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第57回江戸川乱歩賞受賞作 呪いで人が殺せるか。変死体のそばで見つかった「呪術符」を手がかりに、呪術の研究を専門にする文化人類学者・仲澤大輔が殺人事件の真相に迫る、長編ミステリー。 個人的に、推理小説の出来を判断する1つは、都合のよさをいかに意識させないか、だと思っている。 こ...
第57回江戸川乱歩賞受賞作 呪いで人が殺せるか。変死体のそばで見つかった「呪術符」を手がかりに、呪術の研究を専門にする文化人類学者・仲澤大輔が殺人事件の真相に迫る、長編ミステリー。 個人的に、推理小説の出来を判断する1つは、都合のよさをいかに意識させないか、だと思っている。 この話は、その点でいただけない。 殺された真由の祖父と友達の紹介で偶然知り合った鳥類学者が知り合いだったという、かなり確率の低い偶然。 それに、犯人の居場所を特定する唯一の写真も、その学者が偶然拾ったものだという都合のよさ。 警察が、いきなり現れた仲澤の「呪い」の話を真剣に取り合ってくれるという、ほぼないだろうという設定。 「呪い」という目に見えないものと、「殺人」を結びつける手法とか、実際に存在した呪術者集団の歴史的な話とか、おもしろいと思う要素はたくさんあるし、引き込まれてしまう筆力ではある。 だけど、かなり致命的な都合のよさを感じるのが残念だ。
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凄惨な殺人事件が起こった家の床下から見つかった呪術符。誰もが口をそろえる人徳のある老人が、何故そのような強い恨みを受けたのか? 被害者の孫娘と共に調べ始めた呪術を研究している『中澤』は、やがて老人の隠された過去にたどりつく。 第五十七回江戸川乱歩賞受賞作。 呪いや儀式などが...
凄惨な殺人事件が起こった家の床下から見つかった呪術符。誰もが口をそろえる人徳のある老人が、何故そのような強い恨みを受けたのか? 被害者の孫娘と共に調べ始めた呪術を研究している『中澤』は、やがて老人の隠された過去にたどりつく。 第五十七回江戸川乱歩賞受賞作。 呪いや儀式などが主軸ですが、オカルト的ではなくむしろ民俗学の観点から語られていて、殺人も実際に人の手で行われている本格ものでした。 人を呪うと言えば、有名なのがわら人形に釘を打ち込む『丑の刻参り』でしょうか。どのようなものにも色々な手順や作法があり、呪う方も多大な労力を必要とするので、負の感情を吐き出すとともに自浄作用をもたらすというのは分かりますね。 しかし、ここに出てくる呪術師たちは、六十年もの長い時間をこの呪いに費やした揚句、自ら禁を破り殺人に手を染めてしまう。それほどの憎悪を持ちながら、儀式を邪魔した二人は殺すことができなかった。その心情がやるせないです。 ただ、ラストはどうもしっくりこなかったです。
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呪文のような、お経のような昔から伝わる不思議な言葉がキーワードになっている。 読み進めていくと道尾秀介を思わせるような、おどろおどろしたホラー小説の要素が次々と出てくる。 何代にもわたる怨念、残虐な殺人、呪詛に満ちた言葉・・・キャーー と怖がらせておいて、最後のオチはちょっとねぇ...
呪文のような、お経のような昔から伝わる不思議な言葉がキーワードになっている。 読み進めていくと道尾秀介を思わせるような、おどろおどろしたホラー小説の要素が次々と出てくる。 何代にもわたる怨念、残虐な殺人、呪詛に満ちた言葉・・・キャーー と怖がらせておいて、最後のオチはちょっとねぇ。 あれだけのことで、そこまで発展するか?時代を超えて。 その時、警察に届けて償っとけば済んだことなのに・・・ ちょっと納得できないな。 あれだけ綿密な行程があるのだから、動機や過程にもっとひねりがほしかったな。
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2012/08/25 AER仙台 丸善書店 「147ヘルツの警鐘」を読んで購入。 -- 怨念というか、呪いというか、過去に読んだことのないジャンルでなかなか読み進まなかったが、最後、ちょっと現実離れしすぎていないかなぁ。
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変死体のそばで見つかった「呪術符」の意味は? 被害者は呪い殺されたのか? 呪術の研究を専門にする文化人類学者・仲澤大輔が、殺人事件の真相に迫る。謎が謎を呼ぶミステリーの快作。。 2011年江戸川乱歩賞受賞作。呪術に関するウンチクがやや多すぎて、登場人物たちがそれをダラダラしゃべ...
変死体のそばで見つかった「呪術符」の意味は? 被害者は呪い殺されたのか? 呪術の研究を専門にする文化人類学者・仲澤大輔が、殺人事件の真相に迫る。謎が謎を呼ぶミステリーの快作。。 2011年江戸川乱歩賞受賞作。呪術に関するウンチクがやや多すぎて、登場人物たちがそれをダラダラしゃべるのが気になった。殺人の動機があまりにも…だった。でもそれらを割り引いても、過去に私が読んだ乱歩賞受賞作品の中では読み応えのある作品だったと思う。 (B)
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第57回江戸川乱歩賞受賞作。 コンセプトは嫌いじゃないんだけど、何故か、物語に入り込めず、ボリュームの割には終わり方も微妙。
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7月-8。3.5点。 呪い研究の学者。祖父を呪い殺された、 女子大生と、捜査。 隠されていた祖父の過去が、明らかに。 スピード感あり。まあまあ面白かった。
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力作だとは思う。でも、いろいろなところに無理があり、純粋に楽しめなかった。①呪術要素が怖さにつながっていない②主人公キャラがすべてを見透かしたスーパーマン③少女キャラが物分り良すぎ④キャラの会話がすべて著者の思考ベース⑤秘密の事柄をペラペラしゃべりすぎ⑥呪術要素についての説明不足...
力作だとは思う。でも、いろいろなところに無理があり、純粋に楽しめなかった。①呪術要素が怖さにつながっていない②主人公キャラがすべてを見透かしたスーパーマン③少女キャラが物分り良すぎ④キャラの会話がすべて著者の思考ベース⑤秘密の事柄をペラペラしゃべりすぎ⑥呪術要素についての説明不足で説得力がない⑦明かされた犯行動機と殺人に至る経緯に説得力がない などなど。。。 江戸川乱歩賞というのは今後に期待する作家に与えられるものだと理解しているのですが、この作品を読む限りでは、あまり期待できないように思えてしまいました。すいません。
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被害者は呪い殺されたのか!―謎が謎を呼ぶ、呪術ミステリーの快作。変死体のそばで見つかった「呪術符」の意味は?呪いと殺人の謎に文化人類学者が挑む!第57回江戸川乱歩賞受賞作 母の再婚した男の父。惨殺。呪い。人類学者を尋ねる。 若い頃に山道でおこした交通事故。幼児を殺し、死体を隠した...
被害者は呪い殺されたのか!―謎が謎を呼ぶ、呪術ミステリーの快作。変死体のそばで見つかった「呪術符」の意味は?呪いと殺人の謎に文化人類学者が挑む!第57回江戸川乱歩賞受賞作 母の再婚した男の父。惨殺。呪い。人類学者を尋ねる。 若い頃に山道でおこした交通事故。幼児を殺し、死体を隠した。 政治家を目指す男が隠ぺいを指示。祖父は男の妻の頼みで目立たないように暮らすという条件で生きながらえた。幼児の親が地元の風習に習い復讐。 娘と人類学者は捕らえられるが、助かる。老婆らは山奥に逃走。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
第57回江戸川乱歩賞受賞作。祖父を殺された真由は、家の床下から呪いの札を発見する。真由は呪いの研究者、仲澤とともに、呪いをかけた主を探し、祖父殺しの謎を探っていく。はじめは、「呪い」という響きが安っぽく感じられた。しかし、歴史上それを生業とした集団がいたこと、その伝統が残る地域があること、またその呪術者の集団が流れ着いた場所があることなどが、順を追って説得力をもって書かれていて、次第に引き込まれた。物語のスケールからすると真相は安っぽかったし、知り合いがキーマンだったり警察の関与があまりなかったりとご都合主義的な展開はある。でも、派手さはなくともきちんと読ませる作品だった。
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