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ザ・ラストバンカー の商品レビュー

3.9

102件のお客様レビュー

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2011/11/28

元 三井住友銀行頭取・前日本郵政社長の回顧録。西川氏のバンカー人生について自ら記されている。 本書は主に①本店調査部時代の不良債権先との悪戦苦闘②頭取時代のトップダウンとそのスピード感の重要性③郵政社長時代の郵政民営化における政治との戦いの3項目に分けられる。 ①本店調査部時代。...

元 三井住友銀行頭取・前日本郵政社長の回顧録。西川氏のバンカー人生について自ら記されている。 本書は主に①本店調査部時代の不良債権先との悪戦苦闘②頭取時代のトップダウンとそのスピード感の重要性③郵政社長時代の郵政民営化における政治との戦いの3項目に分けられる。 ①本店調査部時代。序盤は企業の仕振りについて。決算書から時系列の業績推移・財務内容・経営効率についてチェックした上で、企業へ直接乗り込んで経理部長と膝を割って話し合う重要性。最も重要なのは、問題点を暴かれたときの経営者の対応。中小企業は経営者の実力がそのまま企業に影響することから、経営者が信頼出来ない会社の財務内容がいいはずもなく、問題を直視出来ない・指摘された点について聞き入れる姿勢がない経営者も同じ。又、財務内容がいいからといって守りに徹する経営も駄目。逆に内容が悪くても現状把握と経営効率や将来の新規市場に対した経営努力に優れた経営者がいる会社は生き残るということ。 中盤は、M&Aや「安宅産業」・「イトマン」の破綻処理について。著者の苦労話であるも壮大すぎて、一応同じ職業とは到底思えないほどの壮絶な戦いが記されている。要約すれば、銀行融資について、その債権額というのは中小企業と大企業とではもちろん違うし、その使い道も違う。例えば大手商社への融資となれば、その規模は何千億規模のものであり、多くの関連企業が存在する。使い道も外国資源の輸入であったり為替リスクや流動性リスクが内在するものとなってくる。従って、世界経済と日本経済の動きに連動するものとなり、仮に貸付けた企業が倒産すれば世界から日本は信頼を失うこととなり、関連する企業の連鎖倒産だけでなく、日本経済全体の信頼を失うこととなる。そこには雇用も存在することから、大手企業1社を潰すことで計り知れない影響が出る。これをいかに慎重かつ大胆に処理していくかが、記されている。壊れたものを繋ぎ合わせるには莫大な時間と労力が必要であり、そんな仕事は面白くない。ただ、融資金というのは銀行の資産。取引先の劣化は資産の劣化に等しいわけで本来、中小企業においても融資実行直後から期中管理をするべきで、どこに融資金が使われるかを注視し、前向きな資金として貸す喜びと共に、常時取引先と確認し合う行為がいかに大切かが思い知らされた。 ②頭取時代 著者は8年間トップを務め、その間に三井住友銀行が誕生する。経営者としてトップダウンとスピード感を重視し、過去のしがらみを超越し、経営効率を主眼においた経営実践について示されている。又、このころに住専問題等が表面化し、不良債権問題に追わ続けることから著者は「不良債権と寝た男」と呼ばれることとなる。 ③郵政社長時代 有名な小泉内閣の「郵政解散」により初代社長に就任した著者。 新聞やテレビ等で報道されていた表面的な内容とは異なる部分が見えてくる。著者が重視したのは利益体質の構築に変わりはないのだが、郵便局のネットワークの運用において、これまで以上に利便性を重視してきたことがわかる。例えば、郵便局から銀行への振込はこれまで不可能であったが、全銀協との交渉をまとめ、これを可能にした。コンビニポスト・保険・住宅ローンの取扱い。経営効率と利便性を重視した経営を実践していった。 しかし、最後は「簡保の宿」問題にて当時のクソ総務大臣により糾弾され、民主党政権による民営化の凍結。クソ政治家のビジネス論を無視したパフォーマンスにより頓挫する。著者は皮肉たっぷりに「自分の政治音痴」と表現している。 総括。本書を読んでいるとスピードこそが最も重要であり、スピードに重点置いて身の回りを検証することで無駄が見えてくる。本書の中に「青信号。ゆっくり渡れば赤になる」という言葉が出てくるが、その一言に全てが集約されている気がする。銀行業務はさておき、、社会人として本書は非常に参考になる本と思う。

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2011/11/27

SMBCの元トップが語る銀行の内実。不良債権処理と郵政民営化に日々奔走する姿、強烈なリーダーシップの裏にある思いが書かれています。こういう経営者のもとで働きたい。SMBCが好きになりました。

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2011/11/25

三井住友銀行元頭取である西川善文氏の自叙伝。銀行の環境が大きく変化する中で、不良債権処理、合併、クーデター等を主導するとともに郵政改革をリードした人物。当時のやりとりや本人の決断の背景等が克明に記述されている。銀行という規制された枠組みの中で、多くの変革を実現した力量は感服する。...

三井住友銀行元頭取である西川善文氏の自叙伝。銀行の環境が大きく変化する中で、不良債権処理、合併、クーデター等を主導するとともに郵政改革をリードした人物。当時のやりとりや本人の決断の背景等が克明に記述されている。銀行という規制された枠組みの中で、多くの変革を実現した力量は感服する。改めてメガ銀行の頭取の中で、なぜ彼が知名度が突出して高かった理由が判った気がする。銀行に勤務する中で、自らを奮い立たせるために役立つ著書である。

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2011/11/26

「青信号、ゆっくり渡れば赤になる」 不作為の罪 リーダーシップとは、直面する難題から逃げないことである。 リーダーが逃げないから部下も逃げないし、前のめりで戦う

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2012/01/05

はじめにで「仕事について書き残すことは仲間の恥を書くことになる」と書いていたが、読んでみると、まさに現場で起きたことがリアルに想像できるほどの臨場感があった。確かにその現場にかかわった人にとっては、ある意味「恥」の部分も書かれているだろうと思う。しかしその分だけ読んでいて引き込ま...

はじめにで「仕事について書き残すことは仲間の恥を書くことになる」と書いていたが、読んでみると、まさに現場で起きたことがリアルに想像できるほどの臨場感があった。確かにその現場にかかわった人にとっては、ある意味「恥」の部分も書かれているだろうと思う。しかしその分だけ読んでいて引き込まれる。スピードと決断する勇気の大切さを何度も説いている。 頭取になるほどの人だから、エリート街道を一直線で、本部で戦略でも練っている人かと思っていたが、ニュースで報道されたイトマンやダイエーの不良債権処理の最前線で当事者と時に対峙、共闘してきた人だったのかと驚いた。これを読むと小泉元首相が日本郵政社長に指名したのも納得だ。 読んでいて漠然と感じたことは、3点 ・銀行員は企業のトップと直接重要な話を聞くんだなぁ。 ・銀行は経済を支える柱であり血液なんだと言う事。 ・優秀な人は年末年始もなく急に呼び出されて重要な案件にかかわって働いているんだなぁ。 横浜市の図書館では150件以上の予約だったが、母校の図書館では予約は1件だけ。ありがたい反面、「大学生もっと本を読んで勉強しろ」と思ってしまった。

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2011/11/21

過去に日本郵政公社社長に就任する際に出版した新書を読んでいたので、個人的には郵政絡みの後半が新鮮でした。本書を通して西川さんは、反骨の苦労人だったと言うことを主張したかったのかな。住友も郵政も有終の美を飾るような終わりかたではなかったが、西川さんらしいということでしょうか。実録本...

過去に日本郵政公社社長に就任する際に出版した新書を読んでいたので、個人的には郵政絡みの後半が新鮮でした。本書を通して西川さんは、反骨の苦労人だったと言うことを主張したかったのかな。住友も郵政も有終の美を飾るような終わりかたではなかったが、西川さんらしいということでしょうか。実録本としては、かなりぶっちゃけていると思います。

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2011/11/19

ご存じ西川元頭取の回顧録。 僕が入行する前の人だからどちらかというと日本郵政のイメージ、そして叩かれまくってた人というイメージだった。 この本は決して銀行の明るい面にスポットライトを当てたものではない。 むしろ黒い暗い面が多い。 しかしそのような問題に1人の人間が向き合ったと...

ご存じ西川元頭取の回顧録。 僕が入行する前の人だからどちらかというと日本郵政のイメージ、そして叩かれまくってた人というイメージだった。 この本は決して銀行の明るい面にスポットライトを当てたものではない。 むしろ黒い暗い面が多い。 しかしそのような問題に1人の人間が向き合ったときに何ができるのか、何を基準に判断をするのかを教えてもらえる。 時系列がぐちゃぐちゃだったりかなり感情的に書かれている部分があったりするがそれだけ筆者の思いが強いのだろう。人間臭くていい。 圧巻はあとがきだな。ここに全てが凝縮されてるな。ここだけでもこの人の静かな覚悟と決意がよくわかって響くよ。 俺も自分の言葉でこれだけのことを語れる人間になりたい。日々勉強と努力だな。

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2012/12/06

バブル崩壊から現在に至るまで、銀行が非難され叩かれる場面は散々見てきた。そして僕自身も銀行にはかなり批判的な目でしか見てこなかった。 でもこの本を読む前から薄々勘付いていたし、この本でも感じたのは、日本の銀行の多くは所詮、日銀や財務省の意向から外れて行動することなんてできないと...

バブル崩壊から現在に至るまで、銀行が非難され叩かれる場面は散々見てきた。そして僕自身も銀行にはかなり批判的な目でしか見てこなかった。 でもこの本を読む前から薄々勘付いていたし、この本でも感じたのは、日本の銀行の多くは所詮、日銀や財務省の意向から外れて行動することなんてできないということ。 護送船団方式で守られてきたことを非難されたけど、裏を返せば銀行には何の決定権もなかったんじゃないのか。昔は店舗の出店にもいちいち大蔵省の許可が要ったそうだし。 住専を作ったのも大蔵省、銀行に出資を求めてきたのも大蔵省、顧客を紹介させたのも大蔵省、でも破綻して中坊さんに責められ悪役とされる銀行・・・。 今も銀行の貸し渋りが取り上げられるけど、それも結局、財務省、日銀の厳しい目があるからじゃないのかな。 銀行の自由度が上がれば、経済はもっと発展するはず。

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2011/11/17

 自分はもう銀行員ではありませんが、銀行員時代から興味があった方の自伝。  著者も書いておられるように、マスコミなどでは悪役イメージで伝えられることが多かったですが、バンカー人生の大半を「破綻処理と再建」という泥臭いに分野に費やし、従来の枠にとらわれない柔軟な発想と実行力で解決...

 自分はもう銀行員ではありませんが、銀行員時代から興味があった方の自伝。  著者も書いておられるように、マスコミなどでは悪役イメージで伝えられることが多かったですが、バンカー人生の大半を「破綻処理と再建」という泥臭いに分野に費やし、従来の枠にとらわれない柔軟な発想と実行力で解決してこられた実績には脱帽です。  若干、弁明的な内容もありますが、時に独善的に映り非難されても、信念を持って一つの決断を繰り返してこられたことが伝わってくる本です。

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2011/11/14

三井住友銀行元頭取の自伝。民営郵政の社長としても有名で、小泉政権下で持ち上げられ、鳩山元総務大臣から梯子を外され、叩かれながら辞任したことで有名。またさくら銀行との合併、不良債権処理等もやった。 具体的な固有名詞(社内はもちろん、合併相手やUFJ争奪戦、政治関係)を出しながらの記...

三井住友銀行元頭取の自伝。民営郵政の社長としても有名で、小泉政権下で持ち上げられ、鳩山元総務大臣から梯子を外され、叩かれながら辞任したことで有名。またさくら銀行との合併、不良債権処理等もやった。 具体的な固有名詞(社内はもちろん、合併相手やUFJ争奪戦、政治関係)を出しながらの記述は迫力がある。彼の一方的な主張ではあるが、貴重な記録だと思う。特に合併の部分は、綺麗事が立ちすぎている感があるが、現在メガ3行のうち三井住友銀行が一番合併がうまくいっているのはこの合併時の岡田さくら頭取と著者のやり取りを読むとわかる気がする。 一方で、30代から自らがかなり高度な仕事やっていたかのような記述、基本は自分は正しいという主張が目立つが、嫌みはない。 結構な厚さの本ではあるが、あっという間に読めた。

Posted byブクログ