長い終わりが始まる の商品レビュー
主人公の小笠原は私とは真逆の人間。すぐに「ばかだ」と言う所はむかついたが、惹きつけられた。 大学生はサークルという実に狭い世界で生きている。いつも人と繋がることに必死だ。 音楽にストイックな小笠原はかっこいい。 しかし必死な人間たちも、私は愛したい。
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この本を手にとったのは、米子のイオンにあったビレッジバンガード。一人旅でARTに触れ、友人とその子どもに二組続けて会いに行き、一緒に行ったショッピングセンター。帰りの飛行機で一人になることを考えて、本を買おう、と立ち寄った。 特別これが読みたかったわけではない。平積みされた表紙...
この本を手にとったのは、米子のイオンにあったビレッジバンガード。一人旅でARTに触れ、友人とその子どもに二組続けて会いに行き、一緒に行ったショッピングセンター。帰りの飛行機で一人になることを考えて、本を買おう、と立ち寄った。 特別これが読みたかったわけではない。平積みされた表紙の色が、初めて買ってもらった自転車の色だったこと、そして、4拍子が描かれていたこと。それだけ。 本との出会いって、そんなもの。 大学のマンドリンサークルの話だった。母が大学の時、マンドリン部に所属していたらしい。私はテニスサークルに入って、そこで形成される「トモダチ」の定義が、あまりしっくりきていなかった。そのふたつが、関係ないのにつながってちょっと思い出す。 ひとと一緒に音を作る、という経験をしたことのある人なら、必ず通る道程が描かれている。音楽用語が幾つも出てくるので、なじみのない人はそこで引っかかってしまうかも。ただ、誰かと一緒に何かを作ったり目指したりしたことがあるなら、共感、というか、ああ、と思える描写が、あるはず。 本文より 「最後に急に転調して、終わりの雰囲気を無理に作り出そうとしている曲って、嫌いだ、とフィーネの記号を指で擦る。 それにしても、終わりを認識する感度を、人間はどのように身につけてきたのか。 趣味のオーケストラの中でだけ親密だった関係は、金を稼いで生活するようになれば、気色の悪い思い出に変わっていくのだろう。」 大学のサークルとは、私にとっては、あまり、大切な場所ではない。それは、今となっては、の話だけでなく、多分その当時もそうだった。 内部進学生と、中高一貫の私立校から指定校推薦で入ってくる人が多い大学。そこで、数十名からなり、代々連綿と続く人間関係。その中に、浪人生活を経てなお、失敗した、という挫折を持ち込んで加わった私は、「自分を承認して欲しい、自分はここにいると精一杯アピールすること」が、好きじゃなかったんだと思う。そして、自分自身でその「絆」を断ち切った時に投げられた言葉は、「もう友達じゃなくなるね」だった。サークルとは、終わりが始まる場所だった。 そんなゆがんだ記憶を、何処かから掘り起こしてきてしまい、ちょっと置き場所に困っているところ。 山崎ナオコーラさんの紡ぐ物語は、どこかチクッとしたりヒリヒリしたりする、その感覚が、生、を実感させる。そこがとても好きだ。
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少しずつ失恋していく、話 と言ったらいいのかな。 サークルに恋に音楽に、 いろんな葛藤があって いろんな思いがあって。 この作者独特の雰囲気が漂う。 何も変わっていないようで、 何かが確実に変わっていく、 そんなことを描くのがうまいなあと。
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これ絶対國學院っしょと思って読んでたらそうだったからもう!しかもいま実習中だからちょうタイムリー! ナオコーラさん國學院て知らなかった。 お話としては、サークルのぐるぐる感を見事に描き切っていて、おもしろい!じゃないんだけど、あるよねー、そうだよねー、うんうん。という感じ。サーク...
これ絶対國學院っしょと思って読んでたらそうだったからもう!しかもいま実習中だからちょうタイムリー! ナオコーラさん國學院て知らなかった。 お話としては、サークルのぐるぐる感を見事に描き切っていて、おもしろい!じゃないんだけど、あるよねー、そうだよねー、うんうん。という感じ。サークルのめんどくささを適切に表現してるすごさ。
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くそが。 初体験を無下にすんな殺すぞ。 彼女居んのに独り身の女抱いて「帰らせたくないなー」じゃねえよ殺すぞ。 何が失恋だあほが。 思いっきり感情移入して身体が熱いわ。 田中の背中に飛び蹴りしたい。しね ----- 「形がきれい」 と田中が言ったのが、他の女の子のを見たことが...
くそが。 初体験を無下にすんな殺すぞ。 彼女居んのに独り身の女抱いて「帰らせたくないなー」じゃねえよ殺すぞ。 何が失恋だあほが。 思いっきり感情移入して身体が熱いわ。 田中の背中に飛び蹴りしたい。しね ----- 「形がきれい」 と田中が言ったのが、他の女の子のを見たことがある人しか言わない科白だったため、小笠原はブルーになったのだった。どうして他の女の子と比べられながら、褒められなくてはならないのか、と頭の芯が冷えた。 ぴょんと立っているものは可愛いが、枕に押しつけた跡が残って後頭部がペタッとなるタイプの寝ぐせは、見苦しいものだ。
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渋谷の大学で、マンドリンサークルに打ち込む小笠原。4年生ながら、就職活動をするでもなく、ただただ楽器を弾き続ける彼女。自分の「終わり」を感じつつ過ごす、青春最後の日々。 ナオコーラさん2冊目。堂々めぐりのかんじ、逃げ場がないかんじはこの人ぽい、独特だなぁ。結論が出るわけではない...
渋谷の大学で、マンドリンサークルに打ち込む小笠原。4年生ながら、就職活動をするでもなく、ただただ楽器を弾き続ける彼女。自分の「終わり」を感じつつ過ごす、青春最後の日々。 ナオコーラさん2冊目。堂々めぐりのかんじ、逃げ場がないかんじはこの人ぽい、独特だなぁ。結論が出るわけではないから、あまり好きではないんだけれど、雰囲気をつくることは本当に上手。「誰にでも書ける言葉で、誰にも書けない小説を」という目標は既に達成しているように思う。
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思い警察小説の後は、山崎ナオコーラさんの大学生のサークル活動を舞台にした『長い終わりが始まる』を選んだ。 文体は重くはないのだが、人とのコミュニケーションをとるのに得意でない主人公が、多くの事に流されて過ごしていて恋愛でさえもはっきり自分を主張できていない有様で、この先君はどうな...
思い警察小説の後は、山崎ナオコーラさんの大学生のサークル活動を舞台にした『長い終わりが始まる』を選んだ。 文体は重くはないのだが、人とのコミュニケーションをとるのに得意でない主人公が、多くの事に流されて過ごしていて恋愛でさえもはっきり自分を主張できていない有様で、この先君はどうなるのと思わせるないようで、読後の気分は明るくない。いままで読んできたナオコーラさんの作品は人生のいく先にないしてポジティブな物が多かったが、この作品ではそうではない気がするなあ。若いうちにコミュニケーション能力って言うのはどうやったら磨けるのかを考えさせられた。
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サークルに馴染めないけど、音楽が好きマンドリンが好き。指揮者が好き、田中が好き。頑固で一途な小笠原(女)が主人公。 マイノリティの難しさ、青春のもどかしさを感じることができる一冊。また、クリエイター、アーティストなどモノづくりを経験している方であれば、同感できることがある。 ...
サークルに馴染めないけど、音楽が好きマンドリンが好き。指揮者が好き、田中が好き。頑固で一途な小笠原(女)が主人公。 マイノリティの難しさ、青春のもどかしさを感じることができる一冊。また、クリエイター、アーティストなどモノづくりを経験している方であれば、同感できることがある。 大人になった小笠原の今後を見てみたいと思う。
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大学四年生になっても就活もせずサークルに打ち込む小笠原と、彼女の失恋までのちょっと切ない物語。やらなきゃいけないこともなんだかんだと理由をつけて避けてしまったり、素直になれないために何もかもうまくいかない日々に苛立ったり寂しくなったり、そんな描写がまさに同じ頃の自分と重なって胸が...
大学四年生になっても就活もせずサークルに打ち込む小笠原と、彼女の失恋までのちょっと切ない物語。やらなきゃいけないこともなんだかんだと理由をつけて避けてしまったり、素直になれないために何もかもうまくいかない日々に苛立ったり寂しくなったり、そんな描写がまさに同じ頃の自分と重なって胸がキュッとなった。終わりを意識し始めた瞬間はいつもどこかセンチメンタルな気分にさせられる。
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