長い終わりが始まる の商品レビュー
小説の中の登場人物の会話の中から出て来た言葉が、この本のタイトルになっている。 はじめに、一体この物語を語っていた登場人物は一体誰だろう? 語り手って、登場人物たちを関係ない距離のある人に感じるけど、 この語り手?さんは、妙にこの登場人物のことを知ってる人が、 この世界の...
小説の中の登場人物の会話の中から出て来た言葉が、この本のタイトルになっている。 はじめに、一体この物語を語っていた登場人物は一体誰だろう? 語り手って、登場人物たちを関係ない距離のある人に感じるけど、 この語り手?さんは、妙にこの登場人物のことを知ってる人が、 この世界のひとたちを語ってる気がして、珍しい感覚でした。 私は、田中のことがどうしようもなく好きな小笠原さんが好きだけど、 その小笠原さんの気持ちをまさにチャラチャラしてしまった田中が嫌い。 好きな人のこと、いつの間にか隅々まで気になるようになってて、知っていってて、 周りに迷惑かけるぐらい、恋のせいでわがままになってる自分がいて、 なんかこのお話、リアルだった。 男と女は、ともだちとでは埋めれないことをするんだね。 まだまだ二人は不安定だったし、不安定であることが必要な時期だったのよ。 お互い。 最後、話の中で、ホォアナデアルコとウンナナクールが出て来ておもしろかった。
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私も小笠原と同じ。私は小笠原だ。 あぁ、私はあの時あの瞬間から長い終わりが始まってしまったんだなと思いながら、読んでしまいました。 何度読んでもおもしろい。
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大学生のころの、岡山大学文化棟の様子を思い出しながら読んだ。 学生が主人公の小説で、学園が出てくる物語を読んでいると、メタな視点から自分と重ねるでもなく、空気感とか言葉にならなかった感覚、風景が浮かんでくるということが昔からよくあったことを思い出した。 修辞が華やかでなく、し...
大学生のころの、岡山大学文化棟の様子を思い出しながら読んだ。 学生が主人公の小説で、学園が出てくる物語を読んでいると、メタな視点から自分と重ねるでもなく、空気感とか言葉にならなかった感覚、風景が浮かんでくるということが昔からよくあったことを思い出した。 修辞が華やかでなく、しかし描写の精度が高い小説は切実さにあふれていて、読後感は爽やかではないが読んでいてついつい夢中になる。
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図書館でふと目に留まり読みました。 もし私なら小笠原と同じ行動はとらないだろうけど、でもどこか共感できる部分があって切なくて悲しくなりました。好きな人に素直に気持ちを伝えられないもどかしさ、振り向いてくれることに期待する気持ち。全体的に鬱々とした小説でしたが、私は好きです。
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苦い。切ない。 小笠原ー。素直すぎていいとこも悪いとこも あるんだなー。 終わり方もとても好き。
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これはにがい 未熟で幼稚な人間をこれでもかというくらい真っ直ぐ捉えて書く その未熟さ故に譲れない部分がコミュニティの欺瞞だったり、狡猾さだったりする でも、それは自分も持ってる その持ってる事も逸らさず書く だから苦い ナイフの様な鋭いナオコーラ節に戦慄する 田中という男子...
これはにがい 未熟で幼稚な人間をこれでもかというくらい真っ直ぐ捉えて書く その未熟さ故に譲れない部分がコミュニティの欺瞞だったり、狡猾さだったりする でも、それは自分も持ってる その持ってる事も逸らさず書く だから苦い ナイフの様な鋭いナオコーラ節に戦慄する 田中という男子大学生を好きになった小笠原 マンドリンサークルの仲間の二人 コミュニケーション能力の低い小笠原はサークルでも浮いている 男子学生からは浮く田中 でも、田中はそのコミュニケーション能力の低さを可愛さに変えて女子の仲良くする狡い奴 恋に幼稚で魅力のない小笠原をいいように利用する田中は本当に狡い でも、小笠原も負けてばかりじゃない ナオコーラさん独特のフェミニズム論が愉快だった セックスの終わりは男の射精ではない 能動的に女子が決めてもいいんだ この辺りのかっこよさが好き 音楽をするのが目的ためのサークル活動の手段が自分をどう見せるか?社会でどう生きるかという目的にすり替わる矛盾 人間がよく陥る矛盾の書き方が上手い 明確な終わりは自分で決定できないからこそ長い終わりが人生だと言える ナオコーラさんの感性鋭さ 平易な言葉で心を抉られる 誰もが覚えのある苦さではないでしょうか 完敗
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小笠原が直情的過ぎてストレスがたまる。己のナイフの切れ味を知っていながら躊躇なくノーガードで振りかざす様は幼稚園児のようだ(切れ味を知っている分タチが悪い)。 小笠原はガードができないのだ。盾を全く持ち合わせていないから。 こう書いているうちにだんだん小笠原に興味が湧いてきた。...
小笠原が直情的過ぎてストレスがたまる。己のナイフの切れ味を知っていながら躊躇なくノーガードで振りかざす様は幼稚園児のようだ(切れ味を知っている分タチが悪い)。 小笠原はガードができないのだ。盾を全く持ち合わせていないから。 こう書いているうちにだんだん小笠原に興味が湧いてきた。 読んでいるときはイライラしたのに、読み終わったそばからまた会いたくなってきている。 不思議だ。 渋谷に構える大学にの小さなサークルのお話。
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読んでいるあいだは小笠原への反感でいっぱいで面白くもなかったけど、読み終わって思い返すときは話の余韻が続いていて良い流れだったなと思う。 人のセックスを笑うなの方が、言葉のつながりとか思いがあって良かった。 人の気持ちが全く考えられない、でも繊細で鋭い女の子。
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ナオコーラさん、読んでみたくて初読了。 話自体は割とうつうつとしていて、あまり好きなタイプでなかった割に、ストレスはなく読めた。 サークル、やってなかったけど、集団生活はいろいろあるよね、そして、大学生特有の空気感。 彼らを繋いでいるものは、お金でも責任でもない。思い出とかそう...
ナオコーラさん、読んでみたくて初読了。 話自体は割とうつうつとしていて、あまり好きなタイプでなかった割に、ストレスはなく読めた。 サークル、やってなかったけど、集団生活はいろいろあるよね、そして、大学生特有の空気感。 彼らを繋いでいるものは、お金でも責任でもない。思い出とかそういった類のなにか。 小笠原の不器用さと男の見る目なさにイライラさせられるが、 大丈夫、大学時代にアレコレあった男なんか、まーじでどうでも良くなるからさ、すぐに。といってやりたくもなる。 ラストページのこの文章は胸を打つ。そーだよ、わたしも全くその通り。と頷くしかない。 小笠原は好きな人とラーメンを食べたことがない。小笠原を好きな人がいない。小笠原を雇いたいと思っている人もいない。社会から必要とされていないのだ。小笠原は真剣にひとりっきり。今まで生きてきて、誰からも好かれたことがない。
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大学時代の終わりは、急にやって来ない。でもみんないつか終わる。大学3回生の私は、今月サークルを引退し、来月最後の講義を受ける。あと1年、沢山の最後を経験して、私の大学時代は終わる予定である。主人公小笠原と同じく協調性の無い私は、サークルの活動方針や目的意識の違いに悩まされてきた。...
大学時代の終わりは、急にやって来ない。でもみんないつか終わる。大学3回生の私は、今月サークルを引退し、来月最後の講義を受ける。あと1年、沢山の最後を経験して、私の大学時代は終わる予定である。主人公小笠原と同じく協調性の無い私は、サークルの活動方針や目的意識の違いに悩まされてきた。けれど彼女がわかっているように、私もわかっている。何かに一生懸命打ち込むのは素晴らしいし、それはそれで認められなくもないけれど、結局はみんなと仲良くやっている人の方が平和なのだ。私たちは周りからしたら疎ましいことが往々にしてあるのだ。大学生活が終わるということを、一事実としてではなく、自分の感情の上で認識し始めた人に読んでもらいたい。
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