、郵政のトップを引き受けるが、鳩山総務大臣との確執、さらには民主党政権になり、辞めざるを得なかった。 最後は政治の振りまわされた悔しさを抑えた文章で綴っている。 日本の政治の愚かさを再認識し、日本の政治が三流と言われる所以も納得。 タイトルにある「ラストバンカー」という呼称は、著者にふさわしい勲章であると感じた。

Posted byブクログ

2011/12/24

思いの外面白かった。 事実だけを並べたり、功績を賛美するだけではなく、悩みなどの心理面が鮮明に描かれており、緊迫感があって非常に読みやすい。 本当はもっともっとスリリングでドロドロしたエピソードが沢山あるのだろうから、もう少しひけらかしてもらいたかったけど、それでも元頭取がここま...

思いの外面白かった。 事実だけを並べたり、功績を賛美するだけではなく、悩みなどの心理面が鮮明に描かれており、緊迫感があって非常に読みやすい。 本当はもっともっとスリリングでドロドロしたエピソードが沢山あるのだろうから、もう少しひけらかしてもらいたかったけど、それでも元頭取がここまで語った本というのは珍しいのではないかな。

Posted byブクログ

2011/12/26

2011.12.20-2011.12.22 予備知識が乏しいので、十分に味はふことができなかつた。 回顧録なので当然ではあるが、ご本人の視点からの話が大半で、例へばバブルについて、より巨視的な評価や意見が聞けると、話にもつと幅が出たのではなからうか。

Posted byブクログ

2011/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

さすがに金融激動の時代を生き抜いてこられた人の回顧録。過去のものだと知っている事件の予備知識が乏しいものの、当事者から当時のやりとりや本人の決断の背景等が克明に語られているのは新鮮で面白い。合理性と現実の間で悩みながらも、様々な決断してきたという背景を知ると、リーダーは苦難から逃げず批判に屈してはいけないという最期のメッセージは強い。それにしても規模の大きな話が多い

Posted byブクログ

2011/12/17

 職場の本屋の平積みから購入。  日本郵政の社長で政治にもみくちゃになって、たぶんいろいろな批判もされているのだろう。  自分は、素直に彼の指摘を受け入れ、自らの反省材料にしたい。 ①郵政のファミリー企業との関係を見直す。(p243)  役人は、早期退職があるので...

 職場の本屋の平積みから購入。  日本郵政の社長で政治にもみくちゃになって、たぶんいろいろな批判もされているのだろう。  自分は、素直に彼の指摘を受け入れ、自らの反省材料にしたい。 ①郵政のファミリー企業との関係を見直す。(p243)  役人は、早期退職があるので、その受け皿の組織をつくるために、ファミリーと称される法人をつくってそこを通して、退職者の賃金を確保しようとする。  これがコスト高につながり税金の無駄づかいになる。会社も経費をものすごく切り詰める時代、こういう発想を一切捨てて、退職後は自分の力で生きるよう能力を自分でつけるようにしたい。  国益、国民の利益にならないことに,NOということが大事。 ②後任の頭取に同じ住友出身の奥さんを指名した。(p211)  人事のたすきがけより、適材適所を行う。いうはやすし、やるはかたしだと思うが、それを断行したことは立派だと思う。 ③さくら銀行との合併後、100日以内にあらゆる部署が取り組むべきコスト削減、リストラ計画をまとめ着手する「百日作戦」を打ち出した。  今の役所の合併組織だが、10年たっても、まだまだ風通しも悪く、無駄もある。きっと当時の銀行でも不平不満はあったのだろうが、それを断行するトップの力はすばらしいと思う。  民間のトップの回顧録から、それを自慢話と受け止めずに、自分は、素直に、役人ができていないことを反省したい。

Posted byブクログ

2011/12/12

政治家とマスコミによってヒールに仕立てられた西川氏の回顧録。ここまで面白いとは思わなかった。不良債権処理、金融再編など内輪話がたくさん出てくるが、なかでも日本郵政での苦労は同情したくなる。小泉改革が間違いだと思っている人はこの本を読んだ方がいい。 彼の銀行員としての仕事に対する姿...

政治家とマスコミによってヒールに仕立てられた西川氏の回顧録。ここまで面白いとは思わなかった。不良債権処理、金融再編など内輪話がたくさん出てくるが、なかでも日本郵政での苦労は同情したくなる。小泉改革が間違いだと思っている人はこの本を読んだ方がいい。 彼の銀行員としての仕事に対する姿勢にも共感した。取引先をよく知り、勉強し、使命感を持って仕事をするのが銀行員としての喜びと彼は言う。そして何にも増して仕事のスピードが大事だと。色々なことを教えてくれる良書です。

Posted byブクログ

2011/12/04

西川善文氏が1938年に生まれてから、 日本郵政の社長を退くまでの回顧録である。 西川氏の「気概」と「出会い」が印象的であった。 (以下、本文からの抜粋) ------------------------------------------------------------...

西川善文氏が1938年に生まれてから、 日本郵政の社長を退くまでの回顧録である。 西川氏の「気概」と「出会い」が印象的であった。 (以下、本文からの抜粋) ------------------------------------------------------------------------------------- 「バンカーとしての責務は、健全な経営をすることによって、お客様から預かったお金をきちんと運用し、内外の経済発展に寄与すると同時に、銀行で働く人々の待遇をできるだけ改善し、その士気を高めて競争力を上げていくことだと考えて、私はここまでやってきた。だから私利私欲などまったくないし、私心もない。」 「決して現状に甘んじてはいけない。現状維持は沈むことである。チャレンジして失敗すると今後の人事評価が下がるのではないか、と心配する人が多いと思うが、それはしないと約束する。私はむしろ、『不作為の罪』を問いたい」 「傷んだ企業の傷んだ事業と傷んだ資産を立て直すとは、雇用と事業をどこまで守るのかを痛みを持って決断することである。私たちは全能の神ではない。一人の人間としては、一人でも多くの従業員の雇用を守り、一円でも多い利益につながるような事業にしたいと願う。だが、その願いを聞いてもらえるほど世の中は寛容ではない。したがって血を流すことはあっても、何を最後の一線として守るかの決断を、神ではないただの人間の集団がしなければならない。」 -------------------------------------------------------------------------------------- 規制下の銀行業においても挑戦を鼓舞する気概、かつての上司を追放する苦渋の決断、郵政事業改革反対派への憤りなど、飾らない肉薄が印象的だった。 華やかな営業畑を歩んできたのではなく、不良債権処理や企業再生に関わってきた西川氏の見識は、現代の厳しい経済環境の中、地域金融機関が国内中小企業に対してどのような支援ができるのか、という面に置き換えても示唆に富むもののように思う。 困難な試練を乗り越えていく背後には、西川氏の人望があってこそ得られる優秀な上司との出会いと信頼関係、社外の人脈、そして家族の支えがあったように思われる。

Posted byブクログ

2011/11/30

2011/11/29 読了 三井住友銀行元頭取・初代日本郵政代表執行役社長の西川善文の回顧録である。 構成としては、 ・第一章 バンカー西川の誕生 ・第二章 宿命の安宅産業 ・第三章 磯田一郎の時代 ・第四章 不良債権と寝た男 ・第五章 トップダウンとスピード感 ・第六章 ...

2011/11/29 読了 三井住友銀行元頭取・初代日本郵政代表執行役社長の西川善文の回顧録である。 構成としては、 ・第一章 バンカー西川の誕生 ・第二章 宿命の安宅産業 ・第三章 磯田一郎の時代 ・第四章 不良債権と寝た男 ・第五章 トップダウンとスピード感 ・第六章 日本郵政社長の苦闘 ・第七章 裏切りの郵政民営化 となっている。職務の話がほとんどであり、個人的なことはあまり書かれていない。 郵政の話は自己弁護が目立つものの、テーマが良く絞られていて構成が良くまとまっており読みやすい。 人物像としてはカミソリのような印象であるが、 ひたすら矢面に立ち、短気ではあるが部下思いであることが伝わってきた。 磯田会長の解任を部長級全員の決議を取る場面など、銀行員としてのエクスキューズを最大限にしながらも(充分な根回し)大きな決断をする流れがなまなましく書かれており、銀行員という制限がありながらも矢面に立つリスクをとり続けたのだと強い印象を受けた。 しかし、仕事上はそのような立場であっても、磯田会長の墓参りをするなど人間味も感じられた。 バブル期~バブル崩壊の激動の時代を生きた人間として、負の仕事の気苦労というものも伝わってきた。 ハードな交渉や裏切りについても書かれており、ひたすら矢面に立ってきたことが綴られている。 前のめりで責任感がある姿勢は、とても身の引き締まる思いだった。 読み応えがある本。

Posted byブクログ