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絶望の国の幸福な若者たち の商品レビュー

3.7

304件のお客様レビュー

  1. 5つ

    37

  2. 4つ

    115

  3. 3つ

    95

  4. 2つ

    15

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2023/12/04

10年以上前の本ですが、現代とのギャップはなく、 すっと読めました。 過去の日本での若者の定義から始まり、 過去と現代の若者の違い、その変化の経緯を垣間見れて面白かったです。 なんやかんや、日本は平和で幸せなんですね。 楽観視しすぎてはいけませんが。 自分も今の若者に茶々を...

10年以上前の本ですが、現代とのギャップはなく、 すっと読めました。 過去の日本での若者の定義から始まり、 過去と現代の若者の違い、その変化の経緯を垣間見れて面白かったです。 なんやかんや、日本は平和で幸せなんですね。 楽観視しすぎてはいけませんが。 自分も今の若者に茶々を入れるくらいしか世論を話せない大人にはならないよう相手の理解に努めようと感じました。

Posted byブクログ

2023/08/20

2011年の作品。東日本大震災後、民主党時代の作品。意外にも、若者は過去よりも最も幸せを感じているらしい。その一つの説明は、将来より良い未来を描けないために、現在に満足し、社会を変えようとも思わない、というものだ。感情論ではなく、データで現代の若者の実像を切り取ろうとする試みは興...

2011年の作品。東日本大震災後、民主党時代の作品。意外にも、若者は過去よりも最も幸せを感じているらしい。その一つの説明は、将来より良い未来を描けないために、現在に満足し、社会を変えようとも思わない、というものだ。感情論ではなく、データで現代の若者の実像を切り取ろうとする試みは興味深かった。本書の随所に、高齢の既得権益者の穿った若者観に憤りを感じている記述が散見され、かなり大胆に批判しているが、同時に安易な世代間格差の問題を高齢者になすりつけずに、正確に冷静に事実を観察しようとする姿勢は好感が持てた。同世代だが、20代でこれだけの著作が書けることに感嘆、尊敬する。

Posted byブクログ

2023/03/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

テレビではニヒルな態度で存在感を放つ古市氏。 インテリ系タレントの印象が強いですね。でも本作を読むと、どうしてどうして、実にドライブ感あふれる『若者論』を展開してゆきます。 ・・・ あらすじを述べれば、先ずそもそも若者とは何かと問い、これまでの若者論のあり方を過去にさかのぼります。端折って述べれば、そもそも日本には全体的で均質な世代としての「若者」などなかった(当然ながら農村に育つ「若者」と都市の「若者」には金銭的にも教育的にも大きな隔たりがあった)。それを、戦前・戦中の時の為政者が金太郎飴的な「若者」像を作成し、国民動員のために利用したという線が濃厚。 また戦後にも「若者」論は多く書かれたものの、今度は上位世代による『時代に追いつけません』という敗北宣言とでも言おうか、どちらかというと正しくない分析(思い込み)に基づく逆ギレ若者論であることを、過去の主張とデータとを照らし合わせて示しています。この点で、日本の若者論はこの数十年全く進歩していないと喝破。 ・・・ さらに今、若者はおろか老人ですら、均質化されたイメージは持ちづらい。同時に社会では個別の生き方を認める中で、良くも悪くも紋切り型の「若者」「老人」という括りすら正しくない、とします。言ってしまえば一億総中流はもはや幻想で、同世代の格差も大きく、趣味や趣向、そしてライフスタイルについても「普通」という表現はしづらい。ここに若者論の死を見ることが出来ます。 そのなかで、20代・30代の、非正規雇用をあえて選び、親の自宅から離れず、同質の友人とSNSらを介してツルみ、やや遠めの将来をイメージせずに暮らす若者たち。彼らは特定の「島宇宙」の中に安住している限り「ほどほどに幸せ」ということになります。ただしニュースでも社会情勢の不安(日本の債務残高、年金不安)等が報道され、自分の将来には何となく不安は感じる。そしていざとなれば他人を助けるのを厭わない素直さ。結局これが『絶望の国の幸福な若者たち』の彼なりの結論、ということになるでしょうか。 ・・・ ということで古市氏の作品でした。 基本的には社会学の本でして、データに基づいて、ある論拠が正しかどうかを都度都度見極める姿勢が通底しています。また、彼一流のシニカルな物言いが随所に見られ、これがまた面白い(何の議論だっけ?と筋を失いがちにもなりますが)。裏の帯に上野千鶴子さんや小熊英二さんがコメントしていることからも、学者としても嘱望されていることが良く分かります。なお、小熊氏によれば『今後修行を怠らなければ有望株』とあります笑 若者論を超えて戦後日本論ともいえる本作、宮台真司氏の著作などがちょっと難しかったと感じる方、日本の若者論に興味がある方、日本ってなんだか息苦しいと感じる方には面白く読んでもらえると思います。なお巻末には佐藤健との対談も掲載されています。なんでも佐藤氏と古市氏は同じ高校出身だそうです。

Posted byブクログ

2023/02/24

若者とは何か、なぜ未来に不安を抱えながら多くの若者は満足しているのかについて書かれた本だった。若者は昔よりも現代は多様化していて、また、かつての若者の特権だった自由に働くとか好きなことをして生活するといったことが、40代とかでも多くいることに対して、若者化が全世代で進んでいるとい...

若者とは何か、なぜ未来に不安を抱えながら多くの若者は満足しているのかについて書かれた本だった。若者は昔よりも現代は多様化していて、また、かつての若者の特権だった自由に働くとか好きなことをして生活するといったことが、40代とかでも多くいることに対して、若者化が全世代で進んでいるというのが興味深かった。今に満足することで未来への希望を持たないで小さな幸せを大事にして生活することは普通にありだとは思う。一方で、夢に向かって努力して頑張ることも賞賛されるべきだし、そういう人たちが幸せになれる社会でもあって欲しいと思った。

Posted byブクログ

2021/12/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

絶望の国の幸福な若者たち 単行本 – 2011/9/6 2013年6月29日記述 古市憲寿さんの著作。 2011年後半に出版されていて東日本大震災後の動向についても本書内で分析している。 いわゆる世代間格差や若者が搾取されがちな構造を持っている今の日本でなぜデモや暴動にまで発展しないのかが納得いくと思う。 実は明日はより良くなると信じれなければむしろ現状に満足するという指摘はなるほどと思った。だから知識では日本の若年層は経済的に不利ではあると分かっていても満足度が高いという結果につながっているのだ。 データをもちいてその理由の解説もあって納得感がありました。 全てではないけど自分の感じる点と近いものもありそれを明確に指摘されたという感があった。 若者論はどのように展開してきたのか、青年と呼ばれた時代から若者と呼ばれるようになった 経緯、明治政府が日本人という国民をつくってきたという事実。 いわゆるネトウヨから嫌われるマスコミではあるけれども日本人という国民を作ってきたのはマスコミの力によるところが大きいと知ると不思議な感じもする。 そもそも個々人で違うのに世代で一括りにすることへの無理。 本書で指摘があったようにまるで考えの違う同年代より趣味の合う年配者と話している方が楽しいというのは事実だろう。 本書内では様々な諸問題に対しての解決策は提示されていない。 しかし急には変わらないものの少しづづ社会は変わっていくと指摘もしている。 地道に取り組んだ先にしか答えはないのだろう。 本書では多くの本が登場する。全部とは言わないけどいくつか読んでいるとより深く理解が進むだろう。城繁幸氏や野口悠紀雄氏の本は自分も読んでいたので理解が早かったし面白かった。 本書内の戦争始まれば逃げると答える日本人が多いのに著者が肯定的なのには理解できる。 しかし中国という国家が隣でいて国民国家以上のバリバリの国家主義で運営されているのに日本だけ国民国家なんて徐々にやめても良いという議論は成り立たないと思う。 著者が大学で研究を続けていられるのも、友人たちと生活し会社も運営できるのもある意味国民国家からの恩恵を受けているからだ。 日本の良さ、豊かさも国家があって警察があって自衛隊があって安全が保たれているからこそだろう。 日本がなくなってもだから何という反応はさすがにいただけない。

Posted byブクログ

2021/09/26

不景気・格差拡大等、一見するとかつてないほど「不幸」な状況におかれている若者たち。しかし当の若者は現在の生活に満足し、自分を幸福だと感じているという。そのメカニズムを種々の統計データやインタビュー結果から分析している。 特に「ナショナリズム」論(第3章)は分かりやすかった。「日...

不景気・格差拡大等、一見するとかつてないほど「不幸」な状況におかれている若者たち。しかし当の若者は現在の生活に満足し、自分を幸福だと感じているという。そのメカニズムを種々の統計データやインタビュー結果から分析している。 特に「ナショナリズム」論(第3章)は分かりやすかった。「日本」とか「日本人」という括りは当たり前に存在しているが、それはどのように定義されるものなのかいまひとつよく分からないまま、しかし戦争を導く程の絶対的な区切りとして存在している。そんな中で若者は、また別の「日本ブーム」にはまっているという論は興味深いものを感じた。

Posted byブクログ

2021/05/20

楽しかった〜 やー、楽しかった〜 こういう本って、最終章の畳みかけ、えぐいよなぁ〜 「あの頃はよかった」と思える人以外はみんな若者らしいので、将来への不安や今の日本への絶望を抱えながらも、まぁこんなもんかと思っている人にオススメでございにゃす フリーター、実家暮らし、彼氏...

楽しかった〜 やー、楽しかった〜 こういう本って、最終章の畳みかけ、えぐいよなぁ〜 「あの頃はよかった」と思える人以外はみんな若者らしいので、将来への不安や今の日本への絶望を抱えながらも、まぁこんなもんかと思っている人にオススメでございにゃす フリーター、実家暮らし、彼氏なしの自分にグサグサ刺さるところもあったけれども、今まで言語化できていなかった部分(社会やこの国への不満、でも、日本はそこそこいい国だし、出ていくつもりは全くないって)がすっごく腑に落ちた一冊でございにゃした。

Posted byブクログ

2020/12/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読みやすい論文みたい。段々と現代の話になり読みやすくなる。注釈はTwitterみたいなコメントがあり、面白い。 若者は内向きなのか。 不景気の時ほど若者の幸せ度は高い。 仲間がいる小さな世界で日常を送る若者たち。幸せな理由の本質。 ナショナリズムの魔法。 日本という概念を作り出したのは明治政府。 戦時中はナショナリズムが功を奏し、国民、国家全体が盛り上がって行く。 グローバル化し、インターネットが普及し、SNSが発達する中で、海外に行っても日本と変わらない生活ができる。国境の概念とは。 現代の若者は日本を好きだけど、国家のために戦う選択肢は無い。 初期の社会運動論は「集合行動論」と言って社会変動のもたらす構造的な緊張や不満が人をアクションに向かわせるとしてきた。しかし今の日本は不満だけでは人は立ち上がらず、気楽でカジュアルでないとダメである。 民衆が立ち上がるのは彼らの持つ独自のルールが侵された時が多い。モラルエコノミーと呼ばれる独自の規範を民衆が持っている。打ちこわしや、米騒動、買い占めなど。(→今年のコロナの買い占めも当たるか。デモにはならなかったが、転売ヤーに対する糾弾はネット上で盛り上がった。) 若者はデモや社会活動をしていても、過激な思想や行動はせず、結局居場所や仲間を求めている。どんなに過激に見える集団であっても、そこが居場所となれば目的は冷却される。 なんとかく幸せで、なんとなく不安。そんな時代を僕たちは生きていく。

Posted byブクログ

2020/11/08

コメンテーターとしての立場しか知らず、社会学者としての古市さんの著書に興味があり初めて手にとりました。(2010年に書かれ、2011年初版とのことなので現在の古市さんの考えとは少し変化もあるかもですが) 「若者」という大きな概念と、これまで語られてきた「若者とは」を時代ごとに紐...

コメンテーターとしての立場しか知らず、社会学者としての古市さんの著書に興味があり初めて手にとりました。(2010年に書かれ、2011年初版とのことなので現在の古市さんの考えとは少し変化もあるかもですが) 「若者」という大きな概念と、これまで語られてきた「若者とは」を時代ごとに紐解き、それを解説するために「日本」の時代背景に伴う国民意識の変化(なんと江戸時代にまで遡る!)を丁寧かつ、歴史の話ながら分かりやすく書かれていたので【絶対に失敗しない日本史(新潮新書)】もさぞかし読み解きやすいんだろうな〜とまた読んでみたい本が増えました。 若者の生活満足度が高いのは身近なことに幸せや喜びを見つける人が相対的に多いからで、人は自分の所属している集団を基準に幸せを考えることが多い。しかし、満足している反面、不安を抱えている人が多いことも明らかにはなっている。 私自身も“若者”と呼ばれる世代層ですが、確かにそれら両面を抱えつつ上手くやりくりして生きてる側面を感じています。 また、中高齢者の方は、それらの方が若者と呼ばれていた時代を引き合いに出して「最近の若者は〜」と嘆くけれど、その批判やらはもう若者でなくなった彼らの自己肯定であり、自分探しというフレーズは痛快でした。 少子高齢化や将来の年金問題、非正規雇用など未来に大きな期待ができず、2人に1人が高齢者を支えることになるタイミングで支える側になる自分。その先の不安の方が大きいのに、子どもを産むことさえ無責任かもしれないと考えることもありますが、それももしかしたら、まだ見ぬ子どもからしたら自己肯定感の為の未来の高齢者の戯言かもしれないのか…なんて思ったり。 ともかく、選択肢が多く、自ら情報を取得できる時代に産まれていることに感謝をして、期待せずして幸せをつかみ取れる自分になることだなーと考えさせられました。(私もいくら経済が豊かであってもバブル時代とか、デジタルが発達していない時代に産まれたかったとは思わないから)

Posted byブクログ

2020/10/17

将来に期待がないときほど今が幸せだと思おうとする、という報告は、あぁ確かにとしっくり来た。一番面白いのは余白にある脚注。自虐とツッコミのさりげない配置が読み応え満載!

Posted byブクログ