うつくしい人 の商品レビュー
赤い牛皮のキャリーケースを持って東京を出る主人公。社会の価値がそのまま自身に投影されている主人公は、常に他人から見た自己を意識して生きている。 題名でもある「うつくしい人」とは、自分の中に美しさの価値が備わっている、ある意味では客観性のない主人公の恐れている人である。 この島の風...
赤い牛皮のキャリーケースを持って東京を出る主人公。社会の価値がそのまま自身に投影されている主人公は、常に他人から見た自己を意識して生きている。 題名でもある「うつくしい人」とは、自分の中に美しさの価値が備わっている、ある意味では客観性のない主人公の恐れている人である。 この島の風土とそこに居る人々と関わることで少しづつ美しい思い出が増えていく。とめどなく続く日常から逃げることはできなくて、生きている限りその歯車を止めることは許されない。でも美しい思い出があれば少しでも救いになる、そんな小説だった。
Posted by
主人公が人の目を気にして思考がぐるぐるするのが共感しすぎて気まずくなった 坂崎とマーティンにわたしも出会えたらいいな
Posted by
私も周りの目を気にして「私」が何かに遠くに追いやられている節がある。でも蒔田は私よりはるかに重度にそれを抱えていて始めは読んでいて辛かった。島に来たからこそ不思議な(と言ったら失礼だが)人たちと出会い、彼らが何かしてくれる訳ではないのに自然に解きほぐされていく様子は見ていて安心感...
私も周りの目を気にして「私」が何かに遠くに追いやられている節がある。でも蒔田は私よりはるかに重度にそれを抱えていて始めは読んでいて辛かった。島に来たからこそ不思議な(と言ったら失礼だが)人たちと出会い、彼らが何かしてくれる訳ではないのに自然に解きほぐされていく様子は見ていて安心感があり心が軽くなっていった。坂崎の過去や置いていこうとしてるものは何なんだろう、それが気になった。前向きなエンディングが好き。
Posted by
息子が母(妻)の誕生日プレゼントで買ってきた。オレの本棚を見て知っていた著者名のジャケ買いらしい(笑)。自分が誰かにとってうつくしい人だったらいいなという価値観はよくわかる。でも基準は様々で、だからこそいいのかも。いずれにせよ、”恋”が、あるいはそうでなくても、人が人を急に変える...
息子が母(妻)の誕生日プレゼントで買ってきた。オレの本棚を見て知っていた著者名のジャケ買いらしい(笑)。自分が誰かにとってうつくしい人だったらいいなという価値観はよくわかる。でも基準は様々で、だからこそいいのかも。いずれにせよ、”恋”が、あるいはそうでなくても、人が人を急に変える。考えて辿り着くんじゃなく、急に嵌まる。人生も読書も、危うくて、う~ん、何とも言えんが、堪らんというところか。
Posted by
私の脳覗いて書かれた?ってくらい思考が一緒で驚いた みなさんの感想どおり、後半になるにつれて苦しくて苦しくて泣けて仕方なかった 苦しいときって身近な人に助けてほしいって期待しちゃうけど、意外とハードル低い出来事や関わりが薄い人の何気ない一言に背中押されて気持ち軽くなることってある...
私の脳覗いて書かれた?ってくらい思考が一緒で驚いた みなさんの感想どおり、後半になるにつれて苦しくて苦しくて泣けて仕方なかった 苦しいときって身近な人に助けてほしいって期待しちゃうけど、意外とハードル低い出来事や関わりが薄い人の何気ない一言に背中押されて気持ち軽くなることってあるよね〜ってなった カート乗って「楽しい」って思えたこと、ブリが美味しかったこと、裸足で歩いたこと、優しい記憶が多くて良かったな
Posted by
「サラバ!」や「夜が明ける」のような長大で壮大な作品と比べると、本作はいささかコンパクトな仕上がりに思えた。西加奈子作品には必ず特異なキャラクターが出てくる。本作も主人公、その姉、島のホテルで出会ったマティアス、坂崎と、要するに主要人物全て特異であったが、いずれも強い刺激の持ち主...
「サラバ!」や「夜が明ける」のような長大で壮大な作品と比べると、本作はいささかコンパクトな仕上がりに思えた。西加奈子作品には必ず特異なキャラクターが出てくる。本作も主人公、その姉、島のホテルで出会ったマティアス、坂崎と、要するに主要人物全て特異であったが、いずれも強い刺激の持ち主ではなく、それぞれ克服すべき何かを抱えているといったタイプの特異性であった。そのような人物たちが島のホテルという極めて限定された舞台でのしかも5日間という短い期間で織り成すストーリーは物静かで、冒頭述べた通りコンパクトである。しかしこの刺激の少ないゆったりとした時間の中でそれぞれのキャラクターが克服すべき何かを少しずつ克服していくような様子が見て取れ、ほのかな味わい深さがあった。物語の始めと終わりでは主人公に対してまるで違う印象を抱いた。それもよかった。
Posted by
これは西加奈子さん自身が苦しい時に書いたんだろうな、書くことで気持ちに変化があって、軽くなったんだろうな。 そう思いながらあとがきにたどり着くと、 やっぱりそうだと。 自分で自分がわからなくなる 地に足のつかない感覚。 負のスパイラル。 固執。自分も他人も許せない感情。 誰...
これは西加奈子さん自身が苦しい時に書いたんだろうな、書くことで気持ちに変化があって、軽くなったんだろうな。 そう思いながらあとがきにたどり着くと、 やっぱりそうだと。 自分で自分がわからなくなる 地に足のつかない感覚。 負のスパイラル。 固執。自分も他人も許せない感情。 誰しもあるよね、 そんな時。 それを 不思議なキャラクターの マティアスとバーテンダー坂崎さんが 救い出してくれた。 救い出す意識もなしに。 いとも自然に。 最後の ともさかりえさんとの対談が 西加奈子さんらしさ 全開で楽しく読めた。
Posted by
西さんの書く文章を初めて読んだ! 百合と坂崎の面倒な部分が、現在進行形でどっちも私の中にあって、ずっとどうにかしたいけど難しいな〜と思いながらなんとなく生活していたけど、この小説で私のコンプレックスな部分と同じようなことが書かれていても嫌な気持ちにはならなくて、逆に謎の安心感があ...
西さんの書く文章を初めて読んだ! 百合と坂崎の面倒な部分が、現在進行形でどっちも私の中にあって、ずっとどうにかしたいけど難しいな〜と思いながらなんとなく生活していたけど、この小説で私のコンプレックスな部分と同じようなことが書かれていても嫌な気持ちにはならなくて、逆に謎の安心感があった。それは百合と坂崎に対して、私と同じ人いるじゃん!と思ったわけじゃなく、面倒な部分はありつつもそこはマティアス含む3人の中では関係のないものだと、読んでいてはっきり伝わるからだと思った。この安心感を私も知っているぞ、という気持ちになって心地がよかった! 何気にあとがきの言葉がいちばん心が温まって、ちょっと息がしやすくなる感じがありました。西さんの他の小説も読んでみたい。
Posted by
周りの目を気にしすぎる百合が一人旅でフラットな坂崎とマティアスに出会う。重めだけど共感。「誰にも見られていないと思うと穏やかな気持ちに」「いつまでもひとりでいたい、という透明な気持ち」「そう思う自分は落伍者なのだ、と強烈な自己否定が体を埋めつくす」
Posted by
胸がきゅうって苦しくなるような話。最後は光が見えてくる。自分は主人公ほど周りに左右されて悩むことはないから、読むのがしんどかった。 自分で不幸になれる人は自分で幸福にもなれる あとがきのこの言葉が1番印象に残った。
Posted by