緑の毒 の商品レビュー
開業医の川辺康之、妻の不倫に嫉妬し、レイプを重ねることになる。 内容的には、被害者が簡単にSNSでつながり、犯人を特定に至る経緯に、ご都合主義の感じ。 医者にヒエラルキー 研究者、市中病院の部長クラスの医者、最後が開業医。 開業医には、お金と自由時間がある。
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嫉妬に苦しみ、嫉妬に狂い、 嫉妬を喜び、 嫉妬を力に犯罪を繰り返していく既婚者で、連続レイプ犯の開業医。 しかし、破滅のときは徐々に近づいていく。 出てくる主人公、全員が嫌な奴。 桐野さんらしいな。 でもそんなとこが好きです。
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どの人間にもつまらない卑小なところが多いということを丁寧に描写する。 ひどい目に合おうが社会的地位があろうが人間に深みが出ていくわけでもない。 主人公の川辺の描き方なんて人生つまんないからって犯罪はだめだよ という当たり前の言葉のむなしさに気づかされる。 さらに妻のカオルにも自分がうまくいってて快適だからって軽々しく不倫して、犯罪者と判明した夫をためらいなく捨てるなんてだめだよ てのも思い浮かぶがむなしい。 妹が「友達で時々泊まっていく」 と紹介した男性をそのまま最近の若者はそうなのかと思う兄の鈍さにも笑った。判れよ。 鹿田の引きこもりの姉のエビも、「象のように死ね、そうだ交換しようよお姉ちゃん」なんて凄い台詞が出て 画期的にいい場面だったけど別に姉は引きこもりから脱出するわけでもなかった。 とにかく色とりどりに書かれてておもしろかった。
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桐野さんの本にしては不完全燃焼。ページ数が少ないわけじゃないのに掘り下げが浅い気がしてしまう。 もっと落ちてく感じとか、追いつめてく感じとかほしかったなあ~
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ここまで全く感情移入できないヒールな主人公もなかなか。だからこそもっと破滅的な最後でもよかったかな。カオルの「妻である責任」っていうのが一番可哀そうでもあり自業自得。旦那は選べるけどある意味選べない。
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加害者と被害者の両方の視点から話が進んでいくのは、初めてだった。 読みやすかったし面白かった。 一気に読めた。
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コメディでしょうか? もっと緊迫感あふれる作品かと思っていただけに拍子抜け(笑) ラストは無理やり終わらせた感じがしてしまいました(¯―¯٥)
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最後の川上医師の破滅をもう少し長く書けばよかったのにと思う。 もう少し長編にしても良かったのでは。 復讐を誓う当たりが面白かったが、アパートの飲み会あたりから展開が普通になってしまい残念。
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三十代後半、開業医。ヴィンテージスニーカーやブランド物が好きでフランク・ミューラーの時計をしている連続レイプ犯が主人公。妻は大病院の勤務医、同じ病院に勤務している救命救急医と不倫中。その不倫を知ったところから夫は狂い出して夜な夜なめぼしい女を物色して回ってレイプをする。 でも不倫...
三十代後半、開業医。ヴィンテージスニーカーやブランド物が好きでフランク・ミューラーの時計をしている連続レイプ犯が主人公。妻は大病院の勤務医、同じ病院に勤務している救命救急医と不倫中。その不倫を知ったところから夫は狂い出して夜な夜なめぼしい女を物色して回ってレイプをする。 でも不倫がきっかけと言えばきっかけだけど、弱り目に本性が出てきただけなんだろうと思う。男の視点、妻の視点、被害者それぞれの視点、男の元共同経営者の視点などから描かれる連作長編的な小説。 この男のうすっぺらであさーい人物造形が素晴らしい。 セリフの一つ心理描写一つに至るまでなんの真実味も入れない。男の罪について一切の正当化をしない。テーマに嫉妬というのがあったみたいだけれどそれは正直よくわからないというか男が誰であれ他人に深く執着するような性格を持っているとはどうしても思えなかった。最後病院に乗り込むときも妻への執着や愛じゃなく、単純に妻を盗られた夫としての反射神経的なものなのかなと思ったし。 相変わらず桐野夏生すごいと思ったのが医者、パート、医療従事者、それぞれの狭い業界の中のヒエラルキーやプライドの描き方。医者と言えば世間的にそれだけで成功者、金持ちのようなイメージがあるけど、町の開業医である男のコンプレックスや、たびたび出てくる「馬鹿にされてる」と思い込んでしまう空虚な心に惹かれるものがあった。
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誰の心にも毒がある。それは自分を痛めつけ、同時に人の痛みを知る優しさとなって心の浄化もしてくれる。人間とは、誰もが毒を合わせ持つ存在なんだろう。一方でレイプ犯罪者の動機は、普通の人間が心に合わせ持つ「毒」とは違って、あまりにも自分勝手で一方的だ。それを糾弾し、追い詰めていくのはやはり人。 タイトルが「緑の毒」。 どうして「緑の」なんだろう…。 そこだけ気になったまま、読了。さすが桐野さんの作品は軽いようでいて深い。
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